佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘迷宮 59   ようこそアンサーチェック (前編)

<<   作成日時 : 2014/06/12 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



今日も楽しく不幸してますかぁ?
わたしは、最っ高に最悪ですよぅ。きゃははっ。

最大多数の最大不運。
いい言葉ですよねぇ。

―――あなたもそうは思いませんかぁ?




                        (式宮虚)



◆ ◆ ◆



ミッドナイト・ゲイザーが闇に沈んでいく。
変身が解けて、3歳の幼児の姿になる。

すると風花は、目を見開いて、闇から拾い上げた。

「よてっ言く早〜だんな。ねだんたっかなゃじ敵の私はたなあ。」

そして風花は、「名前を聞かせてくれる?」と逆さ読みで尋ねた。
幼女は怯えながら、しかし優しげな微笑の前に、口を開ける程度には警戒心を解いた。

「りゅ、りゅうどう、まなこ・・・。」
「ねだ前名な敵素。ようぼ遊に緒一と私。」

真名子は引きつった顔で頷き、風花は微笑んだ。

「とてさ。けっだん沈に闇か誰?」

風花は闇を展開して手を伸ばし、魚釣りでもするかのように、そこからデュエリストを引きずり出した。
呉星百ノ字・・・いや、呉星十字だ。闇の瘴気に纏わりつかれて、ぐったりしている。

「だんいしほてげあてっ送でま上地を子のこ。」
「わ、わかった。」

この場から逃げ出したい真名子にとっては、まさに渡りに船だ。
再びミッドナイト・ゲイザーに変身した彼女は、呉星を小さくしてポケットに入れ、地上へ向かっていった。


だが、このとき風花は重大なミスを犯していた。
致命的とまではいかなくとも、それに準ずるほどの。

呉星十字は残しておいて、覚醒させるべきだったのだ。



◆ ◆ ◆



“ルーク”ことクリア・ハットマン。
“ビショップ”ことラティ・ストライプ。
“ナイト”ことマーチ・スカイヘル。

チェスの駒たる3人は、ダンジョンを移動しているところだった。



「たけつぃ見。も人3が敵の私。す殺〜でルエュデの闇。」



いきなり出現したように、そいつはいた。
タスクフォース最終兵器、鳥月風花。


「な、何だ? 何を言ってる?」

ナイトは逆さ言葉が聞き取れなかった。
そもそも正確には、逆さ言葉ですらない。

かろうじてルークが“敵”という言葉を聞き取った。


聖母のような微笑みを浮かべている彼女が、口にしたのは恐るべき言葉。

ルーク、ビショップ、ナイトは、強制的にデュエルディスクを展開させられた。

「っ?」
「は?」
「何だと!」


「ルエュデ!」



トリッキー:LP8000

ルーク:LP8000
ビショップ:LP8000
ナイト:LP8000



「「「この瞬間、デッキから!!」」」

全力全開で戦うべき相手と判断する。

「《虚無へ回帰する闇の世界》を!」
「《踏み外さない闇の世界》を!」
「《封魔呪殺の闇の世界》を!」

その結論は3人同時によるデュエルで、闇の世界を展開すること。

「「「発動する!!」」」

駒が複数でデュエルすることはルールに抵触するが、合意であればルール19によって解除できる。
こういった事態に即時対応する為、あらかじめチェルシーは、合意であればルールを解除するようにしていた。


虚無へ回帰する闇の世界 (フィールド魔法)
このカードはデュエル開始時に、デッキまたは手札から発動する。
このカードはフィールドから離れない。
デュエル開始から自分のターンで数えて3ターンの間、相手フィールドにモンスターは特殊召喚されず、相手はモンスターを生贄にすることも出来ない。

踏み外さない闇の世界 (フィールド魔法)
このカードはデュエル開始時に、デッキまたは手札から発動する。
このカードはフィールドから離れない。
デュエル開始から自分のターンで数えて3ターンの間、相手の罠カードの効果を無効にする。

封魔呪殺の闇の世界 (フィールド魔法)
このカードはデュエル開始時に、デッキまたは手札から発動する。
このカードはフィールドから離れない。
デュエル開始から自分のターンで数えて3ターンの間、相手の魔法カードの効果を無効にする。



ひとつひとつも恐ろしいが、3枚揃えば凶悪も生温い布陣が完成する。
しかもナイトのデュエリスト能力で、あらゆるモンスター効果は封じられている。
風花は魔法・罠が無効化され、レベル4以下のモンスターしか召喚できず、効果も無効になる。



