佐久間闇子と奇妙な世界

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<<   作成日時 : 2012/11/05 16:30   >>

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再開です。
ブログの運営元が長時間のメンテナンスに入っており、更新が出来ない状況でした。
あらかじめ告知できず、申し訳ありませんでした。

運営によれば、11月4日の21時には復旧するということでしたが、メンテナンスが長引いたようです。
4日の晩には更新できると予告していた方々には、ご心配おかけしました。この通り私は元気です。

それでは「コレクター」の続きを、お楽しみください。



・・・と、それだけでは味気ないので、お詫びがてらゼロサムSSでも。
棺と骸が、男の子なバージョン、女の子なバージョン、どちらでも読めるバージョンの、3タイプを書いてみました。
しゅれでぃんがー先生の守備範囲は広いなぁ。(←待て)

言うまでもないですが、それぞれパラレル設定です。










◆ ◆ ◆










<人形賛歌>


漆黒の装束を脱ぐと、精悍な青年の顔があった。人形のように据わった瞳が、彼らの歩んできた人生を顕している。
少年が自室に出入りを許すのはこの2人だけであり、青年たちが素顔を見せるのもこの少年に対してのみであった。

「座れよ、棺、骸。」

組織の長たる威厳をもって、少年は"命令”を下す。その瞳には僅かに、悲しみとも憐れみともつかない感情が宿っている。
彼の手には、残り半分となった酒瓶。これも密輸品であるところが、非合法組織らしいとは言えるだろうか。

「―――――承知。」
「―――――承知。」

鏡に映したように、棺と骸は正座する。アウトローに似つかわしくない、上品な座り方。
それも、音を立てずに座るのも、暗殺者としての振る舞いだった。加えて・・・。

「はっ、お前らはいつもそれだ。まるで人形だな。」

人形。その言葉に含まれているのは、侮蔑だけではなかった。
むしろ、信頼と感心が多分に込められていた。
その傍目には僅かな違いを感知できるのは、この腹心の部下たちだけだろう。

「飲めよ。」

棺と骸は、人形と言われることは不愉快ではなかった。
人形であればこそ、こうして少年の心のテリトリーに最も近づけるのだから。

(我々は、この方を守ると誓った。)
(我々は、人形でいい。)

少年を守れるなら、人形であることを厭わない。自己犠牲的な精神。
棺と骸は、示し合わせたように同じ動作で、酒を飲み始めた。
その不気味とも言える光景に舌打ちしながら、少年は肴の燻製肉に手を伸ばした。

(人間は裏切る)
(人間は面倒だ)
(人間は信用できない)
(人形は裏切らない)
(人形はわかりやすい)
(人形は信頼できる)

あの日―――――

(誰モ信ジナイ)
(何モ信ジラレナイ)

―――――おれのところへ来い、棺、骸。

(コノ人ナラ信ジラレル)
(コノ人ニ付イテイコウ)

少年と、棺と、骸の、運命を繋げた日。
あのときから、このいびつな関係は続いている。










<零和の棺、零和の骸>


漆黒の装束を脱ぎ捨てると、あどけない少女の顔があった。人形のように情の無い瞳が、彼女らの長くない半生を映していた。
少年が自室に出入りを許すのはこの2人だけであり、彼女たちが肌を見せるのもこの少年に対してのみであった。

「んだよ、その格好は。・・・棺、骸。」

少年の眉が、僅かに不快感で動く。
彼女たちがそのような格好をする所以を知っているからこそ、余計に不愉快だった。

「どうぞ、ご自由に。」
「我々を、お使いくださいませ。」

棺と骸は、幼い頃から・・・いや、もっと正確な言い方をすれば、生まれたときから暗殺者として育てられてきた。
女の身で・・・特に、整った顔立ちであれば猶更、学ばされた技術は銃やナイフだけではなかった。
この年齢にして彼女らは、たとえ将来であっても、子供を産める可能性は殆どゼロに等しくなっていた。

