佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘航海   Game Time 〜能力封印! エクストリーム!〜

<<   作成日時 : 2015/05/10 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



豪華客船エドワード二十六世号は、客船を装いながら麻薬の密輸を行っている。
また、非合法のデュエルカジノを内蔵する、巨大な娯楽施設でもある。
カンサーでの通称は、船舶都市。A級七席“狂喜”のギャシュリー・クラムが支配する。

大河柾と竜堂神邪は、アメリカのデュエルダンジョン(迷宮都市)を陥落させ、帰りに船に乗った。
それこそエドワード二十六世号。ギャシュリーの巣。逃げ場の無い海が黒々とうねる。

ギャシュリーのいる船長室へ入るには、7つのカード・キーを必要とする。
カード・キーを手に入れるには、7つのデュエル・ゲームを攻略しなければならない。
Gカードから攻略を考えていた大河柾は、凜堂涼香が追い詰められているのを見て、彼女を助けることで自然と攻略する流れを掴むことに成功。ゲームの欠陥を指摘し、真・Gカードで圧倒的勝利を収めた。

涼香のおかげでカード・キーが手に入ったので、柾は感謝していた。
恩に着せるつもりなど更々なかったが、涼香は返しきれない恩を感じていた。

そもそも涼香が裏カジノで危険なゲームをしているのは、百億を超える借金を返済する為だった。
柾のおかげで15億5千万もの大金が手に入り、絶望的だった借金返済の糸口を掴むことが出来たのだ。
順調に資金を増やしていた涼香だったが、柾がカード・キーを欲していることを知り、ワン・デュエルに挑む。
命懸けのデュエルで勝利を収めた彼女は、処刑されそうになっていたディーラー・双夢現を助け、仲間にする。

涼香からカード・キーを貰った柾は、早めに全てのゲームを攻略しようと決意。
3つ目のゲームである、EXデュエルに挑むべく、会場へ足を運んだ。



◆ ◆ ◆



(けっ・・・どいつもこいつも、妖怪みてぇなツラ並べやがってよぉ。)

伸びてきた髪を掻き揚げながら、柾は野性味のある端整な顔を晒した。
多くの修羅場を潜った経験が、彼の男っぷりを増していた。会場の女たちが何人か、彼を見て顔を赤くしている。
柾はジャケットにジーンズというラフな格好だが、男性的な強い色気を押し出す役割を果たしていた。

(さーて、どう切欠を作ったもんかな。)

普通に挑むことは出来るし、もちろん引っ込み思案というわけでもない。その逆だろう。
しかし、ここが敵陣の真っ只中であることを忘れるほど、柾は時差ボケに悩まされていない。
少なくとも、精神的に互角の状態まで持っていくことが、敵地での勝負の鉄則。場に呑まれたら負けだ。

“明るい顔の猫”は、完膚なきまで叩き潰した。顔を見ないが、解雇されたのだろうと思った。
“剣呑な胡蝶”は、それなりに強かったが、柾であれば楽勝の相手だった。
しかし、次のゲームは難易度が増しているという。

★1つの“Gカード”、★2つの“ワン・デュエル”に続く、第3のゲーム。
“EXデュエル”は★3つ。内容を見ても、双夢の言う通り、甘くない。

ディーラー名は、“死を運ぶ鳥”。エジプト神話のネクベト神。
ツタンカーメン発掘の際に、カーナボン卿が熱を出して、うわごとのように「鳥が顔を引っ掻くんだ!」と言っていたことは、有名な話である。
その真偽は定かではないが、エジプト神話において、死と翼は密接な関係にあるのは確かだ。
人が死んだとき、飛んでいく魂(バー)は、しばしば鳥のイメージとして描かれる。
おどろおどろしいものだけではない、むしろ荘厳なものを基調とするのだが、やはり恐いものがある。

「この世で恐いのは人間だ」と言う親友は、オカルトやホラーに対する恐怖心が麻痺している。
しかし人間の恐さとオカルトの恐さは別物だと、柾は思うのだ。

(とにかく、恐いもんは恐いんだよ!)

親友の苦痛を思えば、ホラーを恐がることが出来るのは、むしろ幸せなことかもしれないが・・・。
しかし逆に言えば、尋常な神経を持っている限りは、ホラーの恐怖から逃れることは出来ないということだ。

(海馬瀬人や城之内克也も、オカルトやホラーは苦手だったって話だしな。)

伝説のデュエリストたちさえ恐がるのだから、自分が恐がっても仕方ない。
そう思って自分を慰め、柾は深呼吸をして会場を見渡した。

(とりあえず様子を見るとすっか。時刻は・・・今何時だ?)

