佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS ブラックホールで死んでくる

<<   作成日時 : 2014/07/17 00:00   >>

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「ほら離せって。目の前で死なれるのが嫌ならブラックホールとかで死んでくるからさ――」(安心院なじみ)



そんなわけで書籍紹介です。
ニール・ドグラース・タイソンの「ブラックホールで死んでみる」・・・これマジ面白い。ぶっちゃけブラックホールに関する部分は全体の数十分の1なんですが、そんなこともはやどうでもいいくらいに面白い。

地動説が天動説に勝る根拠が“オッカムの剃刀”であることは、意外と知られていなかもしれない。
「地球(及び惑星)が太陽の周りを回っている」とした方が、「太陽(及び他の惑星)が地球の周りを回っている」とした方より、単純な理屈で説明できるというだけだ。天動説も、ややこしい動きをするだけで、実は矛盾しない。

同じ動きを説明するなら、単純に円運動で示される地動説の方が優れている。
だからこそ天動説は、駆逐されてはいない(昼と夜の生活的概念は天動説だ)が、地動説に劣るのだ。

しかし、である。
厳密には、地動説による説明も、天動説とどっこいどっこいのカオスな動きをしている。

というのは、基本的には太陽という重力源の周囲を、惑星が円運動するのだが・・・まず、円でなく楕円である。
それだけならケプラーの法則で説明できるレベルだが、その先から話は複雑になってくる。

「惑星同士も引き合っている」のだ。
それゆえに、太陽を中心とした楕円の動きから、僅かに逸れる。
逆に言えば、逸れるからには惑星か何かがあるということで、天王星から先は、その理屈で発見されている。
冥王星は軌道が極端な楕円で、しかも傾いている為に、パーシバル・ローウェルは予言しつつも生存中には発見できなかったが、予言そのものは海王星の軌道がズレることから発し、それは正しかったわけである。

さて、ここで問題だ。
物体(星)の重力は、質量に比例し、物体(星)からの距離の2乗に反比例する。
すると、太陽系の星々の動きは、実際どのようになるだろうか?

様々なところに重力源があり、それらは互いに干渉し合って動き回り、位置が変われば及ぼす重力の方向や強さも変化する。それによって動きは更なる変化を遂げ、細かい部分では非常にカオスな動きをもたらすのだ。

もちろん非常に細かい為に、数千年とかいうレベルでは、びくともしない。
我々が生きてる間には、よく知られる太陽系モデルは維持されるだろう。

しかし、数十億年後に太陽が地球を飲み込む頃には、地球は宇宙の遥か彼方へ飛び去ってるかもしれない。
逆に、太陽系が出来た頃には、今よりも遥かに多くの惑星があったと推算されている。

わからないのだ。
カオスと書いたが、そのまま“カオス理論”の名を冠するように、初期条件が僅かに違えば数億年後の結果はメチャクチャに違ってくる。
“自転速度泥棒”スイング・バイは、ビル・ゲイツから1セント硬貨を盗むより罪なき行為であるが、数億年後には目に見える結果として現れるかもしれない。
ビル・ゲイツはあと100年も生きないだろうが、惑星は何億年でも維持されるのだ。


・・・とまあ、こうした緻密かつ興味深い話が、延々と連なっている。
我々が子供の頃から知ってるような“天文常識”を、より正確に、緻密に、最新の知見も交えながら話してくれる。

また、彼は大した皮肉屋でもあり、実に嫌味ったらしい。
元気なときに読むことをオススメするが、この精密さと皮肉めいた物言いが、どうにも安心院なじみを想起させてならないのである。
この世界が「めだかボックス」だとしたら、タイソン博士は安心院さんの端末に違いない。
色んな意味で思春期というか、良い意味で子供じみた若々しさを感じられる書物だった。


もちろん、首をかしげる箇所も無いではない。
宗教その他、疑似科学を批判するのは別に構わないのだけれど、それなら国粋主義めいた物言いはよしてくれないかなぁ。それは誇りではなく未熟さです。
「すごい実験」の多田将にしても、わかりやすく面白いんだけど、中国に対する物言いとかどうなの・・・。
科学的な厳密性を誇りにするなら、星占いに傾倒すること以上に民族主義を恥じねばなるまい。

