佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘少女ホーリーナイト   (パートA)

<<   作成日時 : 2015/03/28 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



時刻:PM 9:28
場所:???


涼しい夜風が身を切る中で、銀の髪をなびかせた少女と、覆面を被った男が、闇のデュエルをしていた。


???:LP3750、手札4
場:???(攻4000)
場:???(フィールド魔法)、???(永続魔法)

Mr.デストロイ:LP4000、手札5
場:
場:



「―――で、直接攻撃。」

「で、ですとろおい!?」


驚愕する男に向かい、少女は凜と澄んだ瞳で、攻撃を宣言する。
その眼差しが悪を射抜き、その直線に従って、聖なる竜が飛ぶ。


Mr.デストロイ:LP4000→0


デュエルは終結し、覆面の男は闇の中へ消えていった。
少女は胸に手を当てて、痛ましい表情で立ち尽くしていた。



◆ ◆ ◆



時刻:AM 8:30
場所:都蘭布(トランプ)高校、1−C


「西虎(さいこ)高校から転校して来ました、黒須えみる、ですっ!」

苗字と対照的な銀色の髪をなびかせて、えみるは出来るだけ大きな声で自己紹介した。
クラスメートの反応は上々。男子は喜び、女子も嫉妬より称賛が勝った。

和風と洋風の折衷みたいな顔立ちは、ファンタジーに出てくるエルフを思わせる。
モンスターワールド風に言えば、ハーフエルフといったところだろうか。

(よ、よしっ、上手く溶け込めたかな。)

理由あって長居する気は無いのだが、短い間でも、良い関係を築きたい。
えみるは心の中でガッツポーズを取った。

「ねえねえ黒須さん、好きな食べ物は?」
「それより男のタイプを教えてください!」
「スリーサイズは!」
「ちょっと男子やめなさいよ!」
「た、誕生日と血液型!」
「西虎高校ってどんなところだった?」
「彼氏いるの?」
「おい女子こそ何だよ!」
「えみるちゃんって呼んでいいですか!?」
「どんなパンツ穿いてんの?」
「やだ男子サイテー! 死ね!」
「それよりデュエルに興味ありますか?」

矢継ぎ早に繰り出される質問に、えみるの頭はスパークした。
彼女の心配は常に杞憂で終わるのだが、逆に人から好かれすぎて大変なのだ。
しかし決して悪い気はしない。セクハラは困るが。

答えられる質問だけ答えて、えみるは場をやり過ごした。
くすぐったいような、嬉しいような、平和な日常だった。



◆ ◆ ◆



時刻:PM 4:37
場所:都蘭布高校、正門前


「すまねえ、えみる! ちぃとばかし遅れた!」

バイクに乗って、ざんばら髪の青年が現れた。
勇壮な目つきと顔立ちは、道行く人を振り向かせる。

「ううん、わたしも今来たところよ。」

そして彼女は、当たり前のようにバイクに乗る。
目を丸くするクラスメートたちを尻目に、えみるはヘルメットを被った。

今の会話が恋人みたいだと気付いたときには、既にバイクは発進していた。

(あっちゃ〜、明日は質問攻めかしらん。)

