佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「カイジ」をBLとして読む

<<   作成日時 : 2009/12/05 09:32   >>

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最近書いたエッセイを読み返すと、どうもふざけた内容が多い気がする(特に前回)ので、そろそろ真面目な話でもしよう。
夏目漱石の「こころ」、森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」など、昔から“硬派”BLは存在してきた。私はここに「カイジ」を加えたいと思う。
もちろん、船井のセリフ(黙示録1巻)に起因する程度の浅い推論ではない。彼のセリフについては後で検証するとして、まずは「カイジ」をBLとする根拠について話すことにしよう。




<1、利根川>

第1章で登場し、第2章でカイジとEカードで戦う利根川だが、彼のセリフに不可解なものがある。
黙示録10巻、カイジが針のリミットを45ミリにして、18ミリを賭けたいと言い出したときだ。
「バカがっ・・・・・・・・! わかってるのかっ・・・・・・! 自分が今何を言ってるのか・・・・・・・・・・・・。」
青ざめて、煙草を吸って落ち着こうとする利根川。
「30ミリなら、負けても鼓膜までで、それ以上を失うことはない・・・・・・。」
更に青ざめて、45ミリにしたときのリスクを訥々(とつとつ)と語る利根川。
「最悪の場合・・・・・・“死”・・・・・・・これも覚悟すべきだ・・・・・・・・!」
表情と合わせて考えれば、利根川は明らかにカイジの命を心配している。これはどういうことだろう。
利根川は本来、人の命を心配するようなタマではない。あの恐怖の電流鉄骨渡りにおいて、彼は人が転落死するのを笑いながら見ていたではないか。
まさか、目視できない暗闇の中で人が汚らしく潰れているのは笑って見ることが出来ても、目の前で人がもがき苦しんで死ぬのは見るに堪えない、そんなことではあるまい。そんな人間が帝愛の幹部というのは考えにくい。まあ、ゼロではないが、限りなくゼロに近いだろう。
ということは、利根川がカイジに惚れてしまったと考えるのが自然ということになる。こう考えると、彼が執拗にカイジの命を心配していた理由も納得できる。
「希望の船」でも生き残り、電流鉄骨渡りも予想に反して生き残った。そんなカイジの知恵、度胸、運、精神力・・・それに利根川は惹かれたのだろう。
黙示録9巻で利根川はギャンブルとはどういうものかと自説を語った。
「これが本当の会話だっ・・・・・・!」
「真剣に互いの心を測ろうとしている。真実を追いかけている。」
「国籍、年齢、貧富の差、性別・・・・そういう、あらゆる垣根をあっさり乗り越え、語り合える・・・・・・・・・・。」
これはまさに恋愛そのものではないか?
そう、利根川にとって、ギャンブルとは恋愛行為に等しいのである。
利根川はこれまでに、歯ごたえのある若者と戦った経験が無いのだと思われる。そこへカイジの登場だ。不可能と思われた状況を突破し、自分に牙を剥いている。それでコロッといってしまったのだ。
利根川が隙・・・甘さや驕りを見せたのも、カイジが負傷して血をだらだらと流してからだ。それも彼がカイジに惚れていることの裏付けとなるだろう。何十年積み上げていようが、恋愛は即座にその高みに並ぶ。恋するが故の甘さ、そして破滅。恋愛は愚者を賢者にし、賢者を愚者にすると言われる。利根川はカイジに皮肉たっぷりに言われるほど優秀なんだから・・・。




