佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘迷宮 46   Joker−X ゴーストマスター (後編)

<<   作成日時 : 2014/05/28 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



チーム・ブラックのアジト。
カトリーヌは持ち前の社交性で、すぐさま“バーディー”や男たちと打ち解けていた。
その一方、マサキはベッドに腰掛けてシンヤと話している。

「さっき言いかけた雲井って、もしかして雲井忠雄って奴のことか?」
「うん? マサキは彼を知ってるの?」

シンヤが怪訝な顔で振り向いた。

「知ってるってほどでもない。シンヤが消えたとき、言いかけたことを頼りに、デュエルディスクで検索したんだ。最近ダンジョンに入ってきた、コードネーム“OZ”って奴の本名。」
「オージー、オズ、ねぇ。さしずめ僕は、脳の無い案山子・・・いや、むしろリオン・エプスタインか。」
「それじゃ俺は、勇気の無いライオンか?」

マサキは苦笑いする。言ってから、自虐のようで自慢ではないかと自嘲してしまう。
自分も、己の汚さを咎められることを恐れているのかと思考しつつ、彼は話を戻す。

「それで雲井ってのは、どういう奴なんだ?」
「・・・さぁ、どう言ったらいいものか。そう・・・例えば、リオンが狂気の天才で、僕が狂気の凡人だとすれば、彼は正気の天才ってやつだろう。」
「正気の天才か。それって地味に最強だよな。」
「僕もそう思う。一般に、天才が孤独になるのは、その天才性よりも、付随する異常性によるものだからね。それが無いということは、人生において大きなアドバンテージだ。実際このダンジョンで彼は、“バーディー”を抜いて最強のプレイヤーなんじゃないかな。」

そう言ってシンヤは、リュックから紙を取り出した。
広げると、新聞紙ほどの大きさの迷路が目に飛び込んできた。

「迷路の絶対攻略法は知ってるよね。」
「ああ。どれほど巨大な迷路でも入口と出口は繋がっているから、壁沿いに伝っていけば、いつかは出口へ辿り着く。・・・まあ、机上の空論だけどな。ダンジョンみたいに層に分かれてる迷路では通用しないわけだし。」
「それと、プレイヤーが複数いて競争する場合・・・例えば、こんな話がある。」

シンヤは、かつて月下町で行われたデュエルモンスターズの大会の話をした。
この大会には、かの村武も出場しており、3位になっている。

「この大会のルールで、どんな攻略法を思いつく?」
「面白い大会だな。まあ、攻略法つっても、他のプレイヤーの動きまでコントロールできねえから、マーキングかナビゲートってとこだろうが・・・。」
「雲井忠雄が最速でゲート近くまで到達してる理由は、それだ。」
「・・・なるへそ、そりゃあ最強かもしれん。何だかんだで今回、このダンジョンそのものが厄介だからな。」
「けれど、スターの援護があるだけなら、“バーディー”に比肩しても抜きはしないだろう。彼が最強のプレイヤーたるのは、もっと単純な理由なんだよ。」
「単純な・・・・・・・・・・って、あれか、そんなことが出来るのか!?」
「それが出来るから彼なんだろう。」
「・・・ん、確かに最強だわな。現実的攻略法な。」

納得したマサキは、迷路を畳んでシンヤに手渡し、シンヤはリュックに仕舞った。

「まあ、そういうのとは別に、来たのが彼で良かったよ。」
「どういう意味だ?」
「戦力のバランスからして、スター本隊は地上を動かない可能性が高いけれど、4人のうち誰が来るかは予測できなかったからね。他の3人・・・中岸くんや、朝山さん、本城さんは・・・ちょっと、恐い。」

シンヤは、ばつが悪そうな顔をして目を伏せた。
彼は思ってもないことは口に出さない。本当に恐がっているのだ。

「そいつらとは、知り合いなのか?」
「いや、面識は無い。・・・が、確実に嫌悪されるだろうと予測は出来る。嫌われるのは恐いよ。未だに慣れない。」

震えている。昔を思い出しているのか。あるいは最近か。
いずれにしても、今しがたのように思い出すシンヤにとっては同じことだ。

「雲井くんにだって、好かれるとは思ってない。僕の歪んだ弱さと、彼の真っ直ぐな強さは、相容れるものではないからね。・・・ただ、ひとつだけ、僕と彼に共通するものがある。」

