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zoom RSS 決闘倶楽部   第十八話 夏だ!デュエルだ!モリンフェンだ! (前編)

<<   作成日時 : 2015/06/01 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



ま、言ってしまえば僕はデュエリストだ。
そして、モリンフェン様を女神として敬愛する、モリンフェミニストでもある。(睦月くんに教えてもらった言葉だ)

僕は今、感謝している。
今日この良き日に、同じくモリンフェン様を敬愛してやまない同志と、デュエルで激突することになるとは。

全世界のモリンフェミニストは230万人。
その中の、ふたり。

オーダーによっては対決しない可能性もあったけれど、そんなの運命が、モリンフェン様が許すはずもない。
電光掲示板を見れば、きっちり初戦で対決することになっている。



第2回戦   童実野高校 VS 都蘭布高校

1戦目 1年 風森無々 VS 殺霧敷衍 2年
2戦目 1年 熊井次郎 VS 一寸日獲斗 2年
3戦目 1年 平田敦 VS 砂原志乃 1年
4戦目 1年 リスティー・N・ダーク VS 南城暦 2年
5戦目 1年 安藤比呂子 VS 黒須えみる 1年




ああっ、ワクワクするなあ! ちくしょーめ!

見ててくださいモリンフェン様!
この僕の一世一代の頑張り物語をををを!!



◆ ◆ ◆



「殺霧さん、今日は負けませんよ!」

デュエルフィールドは緊張感に包まれていた。
身を切る風が吹き荒んでいるような心地だ。

「おや、風森さん、虚勢を張るのはいいですが、此方の【モリンフェンバーン】に勝てる算段はついてますか?」

「・・・・・・。」

「貴方ビビッてますことよ?」

この前にも増して挑発的で、殺気さえ感じる。痩せぎすの体から、巨漢のような威圧感が漂ってくる。
短い髪が揺れて、どことなくモリンフェン様のような色気を・・・くっ、いけない、相手のペースに呑まれている!

ここは僕も負けずに挑発だ!

「モリンフェン様への愛無きデッキでは、僕には勝てませんよ!」

モリンフェミニストなら、こう言われて黙ってられるはずがない。
しかし殺霧さんは、フッと笑って呟いた。

「愛・・・ですこと?」

ゾッとするような笑みだった。

「ま、確かに此方は、モリンフェン様への愛で、貴方に勝てるとは思いませんことよ・・・だからこそ・・・」

言いながらデッキをシャッフルする彼女は、底知れぬ雰囲気を纏っていた。
くっ、挑発したはずが、僕の方が動揺してしまっている。慣れない挑発はするものではないということか。

やはり言葉ではなく、デュエルで決着をつけなければならないみたいだ!


「「デュエル!」」


風森無々:LP8000
殺霧敷衍:LP8000



「僕の先攻、ドロー!」

「《モリンフェン》さんを引きましたことね?」

「なっ・・・!」

馬鹿な、僕の引いたカードを見抜いた! サイコデュエリストか!?
彼女のデュエリストレベルは計り知れない!

「僕のデュエリスト能力“唯一神”(モリンフェン)発動・・・『デッキ・エクストラデッキのカードを全て《モリンフェン》様で構成することによって、自分のスタンバイフェイズに手札・デッキ・墓地・除外ゾーン・エクストラデッキから《モリンフェン》様を任意の数だけ降臨させることが出来る。この効果で降臨した《モリンフェン》様は生贄・コストにすることは出来ず、攻撃力はデュエルが開始してから経過したスタンバイフェイズの数×フィールド上の《モリンフェン》様の数×50ポイントアップする。また、守備表示モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を超えていれば、その数値分だけ戦闘ダメージを与える。』・・・おいでなさいませ《モリンフェン》様!!」



フィールドに5体もの《モリンフェン》様が、ご降臨あそばされる!