<2、兵藤和尊>

利根川の上司にして帝愛のボス、兵藤和尊。彼の言動にも矛盾があった。
私が見つけたわけではなく、カイジが心の中で毒突きながら指摘していることだ。
兵藤は部下には敗北を許さないが、自分の敗北には甘い。それをカイジは卑劣で醜悪だと指摘している。
もちろんカイジの指摘は正しい。
しかし、ここでもう少し突っ込んで考えてみよう。兵藤は何故、恥を掻かされたからといって、利根川を焼き土下座の刑に処したのだろうか。それによって利根川は廃人になったと書かれてある。
帝愛グループの優秀な幹部である利根川を一時的な感情で切って捨てるというのは、いかにもデメリットが大きい。
自分が負けたわけでもないし、200万払うところを2000万払ったとしても、数百億数千億、或いはそれ以上の資産を持つ兵藤にとっては痛くもかゆくもない。それどころか、利根川を廃人にすることでの損失は億では済まないだろう。
そこまでのデメリットを負ってでも利根川に残酷な刑を処した理由は何だろうか。利益だけで考えるなら、腑に落ちない処遇であろう。利根川へのねちねちした罵倒も、半分は詭弁。ここで利根川がカイジに負けたとしても、組織でのはたらきに致命的な翳りが出るとは考えにくい。
そこで、兵藤と利根川が愛人関係にあったという説が浮かんでくるのである。兵藤は、自分の男の優秀さを証明したかった。そう考えると辻褄が合うのだ。
くどくどねちねちした罵倒、叱責、そして廃人になるまでの過酷な刑罰。これら全て、優秀なはずの愛人がどこの馬の骨ともわからない若僧に敗北したことによる怒りである。自分の侍らす男は最高の男でなければならないという、兵藤の我が儘な欲望なのだ。
そして利根川を捨てた彼は、次にカイジに粉をかけてきた。(黙示録12巻)
「君はわしから見ると・・・・・・・・実に好ましい男だっ・・・・・・・・・・・・!」
照れることなく直球勝負。流石だ。
「わしには珍しく今・・・・人のことを思い言っておる・・・・・・・・!」
脅しすかしも交えて冗談半分に言っているが、結構本気なのではないだろうか。
そしてやはり、彼にとってもギャンブルは恋愛行為に等しい。
「自覚しておる・・・・・・・・・・! わしの脳はすでに・・・焼かれている・・・・! ジャンキーだっ・・・・・・! 通常の刺激では燃えん・・・・!」
ヨダレを垂らしながらのたまう兵藤。(黙示録13巻)
「この老いぼれの・・・・・・・・・・細胞が踊るっ・・・・・・! 活性化する・・・・・・・・! ありがたい・・・・・・・・・・ありがたい・・・・・・・・・・これぞ長寿の秘訣・・・・・・・・!」
ここで船井のセリフ(黙示録1巻)が伏線であったことがわかる。
「老い先短い金持ちなんて、もう何考えだすかわかったもんやないで。とっくの昔に感覚は壊れている。奴ら、通常のSEXなんか、はるか昔に飽きている。」
すなわち、老い先短く感覚の壊れている兵藤が燃える恋愛行為とは、ギャンブルに他ならない。ギャンブルで若者を蹂躙する=陵辱する、そういうのに燃えるサディストなのである。
兵藤が利根川と異なる点は、自分の惚れた男が破滅していくのを喜ぶという性質だろう。それは第3章において顕著に示されている。破戒録9巻において、兵藤は“沼”に挑むカイジに拍手喝采を送っているが、カイジが勝利した途端に怒り、苛立ちを隠さずに息切れするまで暴れた。無理するなよ爺さん(笑)。
カイジに惚れてしまったからこそ自分の手で敗北の奈落へ落とすことに情熱を傾けた。利根川がカイジに敗北したのに対して、兵藤は勝利した。その明暗は、両者の性質の違いではなかっただろうか。
惚れた男を奈落の底に突き落とすことが何よりの喜びである魔王。(BL的な意味でも)
まったく、しょうがねえジジイだな。




<一休み>

ああ・・・・・・それにしても男が欲しいっ・・・・・・!!
ククク・・・・・・むろん・・・というか・・・・・言うまでもなく・・・・・・わしは、持っておる・・・!
この会場の誰よりも・・・持っておるっ・・・・・・!
男をっ・・・・・・!
執事・・・護衛・・・!
リーマン・・・ヤクザ・・・!
スポーツマン・・・軍人・・・!
ククク・・・どこに猫・・・・・・腐女子や腐兄が潜んでいるか知れんから、大きな声では言えんが、
それぞれ・・・・・・100人はくだらぬ愛人を囲っておるっ・・・・・・!

ざわ・・・ ざわ・・ ざわ・・

最近では・・・大人にばかり集中するのもどうかと思い・・・
ショタや女装少年、クラブの部長、生徒会長も囲い込んだ・・・・・・。
それぞれほんの50人ほどだが・・・転ばぬ先の何とやらだ・・・・・・!
常にニーズの確保は怠らないっ・・・・・・!