しかし、そうした点などを踏まえても、優れた書籍であることは間違いない。(同じく「すごい実験」も超オススメ)
あくまで、科学者だから恥じねばらなないというだけで、一般レベルからしたら2人とも謙虚だと思う。


余談だが、それなりに値は張る。2300円。
カクレンジャーのOPではないが、ブラックホールに消えるカネがある。




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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「きょうは天文学か」
コング「苦手だ。宇宙人には興味あるけど」
火剣「ところで昔からブラックホールという名前は聞いたことはあるが、実際には詳しく知らねえ」
コング「タイソンは知ってる。アリと並んで史上最強のボクサーだ。シュシュ!」
ゴリーレッド「そのタイソンではない」
火剣「天動説と地動説」
コング「今や地動説が主流だが」
火剣「それより1億年後だって、地球がどうなっているかなんてわからねえ」
コング「子どもみじた若々しさと成熟した大人の味。難しいところだな」
火剣「作り手の気持ちとして、本を出版するとなると、自己主張を過度にしたがる。これは人間の佐賀でもある」
コング「♪しおりんもM! でも公表してねえ!」
ゴリーレッド「本の場合、どうしても作者の思想が入る」
火剣「映画で傑作と思える作品があり、原作も読んでみようかと思ったが、作者が偏った軍国主義思想の持ち主と知り、読むのをやめた」
ゴリーレッド「真っ白な人間なんかいない。自分の信念や思想・哲学があるから、合わないときついかもしれない」
コング「その点エロスは万国共通」
火剣「エロスにも思想・哲学があるだろう」
ゴリーレッド「普遍性といっても難しい。刺激は大事だし、あとは自分の主張に共感させるのも作者の腕で、説得力のある文章が書けるかどうか」
火剣「読者の考えを一変させるほどの強烈なインパクト。心を揺さぶる衝撃か」
コング「わいが求めてたもんは、これやあああ! 言うヤツか?」
ゴリーレッド「何県人だ?」
火剣「天文学から話がズレたな」
ゴリーレッド「小説は研究の成果を物語に溶け込ませることもできるから、強い武器だ」

火剣獣三郎
2014/07/17 13:13
>火剣さん
ブラックホールの存在が提唱された頃は、対になるホワイトホールがあるとも言われていました。現在それは否定されていますが、それではブラックホールをどのように捉えればいいのかというと、なかなか難しいです。(私は重力を、立体格子が縮むイメージで捉えています)
原作と言えば、面白い数学の映画を観て、原作も読みたくなったのですが、男尊女卑が酷いと(信頼できる人から)聞いて、読むのをやめたことがありました。そういう作者だと心構えをしてなら読んでもいいのかもしれませんが、映画の感動が壊れるのも嫌ですし、もう読まなくてもいいかなぁと。

維澄「本を読むときには、謙虚さだけでなく疑り深さも必要だね。」
佐久間「作者を妄信する奴は、だいたい作者の嫌いな人間でもある。」
山田「肯定9割、批判1割くらいが、丁度いいバランスなのかな。」
維澄「それも場合によるだろうけど、褒める方を多くすることが大事なのは、学校でも社会でも変わらない。」
八武「女性を褒めよう、男性諸君。感謝の言葉も褒め言葉である。」
山田「俺は佐久間には感謝している。おかげで人間は見かけでなく心だってことを、毎日確認できるんだ。」
佐久間「どういう意味かな?」
山田「佐久間は見た目だけは抜群だと褒めてるんだ。」
佐久間「批判が5割ある気がするな・・。」
山田「褒め9割は、トータルの話だ。」
八武「天文学と言えば、昔の人の発想には驚くばかりだ。クジラに呑まれそうな美女の話を考えた人とは、友達になれそうな気がする。」
佐久間「ピンポイントでヒロピンを選んできたな。」
山田「星座も見えなくなったなぁ。田舎に行くと星の多さに驚く。」
佐久間「天文学者も、地球の光害には悩まされているそうだ。」
八武「公害じゃなくて?」
佐久間「そう、光害。天文学の世界では、月でさえ眩しいのだ。」
アッキー
2014/07/17 23:08

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