佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘航海   Game Time 〜孤立無援! Cデュエル!〜

<<   作成日時 : 2015/07/28 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



気分は不快だった。

クラスメートの竜堂真夜(まや)を見ながら、大河柾は苛立っていた。小学生の苛立ちは嫌悪感にも似ている。
青白い肌に、貧相な肉体。決して男に媚びることはないが、さりとて神秘性や小悪魔的な魅力も無い。
女という生き物から、女らしさを抜いたような存在。つまらなそうな顔をしている。
大河柾は、自他ともに認める女好きだ。だからこそ苛立つのだろうか。
豊かな胸や、くびれた腰。甘い香り、微笑み。男の子には内緒にしたい、乙女心。全て魅力的だ。
そうしたものが、この不愉快なクラスメートからは感じられない。
自分を嫌な奴だとは思いながら、しかし大河柾は苛立ちを収めることが出来ない、子供だった。
敬愛する祖母から、女の子に向かって悪口を言ってはいけないと、厳しく躾けられている。
容姿や体つきを嘲ったり、からかったり、揶揄したりする男は最低だと。
だから今まで、そうした言葉を吐いたことはない。受け取り方によっては、からかいや揶揄になってしまうようなことを言ってしまったことはあるが、嫌悪を吐き散らしたことはない。そんな浅慮ではない。
しかし、息苦しい。どちらかと言えば整った容姿であろう彼女は、かえって気味悪い。何故だろう。
面白味の無い、人形未満の人間。魂の抜けた、肉の塊。ベーコンが椅子に座っている。
それがシュールを通り越して、不快だった。
生肉が転がっていたら、眉を顰めずにはいられない。
苛々する。



- - - - - -



「・・・・・・ぁあ。」

何とも言いがたい気分で、竜堂神邪は目が覚めた。

見ていたのは、単なる夢ではないだろう。
平行世界か、前の世界かは定かではないが、実際あったことには違いない。
「世界を小説のように読める」“ブック・オブ・ザ・ワールド”が、空中で不気味にページを見せつけていた。
この本にも意思があるのだろうかと、時々思う。

何とも言いがたい、というのは、不快だと即断できないという意味でもある。
薄情だが、どうせ他の世界のことでしかない。
その世界の自分と、ここにいる自分は違う。柾も違う。同姓同名の別人に過ぎない。

男と女の肉体を持つ神邪は、女の肉体で学校に通っていた世界もあるのだろう。
あるいは、その世界で自分は男の肉体を持っていないのかもしれない。
いずれにしても、ここにいる自分には関係ない。
知ってしまったからには、思うところは無いでもないが、むしろ良い方に考えることも出来る。

男のときは嫌悪を吐き散らし、女になった途端すり寄ってくるような屑でなくて良かった。
たとえパラレルワールドか夢であっても、自分の親友は、“自分”を見てくれているのだ。
浅い考えでレッテルを貼り、嫌悪を吐き散らす連中は、自分の本質を言い当てているかもしれないが、決して本質が見えているわけではない。あの程度のことは、目を瞑っていても誰にでもわかる。
わかりきっていることを、嫌悪と共に得意気に話してくる連中は、幼稚すぎて論外の外だ。

自分にさえ見えてないものを見せてくれる者は、本当に少ない。
見えるけど、見えないもの。それの意味は、何となくわかる。
嫌悪をぶつけることしか知らない頓珍漢には一生わからないことだろうし、そんな連中の相手をしている間は、自分もわからなくなっているのだろう。
大魔術師ラッセルは、対象の全てを理解した気になってレッテル貼りをすることを最悪だと言うが、それ自体がレッテル貼りをする連中をレッテル貼りしているように、くだらない連中の相手をしていると、自分も落ちる。