・・・はずだった。



「ドーカーロド、ンータの私。動発を《光の援軍》・・・



- - - - - -



(5ターン目・メインフェイズ1)


トリッキー:LP8000、手札9
場:蛇神ゲー(攻∞)
場:リビングデッドの呼び声(永続罠)




「撃攻の《蛇神ゲー》。ね・死♪」


「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!???」


ナイト:LP8000→0



デュエルは終了し、3人は闇に消えた。



◆ ◆ ◆



枡子丙と御前霙は、地上を目指していた。
マサキのことは気にかかっていたが、マサキは自分たちのことも気にかけるだろう。
戦うつもりがないのなら、戦う者の懸念材料を少なくするまでだ。

「ヒノエあんた、“ブラックローズ”様に会ったんでしょ! あんただけズルい!」
「そんな呑気なこと、あの場にいたら言えないヨ・・・。」

焦げた死体の匂いを思い出して、ヒノエは吐き気がした。

「ちょっと、大丈夫?」
「うん、それより罠に気をつけ―――」

ヒノエは全身が逆立つような寒気を覚えた。



「よたけつ見。」



微笑みを浮かべて、タスクフォース最終兵器が立っていた。

「鳥月風花!?」
「え、うそ、この人が“トリッキー”!?」

ミゾレも震えて、思わずヒノエの服を掴む。

タスクフォース本部長にして、タスクフォース最強のデュエリスト。
同時に凶悪きわまりない危険人物でもあると聞く。

「たれ現〜が敵くやうよ。んよ〜す殺〜でルエュデの闇。」

「ひっ!」
「っ!」

反射的に2人はデュエルディスクを構える。


「「「デュエル!」」」


鳥月風花:LP8000

枡子丙:LP8000
御前霙:LP8000



ライガーの力によって、闇のカードは消滅している。
2人は普通に初期手札を引き、そして面食らった。


〜ヒノエの手札〜

《魔力掌握》
《魔力掌握》
《魔力掌握》
《トゥーンのもくじ》
《トゥーン・キャノン・ソルジャー》



〜ミゾレの手札〜

《死のメッセージ「E」》
《死のメッセージ「A」》
《死のメッセージ「T」》
《死のメッセージ「H」》
《ダーク・アームド・ドラゴン》



“手札事故”などというレベルの事態ではない。
災厄にも等しい、最悪レベルの手札。


「・・・っ、お前のデュエリスト能力はあっ!?」





〜風花の手札〜

《封印されしエクゾディア》
《封印されし者の右足》
《封印されし者の左足》
《封印されし者の右腕》
《封印されし者の左腕》






「“アンサー”。」





神の一手(アンサー) レベル5i 能力(所有者:鳥月風花)
デュエルにおける全ての要素を、自分にとって最良の状態にする。






ヒノエとミゾレは敗北した。

2人は音も無く闇に消えた。



◆ ◆ ◆



デュエルモンスターズには、俗に言う“引き運”というものが存在する。
それは一般的に、デュエリストとデッキが噛み合っているほどに強くなる傾向にあり、殆どのデュエリストは多かれ少なかれ“ディスティニードロー”の力を持っている。

それの究極と言われるものが、“神引き”と言われる、望んだカードをドローできるという力だ。
これを突き詰めた先にあるのが、“神引き”による【初手エクゾディア】である。
デュエルモンスターズにおける、ひとつの最終的なデッキであり、しかし決して到達しえないだろうデッキでもある。

だが、それを毎回のデュエルにおいて、当たり前のように出来る能力があるとしたら?

「初期手札」は、デュエルにおける不確定要素のひとつだ。
“神の一手”のもとでデッキにエクゾディアパーツを全て投入すれば、初手エクゾディアは容易く実現できる。
しかも、相手の初期手札を最悪のものにしてしまうので、初手エクゾディアを封じてしまえるのだ。

ナイト(マーチ・スカイヘル)のレベル4能力は、モンスター効果を全て無効化してしまう。
それは《機皇帝ワイゼル∞》の召喚よろしくテキストを白紙にするがごとくであり、それを逆用すれば、《リビングデッドの呼び声》で《蛇神ゲー》を蘇生させることも出来てしまうのだ。

ナイトの能力は任意で解除も出来るが、あらかじめ風花は、伏せられていた3枚の《無謀な欲張り》で、エクゾディアパーツを揃えていた。
無論のこと、3人の手札に罠カードを妨害できるカードが来ることを、“神の一手”は許さない。

しかし、罠を封じられているはずの風花が、どうして罠カードを湯水のように使えるのだろうか?
特殊召喚も封じられていたはずなのに、どうして《蛇神ゲー》を特殊召喚できたのか?