アンティークの柱時計は、午前零時を差していた。
健常ならば白河夜船の時刻だが、ここは不夜城の方である。会場は賑わいを見せていた。

(ふむ・・・。)

鋭い瞳の奥で、冷徹な計算が回転する。
前髪を下ろすと目元は隠れ、注意して見つめない限りは炎に気付かれないだろう。

柾はバーのカウンターに腰を下ろし、わざと度の強い酒を注文した。
マスターはスラッとした中年男性で、慣れた手つきでカクテルを作っていく。
アルコールの匂いに少し噎せながら、柾はグラスを取って口をつけた。



- - - - - -



午前1時。

酔漢が増えてきた会場からは、女性客が少なくなっていく。
その代わりというわけではないが、扇情的な格好をした女性スタッフたちが行き来する。

ひとりの酔漢が、女性スタッフに絡むのを見て、柾は嫌な顔をした。
こうしたセクハラそのものが、同じ男として気持ち悪いのだが、それよりも。
この状況を利用しようと考えている自分の悪辣さに、何とも言えない胸糞悪さを覚えるのだ。

「お客様、スタッフに絡むのはやめてくださいませ。」

スタッフの1人が、冷静な口調で言った。綺麗な声だ。年齢は20歳前後だろうか。
綺麗どころの揃っているスタッフの中でも、ひときわ輝いて見える美貌。瑞々しい肌に、きりっとした顔立ち。
氷のように青白い髪を肩まで伸ばし、二の腕や生脚、臍を出して、胸元も大きく開けた制服。ぴっちりした手袋。
艶かしい漆黒の衣装は、白でメリハリをつけられており、彼女の魅力を引き出す為の名脇役だ。

「おぁあ!? なーんじゃぶっとんば・・・あおぁ!?」

疲れたサラリーマン風の、しょぼくれた中年男は、呂律が回っていないようだ。
しかし意識はハッキリしているようで、デュエルディスクを展開する。


「「デュエル!」」


スタッフ:LP8000
酔漢:LP8000



「私の先攻ですわね、お客様。カードを5枚伏せて、ターンエンドですわ。」

スタッフの女は、柔らかく笑った。
それを酔漢は、舐められていると受け取って何か叫んでいたが、柾は底知れぬ雰囲気を感じ取っていた。

「舐めやがってぇ・・・どいつもこいつもなぁ・・・・ドロー! 《バードマン》、攻撃だあ!」

「罠カード発動でございます、お客様。」


酔漢:LP8000→6200


「ぐげえええ! くそがあ! ターンエンドだがああ!」

どうやら手札事故を起こしているらしい。
いや、それ以前の問題だろう。

「私のターンですわね。ドロー。《サイバー・ドラゴン》を効果で特殊召喚し、《カードガンナー》を召喚しますわ。」

この船は妖怪の巣窟だ。
ひとたびカモにされたら、有能なカードは根こそぎ奪われてしまう。

酔漢のデッキは、おそらくマトモに機能するものではないだろう。
ネタデッキよりも酷い、寄せ集めデッキ。

酔漢:LP6200→5900→4000

「伏せておいた《うずまき》を発動。お客様のライフは0になりました。」

スタッフ:LP8000→4000

酔漢:LP4000→0


「ぐぉああああああ、このアマああああああああ!!」

デュエルに負けた酔漢が、やけくそでスタッフに襲いかかろうとする。
しかし、スタッフはニッコリを笑って、デュエルディスクで酔漢の顔面を強打。

「ぶえっ!?」

怯んだところへ肘打ち、そして空中に跳んだ彼女は、回転蹴りを後頭部へ放った。

「ごっ・・・・・・」

酔漢は倒れて動かなくなり、男性スタッフに運ばれていった。
その末路は良いものではないだろう。

(パンツ見えた! 白!)