今の状況は、どうだろう?
この船は快適だ。密輸している麻薬や兵器は、どこかで人を廃人にしたり死に至らしめているのだろうが、そんなことは、大した問題ではないように思える。
言葉で人の心を抉り、死に至らしめ、それを知らない連中が多い社会で。
それを知っても、少し青くなるだけで反省した気になって、元通りに不愉快な言動を撒き散らす奴らが多い社会で。
この船の何が問題なのだろうか?
核兵器や軍備による抑止論に与しないのは、それが幼稚な欺瞞だからであって、“ワルイコト”だからではない。
わかりやすく“ワルイコト”であるなら賛成したかもしれない。少なくとも非難しない可能性は高い。
偉そうに居丈高に振舞っておきながら、平和の為と欺瞞の旗を掲げるから屑なのだ。周りに鏡が無いと見える。

勉強は好きだし、社会科の勉強も好きだが、“社会勉強”は嫌いだ。
デュエルモンスターズの決闘法則は、愚者の吹き溜まりほど薄くなってしまう。
かつて麗子さんも、決闘契約を無視しようとする輩と対決したことがあるという。
そうした連中は、何もカードショップだけに出没するわけではない。
デュエルもせずに、相手を貶める言葉しか出てこない生ゴミは、至るところにいる。
相手を安く見積もり、何の根拠もなく格下だと確信し、無神経な言葉を吐き連ねる。
うんざりするほどに、幼い頃から長いこと、周囲に大勢いるわいるわ。

今はどうだろう?
この船は、どうだろう?

決して自分のことを好きな人は多くないだろうけれど、しかし概ね、紳士淑女の集まりだ。
非合法だらけの裏カジノだが、ある意味ここは精神的に清潔だ。過ごしやすい。
ギャシュリー・クラムは狂人だが、普通という地獄よりは、遥かに正気なのだろう。
途中式に、どれほど大きな狂気があっても、結果がゼロなら正気。
自分やギャシュリーのような、ささやかな狂気が、クローズアップされる。
あはは、ははは、お笑い種だ。今の自分は機嫌が良い方だ。
こんな程度では、自分の最大狂気にすら、遠く及ばない。

気分は愉快だった。



◆ ◆ ◆



「おや、マサキ。怪我したのか?」

戻ってきたマサキは、左手の甲に赤いものを滲ませていた。
筋肉質の逞しい手だなァと、呑気な感想を抱きながら、僕は彼の手を取った。
あんな夢を見たせいか、どうもセクシャルに意識してしまって困る。

「さっき船が大きく揺れただろ。それで転んだ拍子に、ざらざらの壁でな。」

なますにされたわけか。そりゃ痛そうだ・・・といっても、マサキは両腕を斬られたこともあるわけだが。
精神的にはともかく、肉体的には痛覚の鈍い僕にとって、マサキの痛みを共感できることはないのだろう。
それは寂しいことなのか、金子みすず理論を適用させるべきことなのかは、まあ置いといて・・・。

「・・・・・・。」
「おい・・・?」

山本山太ではないが、"何となく”僕は、マサキの傷口に舌を這わせた。
しょっぱい味がする・・・わけでもなく、闇の瘴気に食われた脳髄は、味を認識しない。

「あァ、悪い。味がするかなァと思ったけど、やっぱり無味無臭だ。逆刻、逆刻。」

傷口の時間を巻き戻すことで、元通りにする。
こんな風に心の傷も治せればいいのだけど、肉体の傷を治せるだけでも贅沢というものだろうな。

「・・・やっぱ、食べれねえってのは、つらいのか?」
「そういうわけでは・・・いや、そうなのかな? 僕自身よくわからないけど、食欲が無いというのが異常なのは、意識せざるを得ないからね。」

飲まず食わずで生きていける。
それは便利であっても異常なのだろう。

「七つの大罪は、多すぎると軋みを生じるけど、人間を構成するに不可欠な、心のビタミンでもある。“暴食”が欠落してるというのは、人として欠落しているんだろうね・・・いや、自虐的な意味じゃないよ。何となく思ったのさ。」