ざわ・・・ ざわ・・ ざわ・・
パチ・・・ パチ・・・ パチパチパチパチパチパチ
会長っ・・・! 会長っ・・・!
ワー ワー ワー ワー ワー
会長っ・・・! 会長っ・・・!
ワー ワー ワー ワー ワー
会長っ・・・・・・!

バカがっ・・・・・・!
バンッ
足らんわっ・・・まるで・・・・・・!
わしは・・・・・・もっともっと欲しいんじゃっ・・・・・・!
ショタを・・・セバスを・・・リーマンを・・・・・・!
邁進せよっ・・・・・・!
掻き集めるんじゃっ・・・!
世界中の男をっ・・・!
人間の欲望は、つまるところ男に尽きるっ・・・!
それを牛耳る我らこそ・・・・・・王っ・・・!
築くんだっ・・・・・・!
ハーレムをっ・・・・・・!



佐久間 「殺す・・・!!」

アッキー 「殺さない殺さない・・・・・・あー、いや、もう殺しちゃっていいか・・。」




<3、一条>

沼編のラスボス・一条だが、彼もまたカイジに対して屈折した恋心を抱いているようなのだ。
「しかし・・・・・・残念だ・・・。行けば・・・・付いた女の子から、おもしろおかしく、いろいろ聞けたものを・・・・・・! カイジくんの好みから、性癖、回数まで・・!」(破戒録7巻)
変態的セリフなのは間違いないが、それとは別の視点から考えてみよう。ヘテロセクシャルの男性に聞きたいのですが、男の性癖や回数を知りたいですか?
おそらく大概はNOという答が返ってくるような気がするのですが・・・。
しかしまあ、これだけでは一条がゲイだと断定するには説得力に欠けるのも事実。
破戒録8巻の83話ラストで2人の顔が近いのも、腐道士である私の感覚でそのように見えているに過ぎない可能性もある。
一条がカイジに対して並々ならぬ感情を抱いているのは確かであるが。
というわけでもう一つ。黒崎と一条の関係について見てみよう。
一条は兵藤会長に対しては口では忠誠を誓っているが、心の中では毒突いている。しかし、黒崎に対しては違うのだ。心の中でも「黒崎さん」(破戒録10巻)「黒崎様」(破戒録8巻)と呼んでいる。そして、「寵愛」という言葉も使っている。もちろん「目をかけられる」という意味で使っているとも取れる。しかし、そもそも「寵愛」という言葉が「特別に愛される」という意味であるにもかかわらず、一条は「オレはその黒崎さんから特別に寵愛を受ける」と、二重表現・・・つまりは、どうしても「寵愛」という言葉を使いたいようなのだ。
その他黒崎との会話からしても、一条が黒崎の愛人であることは十中八九間違いなかろう。
「一条・・・・・勝てよ・・・・! 生きる為に・・・・!」(破戒録8巻)
そんな一条がカイジに対しても歪んだ恋心を抱くようになったのはいつからだろうか。
きっかけは破戒録7巻での黒崎との会話だろう。(ちなみにこのとき、黒崎は女を侍らしているのに対し、一条は向かいの席で1人で座っている。近くには黒服2人が座っている。)
自分を寵愛している黒崎がカイジを褒め称え、しかも自分よりも上かもしれないと言われて一条のプライドに火が付いた。それからカイジへの執拗な、ある意味サディスティックな攻撃が始まったわけだが・・・。途中から彼はカイジとの戦いに最も熱を燃やしていくようになった。ライバル意識から始まる恋というやつだ。
ちなみに兵藤は一条が嫌いらしい。特に顔が嫌いだと言っていた。どうも兵藤会長は普通のイケメンタイプは嫌いで、どちらかというと野性味のあるタイプ・・・利根川やカイジのような男が好みなのだろう。私と好みが被ってるのがムカツクが(笑)。
最後に一つ。変な連中ばかりに歪んだ恋心を向けられるカイジは間違いなく「受け」であろうが、この沼編においては更なる「受け」が存在した。それこそ1000倍台「沼」である。あれは魔性の誘い受けと言うべきだろう。「ガバガバ」だの「名機(=名器)」だのと、作中でも擬人化されている。そう考えるとエロすぎるな、この話。




