佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘航海   Punishment 〜電気処刑〜

<<   作成日時 : 2015/03/03 00:05   >>

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◆ ◆ ◆



大河柾は、ふと胸騒ぎを覚えて走っていた。
それはデュエリストとしての直感か、あるいは男の勘か。

いつものジャケットを部屋に放り出して、彼はカジノへ急いだ。

(まさか、あいつ―――)

あの可憐な少女のことを思い出したのだ。
両親が騙され、多額の借金を背負って戦っている、少女のことを。



柾がカジノへ辿り着いたときは、全てが終わっていた。



神秘の中華なべ (速攻魔法)
自分フィールド上のモンスター1体を生け贄に捧げる。
生け贄に捧げたモンスターの攻撃力か守備力を選択し、その数値だけ自分のライフポイントを回復する。




「あは、あははは!」

それは、絶望に狂った笑いではなかった。

自分で入れたカードを自分で忘れているという、初心者らしい大間抜け。
ワン・デュエルでは、手札から発動するモンスターカードが極めて重要だが、そもそも自分のターンに手札から即座に発動できるカード、すなわち速攻魔法というものが、デュエルモンスターズには存在するのだ。



凜堂涼香:LP3500、手札1(クリボー)
場:
場:伏せ×1(ミラーフォース)

剣呑な胡蝶:LP2000、手札1
場:バトルフェーダー(守0)
場:




「そんじゃ、僕のターン、ドロー。」

“剣呑な胡蝶”は驚きもせずに、引いたカードを出した。

「チューナーモンスター召喚。効果で墓地から《クリボー》を復活させるねー。」


ジャンク・シンクロン レベル3 闇属性・戦士族・チューナー
攻撃力1300 守備力500
このカードが召喚に成功した時、自分の墓地のレベル2以下のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを守備表示で特殊召喚する。
この効果で特殊召喚したモンスターの効果は無効化される。



「そして僕のデュエリスト能力を発動、レベル3のブロッケントークンを特殊召喚・・・さあさ、お立会い、レベル1のフェーダー、レベル1のクリちゃん、レベル3のブロッケンに、《ジャンク・シンクロン》をチューニング〜♪」


閃光がフィールドに迸り、見たこともないドラゴンが出現した。


閃b竜スターダスト レベル8 光属性・ドラゴン族・シンクロ
攻撃力2500 守備力2000 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
??????????????????????????????????



「スターダストで攻撃ぃーだ。」

「罠カード《聖なるバリア−ミラーフォース−》を発動!」

最初のターンに伏せておいた罠カード。
ついに発動するときが来た。



だが。




「―――っ!?」

そこにはドラゴンが厳然と存在していた。



閃b竜スターダスト レベル8 光属性・ドラゴン族・シンクロ
攻撃力2500 守備力2000 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
1ターンに1度、自分フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して発動できる。
選択したカードは、このターンに1度だけ戦闘及びカードの効果では破壊されない。
この効果は相手ターンでも発動できる。




「ソニック・バリア〜。聖なるバリアも、音速を超える光の障壁には通じないよーだ。ダイレクトアタック〜!」

「く、《クリボー》を捨ててダメージを0に!」



凜堂涼香:LP3500、手札0
場:
場:

剣呑な胡蝶:LP2000、手札1
場:閃b竜スターダスト(攻2500)
場:




戦闘でも効果でも破壊されない、不死身のモンスター。
1ターンに1度しか身を守れないが、このワン・デュエルにおいては凶悪そのものだ。

それでも、涼香の闘志は折れない。

「わたしのターン、ドロー!」

来た。

前のターン、《クリボー》を使わなくてもライフが0になることは無かったが、使っておいて良かった。


「墓地の《クリボー》と《ハネワタ》をゲームから除外して、開闢の使者を特殊召喚するわ!」



カオス・ソルジャー−開闢の使者− レベル8 光属性・戦士族
攻撃力3000 守備力2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外した場合に特殊召喚できる。
1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●フィールド上のモンスター1体を選択してゲームから除外する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
●このカードの攻撃によって相手モンスターを破壊した場合、もう1度だけ続けて攻撃できる。




「開闢の使者の効果! スターダストをゲームから除外するわ!」

「うわ〜、やられた。」

そう、戦闘でも効果でも破壊されない不死身のモンスターにも、突くべき弱点は存在する。
破壊を介さない、除外。開闢の使者は、それが出来る。



凜堂涼香:LP3500、手札0
場:カオス・ソルジャー−開闢の使者−(攻3000)
場:

剣呑な胡蝶:LP2000、手札1
場:
場:




1ターンごとに戦況が目まぐるしく変化する。
このスペクタクルに、観客たちは酔いしれた。

「僕のターン、ドロー。」

だが、数分後には、どちらかは電気処刑されてしまうのだ。
それすらも観客の興奮材料であった。

「装備魔法《強奪》だよん。」


強奪 (装備魔法)
このカードを装備した相手モンスター1体のコントロールを得る。
相手のスタンバイフェイズ毎に相手は1000ライフポイント回復する。



「ああっ!?」

開闢が奪われた。

「ダイレクトアタックでGOGO!」

「あうっ・・・!」

凜堂涼香:LP3500→500


悲壮感の漂う涼香と対照的に、“剣呑な胡蝶”は、あくまでも呑気な態度を崩さない。
それは一種の美意識であるようにも思えた。


「わたしのターン、ドロー!」


凜堂涼香:LP500→1500

《強奪》の効果でライフが回復するが、開闢の前には微々たるものである。
このターンで取り戻すか何かしなければならない。



凜堂涼香:LP1500、手札1
場:
場:

剣呑な胡蝶:LP2000、手札1
場:カオス・ソルジャー−開闢の使者−(攻3000)
場:強奪(装備魔法)




「・・・!」

瞑っていた目を開くと、そこには《ハーピィの羽根帚》があった。


ハーピィの羽根帚 (魔法カード)
相手フィールドの魔法・罠カードを全て破壊する。



(やった!)

大きな瞳を輝かせて、涼香は起死回生の魔法カードを発動する。
開闢の使者が戻ってくる・・・。


「これで終わりよ、ダイレクトアタック!」


「それが、まだ終わらないんだな〜。《クリボー》を捨てて、ダメージを0にするよん。」



凜堂涼香:LP1500、手札0
場:カオス・ソルジャー−開闢の使者−(攻3000)
場:

剣呑な胡蝶:LP2000、手札0
場:
場:




互いに手札は使い尽くした。
フィールドに佇むのは、開闢の使者のみ。

この危うい状況で、ターンは“剣呑な胡蝶”。
彼が何を引くかに注目が集まる。

「僕のターン、ドロー。あははー、2枚目の《強奪》を引いちゃったよー。」

「・・・っ!?」

涼香の顔が絶望に染まった。
この状況で《強奪》を発動されては、どうしようもない。

デュエリスト能力を、涼香は持ち合わせていないのだ。


「その表情が見たかった〜。満足、満足。」


そして“剣呑な胡蝶”は、手札をフィールドに出した。



凜堂涼香:LP1500、手札0
場:カオス・ソルジャー−開闢の使者−(攻3000)
場:

剣呑な胡蝶:LP2000、手札0
場:ゴブリン暗殺部隊(攻1300)
場:




ゴブリン暗殺部隊 レベル4 闇属性・獣戦士族
攻撃力1300 守備力0
このカードは相手プレイヤーを直接攻撃する事ができる。
このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了時に守備表示になる。
次の自分のターン終了時までこのカードは表示形式を変更できない。




「・・・・・・え?」


「ごめ〜んね。絶望の顔が見たかったから、嘘ついちゃった。てへぺろん。」

呆気に取られる涼香に対し、“剣呑な胡蝶”は少年らしい無邪気な笑みを見せる。

この瞬間、涼香の勝利は確定した。
《ゴブリン暗殺部隊》は直接攻撃した後、守備表示になるが、開闢の使者には連続攻撃できる能力がある。




カオス・ソルジャー−開闢の使者− レベル8 光属性・戦士族
攻撃力3000 守備力2500
このカードは通常召喚できない。
自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつゲームから除外した場合に特殊召喚できる。
1ターンに1度、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●フィールド上のモンスター1体を選択してゲームから除外する。この効果を発動するターン、このカードは攻撃できない。
このカードの攻撃によって相手モンスターを破壊した場合、もう1度だけ続けて攻撃できる。





剣呑な胡蝶:LP2000→0





デュエルは、終了した。





柾が来たのは、“剣呑な胡蝶”のライフカウンターが0を指し示した丁度そのときだった。

「・・・あれ、勝ってんじゃん。」

「やあマサキ。どこ行ってたの。」

中性的な顔立ちの親友、竜堂神邪が既に来ていた。
フードのついた灰色の服を着て、ポケットに手を入れてデュエルを眺めていた。

「いや、カード売買したからデッキ調整をな。」


そこへ涼香が髪の毛を揺らしながら歩いてきて、デュエルディスクを掲げた。

「あのっ、マサキさん! これ、カード・キー、受け取ってください!」

「えっ・・・」

その為にデュエルをしていたのだ。
涼香の表情は真剣だった。

何て馬鹿げたことを―――そう思わなかったわけではないが、柾は涼香の心を汲んだ。

「・・・ありがとよ。また借りが出来ちまったな。」

「え? わたしこそ、大きな借りを・・・」

そのとき、観客たちの注目が十字架に向いたので、涼香もつられて十字架を見た。
“剣呑な胡蝶”双夢現が、スタッフの手によって十字架にかけられていた。

「やあ、凜堂さん〜。楽しかったよーん。バイバイ。」

「だ、ダメッ!」

涼香は思わず叫んだ。

「えー、でも、これがルールだからぁ。僕は世界に未練とか無いし? 最後にパーッと散りたいんだ。」

「そんなのダメ! ダメったらダメ!」

「何でダメなの?」

「え、う・・・わ、わたしが勝ったんだから、わたしの言うこと聞きなさい!」

「・・・・・・。」

勝者の権限。そう言われてしまうと、双夢としても反論できない。

「・・・変わった人だねー。人が処刑されるのなんてー、フツー喜んで見物するでしょー。ショータイム。」

「そんなの普通じゃないわ!」

「うん、そうかもね。でも、この船じゃ、そうじゃない。僕の処刑を見物したいっていう観客たちを、納得させなきゃ。」


「それなら俺たちの出番だな。」

柾と神邪がデュエルディスクを展開した。

「電気処刑を見てえなら、俺に勝ってからにしろ。片っ端から相手してやるぜ。それとも、まとめてかかってくるか?」

観客たちは、引き下がった。
そもそも“剣呑な胡蝶”にデュエルで勝利しているわけではないギャラリーは、強く出れない。
仮に強く出たとしても、結果は変わらないだろう。