「何も学習してないことですか!? 此方のデュエリスト能力“森林風炎”(モリンフェン)発動!!」



風森無々:LP8000→6400



「なっ・・・!? これは一体どういう・・・・はっ、まさか貴方の能力は、スタンバイフェイズなら何度でも・・・!」

「そうだ、そう、その通り!」

まだデュエルは始まったばかりだけど、僕は勝利したように指を突きつける。

「最初は、ちょっとした違和感だった。それだけの火力を有しておきながら、レベル2の枠内に留まっているのは、どういうことなのだろうかと。」

「・・・・・・。」

「考えられることは、2つ。もちろん1つは言うまでもなく、モリンフェン様の御力が偉大すぎて、レベル2でも壊滅的な力を発揮するというもの・・・・・・だけど、もうひとつは、君が嘘をついている場合だ。

上手い嘘のつき方だった。
わざと曖昧な表現で、僕に錯覚させていたのだ。

「殺霧さん、君の能力は1ターンに1度しか発動しない強制効果。そうだね?」

「くっ・・・此方の偽装が、こうも容易く・・・」

だから僕は、スタンバイフェイズに《モリンフェン》様を1体ずつ、5回に分けて降臨あそばさせた。

「ターンエンド!」


風森無々:LP6400、手札6
場:モリンフェン様(攻1800)、モリンフェン様(攻1800)、モリンフェン様(攻1800)、モリンフェン様(攻1800)、モリンフェン様(攻1800)

殺霧敷衍:LP8000、手札5
場:
場:



ああっ、いつもながら美しい! 美しすぎる!


「・・・お見事ですことよ、風森さん。此方の能力を見抜いたことではなく、仮説に殉ずる勇気がね・・・・・・ですが、あはははは、ははははは、【モリンフェンバーン】は貴方が思ってるほど浅くないですことよ! ドロー!」

「なっ・・・どういう意味だ!」

「どういう意味も何も、そのままの意味ですことよ? 貴方は、此方の能力には対策してきたかもしれませんが、此方のデッキへの対策は怠っていたのではないですこと!? 《カオスエンドマスター》召喚ですことね!」


カオスエンドマスター レベル3 光属性・戦士族・チューナー
攻撃力1500 守備力1000
このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊し墓地へ送った時、デッキからレベル5以上で攻撃力1600以下のモンスター1体を特殊召喚できる。



「まさか・・・!」

「貴方もよくご存知の通り、《カオスエンドマスター》は、《モリンフェン》さんの親友・・・行くのですことよ、相手の《モリンフェン》さんに攻撃・・・《突進》で補助してあげますことよ!」

「し、しまったあ!!」


《カオスエンドマスター》 (攻1500→2200)

《モリンフェン》 (破壊)

風森無々:LP6400→6250



「呼び出すのは当然ながら《モリンフェン》さんですことね! 此方の能力でダメージを受けてもらいますことよ!」

「くっ・・・!」


風森無々:LP6250→4700


「そして・・・レベル5の《モリンフェン》さんに、レベル3の《カオスエンドマスター》をチューニングですことよ!」

「・・・っ、シンクロ召喚・・・!」

「あはははは、【モリンフェンバーン】を舐めるなですことよ! 脈動せよ、《ブラッド・メフィスト》!!



ブラッド・メフィスト レベル8 闇属性・悪魔族・シンクロ
攻撃力2800 守備力1300 チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
相手のスタンバイフェイズ時、相手フィールド上に存在するカード1枚につき相手ライフに300ポイントダメージを与える事ができる。
また、相手が魔法・罠カードをセットした時、相手ライフに300ポイントダメージを与える。




シルクハットに髑髏のステッキ。奇術師のような格好をした悪魔。見たこともないシンクロモンスターだ。
シンクロモンスター自体、そう出回っているわけじゃないけど・・・。


「カードを1枚伏せて、ターンエンドですことよ!」



風森無々:LP4700、手札6
場:モリンフェン様(攻1950)、モリンフェン様(攻1950)、モリンフェン様(攻1950)、モリンフェン様(攻1950)