<4、三好と前田>

この2人の裏切りは、実に不可解と言わざるを得ない。読んでいて、よもや・・と思いつつも、まず違うだろうと思ったが、それは裏切りが理に合わぬことだからだ。
これが仮に、カイジに付くよりも村岡社長に付いた方が利があるというのであれば、まだ納得はいく。一時は艱難辛苦を共に乗り越えた同胞であったが、娑婆に出てみれば金で心を変えてしまった。そういうのなら、悲しいけれども納得できる。世の中とは、かくも無情なものであるというメッセージだろう。
しかし、三好と前田が村岡社長の側に付くことで利益になるとは通常では考えられないのである。
村岡は「減点方式」その他、呆れるほどのドケチ、強欲ぶりを発揮している。それは三好と前田もよく知っている。罵倒され、暴力を振るわれ、全くいいことは無い。報酬の約束も怪しいものだ。
その点、カイジの側に付けば、ほぼ確実に数千万円、数億円が手に入るのだ。利を第一に考えるなら、カイジの側に付くべきなのだ。
また、カイジがパチンコでの金をせしめたという証拠は無い。実際にもせしめてはいない。しかし三好も前田も村岡の言葉を信じた。何故だろうか。何か利害以外の要素が絡んでいるとしか考えられない。
要するに、彼らは村岡に惚れている、または愛人である可能性が大きいわけだ。例えば前田は村岡のイカサマテクニックに対して「凄ぇっ・・・・!」と尊敬の念を発している。(堕天録11巻)
確かに村岡は見苦しい程に強欲だが、マイナス方向に筋が通っているとも言える。ピカレスクというには見苦しいものがあるが、それに引き寄せられる人間もいるのだろう。そうでなければ裏カジノの社長など出来るはずもない。善人でなくても人を集めることは出来るのだ。
というわけで、三好と前田も恋愛で破滅への道へ向かったということになる。村岡の破滅と同時に彼らも路頭に迷うだろう。カジノを続けることで村岡が破滅を回避したとしても、劣悪な待遇で働かされる三好と前田の未来は暗い。惚れた男にこき使われるのが幸せというならば止めはしないが・・・。




<5、村岡>

堕天録の中ボス・村岡。彼がゲイである根拠を一応示しておこう。
「結婚なんか誰がするか・・・・! 食わしていくざんすよ・・・・・・! 結婚したら生涯・・・・! いずれ必ず・・・・飽きる女を・・・・!」(堕天録12巻)
村岡がヘテロセクシャルだと仮定すると、彼の性質からして「結婚して、飽きたら別の女を愛人にする」と考えるのではないだろうか。結婚というものが男の社会的信用を得る為の行いだと考えて、その利を活かす方法を考えるはずだ。好きでもない人間と結婚することくらいは平気でやりそうな男だろう。
しかし彼はゲイなので、それは出来ない。そういう結論に辿り着くわけだ。
堕天録3巻でも既に彼の性指向が示されている。
カイジが演技で帰ろうかと言い出したとき、村岡は「離しません、離しません」と連呼してカイジを後ろから羽交い締めにする。手を握ったり抱きついたり肩を揉んだり・・・羨ましいじゃねえかコノヤロー。
その少し前に和也がやって来たが、そのときに村岡は嬉しそうに彼の肩を掴み、「凛々しい、凛々しい」と連呼している。この2人はどうやら愛人関係にあることは後に示される。