震えながらも、シンヤの目は元に戻った。

「彼は、必要とされない恐怖と苦痛を知っている。・・・もっとも、彼は恐怖や苦痛として受け取らないわけだが、認識の問題じゃなくて、必要とされないことを経験してるかどうかだ。」
「他の3人は違うのか。」
「・・・大切な人を失う苦痛や、大切な人が自分を失う恐怖は、死ぬほどよく知ってると思うよ。だからこそ、死ぬほど僕を嫌悪するんじゃないかな・・・。鳳蓮寺でなくても、正邪を見分ける能力は、人間には多かれ少なかれ備わっているものだからね。」
「ああ。恐ろしい能力だよな。」
「僕にとってはね。」

鉄腕アトムの持つ最も優れた能力は、善人と悪人を見分ける能力だ・・・などという話があるが、そうした能力は、ある種の人間にとっては激しい恐怖の対象となる。
善と悪の境界線を引いてしまうような能力は、現在地球上に存在するあらゆる兵器を上回るだけの威力を持つ。
それは単純に、善悪の基準が能力者の主観ないしは抽象的に決定されるというだけではない。
恐ろしいのは能力そのものよりも、善悪の評価が永続的・固定的なものとして人生を左右してしまう、この社会の未熟さにある。そしてそれは、そうした能力者が迫害の対象となる危険性も、同じだけ孕んでいる。

「まあ、あまり捻くれた物言いはよしておこう。別に自重するとかじゃなくて、雲井くんを見てると元気が湧いてくるという意味でね。彼は本物のヒーローだ・・・。」

そう言ってシンヤは、魔力で作られた本を広げる。
世界を小説のように読むことが出来る、“ブック・オブ・ザ・ワールド”。

「・・・!」

シンヤの目つきが変わった。

「どうした。」
「・・・シルベスターさんとデュエルしてる。」

「何だと!」

夫の名を聞いて、カトリーヌが反応した。
マサキもベッドから立ち上がる。

「どうやら俺の勘は正しかったようだな。いま行くぜ、シルベスター!」
「カトリーヌさん、俺も連れて行ってください。」
「いいぜ、乗りな。」

Dホイールの後部座席にマサキが乗り込む。
すぐさまDホイールは発進し、瞬く間に見えなくなった。



◆ ◆ ◆



ヒーローとは何だ

悪を倒すのがヒーローか
人を助けるのがヒーローか


あるいは―――




◆ ◆ ◆



――伏せカードを発動して!!――

最初に会ったときにも言われたことを思い出しながら、俺は慌てて伏せカードを発動した。
するとディーヴァの攻撃が弱まり、《マスター・オブ・OZ》が戻ってきた!



雲井忠雄:MP4600、手札1
場:マスター・オブ・OZ(攻4200)
場:伏せ×1

シルベスター:MP5000、手札1
場:神霊使いディーヴァ(攻500)
場:霊使いパラダイス(フィールド魔法)、団結の力(装備魔法)




デステニーブレイク (速攻魔法・デッキワン)
雲井忠雄の使用するデッキにのみ入れることが出来る。
2000ライフポイント払うことで発動できる。そのとき、以下の効果を使用できる。
●このターンのエンドフェイズ時まで、モンスター1体の攻撃力を100000にする。ただしそのモンスターが戦闘を行うとき、プレイヤーに発生する戦闘ダメージは0になる。
デッキの上からカードを10枚除外することで発動できる。そのとき、以下の効果を使用できる。
このカードを発動したターンのバトルフェイズ中、相手のカード効果はすべて無効になる。




そうか、相手のカード効果を無効にしたから、《神霊使いディーヴァ》のコントロール奪取も無効になり、攻撃力が元に戻るんだ。
ついでに《団結の力》も無効化されて、攻撃力は素の500。大したダメージは受けなかったぜ。


「ふぅん、よく生き延びたな小僧。だが、その程度では俺を超えることなど出来ん・・・《貪欲な壺》を発動し、墓地の5体をデッキに戻してカードを2枚ドロー。速攻魔法《時の飛躍》!」

「またかよっ・・・!」



雲井忠雄:MP4550、手札1
場:
場:伏せ×1

シルベスター:MP5000、手札1
場:神霊使いディーヴァ(攻10900)、マスター・オブ・OZ(攻4200)、異次元の偵察機(攻800)、異次元の偵察機(攻800)、異次元の偵察機(攻800)
場:霊使いパラダイス(フィールド魔法)、団結の力(装備魔法)