おそらくマサキも、“怠惰”が欠落している。
動いてないと気が済まない。平穏が性に合わない。
休息を嫌う。眠りが浅く、時間も短い。

双夢現は、“憤怒”が欠落していると、自分を分析していた。
ああいう性格なら、楽かもしれない。楽しいかどうかは知らないが。

凜堂涼香に欠落しているのは“色欲”だろうか。
まだ情緒は子供のままに見える。だからこそ強い。

浜百合氷澄は、意外と“嫉妬”する場面が見当たらない。
僕のことを嫌いなんだろうが、しかし僻みったらしい態度は無いのだ。新鮮だ。

オーダー・メニーは、“傲慢”さを欠いているように思う。
失くしたのか捨てたのかは定かではないが・・・。

そして、ギャシュリー・クラム。“強欲”が欠落した男。
猟奇殺人鬼だが、生活は質素そのものだと聞いている。
しかし本質は、謙虚や質素ではなく、強欲より厄介な“歪んだ無欲”だ。

こういう思考もレッテル貼りなのかもしれないが、決め付けではなくアレコレ想像してみることは、許されるだろう。
マサキも眠らないわけではないし、双夢くんも怒ることもあるだろう。僕も魂を食らう。

「また何か難しいことでも考えてたんじゃねえのか?」
「この船が、ある意味で理想郷かもしれないとは考えていた。」
「理想郷か・・・。首都でヒノエも言ってたな。ここは自分の居場所だって。」
「なるほど”居場所”か、上手いこと言うなァ。確かに“理想”ではないからね。」
「まあ、何を理想とするかにもよるんだろうが、俺やシンヤにとっては過ごしやすい場所だよな・・・。」
「それを潰して回ってるんだから、何だか矛盾してるよね。」
「・・・・・・。カンサーが、“悪い奴”で・・・俺たちが正義の味方だったら、良かったんだろうけどな。」

僕は何も言えなかった。唇を噛んで肩を竦めた。
マサキが言葉通りに良いとは、決して思ってないことを察しながら、黙っていた。

「シンヤに酷ぇことした奴らは、知ったこっちゃねえ。だが、居場所を求めてやって来た奴らを、再び放り出して知らん顔ってぇ・・・そういう、ことなんだよな。」
「見当違いの叱咤激励や、偉そうな口を利いて尻を叩くよりかは、だいぶマシだと思うけどね?」

こんなことしか言えない。僕も大概、憎まれ口から生まれついている。
迫害してきた連中を想定して言ってるのだが、自意識過剰な馬鹿が食ってかかってこないか心配だ。
真理は常に具体的なのだから、叱咤激励が必ずしも悪いとは限らないし、良い場合も多いだろう。
まあ、こんなことを言ってると、僕を迫害した連中がいい気になりそうで胸糞悪いが・・・。

「ごめんねマサキ・・・。」
「何で謝る?」
「僕ひとりで戦うべき矛盾を、マサキにも背負わせてしまったと思ってね。」
「はっ、勘違いすんなよ。俺は感謝してるんだぜ? 少なくとも、何にも背負ってねぇ人間には、なりたくねぇんだ。」

マサキの優しさは、荷物を背負うことを厭わない強さと、源泉を共にしてるんだね。
背負った荷物の重さを知っている人は、動けない人にも手を差し伸べてくれるんだ。
ならば僕としては、頑張って立ち上がらずにはいられないではないか。

「氷澄との約束だ。RARデュエルは俺が出る。」
「それなら僕は、Cデュエルだね。」
「あの2人にKTデュエルに挑ませるのは、不安なんだがな・・・。ははっ、俺の悪いクセだ。かっこつけといて、心配ばかりしちまうんだ。」
「それは優しいんだと思うけどね。」
「優しけりゃ、止めるよ。やっぱ俺も、カード・キーを手に入れるチャンスだって思ったんだな。35億のDMを出したのも、慈善なんかじゃねー、確実に“競りに勝つ”為だしな。」
「それも行き過ぎると偽悪になるから、程々にしときなよ。」
「お前の真似だよ。」
「えっ?」
「クックック。」