<6、和也>

兵藤和尊の息子で、まだ10代の兵藤和也。彼が村岡を愛人としていることは堕天録13巻で示されている。
村岡が和也を脅して、逆に脅し返されたシーン。平謝りの村岡に対して和也はこう言っている。
「いいよ・・・・もう・・・・・・! 確かにお前は逆らわねえよ・・・・・・・・・・! 毛一本な・・・・・・!」
何ともおかしな話である。和也の性格からして、平謝りされた程度でそれを信用するとは考え難い。もちろん村岡が兵藤会長を恐れているということを和也が知っていて・・ということだろうが、それだけならば和也の性格からして村岡を攫って嬲り殺しにするだろう。
要するに、自分の愛人が醜態を晒したのを見て失望したということだ。もうこんな奴はどうでもいい。そう思ったのだと推察される。彼は父親の性質を色濃く受け継いでいるようで、惚れた男が破滅することを快楽としているようだ。
「破滅、死滅、絶滅、自滅・・・・つまり破産! そういう決着が・・・・望みだ・・・!」(堕天録11巻)
そして村岡は敗北。和也はどうやら最初からそれを予感していたらしく、あらかじめレストランを貸し切っていた。(正確には勝った方と食事をするつもりで貸し切っていたのだろうが。)
そこへカイジを招待し、2人だけで食事を楽しもうというのだ。笑っちゃうほどキザな奴である。
彼はカイジに自分の心情を打ち明けているが、その中のセリフで「どうしてまともな女がいないんだ」と、ぼやいている。それに対しては、「まともな女はお前には近寄らないんだ」と言いたくなるだろう。しかし、彼がゲイであるという可能性を考えると、また違った意味に聞こえてくるのではないだろうか。
和也がカイジに惚れた理由は、津波のような強運に驚愕したからというのもある。しかし、もっと根本的な部分で惚れる要素があったのだ。
和也編1巻にて、彼は「人の心が見えない、霧の中にいるようだ」とカイジに自分の苦しみを話していた。青臭いボンボンの戯言に過ぎないが、重要なのはそこではない。
彼は今までの人生で、人に罵られたりしたことは一度も無いのだろう。生まれてからずっと、チヤホヤされまくり、それに嫌気が差している。しかしカイジは本音でぶつかってくるのだ。これは惚れずにはおられないだろう。
言わば、「誰かに叱って欲しかったんだー!」みたいな構ってちゃんなわけである。
「さえずるな・・・・・・・・! 大物ぶるな・・・・・・・・! 兵藤自身ならともかく・・・・お前は・・・・・・何者でもねえっ・・・・! 親の庇護のない、裸の自分を想像してみろ・・・・・・・・・・! ねじ曲がった性格の・・・・・・誰からも相手にされない、出来の悪いガキが・・・・ただ一人いるばかり・・・・・・・・!」
これは和也にとって初めての経験だった。顔を歪め、歯を食いしばり、汗をダラダラと流している。大丈夫、痛いのは最初だけだ。慣れれば快感になる。
ジョークではない。和也はカイジに冷たくされるのが快感になっていくのだ。
和也編1巻において、3話のラストから4話にかけて彼はカイジに冷たくされている。そして、口では「手厳しい」「残念だ」「つまらん」と言っているが、実に楽しそうに笑っている。その表情は何とも嬉しそうだ。
どうやらMの快感に目覚めたようである。和也はドSだが、サディズムとマゾヒズムはコインの裏表だ。私もSとMの両方の側面を同じくらいのレベルで備えているからよくわかる。
ちなみにカイジは「目上への口の利き方がなっていない」と和也を評している(和也編1巻)が、無礼と言うよりは馴れ馴れしいというのが正しい。彼は既にカイジと恋人気取りなのだ。
ところで彼は作家を目指しているようだが、やはりボンボンだ、甘っちょろい部分がある。
「どんなに親父が金持ちだろうと、権力を持っていようと、オレが書く作品を面白くすることは出来ねえだろ・・・・・・? オレの作品が面白ぇーってことは、純粋に、オレの力だ! それで人がチヤホヤする・・としたら、本当にオレをチヤホヤしてんだろ! つまり、認めたんだ、人がオレを・・・!」
前半は正しいが、後半は認識が甘い。彼の小説は個人的には面白いと思うが、悪趣味で読む人を選ぶという気はする。そもそも万人受けする小説などあり得ない。
それを踏まえて問う。
確かに彼の作品が面白いのは彼の実力だが、それでチヤホヤされるのは本当に人が彼を認めたからだろうか?
大したことのない作品でも、大手メディアの宣伝によって名作・傑作であるように見せかけるのは、金や地位をもってすれば実に容易い。
兵藤和尊に人の評価までも操作されている・・・というオチになりそうな気がするのだが。



