佐久間闇子と奇妙な世界

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<<   作成日時 : 2014/12/12 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



Sunny day sweepin' the clouds away

On my way to where the air is sweet


Can you tell me how to get

How to get to Sesame Street?



◆ ◆ ◆



男性と話すときに極度に緊張するのは私だけだろうか?
モニターの前の皆さんは、どうだろう。男性と話すのは、女性と話すよりハードルが高くないだろうか。
私は男性と話すときに、どうもキョドってしまう。

・・・この「キョドる」という言い方も、今でこそ定着してしまったものの、上品とは言いがたい。スラングの類だ。
“挙動不審”を略した言葉だから、職務質問を受けても仕方のない程の不審な振る舞い、という意味だ。
他に短く適切な言葉は無いだろうか。動揺、緊張、狼狽・・・うん、狼狽が適切だろう。

私は男性と話すときに狼狽してしまう。特に、同年代の男子が恐い。身構えてしまう。
なので今、同級生の男子と道でバッタリ会って、私は非常に狼狽しているのだ。
私服で出歩いているところを、同級生と出くわすというのは、物凄く動揺してしまう。死にたい。

「あれ、もしかして竜堂じゃん?」

馬鹿な・・・。私はメガネをかけているというのに、この人は一発で見破ったというのか。
どれだけ観察眼が鋭いのか。あるいは、私に興味があるのか。
クラスメートであるとは認識しているが、名前は覚えていない。私は人の名前を覚えるのが苦手なのだ。

「ヒ・・・ヒトチガイジャナイデスカー?」

声が出ただけでも大したものだと思う。
咽に変なものが詰まって、全身が硬直するような嫌な気分だ。
こんなとき、何を話していいかわからない。わからない。わからない。恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い恐い。

「なぁーに言ってんだよ。え、メガネとかかけちゃって。へへ。」

あぁ、やばい。多分この人は悪意とか無いんだろうけど、態度とか物言いが癪に障って仕方ない。
こういうタイプは苦手だ。この場にいたくない。

「俺は竜堂神邪なんて人じゃありません!」

私は逃げ出した。

まったく愚かなことだ。自分で名乗っておいて、逃げてどうする。
そして明後日には学校で顔を会わせるというのに。
いろいろと言われるんだろうと思うと、憂鬱になってきた。

ああ、冷静になったら思い出した。
以前に私のことを「何考えてるかわからなくて気持ち悪い」と言ってた人だ。悪意あるじゃん・・・。
どうして人に悪意が無いなんて、何の根拠も無く思いこむのだ私は。

そんなことを考えていると、人にぶつかった。

「あうっ!?」

スッ転んで、しこたまアスファルトに手を打った。
痛い痛い・・・。やば、泣きそう。

「あ、悪い!」

どこか愛嬌のある男子は、私より早く起き上がり、デッキを拾って走り去っていった。

うん?
デッキ?

起き上がると、体の下にデッキがあった。
まさかとは思うが、中身を確認してみると、やはり私のデッキではない。
ぶつかったときに入れ替わったんだ。

「・・・!」

私は彼が走っていった方角を見たが、既に豆粒。足速えよ!
と、とにかく追いかけないと!

私は走り始めた。

そして1分後には後悔していた。
速いよ、あの人! ・・・いや、私が遅いのか。
もう彼の姿はどこにも無い。どうする。

何となくデッキを確認してみると、おかしなことに気付いた。
【E・HERO】なのに、《融合》のカードが1枚も入っていない? エクストラデッキに融合HERO15枚あるのに?

あの人は、まさか!

そして今日の日付けを思い出し、私は青ざめた。

やばいやばいやばいやばい!
私の持っていたデッキは、正真正銘のネタデッキだ。
あんなデッキで大会に出たら、彼は二度とデュエリストとして認めてもらえない。そんなレベルだ。

私は家に引き返し、自転車に乗って会場を目指した。
出来ることなら彼の出番が遅めであってくれと祈りながら、必死で足を動かした。
右足くん、左足くん、代わり番こ・・・。

脚が痛い。咽に血の味がする。泣きそうだ。
しかし挫けるわけにはいかない。ここで私が諦めたら、彼に申し訳が立たない。
肉体の限界などという、それらしい文言に屈するな! 脚を動かせ私!