「攻撃力が1万を超えやがった!?」

『うろたえるな小僧! 我に比べれば概算で1割に過ぎん!』

そうだ、ライガーの言う通りだぜ。
たかが1万程度の攻撃力に、俺は何を動揺してるんだ。

「伏せカード発動! 《禁じられた聖杯》を《神霊使いディーヴァ》に発動するぜ!」



雲井忠雄:MP2600、手札1
場:マスター・オブ・OZ(攻4200)、異次元の偵察機(攻800)、異次元の偵察機(攻800)、異次元の偵察機(攻800)
場:

シルベスター:MP5000、手札1
場:神霊使いディーヴァ(攻1700)
場:霊使いパラダイス(フィールド魔法)、団結の力(装備魔法)




「ふぅん、ならば《アドバンスドロー》を発動する。ディーヴァをコストに2枚ドロー。」

「あっさりとエースモンスターをコストにしやがった!?」

「下手にディーヴァを残しておいて、コントロールを奪われてはたまらんからな・・・。」

シルベスターの表情は少し曇っているように見えた。
やっぱ、エースモンスターを自分で退けるのは忍びねぇよな。

しかし、厄介なことになった。
《神霊使いディーヴァ》は、融合召喚以外では特殊召喚できない。
そしてシルベスターの墓地にある霊使いは、ライナを除いて全て憑依装着。《霊使いパラダイス》の条件に該当しねぇから、蘇生させて攻撃しても相手のMPは減らない。
・・・何か、雨宮が得意気に笑ってる気がするぜ。何でだ。


「このターン、俺はまだ通常召喚を行っていない。《ファントム・オブ・カオス》を召喚する! 墓地のディーヴァをコピーし、貴様の全モンスターのコントロールを得る! そして3体のモンスターを生贄に捧げ、《D−HERO Bloo−D》を特殊召喚する!」


D−HERO Bloo−D レベル8 闇属性・戦士族
攻撃力1900 守備力600
このカードは通常召喚できない。自分フィールド上のモンスター3体をリリースした場合のみ特殊召喚できる。
1ターンに1度、相手フィールド上のモンスターを装備カード扱いとしてこのカードに1体のみ装備できる。
このカードの攻撃力は、このカードの効果で装備したモンスターの攻撃力の半分の数値分アップする。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、相手フィールド上に表側表示で存在するモンスターの効果は無効化される。



「ディーヴァをコピーした《ファントム・オブ・カオス》が生贄にされたことにより、《マスター・オブ・OZ》は貴様のフィールドへ戻る・・・。だが、Bloo−Dの効果で吸収してくれるわ! ワハハハハ!!」

「くっ・・・!」

「わお、エースモンスターが寝取られ吸収なんて、これは垂涎もののシチュエーションだ! シルベスターさんのデュエリストセンスはっ!」

枡子が何か言ってるが、聞かなかったことにするぜ・・。

「ワハハハハ、ターンエンドだ!」


雲井忠雄:MP2500、手札1
場:異次元の偵察機(攻800)
場:

シルベスター:MP4700、手札0
場:D−HERO Bloo−D(攻4000)
場:霊使いパラダイス(フィールド魔法)、マスター・オブ・OZ(装備)



手札にあるのは《巨大化》だ。
ライフポイントがどっかへ行ってしまった今は役に立たない。
今まで俺を支えてくれたカードなのに、悔しいぜ・・・。

「俺のターン、ドロー!!」

引いたのは、互いのモンスターのコントロールを入れ替える魔法カード《強制転移》!
何故このカードを・・・。

そう思ってると、薫さんの声が聞こえてきた。

《雲井くん、そのカードを使って!》

「お、おう、わかったぜ!」

2体のコントロールが入れ替わり、装備状態だけど《マスター・オブ・OZ》が戻ってきたぜ。
翼の中で蠢いてるけど、ちょっと笑ったように見えた。





雲井忠雄:MP2500、手札1(巨大化)
場:霊使いD−HERO Bloo−D(攻4000)
場:

シルベスター:MP4700、手札0
場:異次元の霊使い(攻800)
場:霊使いパラダイス(フィールド魔法)、マスター・オブ・OZ(装備)






「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」

シルベスターさんの目が点になった。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・??」

俺の目も点になっている。


《シルベスターとかいったな。お前の言ったことには、ひとつのマヤカシがあった。》

佐助さんの声だ。

《考えてみれば、萌えポイントを操作するということは、闇のゲームでは人間の精神を操作するということ。コンピューターの操作で、そんなことが出来ないのは当然だった。・・・だが、裏を返せば、それ以外の要素には手を加えられる可能性があるということだ。》