<7、カイジ>

変な男ばかりに好かれて、つくづく男運の無いカイジだが、彼自身はゲイというわけではなさそうである。しかし、どちらかというと女よりも男に好かれそうなタイプだと思われる。寄ってくる人間も男が圧倒的に多い。
個人的には「強気な誘い受け」という印象なのだが、いかがなものだろう。
そんな彼にも女の影が見えるようになった。坂崎の娘である美心である。彼女もカイジに惚れているようで、暴走して帝愛の餌食にならないかが心配である。
ちなみに坂崎は自分と容貌が似ている美心を美人だと評価しているところから、ナルシストだと思われる。
それにしてもカイジは無自覚に男を誘うから始末が悪い。
「今にして思えば・・・・あんたの父親もそうだった・・・・・・・・! 生業の金貸しはともかく・・・・・・こと勝負となったら・・・・公平(フェアー)・・・・! 同条件で勝ち切れる・・・そう信じてるから公平(フェアー)・・・・・・! そんな男だったよ・・・・・・・・!」(堕天録13巻)
何だね、その・・・まるで一夜を共に過ごした男を懐かしむようなセリフは?
確かに一夜を過ごしたことには違いないし、くじを箱に投入したのはカイジと兵藤の「初めての共同作業」だな・・・。
自覚してないだけでゲイであるという可能性もあるかもしれない。
というわけで性指向は不明だが、性質の方は明らかである。カイジはマゾ・・・それもドMに近いとさえ思われる。
(他の連中のように、うまく取り入ることができない。結果、浮き、疎まれてしまう。まさに典型的社会不適合者。天の邪鬼。損ばかりだ・・・・・・・・・・。この難儀な性格のせいで、オレは行く先々で上から睨まれ、ゴミ出しや窓拭きなど、損な役割をいつも負わされる。そして、なんというか・・・・・・・・・・・・始末に悪いのは、オレにはその方が心地良いというか・・・楽なのだ。)(黙示録5巻)
コンビニで働くカイジが自己分析をしている場面だ。他人と和気藹々というのが苦手で、それをするくらいなら辛い作業をしている方がマシだということだ。
私もこれと同じような性質を持っているが、カイジほど酷くはない。私はややMだが、カイジはもはや末期。耳を切るわ、指を切られるわ、地下で重労働させられるわ・・・いろいろと酷い目に遭ってるのに、ギャンブルを止めようとはしない。もはやジャンキーである。兵藤の予言(黙示録13巻)は正しかったようだ。
(これでやる気の起きる奴の気がしれん。そんな奴はまるで変態だ。マゾもいいとこ。オレには理解不能。)(黙示録5巻)
カイジは自分をマゾではないと思っているが、それは違う。マゾだって痛めつけられる相手を選ぶものだ。私ややMだからわかるが、痛めつけられたくもない輩に痛めつけられるのは気持ちが悪すぎる。
よく誤解されるが、マゾというのは単純に苦痛を求めているわけではない。アグレッシブに「自分の理想とする苦痛」を追求するというのが真性のマゾである。その点でカイジは真性と言える。毎度毎度ギャンブルで苦痛を味わっているが、それが快楽でもあるのだ。
そういう部分では兵藤とそっくりである。年齢、財力、地位、権力、性格、その全てが大きく異なる2人だが、ギャンブルジャンキーという点では鏡に映したようにそっくりである。
そこへ兵藤ジュニア・和也が登場して、なかなか面白い三角関係になっている。もしも和也の小説の評価が兵藤和尊に操作されているというオチになったら、彼は更に執拗にカイジを追い求めるに違いない。これからが楽しみである。




<おまけ>

誰が最終的にカイジとくっつくか予想。
◎・・・本命 ○・・・対抗 ●・・・ダークホース ×・・・要注意 △・・・穴 ▲・・・大穴

1、古畑
2、遠藤 ×
3、船井
4、利根川幸雄 △
5、角刈りの黒服 ×
6、安藤
7、北見
8、兵藤和尊 ◎
9、黒崎義裕 △
10、大槻 ▲
11、三好
12、前田
13、石田広光
14、坂崎孝太郎 ▲
15、一条 ●
16、坂崎美心 ●
17、村岡
18、兵藤和也 ○


1、古畑
カイジを騙し、裏切った男。奇跡的に再会して過去を水に流してもらえる確率・・・2%もないか。
くっついてもまたすぐに別れそう。

2、遠藤
最初はカイジをカモにしていた男。金融業を営んでおり、帝愛の傘下。成長したカイジに「沼」編で圧倒され、帝愛に牙を剥く。カイジの優しさに本気で涙を流すも、最後はがめつく金を奪っていった。
おそらく帝愛から逃れるため外国へ逃亡したのだろうが、悪友的な意味で要注意な候補。
十数年後にカイジと外国のカジノで運命の再会を果たす確率・・・46%はあるかも。