柾は素晴らしい画像を脳内に永久保存した。

(・・・俺は何を考えているんだ。)

とても戦いに赴く人間のあるべき精神状態ではない。自己嫌悪で眩暈がしてくる。
しかし即座に気を取り直して、行動を開始する。
邪魔な前髪を掻き揚げて、柾は立ち上がった。
その仕草が無意識的に男の色気を出しているのだが、柾は気付かない。

声をかけてきたのは、彼女の方からだった。

「大河柾さんですね?」
「ああ、そうだが。あんたは?」
「私は、浜百合氷澄と申します。」

彼女は柾の隣の席に腰掛けた。
椅子に座る仕草が妙に艶かしい。

「はまゆり、ひすみ・・・。良い名前だな。」
「ありがとうございます。嬉しいですわ。」

気の強そうな顔立ちだが、柔らかい笑顔で、言葉遣いは丁寧だ。
いわゆる接客モード、営業スマイルというものだろう。
その笑顔を剥がしてみたいという欲望が、柾の心の中でゾワッと燃えあがった。

(服を剥がすより、心を剥がせってな。)

近くで見ると、いっそう艶かしい。露出の高い格好をしているが、容易く男を触れさせない雰囲気がある。
それだけに、触れてみたいという欲望を刺激させられた。

「美味い酒に、格別の美女か。だいぶ酔ってきたぜ。」
「あら、お世辞が上手いですわね。」

しかし酒に関しては嘘だった。先程から、殆ど酒は減っていない。
当然ながら、アルコールの摂取量は、含有率×酒の量である。

(しかし、女の方だけで酔いそうだ。気をしっかり持たねえと・・・。・・・処女かな。)

気をしっかり持とうと思った側から、考えることは情欲の方面だった。
色気の波動を拡散させているが、すぐに男と寝るタイプには見えない。むしろ逆に思えた。
これまでの経験から、何となく男性経験が無さそうだと感じるのだ。
特に処女に拘るわけではない柾だが、しかし人並み程度に処女を求める気持ちはある。

(とても口には出せねえけどな。)

女の前では、処女という単語そのものを口にしない柾である。それは祖母の教育によるものだった。
決して口調が丁寧とは言えない彼だが、無神経ではない。デリカシーが無いと言われることはあっても、人を傷つけると言われることは殆ど無い。
しかし、自分以上に言葉に潔癖な親友が側にいると、まだまだ自分は下品であるように思えた。

「ふぅ・・・だいぶ酔いが回ってきたかな。」

また髪を掻き揚げる仕草。無意識に女を誘うポーズだ。
氷澄は惑わされているのかいないのか、態度を崩さず脚をクロスさせた。

(・・・!!)

柾は表情こそ変えないものの、激しく動揺していた。

(落ち着け、冷静になれ。三角関数の加法定理を考えて落ち着くんだ。)

三角関数は、高校時代に苦戦した領域だった。
ダンジョンで暇潰しに親友から習い、ようやく理解できた気がする。
フレッシュな知識を頭に浮かべて、柾は落ち着いた。

・・・わけではなかった。

「私とゲームをなさいませんか?」

氷澄は身を乗り出して、胸を強調するように腕をクロスさせる。
クロスしたポーズはセクシーなのだと、どこかで聞いたことがあったが、本当のようだ。
それだけでなく、ピンクの唇から甘い息が吐き出され、とろんとした目をしている。
柾は心臓が高鳴るのを感じた。計算なのか、無意識なのか。いずれにしても強敵には違いない。

「ゲーム? しかしデュエルできる調子じゃねえな・・・。」
「いえ、デュエルディスクを使わない、簡単なゲームですわ。お酒を嗜みながらでもプレイできます。」
「へーえ、そりゃ面白そうだ。負けた方が酒を一杯奢るってのはどうだ?」

本当は別のものを賭けたいのだが、焦らず柾は余裕の態度を取る。
動悸でバクバクしている心臓との戦いだ。

「申し訳ありません、業務が終わるまでスタッフはアルコールを摂取できない規則なのですわ。」
「おお、そりゃそうだよな。悪りぃ。んーと、じゃあ月並みだが、何でもひとつ言うことを聞くってのは?」

すると氷澄は、安堵したような失望したような笑みを浮かべた。
それに混じって、獲物が罠にかかったときの猟師のような眼光を、鈍く輝かせていた。

「構いませんわ。」

彼女の眼光を、柾は見逃さなかった。
邪魔くさい前髪のおかげで、こちらの目つきには気付かれにくい。
元々あまり目つきが良いわけではないが、今の自分は野獣の目をしているだろうと思った。