恋人ではなく、仕事でのパートナーなのだが、傍から見れば妙齢の男女。
そういう目で見て欲しくはないのだが、そう思っても周囲は聞かないものである。

「緋色くん、もっと飛ばして!」
「おう、悪い!」

緋色は知らず知らずのうちに、えみるを気遣ってスピードを落としていたのだ。
仕事が待っているのに、それではいけない。

彼のフルネームは北条緋色(ほうじょう・ひいろ)。
知り合ってから、短くない時間を過ごしてきた。

共通することは―――





「ホーリーナイト・クロスファイアオーバーフロー!」

「破邪、機甲変身(ヴォルテージ・トランスフォーム)!」





高級ホテルのスイートルームで麻薬取引をしていた男たちは、突然の事態に頭がついていけなかった。
バイクで現れた男女が、掛け声と共に変身。

西洋風の清楚な衣装に身を包んだ、魔法少女。
ロボットのような黒い装甲に身を包んだ、戦士。

2人はデュエルディスクを展開し、名乗りをあげた。


「聖なる光が悪党はびこる闇を罰する・・・魔法少女ホーリーナイト見参!!」

「平和を蝕むクソッタレども・・・魔法戦士ヴォルテージが祓ってやるぜ!!」


「ふざけやがって!」
「何が魔法少女だ! 魔法戦士だ!」
「この人数を相手に勝てると思っているのか!」

ざっと10人ほどいる男たちは、手早く拳銃を捨てて、デュエルディスクを構えた。

デュエルを挑んでくる相手に、拳銃で戦うのは愚の骨頂である。
そういう意味で、男たちは賢い選択をした。

だが、そもそも。





「「どけ」」





即座に逃走を選ばなかった時点で、男たちは愚かだと言えた。

聖なる炎と退魔の炎が絡み合い、麻薬ごと男たちを焼き尽くした。


これにて、本日の仕事は終了。



◆ ◆ ◆



時刻:PM 7:55
場所:デュエル犯罪撲滅組織“アンジュレーション”本部


「ホーリーナイト黒須えみる、ただいま戻りました!」
「ヴォルテージ北条緋色、ただいま帰還しました!」

「お帰りなさい、えみる、緋色。」

笑顔の少女が出迎えた。茶色のロングヘアに、穏やかな黄緑色のセーター。
左半身が機械で覆われているということ以外は、ごく普通の少女に見える。

そこへライダースーツに身を包んだ、セクシーな少女が現れた。
片手にヘルメットを持ち、胸元が少し開いている。

「首領! 七海風向(ななみ・ひゅうが)も只今!」

セミロングの黒髪をなびかせて、ハスキーボイスの少女・風向は真剣な顔で敬礼した。

「の、法架(のりか)でいいよ。私、別に偉くないから。」

やや押され気味の様相で、首領と呼ばれた少女は苦笑いする。
しかし風向は首を振って、首領の手を取る。

「いいえ、首領。この命、あなたに救われました。七海風向は、あなた様を尊敬しております!」

その点については、えみるも緋色も同感だ。
なので風向を止めようとはしない。

(こういうのは、周りから言われてじゃなくて、自然に親しくなっていくものだからね。)

えみるは、かつて自分もぎこちない態度だったことを思い出して、はにかんだ。
遠慮と積極という違いはあれど、慣れてない相手に対して極端な態度を取ってしまうのは同じだ。
組織でのキャリアは風向の方が長いのだが、自分は人懐っこい方なのだと思った。

「あ、まあ、とにかく。みんな、お疲れ様!」

首領は優しい笑顔で3人を労った。
みんなを支えているような、守ってやりたくなるような、不思議な笑顔だ。
この笑顔に癒される。だからこそ仕事をやっていける。

デュエル犯罪を撲滅する、非合法組織。
法に裁かれぬ悪党を、法の外側で始末する。

そんな言葉を聞いたときは、殺伐とした雰囲気の、冷たく薄情な人間関係を思い浮かべていた。
しかし、首領の初姫(はつひめ)法架は、そんなものとは正反対の組織を作っていた。

―――正義の味方は、笑ってなくちゃいけないんだよ。人を笑顔にするには、自分から笑わないとね。

彼女の笑顔が半分しか見れないことは、残念だった。
詳しい事情は聞いてないが、闇のデュエル組織によるものだということは、何となく察しがついた。

(この笑顔の裏側に、どれだけの苦しみを背負っているの?)

そう思うと胸が痛むが、だからこそ笑う。
えみるは、胸の中から優しさを拾い出す。
正義の味方は、笑ってなければいけないのだから。



◆ ◆ ◆



時刻:AM 00:25
場所:外道都市


「きぃん、遅かったね神邪(しんや)くん。2分の遅刻だ。」

闇坂伸久郎(やみさか・しんくろう)は苛々した声で言った。
容姿だけは特徴の無い、30過ぎの男。

「零時半という話です。その時計、進んでいませんか?」

やって来た少年は、笑顔とも無表情とも取れる顔で言った。

「あ? ・・・きぃん、どうやらそのようだな。」

伸久郎はデュエルディスクを展開し、時刻表示を確認した。
謝りもせずに舌打ちだけすると、彼は忌々しげに言った。

「Mr.デストロイが倒された。きぃん、有能な奴だったんだがな。」
「そうなんですか。」
「きぃん、つまらん奴だなお前は。普通は、誰に倒されたか訊くもんだ。」
「誰に倒されたんですか。」
「きぃん、少しは頭ひねって質問しろよバカ。魔法少女だよ、魔法少女ホーリーナイト。そいつを消してこい。」
「“アンジュレーション”と敵対するのは得策ではないのでは?」
「いいから黙って言われたことだけやれバカ。Y−73とF−116は、ここへおびき寄せて片付ける。安心したか?」
「わかりました。」