3、船井
「希望の船」でカイジをカモにした男。ジャンケンゲームで最後まで因縁が絡んだ好敵手。しかし決着が着いている為に、再会しても互いに無視しそう。
視線を交わして過去の対決に思いを馳せる確率・・・10%あればいいかも。

4、利根川幸雄
廃人になってしまったので再登場は難しいが、もしかしたらと思わせるだけのものがこの男にはある。
奇跡的に復活を遂げて再び強敵となって現れるかもしれない確率・・・22%は期待できる。

5、角刈りの黒服
ジャンケンゲームではカイジに厳しい言葉を投げつけたが、「沼」編でのカイジのお人好しな行動に感じるものがあって、3万円を渡しちゃったツンデレ。その属性には要注意。
帝愛の末端からアウトローの協力者となる確率・・・37%くらいかな。

6、安藤
自分勝手で小心者。率先してカイジを裏切った。
再会してカイジに温かい目で見られる確率・・・0%

7、北見
ジャンケンゲームでの好敵手その2。既に決着が着いている今となっては、やはり発展は望めそうもない。
今度は腕相撲で勝負する確率・・・5%くらいじゃなかろうか。

8、兵藤和尊
押しも押されぬ大本命。カイジと直接戦ったのは1回だけだが、互いに忘れられぬ夜となった。「希望の船」のときから既に兵藤はカイジに目を付けており、今でも間接的に戦いは続いている。
最終的に再び直接対決をする確率・・・90%は固い。

9、黒崎義裕
カイジとは直接の接点も無いし、大仰に登場した割には出番も少ない。現時点ではくっつくのは難しそうだが、これから化ける可能性は十分ある。
一条を負かしたカイジに興味を持って近付こうとする確率・・・33%はあるんじゃないか。

10、大槻
地下チンチロ勝負でカイジをカモるが、イカサマの隙を突かれて敗北した。そのことを根に持っており、もしも地上へ出ることがあったら何か一波乱起こるかも。
かわいさ余って憎さ百倍な感じだが、それがひっくり返るかもしれない確率・・・24%は意外とあったりして。

11、三好
もう会うことはないかな。
時々はカイジのことを思い出して泣く確率・・・7%かな、多くても。

12、前田
三好と同じようなもの。
カイジのことが気になって仕事が手に付かなくなる確率・・・5%未満。

13、石田広光
彼の父親とカイジは「希望の船」で運命の出会いを果たし、恐怖の電流鉄骨渡りで永久の別れとなった仲だ。
父の遺志を継いでカイジと共に生きる確率・・・12%くらいか。

14、坂崎孝太郎
「沼」編でのカイジの相棒。パチンコの大勝の後は居候のカイジを疎ましく思うが、何かのきっかけで再び英雄視しないとも限らない。
金を返しに来たカイジを温かく家に迎える確率・・・28%はありそう。

15、一条
地下1050年送りは絶望的とも思えるが、カイジの去り際のハッパからして復活フラグは立っている。再び嵐を巻き起こすダークホースとなるか。
地下を脱出して再びカイジといちゃいちゃする確率・・・52%あったらいいなあ。

16、坂崎美心
ダークホースその2。純真かつ強引な攻めにカイジはたじたじである。結婚という意味では最も有利な立場にいるのは確か。彼女の父親次第でどこに転ぶかわからない。
最終回でカイジと結婚してしまう確率・・・41%もあるぞ。

17、村岡
もう再起不能な気がするが・・・。
三好と前田を引き連れてカイジと再対決する確率・・・3%以下。

18、兵藤和也
あの兵藤和尊に対抗するには、ちょっと力不足な対抗馬。しかし持ち前の積極性でカイジをデートに誘い、冷たい態度を取られつつも喜んでいる。現時点では一番距離的に有利。
直接対決でカイジに敗れて桃源郷へ行く確率・・・67%以上かな。