「いや〜、ホント変わり者だね、君たちは。」

十字架から下ろされた双夢は、肩を竦めながら言った。
どこか残念そうで、同時に嬉しそうでもあった。

「その甘さが、この先どこまで通用するかな? カード・キー・ゲーム・・・残りの5つは、甘くないよ。」



◆ ◆ ◆



●Gカード
難易度:★
ディーラー:明るい顔の猫(オーダー・メニー)

●ワン・デュエル
難易度:★★
ディーラー:剣呑な胡蝶(双夢現)

◎EXデュエル
難易度:★★★
ディーラー:死を運ぶ鳥(???)

◎Qカード
難易度:★★★
ディーラー:死を運ぶ鳥(???)

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「電気処刑。そそるタイトルだ」
火剣「マサキがいる」
コング「これは男の勘だろう。ヒロイン危機一髪に萌えるマサキ」
ゴリーレッド「アホか。本気で胸騒ぎを起こしているんだ」
火剣「サディストな観客。カイジか」
コング「涼香の顔が絶望に染まる。その表情が見たかったんだ。満足、満足」
ゴリーレッド「涼香が勝ちそうだ」
コング「バカモノ! 諦めるな少年!」
火剣「涼香が勝った」
コング「のおおおおおおおおおお!」
ゴリーレッド「神邪もいる」
火剣「さすが涼香。素晴らしい。しかし、もしも涼香が負けたら、許したか?」
コング「僕だったら許すな。処刑しちゃかわいそう過ぎる」
火剣「でも全裸磔で両目を真っ赤に腫らして震えるところまでは処刑するふりをするだろう」
コング「あたぼーよ」
ゴリーレッド「コングの話を総合すると、アトミックドロップ!」
コング「なぜえええ!」
火剣「マサキと神邪がいて良かった」
火剣獣三郎
2015/03/03 17:29
>火剣さん
思えば「カイジ」の影響を受けていますね。ワン・デュエルも、ネーミングはワン・ポーカーから取った記憶があるような?
マサキが来たときにはデュエル終了。涼香がひとりで戦って勝ち取った成果です。

八武「まだ満足できねえぜ!」
山田「鬼柳かっ。」
佐久間「カイジが挑んだギャンブルよろしく、罰ゲームは粛々と執行される。涼香が負けていたら、処刑されていた。」
維澄「神邪は涼香の処刑が見たかったのか、それとも能力を使って密かに涼香の手助けをしていたのか。」
山田「後者と思いたいです。」
八武「いやいや、アルドがギロチンにかけられたときも興奮していた神邪くんだ、前者だろう。」
山田「つまり、アルドのときと同じで、逆刻で助けるつもりだったということだな。」
佐久間「あんまり何も考えてなかった気がするが、本人に聞いてみないとわからないな。」
維澄「ある意味それは、涼香の心意気を汲んだとも言えるね。守ってやるのではなく、見守ってやるという。」
アッキー
2015/03/03 23:00
勝ったあああ!!!涼香さん大勝利!めちゃくちゃ輝いてるー!

白龍「途中まででもう駄目かと思いましたよ…。いやあ、ハラハラした。」
ツヲ「デュエルはそういうものさ。だから面白い!」
白龍「一枚にかける醍醐味。高速化されだデュエルともまた違う、昔の戦いの良さを感じました。」
ツヲ「デッキをガンガン回すのも楽しいけど、瀕死のラストターンで引いたカードで勝つかっこよさもいいよね。」
白龍「誰かを助けられる者が誰かに助けられる。涼香さんはマサキさんに恩返しが出来ましたね。」
ツヲ「残り五つのカードキー。さて、どんな戦いになるのかなー。」
千花白龍
2015/04/05 17:48
>千花白龍さん
かつて私の小説で、普通の女の子がここまで輝いたときがあっただろうか・・・?(結構あったかも)
何を以って普通と言うかはさておき、レトロゲームの良さが出ていれば冥利冥利。
次のゲームは、4月末か5月あたりに掲載予定です。

山田「2枚目の《強奪》とか言われたときは、本当に駄目かと思ったな。」
八武「美少女の絶望の顔が輝いているよ!」
山田「殴るぞ。」
佐久間「何枚でもカードを使えると、例のツヲ乱舞が発動することが判明している。緊張感を出す為のワンカードだ。」
山田「ヴァンガード?」
佐久間「おい。」
アッキー
2015/04/05 21:32

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