そう言って神邪は、機械のような規則正しい動きで歩いていった。
見送りながら伸久郎は、憮然とした表情で溜息をついた。

(相変わらず気持ち悪い奴だ。竜堂様の息子とは思えん・・・。)



◆ ◆ ◆



時刻:AM 00:33
場所:外道都市、出入口


神邪は表情を変えないまま、一度だけ都市を振り返った。
暗がりの中で、建物の群れが不気味に映る。

(忠告はしましたよ、闇坂さん。)

ひときわ大きな建物が、闇坂伸久郎の墓場に見えた。
それは予感という曖昧なものではなく、確信に近い。

(おそらく、もう会えないでしょうね。)

“カンサー”の中では、自分に優しい方に属する者だけに、神邪は残念に思った。
彼から受ける最後の依頼になるであろう仕事を、必ず成功させようと誓った。

夜空は真っ暗だった。




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内 容 ニックネーム/日時
コング「決闘少女。ファンタジーに出てくる妖精のようなヒロインの絶体絶命の大ピンチシーンは、全国2000万人のヒロピンファンの要請だ」
ゴリーレッド「20万人の間違えでは」
コング「現実を知らないな」
賢吾「黒須えみる。黒須?」
コング「えみるの両腕を頭上でクロスして拘束」
ゴリーレッド「独り言はやめよう」
コング「クロス拘束はより征服・支配された感が強いのです!」
賢吾「転校生で質問攻めにあうのは良いほうや」
コング「スリーサイズと異性の好みと本日の下着の色は最初の挨拶で言うべき項目だ」
ゴリーレッド「どんな学校だ?」
賢吾「セクハラは困るが好かれるのは嬉しい。微妙なおなごの心理やな」
コング「しかし正体は魔法少女アイ」
ゴリーレッド「アイではない」
賢吾「北条緋色」
コング「♪ヒーロー! ヒーローになる時、あーあー、それは今!」
ゴリーレッド「昼から飲んでるのか」
賢吾「デュエル犯罪撲滅組織か。そういうのも必要か」
ゴリーレッド「警視庁に性犯罪撲滅組織があるように」
コング「なぜ僕の顔を見る?」
賢吾「初姫法架」
コング「姫初めと関係あるか?」
ゴリーレッド「ない」
コング「架がつく名前ということは、十字磔・・・」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「待てえええ!」
賢吾「きょうは1600文字祭りやな」

コング
2015/03/28 13:05
コング「妙齢という言葉の響きに、芸術t」
ゴリーレッド「笑顔で癒されるか」
コング「遮るな」
賢吾「昔から100万ドルの笑顔と言うように、女子のキュートなスマイルは魔法なんよ」
コング「僕がキュートなスマイルを主張するのは理に適っている」
賢吾「法で裁かれぬ悪党を法の外側で始末するか」
ゴリーレッド「悪党は確実に法で裁く社会に変えていかねばならない」
賢吾「有名人は粉飾決済しようが覚醒剤やろうが売ろうが、詐欺で捕まろうがテレビのクイズ番組呼ばれるからな。しかし無名な市民は前科もんは就職もできん」
ゴリーレッド「無名の市民の声に耳を傾ける世の中ではない。正しいか間違っているかが基準ではなく、有名か無名かが基準だ」
賢吾「最初は大志を抱く若者もその現実を知ると途中で諦めてしまう。一生諦めずに信念を貫く本物の革命家が必要なんや」
コング「名言炸裂。正義の味方は笑ってなくちゃいけない」
賢吾「人を笑顔にするには自分が笑わんと」
コング「不二子を笑顔にしたくすぐりマシーンを一家に一台」
ゴリーレッド「悪用するSがいるからダメだ」
コング「Mは悪用してほしいと思っている」
賢吾「ところで伸久郎は何でこんなに威張っているんや」
ゴリーレッド「みんな神邪の実力も怖さも把握していない」
コング「きいん、不穏な命令だ。神邪は実行する気満々だ。ヤバイな」
賢吾「ヤバイな」