- - - - - -



<エクストリームデュエル:ルール説明>

いわゆる詰めデュエル。
ディーラーの出す問題に、1ターンの制限時間である3分以内に回答し、正解することが条件。
使用カードはOCGカードのみ。決着を次のターンに持ち越してはならない。




・・・・・・ですわ。」

氷澄は、柔らかく笑って首を傾ける。

「ああ、なるほど。そう言えば、詰めデュエルのことをエクストリームデュエルって呼ぶんだったっけな。ダンジョンで出会った、パラコンボーイって奴に聞いたんだ。」

柾はグラスに口をつけてから、頷いて言った。

「だがよ、酒の席で詰めデュエルって、ちょっと難しくねぇか?」
「大丈夫ですわ、マサキさん。これから出す問題は、“ツーカード”。5問ワンセットの問題です。」
「ツーカード?」
「2枚のカードだけで相手のライフポイント8000を、0にするルールですわ。まずは手札2枚のみで、相手のライフ8000を0にしてください。他にカードや能力はありません。スタート!」
「おおっと、いきなりか。えーと・・・」

ストップウォッチが時間を刻み始めた。



(モニターの前の皆さんも、ご一緒にお考えくださいませ。)






























「よし、わかったぞ。」

1分ほど目を瞑って腕組みをしていた柾は、目を開いて言った。

「まずは《スクラップ・コング》を召喚し、自身の効果で破壊。そして《機皇帝グランエル∞》を特殊召喚。直接攻撃で終わりだ。」


スクラップ・コング レベル4 地属性・獣族
攻撃力2000 守備力1000
このカードが召喚に成功した時、このカードを破壊する。
このカードが「スクラップ」と名のついたカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、「スクラップ・コング」以外の自分の墓地に存在する「スクラップ」と名のついたモンスター1体を選択して手札に加える事ができる。

機皇帝グランエル∞ レベル1 地属性・機械族
攻撃力0 守備力0
このカードは通常召喚できない。自分フィールド上に表側表示で存在するモンスターが効果によって破壊され墓地へ送られた時のみ手札から特殊召喚できる。
このカードの攻撃力・守備力は自分のライフポイントの半分の数値分アップする。
1ターンに1度、相手のシンクロモンスター1体を装備カード扱いとしてこのカードに装備できる。このカードの攻撃力は、この効果で装備したモンスターの攻撃力分アップする。
また、自分のメインフェイズ時に、このカードの効果で装備したモンスター1体を自分フィールド上に表側守備表示で特殊召喚できる。



「お見事ですわ。」

氷澄は柔らかい笑顔を崩さずに、手放しに褒める。
この程度では営業スマイルは剥がせないかと、柾は残念に思った。

「今が何ターン目なのか、そして自分のライフが指定されてないことがポイントだったわけだな。それに気付けなけりゃ、なかなかヤバい問題だった。」

再びグラスに口をつけて、柾は息を吐く。

「では、第2問ですわ。手札が1枚、自分の墓地に1枚の場合で考えてください。お互いのライフは8000で、もちろん他にカードや能力はありませんわ。」



(モニターの前の皆さんも、ご一緒にお考えくださいませ。)






























「ああ、そうか。」

今度は30秒と経たずに、柾はポンと手を叩いた。

「《死者蘇生》で、《遊☆戯☆王》を特殊召喚。直接攻撃。」


死者蘇生 (魔法カード)
自分または相手の墓地のモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターを自分フィールドに特殊召喚する。


遊☆戯☆王 高橋和希 属性なし 種族なし
攻撃力100000 守備力100000
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「・・・お見事ですわ。」

柔らかい笑顔が、少し曇ったように見えた。
少しずつ仮面が剥がれているようだ。

「墓地からモンスターを蘇生することは、すぐに考えつく。問題はダメージ8000以上を叩き出すことだが、“OCGカード”ってのが曲者だったな。普通のデュエルで使えるカードとは、限らねぇってわけだ。」