私は息を切らしながら、何とか会場に辿り着いた。
後ろで自転車が倒れたが、そんなことに構っている暇は無い。
私は半泣きで会場へ走り込んだ。

しかし既に遅かった。

彼の試合は終わっていた。

私は脱力して座り込んだが、しかし不可解な現象に脳内がグルグルしていた。
彼は勝利していたのだ。どうやって?
あのネタデッキで勝てるはずがない。

私は彼を見つけて事情を話した。
すると彼は、驚いた顔をして懐を探った。

「もしかして、これか? ああ、確かに俺のデッキじゃないな。あのときに入れ替わってたのか・・・。」

入れ替わったデッキを交換しながら、私は疑問が氷解した。

「・・・もしかして、セカンドデッキでしたか?」

セカンドデッキ。
それは本来のデッキとは別に作る、予備のデッキだ。(サイドデッキとは違う)

「ああ、そうだ。もしかして、俺に迷惑かけると思って急いで来たのか? 心配させて済まなかったな。」

考えてみれば当然だった。
カードプールの豊富な翔武学園生徒会が、もしもの事態に備えてセカンドデッキを作ってないはずがない。
思えば、あのデッキには、ジ・アースが入ってなかった。その時点で気付けよ私・・・。

「えー、あ、それでは、さようなら!」

またしても私は逃げ出した。
ただでさえ同年代の男子と会話するのは苦手なのに、恥ずかしさに耐えられなかった。
私が諦めるとか諦めないとか、どうでもよかった。さっきまで何を頑張っていたのだ私は・・・。

黒歴史が増えた・・・。



とぼとぼと家に帰る道のりは、やけに自転車が重く感じた。
実際には自転車の重量が体感に影響するほど変化しているわけではないのに、心の影響は計り知れない。

手洗いうがいを済ませて、ふと机を見ると、3つのDVDが置いてあった。
ここに来るのは母さんくらいしかいない。
メッセージには「黒歴史が増えて帰ってきた神邪へ」と書かれていた。どうして知ってるんだ。見てたのか。

3つのDVDから1つを選んで視聴し、癒されるがいい、と書いてある。
それぞれのタイトルは、「セサミストリート」「ボッキンパラダイス」「ジェリー先生のドキドキ詰めデュエル」だ。

何故だろう。どれを選んでも面白そうなのに、どれを選んでも破滅が待っている気がする。
心を癒されるか、体を癒されるか、頭を癒されるか。そういう3択なわけだが・・・癒されるのはモニターの前の人々になるというオチが見える。

しかし私が母さんの3択を無視できるわけがない。
とりあえず最もダメージが少なそうな、「セサミストリート」を選択することにした。

起動すると、画面にビッグバードが登場した。
よかった、私はビッグバードが大好きなのだ。

《やあ、こんにちはシンヤ君。僕はビッグバード。》

・・・うん?
今、私の名前を呼んだ・・・?

《早速だけど、僕とデュエルしよう。僕はカナリヤだから、デュエルも出来るんだ。》

突然DVDから闇の瘴気が噴き出してきた。
そしてスパークした画面からビッグバードが立体化して這い出てくる。闇の技術は凄いなあ。

私もデュエルディスクを構えずにはいられない。

「「デュエル!」」

竜堂神邪:LP8000
ビッグバード:LP8000




- - - - - -



竜堂神邪:LP100、手札2
場:
場:伏せ×1

ビッグバード:LP0、手札0
場:蛇神ゲー(攻∞)
場:オレイカルコスの結界(フィールド魔法)、オレイカルコス・デウテロス(永続魔法)、オレイカルコス・トリトス(永続魔法)




「これが僕の可愛いペット、その名も《蛇神ゲー》さ。」

いったい何が起こっている・・・?
確かにビッグバードには恐竜のペットがいたと思うが、こんなに禍々しくなかった。

「ゲーのダイレクトアタック! インフィニティ・エンド!!」

高密度のエネルギーが集約する。やばいやばいやばいやばい。
これは闇のゲームで、ソリッドビジョンは実体化している。
そんなものを放たれたら、勝敗に関係なく私は死ぬんじゃないのか!?