「ぬうう、しまった!! 俺の使った《ファントム・オブ・カオス》が、貴様にヒントを与えてしまったというのか! すなわち、モンスターの名前を変えるというアイデアを!?」



――マスター・オブ・ビッグバン・ファイナルリミットオーバー・クライシスパンチ!!!!――

俺が攻撃名を叫ぶと、《マスター・オブ・OZ》が翼を突き破って飛び出し、シルベスターにパンチを食らわせた。


「うおおおお!! 闇に取り込まれた者が、再び闇を拳で切り裂くだとおお!!? 何という熱い展開だ!! これが!」

「これが・・・・燃えなんだね・・・・!」

「燃えええええええええええ!!!」



雲井忠雄:MP2100、手札1(巨大化)
場:霊使いD−HERO Bloo−D(攻4000)
場:

シルベスター:MP250、手札0
場:異次元の霊使い(攻800)
場:霊使いパラダイス(フィールド魔法)、マスター・オブ・OZ(装備)




やったぜ、もう少しだ・・・!
待ってろよ彩也香、もう少しで・・・


「・・・ふぅん、萌え(燃え)状態の俺をここまで追い詰めたデュエリストは、貴様で11人目だ。だが、ここから先は神の領域と知れ。“無心”・・・・・・」

ピイイイーンッと甲高い音がして、シルベスターの表情が変わった。
目は虚ろになり、まるで何も考えてないように・・・まさか、これは!?

「その通り。こうなった俺は、自らMPを減らすことはない。そして次のターン、確実に貴様を葬ってやる。モンスターの名前を変更するのにタイムラグがあるのは読めている。プログラムを組まねばならんからな。そう、例えば《闇の誘惑》を引いて発動、《ネクロフェイス》を除外、大型征竜コンボで手札を増やし、《手札抹殺》で入れ替える。霊使いを召喚して《団結の力》を装備、攻撃・・・・・・とかな。俺の引き運をもってすれば、その程度のコンボは容易い。攻撃力無限大の《全土滅殺混沌幻魔神アーミタイル・ヤハウェ》3体を並べたこともあるからな。」

「くっ・・・」

近付いたと思ったのに、また遠くなりやがった・・・。
こいつの言ってることはハッタリなんかじゃねえ。俺の勘がマジだと言ってる。



「雲井忠雄。それから“スター”の小童ども。貴様らでは俺に勝てん。闇を切り裂き、悪を蹴散らし、その返り血に塗れて輝きを増して、正義のヒーロー気取りか? 光と闇は、同じ星から生まれた兄弟のはずだ。だが、光は存在するだけで闇を切り裂き、絶え間なく血と暴力を呼ぶ。切り裂かれる闇の中にも、それぞれの人生を歩み、幸せを求めていた者たちがいた。ひっそりと生きる者、傷つきながらも抗う者、迷いながら叫ぶ者。それらを光は、一律に照らし、彼らが何者であったかも知らずに忘却の彼方へ消し去ってしまう。つまるところ、勇者や英雄などというものは、誰かを犠牲にしなければ成り立たない殺戮者でしかない。やっつける相手が悪だからこそ、倒す相手が嫌われ者だからこそ、多数者から悪い奴だとされた者を殺すからこそ、後ろめたくなく正義の旗印を掲げることが出来るのだ。圧倒的な力で敵を討ち滅ぼそうとも、弱い者いじめだとは言われない。滅ぼす相手が悪だからだ。人知れず悪を狩る者は、義賊として賞賛される。たとえ法に触れようが、悪を狩るという大義名分の輝きの前には、色褪せた死法に過ぎん。そして、こうした言説を唱える者は、ただ僻んでいるだけと見られる。くだらんことだ。専横と隠蔽、欺瞞と正当化・・・正義を名乗る者の、どこに正義があるというのだ? そもそも正義とは何だ。敵に勝つことでしか事態を打開できないのなら、そいつは悪ということではないのか? 誰かを守る為であっても、結果的に敵を倒すのであれば、敵を倒す為に力を振るっているのと変わりはしない。ククク、それは必要悪なのか? 守るべき世界が、混沌と不条理の満ち溢れる泥濘であってもか・・・?」


「・・・ざっけんじゃねえ・・・・・・!」


「ふぅん?」


「てめぇがどんだけ苦しんできたのか、正義とか悪とか、それがてめぇにとって何なのとか・・・そんなことはわからねぇけどよ・・・・・・。俺だって、この世界が楽園だなんて思っちゃいけぇけどよ・・・・・そんな中でも必死こいて頑張ってる奴がいて、しぶとくみんなを幸せにしようとしてる奴がいるんだよ!!」

中岸も、香奈ちゃんも、本城さんも。
薫さんも、伊月師匠も、佐助さんも。
この世界に絶望せずに頑張ってるんだ。それこそが闇を切り裂く光なんだぜ!!
決して、お前の言う、エセ正義なんかじゃねえ!!