「・・・では、第3問ですわ。手札と除外ゾーンに1枚ずつ。それ以外は第2問と同じですわ。」

それを聞いて、柾は、ぽかんとした顔をした。

「んなもん《■■■■》使えばいいだけじゃねえか。後は第2問と同じで。」

即答である。

「・・・!」

また少し顔が曇った。

「第4問。手札とデッキにカードが1枚ずつで、その他は同じですわ。」

「ああ、■■■■の■■が■■■■■んだから、■■■■■■て、後は■■■■■■だろ?」

またしても即答。

氷澄は、いよいよ焦り顔になる。
それを見て柾は、サディスティックな快感を覚えた。

「・・・・・ラスト問題ですわ。手札と、相手のフィールドにカードが1枚ずつ。残る条件は、前に同じく。」


「ククッ、ククククク・・・」

柾は不気味な笑みを漏らした。
これに正解すれば、パーフェクト。その答えは既にわかってしまった。ゆえに笑う。
もう、取り繕う必要は無いからだ。

髪の色と同じく蒼白になる氷澄に、柾は答を述べた。

「■■■■■■の《■■■・■■■》に、■■■■■■した《■■■■■■■■■■》で攻撃。そもそも■■■■■■■が■■されてるんだから、■■■■■■のモンスターがいるのもアリだろ? そして■■■■■などの■■■■■については、やはり何も触れられてなかった。いや、しかし良い問題だったぜ。」

「くっ・・・・・・」

氷澄は悔しそうに唇を噛んだ。
ゲーム前は艶かしさを主張していた制服も、頼りない薄壁に見える。
熱気と緊張による汗の匂いが、柾の鼻腔をくすぐった。女のフェロモンを感じる。
匂いフェチではないつもりだが、興奮させられた。

見れば氷澄は、少し震えていた。
寒いわけがない。怯えているのだ。

それで柾は全てを察した。

(つくづく汚ぇ奴だな、ギャシュリー。最後の最後に、そういう罠を張っておいたわけか。)

このゲームは罠だらけだった。
内容も様々な引っ掛けが用意されているが、それより凶悪なのは、時間制限の方である。
途中から考え込むフリをやめたのは、5問まとめてトータルの制限時間が3分であることに気付いたからだ。

「それで、勝った方は何でもひとつ言うことを聞くんだったよな?」
「・・・っ!」

氷澄の体が、ビクッと震える。



「カード・キー、いただくぜ。本物の“死を運ぶ鳥”さんよ。」



その言葉に、氷澄は目を丸くして固まり、そして口を開いた。

「・・・いつから、わかってたの?」
「最初からに決まってんだろ。あんた存在感ありすぎだ。ゴルゴ13と同じで、一目でわかる。」

口調が砕けたことを喜びながら、ようやく柾は酒を口に含んだ。

「まったく、色々と罠だらけのゲームだったな。詰めデュエルの内容も引っ掛けだらけだったが、それより悪辣なのは、あそこでディーラーやってる奴が、“死を運ぶ鳥”だとは限らないってことだ。偽者とのゲームに勝って喜んでいるところへ、真実を告げて突き落とす。まったく、タチが悪いぜ。だが・・・」

柾は怒りさえ含んだ表情で、腕を組んだ。

「いっとうタチが悪いのは、最後の罠だった。危うく欲望に任せて、あんたを求めるところだったぜ。」

ロジックの罠を掻い潜った者へ、最後の罠。
それは論理的には何ら問題の無い、簡単な罠。

しかし、恐ろしく甘美な誘惑。
真性のデュエリストでなければ、引っかかっていたところだった。

「“女を使え”ってのは、ギャシュリーの指示か?」
「そこまで見抜いてるのね・・・。」

氷澄は完全な敗北を認めて、目を伏せた。
しかしすぐに柾を見つめて、きりっとした顔で言った。

「でも、勘違いしないで。私は自分の意思で、あなたと戦ったわ。」

その言葉に柾は、言葉ではなく、表情で返事をした。

ああ、わかってるぜ。
あんたはイイ女だ。

氷澄はドキッとした顔を見せて、すぐに元に戻って、席を立った。

(本当に、イイ女だぜ。)

去り行く彼女の後ろ姿を見ながら、柾は収まらない胸の鼓動を感じ取っていた。



◆ ◆ ◆



●Gカード
難易度:★
ディーラー:明るい顔の猫(オーダー・メニー)

●ワン・デュエル
難易度:★★
ディーラー:剣呑な胡蝶(双夢現)

●EXデュエル
難易度:★★★
ディーラー:死を運ぶ鳥(浜百合氷澄)

◎Qカード
難易度:★★★
ディーラー:死を運ぶ鳥(浜百合氷澄)

◎???

◎???

◎???