それは、“神の一手”が、デュエルの“形式”にも干渉できるからである。

3人は協力して風花に挑んだが、風花にとっては3人がバラバラであるバトルロイヤル形式の方が良い。
“神の一手”によってバトルロイヤル形式に変更され、ルークとビショップの闇の世界は、何とナイトの闇の世界で無効化されてしまったのである。

更に“神の一手”は、場合によっては1対1形式にすることさえ可能である。
スタッフマスターの月島泰斗は、相手の手札とフェイズを完全に消し去ったが、それすら通用しない。
1対1のデュエルとして戦略を切り刻まれ、各個撃破されるだけだ。

そして彼女は希代の魔術師であり、リアルファイトで止めることも困難である。
少なくとも、このダンジョンのスタッフ総がかり程度では、とても敵わない。


もはや鳥月風花を止められる者は、いないと思われた。




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内 容 ニックネーム/日時
今日の最強カードは《蛇神ゲー》!
それはさておき、《E・HEROガイア》の必殺技は、
コンチネンタル・ハンマーだ!
さあ・・・高らかに宣言したまえ!

杏子「最っっ低!!」
八武死根也
2014/06/12 00:00
コング「今日も楽しく不幸してますか? こんなこと聞かれたら焦るな」
火剣「幸せになりたい! と願いながら不幸な人間は大勢いるな」
ゴリーレッド「では一歩自分の人生を見つめ直し、良いことがあるのが不思議で、悪いことがあるのが普通なのが人生だと思ったらどうだろう?」
火剣「深いな。人生哲学か」
コング「りゅうどう、まなこ?」
火剣「眼と思ったら真名子か」
ゴリーレッド「風花は恐ろしいな。みんな秒殺か」
コング「みーんな殺しちまいやがった」
火剣「まさか霙も?」
コング「かわいそう、霙は助けようよ」
ゴリーレッド「ヒノエもだ」
コング「せめて霙だけは」
ゴリーレッド「人間か?」
火剣「最終兵器。まさにリーサルウエポン。風花を止められる者はいるのか?」
コング「シンヤか?」
火剣「マサキ。主人公の強さで」
コング「主人公なのか?」
ゴリーレッド「ポーカーやデュエルは引きの強さだな。将棋は違うが、神の一手というのはある」
コング「神引きか。ぱるるとさや姉は神7に入ったぞ」
火剣「知らねえ」
ゴリーレッド「霙はヒロピンの暇もなかったな」
コング「過去形にするな。霙はまだ終わらない」
火剣獣三郎
2014/06/12 12:49
>火剣さん
悪いことが多すぎると、そのうち良いことがあるのが不思議になってくる・・・とてもよくわかります。良いことがあると、かえって不安になって身構えてしまう。シンヤも同類です。
さて、最終兵器トリッキーの猛攻が始まりました。いよいよ物語は最終フェイズへ入っていきます。闇に沈んだ面々は、後で鷹野さんにサルベージしてもらいましょう。

山田「・・・つまり、トリッキーはヒノエやミゾレをサルベージする気は無いんだな?」
佐久間「基本そうだな。ミゾレは助けるかもしれんが。」
八武「ほう?」
佐久間「理由は次回でわかる。」
山田「それにしても、とんでもない能力だ。初手エクゾディア封じの初手エクゾディアって、どういうことだ・・・。」
八武「しかも相手がエクゾディア封じが出来るようなら、別の手札になるわけだね。」
山田「敵なのか味方なのかも判別できない。立場上は味方だが、のべつまくなし闇に沈めている。」
佐久間「味方殺しのトリッキー。」
山田「攻撃力2000どころか20000くらいありそうだ。」
佐久間「だが、トリッキーの人格破綻ぶりは、こんなもんじゃない。果たして誰が彼女を止めるのか・・・? 次回!」
八武「ヒロコかな?」
山田「うーん、どうだろう。」
アッキー
2014/06/12 22:22

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