「世界を諦めた奴が、一生懸命に生きてる奴を食い物にしてんじゃねえええ!!!!」





雲井忠雄:MP100、手札1(巨大化)
場:霊使いD−HERO Bloo−D(攻4000)
場:

シルベスター:MP50、手札0
場:異次元の霊使い(攻800)
場:霊使いパラダイス(フィールド魔法)、マスター・オブ・OZ(装備)




「・・・・・・ふぅん、貴様の演説、確かに心に響いたぞ。“無心”状態の俺のMPを200も減らすとは、前代未聞の快挙だ。だが、これ以上は貴様のMPが持つまい。返しのターンで霊使いを引いて、それで終わりだ。一向に手札を使わんところを見ると、それは《巨大化》か《リミッター解除》だろう。もはや貴様には、ターンエンドしか残されていない。」

「・・・・・・!」



俺が表情を変えたのは、シルベスターの言葉に反応してのことじゃない。
バイクのエンジン音が近付いてくる。誰か来る。



「よくやったぜ雲井! 俺はカトリーヌ! 最後は俺に任せろ!」

・・・・・・えーと、変な形のバイクに乗って、変な髪形のお姉さん(?)が現れた。
後ろに不良っぽい雰囲気の男が乗っている。

「待て雲井、俺は不良じゃない。」

何で考えてることがわかったんだ?
男はバイクを降りると、俺に向かって笑いかけた。

「俺は大河柾。お前が雲井忠雄だな。一発でわかったぜ。・・・そんで、ヒノエも何でここに?」

「やあマサキ。地下都市のとき以来だね。これこれしかじかで・・・」

「かくかくうまうまというわけか。すまねえな、俺のせいで・・・。」

「いや、ぶっちゃけマサキは殆ど関係ないよね。本当に。」

この2人、知り合いなのか。
そう思ってると、大河と名乗った男はシルベスターを睨んだ。

「・・・・あんたとも、久しぶりだな。シルベスターさん。」

「ふぅん、あれから半年も経っておらんのに、久しぶりも何も無い。」

「違うぜ。今のシルベスターさんは、俺の知ってる偉大な男に戻りつつある。そして今は闇のデュエル中だ。逃げ場は無い。」

「どういう意味だ小僧? まさか力ずくで俺に勝てるとでも思っているのではないだろうな。片腹痛いぞ。」

シルベスターは不敵に笑う。
やっぱり、闇の力ってやつを持ってんだろうな。


「違うぜシルベスター! お前の相手は、この俺、カトリーヌだ! 俺のダイレクトアタック!!


「なにっ!?」


カトリーヌはシルベスターに抱きつくと、耳元で叫んだ。

「好きだシルベスター! 好きだ、好きだ、好きだ、好きだ、大好きだ! 愛してる! 好きなんだ、好きなんだ、シルベスター! 愛してるぞシルベスター!」

「く、くだらん・・・・・恋や愛など・・・・・・・・こんな、こんな・・・くだらんマヤカシ・・・・・・・・・」

「大好き! 大好き! 大好き! 大好き! 愛してる! 愛してる! 出会ったときから死ぬまで、ずっと愛してる! 生まれ変わっても愛してるぜ!!」

「くだらん、くだらん、くだらん、非ィ決闘的・・・・・・む、“無心”、無心無心無心・・・・ぐわああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」(MP50→0)




・・・・・・。
・・・・・・。

・・・・・・・・・勝っ、た?