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2015/07/31 00:00

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コメント(7件)

内 容 ニックネーム/日時
>《遊☆戯☆王》

ねーーーーーーよwwwwwwwww

実は自分ライフが16000ありましたは「まあ、そういうものか」と認めるにしても、これはねーーーーーーよwwwwwwwww

実物見たことはないですが、これって確か「OCGっぽいデザインで作られたテレホンカード」だったはず。
これをOCGカードと見なすのはNGな気がするが……どうなんだろう。

とはいえ、それより問題なのは、こいつの使用をOKにしてしまうと。

手札の《遊☆戯☆王》を召喚して攻撃。

で3〜5問目がすべて解けてしまうことで。

「レベルの無いモンスターを召喚できるのか?」という点については、

・そもそもOCGっぽいデザインのテレホンカードにすぎないものをOCGカードと見做しているのだから、枠の色からして《遊☆戯☆王》は通常モンスターとみなすのが自然。
・「レベルの無い通常モンスターは召喚可能か?」は、「そんなものは定義されていない」が正しい答え。
・可能と解釈しても(ルールによると、モンスターは基本的には召喚可能だが、レベル5〜6なら1体、レベル7以上なら2体のリリースが必要とある。だがレベルがなければどちらの条件も満たさないので召喚可能と解釈するのが妥当)、不可能と解釈しても、不自然なことはない。
・であるならば、テレホンカードである《遊☆戯☆王》をOCGカードとみなして墓地から特殊召喚して攻撃可能、の「マサキの解釈」が通ったように、通常召喚可能という解釈は通ってしかるべき。

って感じでしょうか?

マサキの台詞的に作為解とは絶対に違うんですが、とりあえずこれどうでしょう?

ダメならダメで、理由を明確にしておかないと先に進めない気がするw
豆戦士
2015/05/10 01:39
>豆戦士さん

いやぁwww攻撃力10万って、いつか使いたいと思ってたんですよwwwフヒヒ、サーセンww
《遊☆戯☆王》は、wikiにも載っている、れっきとしたOCGカードです(キリッ

3問目以降については、やっぱり罠なんです。
《読者への挑戦状》形式であれば、想定解を超えた超正解なのですが、このEXデュエルの嫌らしいところは、「2枚のカードだけで相手のライフポイント8000を、0にするルール」であることでして・・。
「3枚以上のカードを使用してならない」ではなく「2枚のカードだけで」という点が引っ掛けで、2枚とも使わなければならない・・・ゆえに“ツーカード”。
かなりギリギリですが、一応そういうロジックになっています。
「1枚しか使っていない」のに「2枚だけでライフを0にした」という表現は違和感あると思われますが、どう・・・でしょう・・・?(ジェリー先生に強気で来られて、段々と自信が無くなってきている)
ほら、遊戯王的には、「2枚を破壊する」というテキストがあれば、それは権利ではなく義務じゃないですか・・。そういう感じの・・。

これに近い性質の引っ掛けは、うみねこにも出てきたチーズ切り分け問題とか、ですかね?
あれはドラゴンナイト先生の狡猾な罠だということに、だいぶ後になって気付きました。真里亞が“出題者”ではなく、クイズ本を朗読したからこそ、あの答が可能なんですねー。
(「ドラゴン桜」の国語の授業を読んでいるときに気付きました)

なおマサキは、そうした通常召喚可能のロジックを組めなかったことで、結果的に罠を回避しました。(セリフで触れられてない理由)
神邪の弱点よろしく、正解までは辿り着けても全ては見抜けないのがマサキクオリティ。(今後の展開でも・・)
アッキー
2015/05/10 04:30
《遊☆戯☆王》をOCGカードとみなすのは未だに納得いってないけど、まあこの問題ではそういうものだと定義しようw
(いくら公式以上に情報が充実していようと非公式サイトであるところの遊戯王Wikiに何が書いてあろうとも公式ルールには一切の影響はないw)

同様に、「2枚のカードだけで」は「2枚のカードしかない状態で」を意味していると解釈しても(日本語として)自然な気もするので、これまたあまり納得いってない気もするけど、これもこの問題ではそういうものだと定義しようw
(遊戯王OCGにおける「使う」の定義は曖昧という問題はあるけど)