「おれは"人形”を抱くシュミは無ぇ。」

いっそう不愉快な、それこそ存在を否定するくらいの念を込めて、彼は手に力を込めた。持っていた酒瓶にヒビが入る。
困惑する様子すら見せない棺と骸の様子が、更に彼を苛立たせた。

「―――――承知。」
「―――――承知。」

少女たちは、それだけ言った。特に不満そうでもなく、再び漆黒の装束を身に纏う。
普段と異なるのは、顔を出していることだ。

少年は、気付いているだろうか?
こうして素顔を晒すことが、彼女たちの精一杯の"意思”であることに。
意思無き人形であった彼女らの見せる、唯一の自我であることに。

けれど少年は、人形が嫌いな以上に、人間を憎んでいた。
人間を、人間らしい感情を、人間らしい行動を、侮蔑さえしていた。

(憎まれるくらいなら、嫌われた方がいい。)
(人形であれば、嫌われても信頼される。)

少年の二律背反と、少女たちの激しくも冷たい慕情。
それらが織り成すのは、危ういようで波風の立たない、乾いたバランス。夜の砂漠にゆれるブランコ。

けれども少女たちは、かすかに感じる胸の痛みがあった。
それが何であるか、今はわからない。

(わからない。)
(わかりたくない。)

人形であれば、胸の痛みなど感じない。

(―――――削除。)
(―――――消去。)

もう何も感じない。
胸の痛みも、熱い思いも、星空へ霧散していく。

―――――おれのしもべになれ、棺、骸。

少年と、棺と、骸の、変わらぬ日常。
いびつな日常が、続いてゆく。










<蹂躙する唯我>


キーボードを打つ作業を止めて、少年の白い指先が鋭眼と共に部下をさす。
彼の発する言葉は、いつものように単純で、残酷。

「脱げよ、棺、骸。」

その命令に抗おうとする意思も、射竦める瞳によって剥ぎ取られる。
漆黒の装束の下には、傷と痣で彩られた体躯と、羞恥で染まった顔があった。

「どっちが先だ? 選べよ。」

少年は唇を歪める。

「・・・棺か? ・・・骸か?」

名前を呼ぶときに、呼ばれた方が怯えて体を震わせる。
それが楽しくてたまらないといった顔で、少年は唇を歪めたまま目を伏せて嗤う。

「くはっ、それとも両方か?」

少年の指先が、まだ癒えきらぬ傷を這う。
切り揃えられた爪が食い込み、棺と骸は同時に苦悶の声を漏らす。

「あ・・・ぐ・・・・」
「やめ・・・ろ・・・」

耐え切れずに漏れ出す涙に、少年は舌を這わせる。
苦痛の溶け込んだ液体を、赤い肉の上で転がし、貪る。

けれど彼は気付く。棺と骸の目に宿る光に。
運命に抗おうとする、忌まわしい輝き。
それは好ましいが、気に食わなかった。

「まだ抗う余裕があるってのか?」

逆らう奴は気に入らない。抗う奴は気に食わない。叩き潰して地べたを這わせたくなる。
けれど、自分に歯向かってくる奴と対峙しているときが、命を燃やすときでもある。

「また蹂躙してやるよ。コレでも、デュエルでも。」

少年の暴虐が、棺と骸を震わせる。
恐怖に歓喜を交えた悦楽。

この弱肉強食のアンダーグラウンドでは絶対に認めたくないことだが、蹂躙されることを望んでいるのだ。

戦い続け、抗い続け、敵の咽笛を噛み切って生きる世界。
それでも、ただひとりだけ。

「2人まとめて相手してやるよ。」

これが愛なのか恋なのか欲望なのか諦めなのかわからない。
ただひとりだけに蹂躙されたい。

「はい・・・・」
「お願いします・・・」

棺と骸は、静かにデュエルディスクを構えた。
その声は既に蕩け始めている。

―――――おれの"人形”にしてやるよ。

じわりと温かい悦びが脳を濡らす。
少年の声が、心の深く、奥の奥まで染み渡った。










◆ ◆ ◆

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