考えている間に爆音が轟き、私は空中へ吹き飛ばされた。

ああ、空から眺める景色は感動的だなあ・・・。

地面に落ちたときの痛みで思考が停




・・・・・・。

・・・・・・・・・。

首が引きつるように痛い。
咄嗟に停刻を発動したものの、私自身の動きは止めることが出来ず地面に激突。
慌てて逆刻を発動していたようで、何とか命は無事だ。良かった。

しかし私の家を見ると、粉々に吹き飛んでいた。・・・・・・。
デュエルには勝ったものの、私は住む家を失った。何という代償だ。

母さんに文句を言うべく、私は疲れた体を奮い立たせた。
疲労も消せるくらいに逆刻が上達したい。



屋敷に着くと、レーザービームに撃たれた。
もう痛いとかいうレベルではない。というか意外と痛くなかったので、急いで逆刻で元通りにした。

「どうしたシンヤ。湯浴み中だったのに、早めに切り上げることになってしまった。」

母さんはバスタオル姿で私を出迎えた。
しかし私は怯まない。

「よくも俺の家を爆破したね?」

すると母さんは意外そうな顔で腕を組んだ。
胸の谷間が強調される。

「するとシンヤお前、よりにもよって『セサミストリート』を選んだのか? どうしてデュエルと最も関係なさそうなものを選ぶかなァ。その勇気には敬意を表するぞ。」

え、そういう基準だったの?

「まあ、走ってきたので咽も渇いただろう。この3つの中から1つを選ぶがいい。」

メイドらしき人が、3つの黒い液体を運んできた。
既に私は、ここに来たことを後悔していた。

「それぞれ、コーヒー、めんつゆ、墨汁だ。選んだものは全て飲み干さなくてはならない。」

「・・・・・・。」

この人は何を考えて生きてるんだろう。

とにかく墨汁だけは選んではいけない。
しかし、めんつゆもハードルが高い。少し飲むだけならともかく、コップ1杯は至難の業だ。

「砂糖とガムシロップと生クリームも用意してやった。母の愛に感動しろ。」
「これが・・・愛なんだね・・・。」

私のことだから、迷った挙句に墨汁を選んでしまいそうな気がする。
見た目には見分けがつかないように、色合いが調整されているようだ。どこまで暇なんだ。
しかもラップで蓋してあるので、匂いで判別することも出来ない。・・・・・・。

「俺はこれを選ぼう。」

迷っても仕方ない。私はコップの1つを手に取り、ラップを取って、一気に咽へ流し込んだ。


「ぶごえっ・・・! げふっ、がふっ、おえっ・・・・!!」


墨汁だった。


「匂いを確認せずに選択するとは、潔いな。」
「確認してよかったの!?」
「・・・? してはいけないというルールを提示した覚えは無いが。」

何ということだ。ありもしないルールに踊らされていたというのか。
自分の馬鹿さ加減にヘドが出そうだ。というか墨汁が残っててマジに吐きそう・・・おえ・・・・。

「さて、本題に戻ろう。『ボッキンパラダイス』と『ジェリー先生のドキドキ詰めデュエル』が観たい、という件だったな。」
「それも観たいけど、本題は家が壊れたことですよ。俺の逆刻では元に戻せません。」
「何だ、そんなことを気にしていたのか。役所へ行け。」
「・・・っ!?」

私は盛大にズッこけた。

「役所で急場を凌ぎ、地下デュエルで金を稼いで一軒家でも買えばいい。」
「母さんが責任を取ってくれるんじゃないんですか?」

すると母さんは優しく笑って言った。

「いいかいシンヤ、世の中は厳しいものだよ。」


そして私は竜堂の屋敷を後にした。
手には『ボッキンパラダイス』と『ジェリー先生のドキドキ詰めデュエル』のDVDが握られている。

これからやるべきことは、『ボッキンパラダイス』を売った金でネットカフェに泊まり、地下デュエルで金を稼ぐことだ。
せっかくの母さんのアイデアだが、私は役所には頼りたくないのである。

とりあえず、明後日に学校に行かなくて良くなったことは救いだな・・・。
ネットカフェのパソコンで、『ジェリー先生のドキドキ詰めデュエル』を観るとしよう。





   デュエルストリート   完

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決闘学園・壊   目録
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2015/08/31 00:11