「2枚のカードだけで」じゃなくて「2枚のカードを使用して」だったら、まだ納得いく…………ような気がしなくもなくもなくもなくもなくもない。


とはいえ、まあどっちにしろ《遊☆戯☆王》を場に出してして殴る、という方針には変わりなく。

第3問:
《次元の歪み》で《遊☆戯☆王》を特殊召喚して殴る。
マサキの伏字の数からして《次元融合》って言ったのかな? 禁止カードも使えるよ、ということを示す意味で。まあ《遊☆戯☆王》が使えるのに比べれば禁止カード使えるくらい霞む。

第4問:
《成金ゴブリン》で《遊☆戯☆王》を引いて召喚して殴る。
仮に通常召喚できないという裁定だった場合に、マサキの回答になるのかな? こっちは謎。
《予想GUY》で《遊☆戯☆王》が出せるのかどうかも謎。
豆戦士
2015/05/10 13:03
第5問:
相手のフィールドに《収縮》とか適当に伏せておくなり、攻撃表示の《青眼の究極竜》を立てておくなり、なんでもいいですね。どっちにしろ《遊☆戯☆王》でぶち破って殴る。「使った」の定義が曖昧だけど、さすがに戦闘破壊されたら使った扱いになるでしょうし、《収縮》を発動したら使った扱いになるでしょう。相手の行動をコントロールしてはいけないとは言ってない。
相手の場に、攻撃力が1000000000000になった《ワイト》でも攻撃表示で立たせておいて(他のカード効果を受けていてはいけないとは言ってない)、それを手札の《アマゾネスの剣士》を召喚して殴る、とかにすれば《遊☆戯☆王》すら不要。
なんにせよ、どうにでもなってしまうので、マサキの回答は謎。


これでどうでしょう。なんかめちゃくちゃ簡単に解けてしまったので、
何かが駄目なら駄目だと言ってもらえればそれを前提に考えます。
豆戦士
2015/05/10 13:03
>>「【裏側守備表示】の《【ダイス】・【ポット】》に、【レベルを4に】した《(字数ぴったりのが思いつかなかったけど《古代の機械巨人》とか適当に)》で攻撃。そもそも■■■■■■■が【許可】されてるんだから、【レベル操作後】のモンスターがいるのもアリだろ? そして【ダイスの目】などの【操作可能性】については、やはり何も触れられてなかった。いや、しかし良い問題だったぜ。」

まだ埋まってないところあるけど、大筋はこんな感じですかね?
豆戦士
2015/05/10 13:27
>豆戦士さん

えっ、遊戯王wikiって非公式なんですか?(そらっとぼけ
冗談はさておき、オリカでなければOKという認識でした。反省。

簡単に修正できたぜーと意気込んでいたら、何だか細かいミスがボロボロ出るなァ・・・。
「他のカードや能力は無い」というのは、「他のカード効果や能力を適用してならない」と書いた方が正確な表現でした。ここも解釈次第で、そういう意味にもなってしまうな・・・いやはや、想定解へ導くのは大変です。
戦闘破壊は、使った扱いになってしまうのか・・・うーん。

だいぶ想定とは違うのですが、これは流石に私の負けです。何かが駄目というなら、私の迂闊さだチキショウ。
国語力を磨いて出直してくるよー、うえーん(泣

・・・まあ、マサキが即答しまくれたのは、よくわかると思われます。詰めデュエル上級者にとっては、ほぼ一瞥即解レベルという想定ではあるので。(難易度★★★)
アッキー
2015/05/10 20:27
回答の方ですが、第3問は《次元融合》で正解。
これはリンネVS天神を意識しています。個人的には、禁止カードが使えるロジックはオイシイ。

第4問でマサキは、《遊☆戯☆王》を使っていませんが、もう想定解を明かした方がいいですかね?
(ちなみにレベルが“無い”ので《予想GUY》は駄目かと)

第5問は《ダイス・ポット》が要であるのは正解です。
もうジェリー先生のロジックを否定できないので、想定解である伏字まで推理する意義は薄くなってしまったかもですが、まだ考えるなら沈黙を尊びます。

しかし以前にもありましたが、私にとっての“簡単”と、豆戦士さんにとっての“簡単”は、随分と食い違っているなぁw
《遊☆戯☆王》が通常召喚可能というロジック、けっこう凄い気がするのは私だけかな・・・?
(※人間は自分に出来ることを簡単だと思い、自分に出来ないことを難しいと思う法則)
アッキー
2015/05/10 20:28

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