PHASEW   END

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
今日の最強カードは《霊使いD−HERO Bloo−D》!
素晴らしい・・・これこそ究極のDだ・・・!
佐助・・・君は英雄だ・・・! 選ばれた人間なのだ!
DD
2014/05/28 00:00
火剣「コメントがどうやってもアップされなかった」
ゴリーレッド「コングが変なことを言うからだ」
コング「言ってない」
ゴリーレッド「嫌われるのは誰でも怖い。好かれたいのが人情だ」
火剣「俺も必要とされない経験をしたことがある。その時、稀代のヒールになろうと心に固く誓ったぜ」
コング「♪今の辛さが、俺を変えてく、れ、るー!」
ゴリーレッド「正邪を見分ける能力。真偽、善悪を見抜く能力。もちろん大事だが、同じ人間が善にも悪にもなるから、固定観念は危険だ」
コング「常に善なのは僕くらいなもんだからな」
ゴリーレッド「脳の無い賢者コング」
コング「悪口でしかない」
火剣「雲井忠雄は本物のヒーローか。シンヤが絶賛するとは」
コング「ヒーローとは何だ? それは貪欲な壷を悪用する者のことだ」
ゴリーレッド「シャラップ」
火剣「光と闇は同じ星から生まれた兄弟・・・なかなか詩人だ」
コング「これこれしかじか、かくかくうまうまで通じるとは、さすがマサキとヒノエの仲」
ゴリーレッド「省いただけだろう」
火剣「カトリーヌ、まさかのラストシーン」
コング「かごめに抱きつかれて大好きを連呼されたらMPはゼロになるな」
ゴリーレッド「ダイレクトアタック?」
火剣「文字通り過ぎるというか、デュエルなのか?」
コング「闇のデュエルは幅広い。犯すのもアリ?」
ゴリーレッド「何か言ったか?」
コング「独り言である」

火剣獣三郎
2014/05/28 19:01
>火剣さん
私も2、3日前からネット具合が不調です・・。夏だから消費電力が増えてる?
それはさておき、ひねくれ者のシンヤも絶賛するヒーロー、雲井忠雄。アンチヒーロー・シルベスターと熱い燃えデュエルを繰り広げ・・・最後はカトリーヌのダイレクトアタック!

山田「どういう展開だ・・・。しかし幸せそうだからいいか。」
八武「うーむ、つくづく恐るべきカードだ。」
山田「まったくホントに、ギャグなんだかシリアスなんだか。」
佐久間「両方だ。世界はギャグでありシリアスでもある。」
山田「名言・・・なのか?」
維澄「就職活動で何十何百という会社を受けて全滅。もう笑うしかないと言ってる人がいる。」
山田「笑えない・・・。」
佐久間「そうでなく、心底つらい経験をした者こそ、良質なギャグを生み出せるという話だ。世の中ナメてる奴のギャグは、笑えないどころか不愉快。」
山田「なるほどなぁ。コメディアンは、普段は真面目でシリアスな人が多いらしいが・・・。」
八武「ふむ、山田が本当はボケ役というのも頷ける。」
佐久間「普段は真面目でシリアス。まさに山田。」
山田「褒められてると思っておこう。」
佐久間「本当に褒めてんだよ! 素直に受け取れよ!」
八武「私もカトリーヌにハグされたいなぁ。」
カトリーヌ「おっと、俺が抱きつくのはシルベスターと子供たちだけだぜ!」
佐久間「死根也は剥ぐぁされたいと言ってるんだ。爪とか肉とか。」
八武「言ってない。私が剥ぎたいのは美女・美少女の服。」
アッキー
2014/05/28 21:07
シルベスターは瀕死(?)の状態から何度キラーカードを使ってくるんだ…。普通に相手してたら戦意失うレベルな気がします。しかし、雲井君は見事に反撃。プログラム介入攻撃も込みでシルベスターに切り込んでいく。
丙は、相変わらず。そして、カトリーヌさんとマサキの登場!最後はプレイヤーへのダイレクトアタック(告白)で勝利!リア充爆発しろ、などとは思ってませんよ。
正義とは、悪とは、善とは。そんなテーマが見える気がします。私も小説の中で、それらのテーマを扱っているので、小説の中で可能な限り答えを書いていこうと思っています。
千花白龍
2014/06/05 22:07
>千花白龍さん
最強を渇望するだけあって、やはりシルベスターは強いです。私ならデュエル前の演説だけで戦意喪失に追い込まれかねない(ぇ
普通に戦っていれば、雲井くんにとっては初戦ですし、手玉に取られた可能性が高いですね。支援を受けて、何とか追い詰め・・・そしてトドメはカトリーヌ! 「霊使い喫茶のバイト」をリスペクトした結果、こうなりました。
これでPHASE4終了という、ツッコミ待ちというか期待しているくらいの区切りです。
全体的にはコミカルですが、ここで扱っているテーマには力を込めました。ここだけに留めておくのが勿体無いくらいですが、全体としてのテーマ“対比”に含まれるかなぁと思っています。

P・S
挑戦状の期限を延ばしましたので、ツヲさんに声をかけておいてもらえますか?
アッキー
2014/06/06 01:29

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