白茶熊賢吾
2015/03/28 13:20
>コングさん
本日のヒロピン候補・・・ゲフンゲフン、もとい、今回のスーパーヒロイン黒須えみる。みんなから好かれるタイプです。
高校生と魔法少女、二足の草鞋。大変ですが、充実感のある生活を送っています。

佐久間「3000万かもしれない。」
山田「そんなにいてたまるかっ!」
佐久間「世界を見渡せば10億を超えるだろう。」
山田「超えない。」
八武「スリーサイズを! スリーサイズを!」
山田「ウエスタンラリアット!」
八武「がっ・・」
山田「ヒップドロップ!」
八武「ぎゃあああ!」
佐久間「バーストしたか。」
維澄「セクハラされたくないけど好かれたい。そういう感覚はあるね。」
佐久間「私は山田に好かれていればそれでいい。」
八武「クロスだけに十字架に拘束されると見た。間違いありません!」
山田「え? クロスチョップを食らいたい?」
八武「言ってない。えみるもまだイってない。」
山田「クロスチョップ!」
八武「ぐえっ・・」
佐久間「今日は一段と暴力が多いな。えみるが好みなのか?」
山田「安心しろ、手加減している。」
佐久間「何ひとつ安心できない。」
アッキー
2015/03/28 22:06
>白茶熊さん
非合法組織ながら、笑顔の絶えないアンジュレーション。雰囲気は、草の根的な団体に近いかもしれません。もちろん一筋縄ではいかない組織ですが・・・。
そして出てきました竜堂神邪。ホーリーナイトがピンチです。

八武「イイよぉ神邪くん! 彼女をピンチに追い込んでくれたまえ!」
山田「何か考えがあると思うが、ホーリーナイトの出方次第か?」
佐久間「まあ、杓子定規に解釈する神邪ではない、と言っておこう。」
維澄「対比テーマは笑顔かな。片や笑顔あふれる集い、片や寒々しい雇用関係。」
佐久間「えみるや法架の笑顔は人を惹きつけるが、神邪の笑顔は人に不快感を与える。神邪のせいじゃないけどな。」
山田「辛辣な対応をされれば、笑顔も壊れるわな。」
維澄「頑張っても実らないだけなら、世の中まだマシだね。実らないどころか、攻撃までされると、やってられないという気分になる。それでも“どうせ”と投げ出さない人が、社会を回している。」
山田「社会を回しているのは政治家や官僚ではなく、無名の市民ということですね。」
維澄「政治家や官僚が全て駄目というわけではないけど、現行のシステムを外から見た感覚を持ってる人は少ないと感じるよ。」
佐久間「他者の立場で物を考えるのは子供でも出来るが、それを徹底させるのは大人でも難しい。本当に難しいのか、怠けてるのかは、わからんがね。」
山田「少なくとも伸久郎は徹底できてないタイプか。これでも優しい方とか、どういうことだ?」
佐久間「決闘の箱で虐げられていたアレが標準だからな。それに比べれば伸久郎は遥かにマシと言える。」
八武「頑張れ神邪くん。」
山田「どっちの意味で応援している?」
八武「両方は不可分なものだよ。」
アッキー
2015/03/28 22:35
阿久根真如「魔法少女に魔法戦士!二人共苦労したでしょうね…。魔法を持つ者は普通、正体がバレれば一箇所に留まることが出来ないわ。それでも正義のために魔法を使う決意をしたのね。うん、今はその日常が壊れないことを祈るわ…。」
白龍「正義の味方が笑っていられるから、人々の笑顔を守れる。心に響く言葉ですね。でも、カンサーの闇坂&神邪君の登場で何やら不穏な…。というか、果てしなく不穏な…。」
千花白龍
2015/04/26 03:15
>千花白龍さん
ホーリーナイト黒須えみる。そして魔法戦士の緋色と風向。
戦士2人は、カンサーの実験室で生み出された試験官ベビーで、逃亡したところを初姫に救われました。闇坂のセリフにある、Y−73とF−116が、それぞれ“七海”風向と北条“緋色”です。
明るく健全なスタートですが、ダークサイドの登場で一気に不穏になっていきます。決闘倶楽部でも出てきた外道・伸久郎に、任務達成率100パーセントの竜堂神邪。
アッキー
2015/04/26 05:18

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