からかわれたのかな? マサキが元気で何よりだけど・・・。
ともかく、順調に行けば、今日中にも全てのカード・キーが揃う。
集束する結末に向かって、準備を整えておこうか。



◆ ◆ ◆



Cデュエルの“C”は、Constructionの頭文字だ。
すなわち、構築。

「うふ、うふ、うふふふふふふ。ようこそ“邪神様”(マガイモノ)?」

カールした栗色の髪に、柔らかな笑顔。
衣装はバニーガールだが、れっきとしたディーラーだ。

「南城暦・・・いや、弓堂らむねと呼ぼうか?」
「うふ、ふふふ、お好きにどうぞ。」

笑ってるけど、目が笑ってない。やはり僕に本名を呼ばれるのは嫌なんだろうな。
まあ、柔らかい顔で平然と毒を吐いてくる相手に、謙ることもない。お言葉に甘えさせてもらおう。

「ではラムネちゃん、早速カード・キーを賭けて、Cデュエルを挑みたい。」
「うふふふふ、それは何かの冗談で?」
「ところが冗談じゃないのさ。このゲームが僕向きでないのは承知してるけどね。」

何しろ僕自身がデュエルするわけじゃない。
もう気付いていると思うけど、このゲームはデッキ構築力の勝負だ。
ディーラーとプレイヤーが、それぞれ船内からデュエリストを1人ずつ選び、デッキを持たせて戦わせる。



<Cデュエルのルール>

・ディーラーとプレイヤーは、3時間以内に、乗客からデュエリストを1名ずつ連れてくる。
・ただし、デュエルで交わした契約で連れてくることは出来ない。
・お互いに、相手の選択を妨害するような行為をしてはならない。
・連れてくる対戦者は、レベル2以下のデュエリスト能力者でなければならない。
・ディーラーとプレイヤーは1時間以内に、それぞれ40枚のカードで、選んだデュエリストにデッキを構築する。
・デュエルはマスタールールによる対戦で、シングルマッチ。
・対戦者以外からの手出し、口出しなど、デュエルへの干渉は不可。
・ディーラー側が敗北した場合、カード・キーを渡す。
・プレイヤー側が敗北した場合、プレイヤーは死ぬ。(対戦者には罰則なし)




対戦者は乗客なので、デッキに入れていいのはオフィシャル・カードのみだ。
通常のデッキ構築力だけでなく、能力を活かせるデッキを作らなければならない。
レベル2ともなれば、見城薫のように、カードとの組み合わせによって高い殺傷力を発揮するものもある。
ただ強いデッキを作るだけでは、レベル2能力と最適なデッキのコンボに打ち勝つのは、困難なことだ。

しかし、このゲームを困難にしている最大のファクターは、その前段階にある。
能力デュエリストを連れてくることが、そもそも簡単じゃない。能力者でなくても困難であることに変わりはない。
なぜ難しいのかわからないという人は、さぞかしコミュニケーション能力に長けているのだろう。羨ましい限りだ。

とはいえ、必要ならば、難しくても試みるべきだ。
不必要なことであれば、簡単でもやりたくないけどね。

そう、ここは学校じゃない。もはや僕も子供でいるわけにはいかない。
自分から勇気を持ってコミュニケーションを!



- - - - - -



・・・なーんて、気合だけで上手くいくようなら、そもそも嫌われてないって。
頑張ったけれど、やっぱり駄目でしたと。そんなことを確認しましたとさ。

3時間前の前向きな決心もどこへやら、僕は腐っていた。
乗客に声をかけていくも、逃げられるわ無視されるわ、ろくな結果にならない。
レベル2以下の能力者という条件は、僕の絶対能力で何とかなるんだが、やはり最初のハードルが高い。
3時間も短いくらいだ。いや、長くても関係ないか。