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「神邪の半生というか、学生時代が辛かったのは母の愛も原因の一つか?」
コング「息子に墨汁を? むごいい・・・」
火剣「異性と話すと緊張するというのは男女ともよくある話だが」
コング「特に惚れた弱味で上がってしまうということはあるらしい」
火剣「狼狽か。あとは目が泳ぐ」
ゴリーレッド「従来の日本語を使っていれば問題はない」
コング「フェラず口とかな」
ゴリーレッド「どこが従来だ」
火剣「途中はほとんど走れメロスのような感動の展開と思ったら、全然違った。この早合点の精神的ダメージは経験したことがあるからわかる」
コング「それよりバスタオル一枚とはイキな。火の鳥を思い出す」
ゴリーレッド「よし黙れ」
コング「僕の前でそんなカッコしたら犯す」
火剣「コングには勝てねえ」
コング「M心を引き出せばわざと無抵抗になるかも。にひひのひ」
火剣「神邪は命懸けの青春だったんだな。今は界隈でエンジョイしてほしいが」
コング「未来のために女心を学ぶのだ!」
ゴリーレッド「コーチがコーチだけに偏るのが心配」
火剣「理不尽と矛盾の茨道を歩いて来た者にとってはたいがいの出来事は楽園か」

火剣獣三郎
2014/12/12 20:50
>火剣さん
一生懸命に頑張ったことが空回り。このときの恥ずかしさ、虚しさのような感覚は、忘れがたいですね。
色々と肉体的ダメージを受けている神邪ですが、むしろ深刻なのは精神的な方面。界隈で癒されてほしいものです。

佐久間「頑張った神邪に、母からのプレゼント。」
山田「ツッコミどころしかないんだが。」
維澄「竜堂眸って、こういう一面もあったんだ・・・。」
神邪「母さんは楽しい人ですよ。青汁と絵の具水と池の水の3択もありました。」
山田「あんまりだ・・・。むごすぎる。」
神邪「いえ、むしろ母さんの試練は良い刺激でしたね。酷いのは普段の方です。」
八武「うむ。バスタオル1枚とは刺激される。これぞ母の愛。」
山田「おい。」
神邪「母さんと遊んでいるときは、つらいことも忘れられました。美しい女性の際どい姿は、癒されます。」
維澄「試練じゃなかったっけ?」
佐久間「いずれにしても、手元で甘やかさないのが、竜堂眸のやり方だ。」
山田「もう少し甘やかしてもいいと思うんだが。」
維澄「まあ、なまじ竜堂眸は力を持っているから、庇護してしまうことを危ぶむのはわかる気はする。要するに、我が子を“金持ちのボンボン”にはしたくないわけだ。」
神邪「そうだと思います。それに、普段から母さんを間近で見るのは、贅沢が過ぎますからね。」
八武「飢餓の少年時代を送ってきた者には、これから精神的な贅沢を味わってほしいものだ。」
山田「言葉だけ聞くと立派なんだが、俺も偏りが心配だな。」
佐久間「大丈夫。私が太鼓判を押す。」
山田「これほど不安なことはない。」
アッキー
2014/12/12 23:36
>コナミさん

腹抱えて笑った……!
どんだけネタの密度が濃いのかと。

やらしいデュエルもそうだと思いますが、
シリアスなデュエルもコメディなデュエルも、通じるものがあるどころか、考えることは全く同じだと思ってる豆戦士です。
コメディの方が、笑いを取らなければならないため制約が多いですが、そのぶん筋が通ってない筋を勢いで通せるので自由度は高くもあり。


>デュエルストリート

佐野せんぱい登場ありがとうございます。
だが残念ながら、彼程度のデュエリストでは神邪デッキを使いこなすには能力不足なのだ……

それにしてもジェリーって文字列はかなりえろいな!
ゲル状のなにか。
豆戦士
2014/12/13 22:35
>豆戦士さん

公式が最大手ってやつですね! あるいはKunaiさんの仕業。
コナミさんというキャラは、色々と妄想し甲斐がありました。

コメディとシリアス。もはやストーリー的にも、自分の中で両者の境界線が引けてない気がして幾星霜。
以前に豆戦士さんがあっぷるぱいさんへ寄せたコメントが、私にとっても励みになっていたりします。根っこのところでシリアスなベースがあるからこそ、コメディは面白くなるんですね。

ちなみに、このときの神邪のデッキは、《ラーバモス》がエースモンスターです。(※しかも《プチモス》は入っていません)
デッキ取り違えネタは以前からやってみたかったものですが、何故こんな話になったものか・・・?

ジェリー、ジェリー・・・ジェル?
アッキー
2014/12/13 23:35

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