確率の数値は勢いだけで決めてます。

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
男はたぶんあまり、BLには興味がないという人が多いと思いますが、Web小説でもBLという言葉はよく耳にします。
野いちごと無銘文庫のBL作品の作者は、私が見た限りでは全部女性。
興味がないので読んだことはないが。
カイジは藤原竜也から映画の話を聞いたとき、怪しい作品だと興味を持った。
怪しい役が上手い役者でもあるが。怪しいといっても、もちろんそういう怪しいではなく…。
私もライトSMというアブノーマルな要素を作品に取り入れているので、きょうの記事は全文読んで参考になった。
BLに興味は湧かないが、興味を持つ人の気持ちは少しわかった。
完全なSM小説よりも、ちゃんとしたストーリーの中にSMチックな要素が入っているほうが面白いと思う。
人間の心理戦も描ける。
人間無抵抗だと弱気になるし、相手が無抵抗と知るとよこしまな心が疼く。
世の中にはノーマルな人ばかりではないから、アブノーマルな作品も毒ばかりではないと思う。
ただ児童ポルノだけは反対。もうすぐ小説も全面禁止の流れになるが、私は真っ先に賛成する。
しかし、どこまでが変態か。その線引きは難しい。
ちなみにSMもBLも変態ではない。
「私っておかしいのかな?」と心配している人に「おかしくなかったんだ!」と寒気を歓喜に変えるのが作家の役目。
(自己正当化)
まあいい。
良くないか。
沢里尊
2009/12/05 19:36
すいません、世事に疎いもので、「カイジ」というタイトルだけしかわかりません。でも、長文の分析、興味深く読ませていただきました。
ギャンブルは・・・私は馬券を買ったことも、パチンコすらしたこともありません。全くダメですね。手を出したら、依存症になってしまうと本能が知らせているのでしょうか。
BL小説については、よくわからないです。
買ったことはあるのですが、ちゃんと読んでなくて・・・
なんだー!結局何もわからないままコメントしてるではないですかー!
すいません、内容のないコメントでした・・・
出直してきます(^o^)
とちの木
2009/12/05 20:04
>沢里さん
参考になりましたか、それはよかったです。苦労して書き上げた甲斐がありました。確かにSM要素もふんだんに入っている話です。それがまた読んでいて痛快。
しかし、やはり男性のBL作家は珍しいですかねー。「パタリロ」の魔夜峰央など、有名どころはいるのですが。男性が普通にBLを書く世の中にしようと、私は密かに画策していたり、いなかったり。
「カイジ」はアニメや映画の方では観てないのですが、ポスターを見ると、ウホッ、いい男が・・。藤原竜也は容貌も表情も結構カイジに似てると思います。
さてさて、どこまでがノーマルかアブノーマルか。なかなか難しい・・。変態と言われて悲しむ人から喜ぶ人までいるので、そういう意味でも線引きは困難ですね。私は変態と言われたら喜ぶ方ですが、犯罪者予備軍みたいに言われたくはない。
児童ポルノ・・・。うーん、規制することで逆に犯罪が増える可能性を考えると・・。少なくとも、実際に虐待されている動画などは被害者が必ずいるわけですから、絶対に規制するべきだとは思います。
しかしフィクションの範囲まで「犯罪」とするのは疑問が湧いてくるのです。人を犯罪者に仕立て上げるのが得意な、警察という連中もいることですし。
私は「あくまでフィクションとしての節度を保っていれば何でもあり」くらいに考えています。
これも自己正当化かも。しかし現実に犯罪を犯してしまうよりはマシ・・・。性犯罪ではないですが、私も小説を書いていなければ人を殺していたでしょう。
アッキー
2009/12/06 00:49
>とちの木さん
私もギャンブルは金を掛けるよりもスリルや頭脳プレーを楽しみたいですね。そういう意味では依存症。多くのギャンブラーは金を儲けたいというよりも、スリルや興奮を求めているように思えます。
ネットで小説を発表するのはギャンブルに近いスリルがあります。確実に受ける保証など無いわけで・・・。
そう言えば幼い頃に父親に連れられてパチンコに連れていってもらったことが1回だけありました。いや、1回だけです。私はハマっていませんよ。
BL小説は私もそう多くは読んでいないのですが、結構ピンからキリまであるようです。書籍よりもネットの方がいいかもしれません。
私はみっちゃんさんのサイトで読んでいます。
アッキー
2009/12/06 01:00

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「カイジ」をBLとして読む 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
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