こうなれば、あまり気は進まないが、最後の手段を使うか・・・。



◆ ◆ ◆



「ギリギリセーフ! 連れてきたよ。」

相変わらず笑っているのかどうか不明な顔で、神邪は1人の少女を連れてきた。
その少女は、顔面に青痣を作っていて、服はボロボロ目は虚ろ、スカートの下からは白い液体が脚を伝って、全身から匂いを放っていた。

弓堂らむねは、やや辟易した様子で肩を竦める。
見慣れた光景ではあるので、心が萎縮することはないが、しかし何も感じないほどマシーンでもない。

「いやあ、デュエルの契約で連れて来れない制約が、思いのほか厳しくてね。」

神邪は頭を掻きながら、へらへらと笑う。

「とりあえずデュエルに勝利して、たっぷりレイプし、僕の言いなりにしたんだ。ルール違反じゃないよね?」

「うふふ、ルール違反ではないですが、それで勝てるつもりですか?」

「最善は尽くしているつもりだよ。この子、えーと名前なんていったっけ、どうでもいいか、この子の精神に進入して、心の部屋の"模様替え”を行い、デュエルに最適な精神状態を構築したのさ。」

「・・・・・・。」

「ああ、レイプしたのは心を弱らせる為だよ。契約を結べない以上、デュエルで勝利しただけでは心に進入するのは難しいと思ったからね。」

悪びれもせずに、神邪は説明をしていく。

「デュエルに関すること以外は、感情も記憶も、何もかも消去した。デュエリスト能力が残っていて、デュエルできれば、後はどうでもいい。ルール違反じゃないよね?」

「ルール違反ではないわ。これから1時間で、デッキを構築します。」



- - - - - -



1時間後。

神邪は少女にデッキを渡すと、その場から立ち去ろうとした。
らむねが呼び止める。

「どこへ行くの?」

「もう僕の役目は終わったからね。時間は無駄に出来ないから、決着ついた頃に戻ってくるよ。」

少女を散々に蹂躙して人形にした挙句、そのデュエルを見届けることもしないという。
らむねも流石に一言物申さずにはいられなかった。

「罪悪感は覚えないの?」

「その子が僕の頼みを断ったせいで、3時間も無駄にしたんだから、むしろ不愉快だけど・・・?」

神邪は首をかしげ、欠伸をして去っていった。
わかっているのだろうか。このデュエルに負けたら、死ぬのは神邪なのだ。

(絶対に勝つという確信でもあるの?)

しかし外側からデュエルに干渉することはルールで禁じられている。ダンジョンからの報告で、どうやら彼は、自分がデュエルしてないときでも能力を発動できるらしいが、それも封じてあるのだ。

なので脅威は感じないのだが、それはそれとして疑問はある。
かつてデュエルモンスターズの神は、デュエルの外側から中和アイテムを破壊することで、デュエル展開を覆したことがあるというが、神邪は邪神よろしく神に近しい力を持っているというのだろうか。

(ふふ、謎は謎のままでいいか。下手に突いても、大怪我をするだけ。リスクは好きだけど、リスクしかないのは好きじゃないわね・・・。)


「「デュエル!」」





デュエルは一瞬で終わった。





「は・・・・・・・・・・・・?」

らむねは意味がわからず、ぽかんとしていた。
自分の連れてきたプレイヤーが、ライフ0になって敗北している。

「え・・・・・・・・・・・・?」

そして、神邪の連れてきた少女が、クスクス笑い出した。
虚ろだった目つきは、どんみりと濁った虚無の色になり、体の傷は瞬く間に元通り。

「やあ、らむねさん。無事、作戦成功だよ。カード・キーを渡してもらおうか?」

「な・・・・・・・・・・・・!?」

「僕だよ、竜堂神邪だよ。いや、竜堂真夜と名乗ろうか?」

少女はデュエルリングを降りてきて、愛らしい顔立ちでせせら笑う。

「ネタばらしというほどでもないんだけど。」

脚についた液体をハンカチで拭きながら、真夜は床に腰を下ろす。

「僕の絶対能力は進法を変えられる。レベル6は2進法で110だから、それをシフトして010・・・つまりレベル2にしてデュエルに挑んだ。そして能力を解除して、レベルは元に戻る。あとは言わずもがな、ライフ8000も2進法では1と0の塊だから、シフトすれば0にすることも出来る。僕も乗客だから、ルール違反じゃないよね?」