殺霧敷衍:LP8000、手札3
場:ブラッド・メフィスト(攻2800)
場:伏せ×1




「僕のターン、ドロー! スタンバイフェイズに―――」

能力を発動しようとして、僕は気付いた。
ここで能力を発動すれば、《モリンフェン》様の攻撃力2300分のダメージを受ける。
更に、《ブラッド・メフィスト》によるダメージ1500で、僕のライフは残り900・・・だけど、攻撃力2300では・・・



詰んでいる。



・・・・・・
・・・・・・・・・

・・・くそっ



風森無々:LP4700→3500→1950


「此方のターン、《モリンフェン》さんを生贄に、《偉大魔獣ガーゼット》を召喚。攻撃ですことよ。」


《モリンフェン》 (破壊)

風森無々:LP1950→1200



「メフィストで攻撃。」


《モリンフェン》 (破壊)

風森無々:LP1200→550



成す術なく《モリンフェン》さまが破壊されていく。

とても、とても・・・・・・とても悲しい、ものだ。


「スタンバイフェイズにメフィストの効果を発動ですことよ。」


せめて《モリンフェン》様に葬ってもらおう。

僕はデュエリスト能力を発動し、残り僅かなライフをモリンフェン様へ捧げた。


風森無々:LP550→0



「僕は・・・モリンフェン様への愛が・・・足りなかったのか・・・・・・!」

がっくりと膝をついて、僕は泣いていた。

「いいえ、貴方の愛は素晴らしいものですことよ。まさに最愛のモリンフェン使いと言えるでしょう。ですが・・・」

殺霧さんは、カードを束ねると、きっぱりと告げた。



「此方は最愛のモリンフェン使いではなく、最強のモリンフェン使いを目指しています。」



最愛ではなく、最強。
そうか、それが殺霧さんの歩む道。

・・・勝てなかった。


今日は・・・、「勝てないわけだ」とは、今日は言わない。

最近の僕は、弛んでいたんだ。
比呂子ちゃんに下心を抱いて、漫然と日々を過ごしていた。
その間にも殺霧さんは、モリンフェン様への敬愛を欠かさず、“最強”という答を導き出していた。

だけど、この悔しさがある限り、僕は忘れない。弛まない。
モリンフェン様への敬愛を忘れず、比呂子ちゃんに対しても誠実であろう。
それでこそ僕の、傲慢と怠惰、強欲と嫉妬、そして色欲の罪は清められるのだ。



◆ ◆ ◆



「おう、見てたぜフェン。流石じゃねーか。」

学ランに赤シャツという出で立ちで、一寸日獲斗がニヤニヤ笑っていた。
殺霧敷衍は、フッと笑みを返す。

「大好き倶楽部の一員として、同類には負けるわけにはいかないですことよ。」
「おうおう、可愛いね。食べちゃいてー。」
「まったく、馴れ馴れしいですことよ、一寸日。」
「は、そんなこと言っちゃって、オレのこと好きだろ?」
「貴方なんか好きじゃありません。たとえ好きでも、モリンフェンさんの次に、ですことよ。」
「へぇー、ほぉー。」
「何ですこと、ニヤニヤして。」
「いーや、オレってば愛されてるなーって。」
「馬鹿なこと言ってないで、さっさと行ったらどうですこと? 次は貴方の番ですことよ。」
「はーいはい、せいぜい頑張ってきますよーだ。愛してるよ姫。」
「ばっ・・・馬鹿も大概にするですことよ!」
「へ、顔赤いぜ。」

一寸日はニヤニヤ笑いながら、控え室を出て行った。
それを見送って、殺霧は首を振って溜息をつく。

「まったく・・・あれさえ無ければいいのですことに。」
「うふ、ふふ、そうかしら?」

南城が意味ありげに笑う。
いつもながら大人びている雰囲気だ。

「そうですことよ! いつもいつもパフェで誤魔化されて・・・まったくもう。」
「あの、でも、実力は確かですし、いい人じゃないですか。」

小柄で丸顔の少女が、微笑みながらフォローする。

「そうですよ。大好き倶楽部の設立のときだって、協力してくれたじゃないですか。」

エルフのような少女も続けてフォロー。
流石に殺霧も、天邪鬼ではいられない。

「ま、まあね。モリンフェン大好き倶楽部は―――



◆ ◆ ◆



熊井次郎:LP9000、手札2
場:ビッグバンガール(1300)
場:魔法吸収(永続魔法)、伏せ×1

一寸日獲斗:LP6500、手札5
場:モリンフェン(攻1750)、モリンフェン(攻1750)、モリンフェン(攻1750)
場:




「これがオレのレベル3能力“猛臨飛燕”(モリンフェン)・・・1ターンに1度、自分の手札・デッキ・墓地・除外ゾーンから、《モリンフェン》ちゃんを可能な限り特殊召喚できるってわけだぜ! はっはあ!」







   つづく

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「全世界のモリンフェミニストは230万人もいるのか」
ゴリーレッド「ヒロピンファンの100倍か」
コング「待て。何でヒロピンファンが23000人なんだ。現実から目をそらすな」
火剣「ムーみたいなデュエリストが230万人もいるのか」
コング「ムーほどのモリンフェン愛は稀では」
ゴリーレッド「愛というより崇拝」
火剣「あそばされるという言葉づかいだからな」
コング「比呂子をもてあそぶ?」
ゴリーレッド「浴びせ蹴り!」
コング「NO!」
火剣「ムー、頼もしい、逞しいと思ったら反撃されたか」
ゴリーレッド「愛が足りないということはない」
コング「最愛ではなく最強か。一理ある」
火剣「比呂子への下心が敗因か?」
コング「独身同士だから下心ではない。正々堂々と向き合えばいい。♪はだかのー、胸と胸をあわせてー」
火剣「ブーツを脱いで朝食をか」
コング「下着を脱いでデュエルを」
火剣「一寸日獲斗は殺霧のファンか?」
コング「モリンフェミニストは意外に多いのか」
ゴリーレッド「230万人だからな」
コング「ヒロピンファンの約10分の1か」
ゴリーレッド「2300万人もいたら女性は海へ行けない」
火剣「スリルを訪ねて三千里のM子は砂浜でモンローウォーク」
コング「♪爪先立てーて海へーモンローウォーク・・・」
ゴリーレッド「月に住みたいと?」
コング「言ってません」
火剣「バトルだけじゃなくそれぞれの恋愛事情も気になる」
コング「一寸日獲斗と殺霧敷衍を個室に閉じ込めたい。ぐひひひ」
火剣獣三郎
2015/06/01 23:22
>火剣さん
全世界の3千人に1人はモリンフェン使い! そんな世界です。
その全てがデュエリスト能力者ではないですが、それぞれが愛を持っているはず?
惜しくも敗れた無々ですが、比呂子との仲も気になるところですね。

八武「愛先生をもてあそぶはず?」
山田「耳鼻科へ。」
佐久間「3百人に1人はヒロピンファンか。しかし日本に1千万人いることを考えると、世界に5億人いてもおかしくない。」
山田「その計算は前提が間違っている。」
八武「いえいえ、控え目な数値でございます。」
山田「どこの軍師かっ。」
佐久間「海どころか山へ行っても危険いっぱい。」
八武「いっぱい! おっぱい! ぼく元気!」
佐久間「昔の唄にもあるだろう。海行かば水着美女、山行かば輪姦学校。」
維澄「相変わらず酷い替え歌を作るね・・。」
佐久間「まだまだ上の口だ。おっと、序の口だ。」
山田「最低だ・・・。」
神邪「僕の知り合いにもモリンフェン使いがいますが、1人だけです。このあたりは密集区ですね。」
佐久間「まあ、人類皆デュエリストとまでは行ってない現状だからな。デュエリストが集まれば、モリンフェン使いの集まる確率も高くなるのは必然だ。」
山田「それでも多いような・・。同類が集まるということか。」
佐久間「界隈の比率を当てはめれば、人類の大半がヒロピン愛好家ということになるからな。」
山田「とんでもない世界だ!」
佐久間「飛んでもないなら、歩けばいい。このヒロピンロードをウォーキング。」
アッキー
2015/06/01 23:50

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