確かに、その報告はダンジョンから来ていた。
だが、解せないのは別のことだ。

「いつ、摩り替わったのです? そんなタイミングがあったとは・・・」

「摩り替わったわけじゃない。どちらも僕だ。体は2つ、心は1つ。それが僕という生き物なのさ。」

「・・・!? インターセックス(半陰陽)ではなかったのですか・・・。」

「あ、そういう認識だったんだ。別に間違ってはいないけどね。ともかく、カード・キーを貰おうか。」

「・・・ふふ、わかりました。」

このとき神邪、もとい真夜は、重大な計算違いをしていた。
彼女は自分のミスに気付いていなかった。

カード・キーを受け取った後で、ようやく彼女は自分の犯した取り返しのつかない失態を悟った。





「シンヤ・・・・・・・・・?」





呆然とした顔の親友が、そこにいた。










◆ ◆ ◆



●Gカード
難易度:★
ディーラー:明るい顔の猫(オーダー・メニー)

●ワン・デュエル
難易度:★★
ディーラー:剣呑な胡蝶(双夢現)

●EXデュエル
難易度:★★★
ディーラー:死を運ぶ鳥(浜百合氷澄)

●Qカード
難易度:★★★
ディーラー:死を運ぶ鳥(浜百合氷澄)

●Cデュエル
難易度:★★★★
ディーラー:無貌の蜩(弓堂らむね)

◎RARデュエル
難易度:★★★★
ディーラー:柔和な賢者(???)

◎KTデュエル
難易度:★★★★
ディーラー:亡霊船長(ギャシュリー・クラム)



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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「決闘後悔か」
火剣「ある意味その漢字で合ってるのか」
コング「公開処刑も好きだが」
火剣「女らしさか。男がこれを求めるのは仕方のないことだ、本能だからな」
コング「豊かな胸、くびれた腰、甘い香り、乙女心、微笑み」
ゴリーレッド「でも露骨なのは女性を傷つけるかもしれない」
火剣「美人を美しいと褒めるのは良いことだと思うが、不細工だの侮辱の言葉を口に出すのは最低の男だ」
ゴリーレッド「愚者を相手にしていると自分まで落ちる」
火剣「普通という地獄か。一人ぼっちの孤独には自由があるが、家族も友人もたくさんいるのに孤独感を感じるのは辛い」
コング「逆刻で心の傷は治せないのか」
火剣「涼香は色欲が欠落している?」
コング「僕は欲望が強過ぎて常に満たされない」
ゴリーレッド「危ないな」
コング「興奮を求めて三千里。毎日が満月」
火剣「何も背負っていない人間にはなりたくないか」
コング「ところで弓堂らむねは死ぬのか?」
火剣「神邪はそういうことなのか?」
コング「マサキは神邪のことをどこまで知っているんだ?」
ゴリーレッド「とりあえず本当に罪のない少女を犯して連れて来たのではないことを知りホッとした」
火剣「そこなのか?」
コング「Cデュエルは危険だ」
火剣獣三郎
2015/07/28 16:45
コング「いつも頑張っている稀代の英雄、次代のエースである神邪に、19歳の美乳をプレゼントしよう」
ゴリーレッド「また怪しいサイトか?」
コング「怪しくない。fc2という健全なサイトだ」
火剣「健全なのか」
コング「健全だがケチだ。非会員は1日に数回しか見ることができない」
火剣「そりゃあ商売だからな。いい場面でいきなりここから先は有料会員のみ視聴はよくあるパターンだ」
コング「せちがらない世の中だ」
ゴリーレッド「せちがらくはない」
コング「秘密のURLはこれだ! 

http://video.fc2.com/ja/a/content/20150122NxgrCNCR/   

火剣「自動的に消去されるのか?」
コング「スパイ大作戦ではあるまいし無理だ」
火剣「八武医者も還暦。後継者育成は大事だ」
ゴリーレッド「ほかの道もあると思うが」
コング「ここが神邪の居場所だ。ちなみにこの子は普通の女優。普通の女優がバストトップを出すその女優魂に感動を禁じ得ない。本気で応援したくなる」
火剣「裸OKの根性のある若手女優が増えた。素晴らしい傾向だ。表現の自由の規制はあってはならないことだ」
コング「神邪も女優も、みんなで次代の後継者を見守り、応援し、育てようではないか! カンラカンラ」
火剣「3分48秒のヒロピンシーンか」
コング「裸体にナイフを滑らせるのは夜月実だけではなかったか、ぐひひひ、妄想力が刺激されるシーンだ!」

コング
2015/07/28 17:10
>火剣さん
なるべく褒め言葉を多く発して生きていきたいものです。褒めることによって、少しだけ相手の気持ちを背負う。重すぎず軽すぎずが理想です。
ちなみに弓堂らむねは、ディーラー側なので死にません。ワン・デュエルのときは、危うく双夢現は処刑されかけましたが・・。

八武「処女航海と聞くと興奮するよね!」
山田「殴られたいか?」
佐久間「航海は、後悔や公開とかかっている。あられもない姿を親友に公開した神邪は、後悔することに!」
維澄「ドキドキ。」
八武「しかし見事なトリックだった。」
山田「それは確かにな。まさか罪の無い少女を・・・と思ったが、誰も傷つけない冴えたやり方。」
八武「そして美少女がボロボロの服に白い液体。見事な事後。」
山田「おい。」
佐久間「だからこそ欺けた。」
維澄「これを見てマサキは、どう思うかな?」
佐久間「楽しそうですね栞さん。」
維澄「私も大概、普通ではないということ。」
佐久間「そう言えば、栞も怠惰が欠落したようなタイプか。」
八武「私は怒りが欠落してるのかねぃ。」
山田「そうでもないだろ。怒ったときの死根也はマジで恐い。」
八武「山田くんの暴力の方が恐いと思わないかね?」
山田「普段ニコニコしてる奴が怒ると、本当に恐いんだって。」
佐久間「ニコニコというよりニヤニヤだけどな。」
維澄「私も親友同士の対面にニヤニヤ。」
アッキー
2015/07/28 23:03
>コングさん
英雄への道を歩む(?)神邪に、サプライズプレゼント!
強気な態度を崩さない少女に、ラップ口調で言葉責め。これは色々と参考になりそう?

八武「良いね良いね、神邪くんが戻ってきてから再び視聴しよう!」
山田「健全な青少年を魔の道へ誘うか?」
佐久間「これは健全な動画だ。コングも言ってる。」
山田「健全の基準がカンストした意見だな。」
佐久間「褒め言葉だ。」
八武「まず強気な態度、これが重要。そして屈強な男に捕まり、締められてしまう。」
山田「その時点で健全に聞こえない。」
八武「ナイフを肌に伝わせながら、狂気を感じる言葉責め。イイね、実にイイ!」
維澄「あれは恐い。恐いのにテンポがいい。」
佐久間「サスペンスの中にもコミカルを。これは創作に役立つことだ。」
山田「維澄さんのおかげで真面目な話に。」
佐久間「レッド・ドラゴンでも、狂気のダンスがあるが、意味はわからなくても印象に残る。これ大事。」
八武「そして肉体美を公開するサービス精神、これ大事!」
山田「後悔しなければいいが。」
八武「やらずに後悔するより、やって後悔する方がいいじゃないか。」
佐久間「規制を強める連中を喜ばせるか、頑張ってる人々を喜ばせるか、どっちがいいかという話だ。」
山田「ふーむ。」
維澄「やっぱり裸体は女の子の方が好きかな。いやらしい意味でなく。」
佐久間「お前が言うと説得力あるな。」
アッキー
2015/07/28 23:23

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