佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 決闘倶楽部   インターローグ 比良の都

<<   作成日時 : 2015/08/02 00:00   >>

ガッツ(がんばれ!) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 2

◆ ◆ ◆



13年前、栗間都は1人の少女に出会った。

まだ4歳。
男とか、女とか、意識しない頃。

13年前、平野立夏は1人の少年に出会った。

まだ4歳。
自分の体に疑問を持たなかった頃。


『ボクはミヤコ。よろしくね、リッカちゃん。』
『こちらこそよろしく、おねがいします。』

顔を赤らめて、立夏は頷いた。
このとき自分が抱いた感情の、呼び名を知るのは、何年も後のことだった。


『リッカ・・・もうボクにはリッカしかいないんだ・・・!』
『これからは2人だけで生きていこうね、ミヤコ・・・!』

ませた子供だったように思う。
駆け落ちごっこ。他愛無い、子供の遊び。
けれど未来に真実となる、真剣なものだった。



- - - - - -



栗間都は、自分は薄情な人間だと思っている。
いっとう好きなもの以外は、基本どうでもいい。そんな人間だ。

倶楽部のメンバーを蔑ろにしているわけではない。
そちらに関することではなく、両親のことだ。

立夏は旧家の出身であり、許婚が決まっていた。
すると当然ながら、彼女に近しい異性がいることは望まれない。
都の両親は平野家からカネを貰い、都を立夏から引き離そうとした。
強硬策を取ったことは少ないが、何かにつけて言葉や態度に顕れるので、うんざりする。
もともと両親のことは、あまり好きではなかったが、じわじわと嫌いになっていった。

Mr.デストロイ、トニー・ベネディクト、ハッチ・シモッチ。
この3名が刺客として送られてきたのを撃退して、間もない頃。

都の両親は病死した。

正直なところ、何の感情も湧いてこなかった。どうでもよかった。
そんな自分を冷たいとは思ったが、すぐに意識が他へ向いた。
立夏のこと、そして設立したばかりのデュエルモンスターズ倶楽部のこと。

嬉しい意味で意外だったのは、倶楽部も自分にとって大事なものになっていることだった。
もちろん立夏は別だし、比べようがないが、いっとう大事なものに含まれていたのだ。

いっとう大切なものは、ひとつでなくていい。
好きなものが増えたら、世界は捨てたものじゃない。

以前なら、こんなことは考えなかった。もっと冷めていた。
いつから温かくなっていたのか。心を取り戻した案山子のように、いつの間にか心臓が動いていた。
倶楽部のメンバー、とりわけ風森の、ひたむきで前向きな姿勢に、感化されたのかもしれない。



- - - - - -



立夏が自分の体について悩むようになったのは、小学生になった頃だった。
自分の肉体は、普通とは違う。女の子なのに、おちんちんがついている。
そのことを、幼い頃は疑問に思わなかった。都とも普通に遊んでいた。

学校とは、嫌なものだと立夏は思った。
“普通”を意識させ、“普通でない”ことを意識させる。普通と違うことが、病気であるかのように言われる。
きっと、言ってる側に悪意など無いのだろう。自分が言ってることの意味も、わかってないのだろう。
賑やかなクラスに馴染めないのは“異常者”で、“病人”で、それを“矯正”し“治療”するのが“良い教師”なのだ。

暗い暗い女の子だった。
あれほど仲の良かった都とも、次第に距離を置くようになっていた。それを親たちは喜んでいた。

賑やかなクラスは地獄だった。
人気者の生徒は干渉してくる。
やり手の教師は笑いながら肩を叩く。
そんなことで、吐き気がする。
「やめろ」と言えない。言ったら自分が悪くなるだけ。
誰も悪くないから、息苦しくて仕方ない。

笑っていても、楽しくない。
楽しくなくても、笑えてしまう。

集団に馴染めないのは病気ですか?
賑やかなのが苦手なのは異常ですか?
もうたくさんだ、“社会勉強”なんて。
そんなこと言う大人は死んでしまえ。

死んだ魚のような、濁った目つきの女の子だった。
都の後ろに隠れたかった。

自分から都を遠ざけたくせに。勝手な女。



- - - - - -



『リッカ、どうしてボクを避けてるの?』

そのときの都は、以前とは雰囲気が違っていた。
端的に言えば、恐かった。

『なあ、聞けよ。』

壁に手をつけて、背の伸びた都は、ギラギラした目で立夏を見つめた。
それは男の目だった。男の子ではなく、男。

『オレが何か気に障ることしたか? 言ってくれよ。』

そのとき立夏は泣いていた。
自分が泣いていることも気付かないまま、立夏は怒鳴った。

『・・・てよ、やめてよ! そういうの! 乱暴な感じとか、そういうの! おなか痛くなるのよ!』

そのとき都は、青くなっていた。

『人と仲良くするって、そんなに良いこと!? ひとりで静かに本を読んでいたいときだってあるのよ!』
『リッカ・・・。』

避けられて、傷ついているのは自分だけだと思っていた。
自分は何をしていた? クラスに馴染めず、孤立していた立夏に、何をしてやった?

(オレは・・・何も、してないだろうが・・・!)

都は泣かなかった。涙は出ないのだ。
だから、顔を見せず、俯いて立夏を抱き締めた。

『ミヤコ・・・?』
『ごめん、リッカ・・・ボクは苛々してたんだ。』

丁度その頃、ダークネスの事件があったことを、2人は知らなかった。
そのことを知ったのは、もっと後の、事件が解決してからのことだった。



- - - - - -



『あたしのことが好きって、本気!?』
『もちろんマジさ。本気と書いてマジ。』

2人とも童実野高校への入学が決まって、都は立夏に告白した。
立夏としては青天の霹靂だったが、このとき都は、とてつもなく焦っていたのだ。

『子供の頃の約束を、まさか忘れたわけじゃないだろう?』

クールでキザに振舞うのが、精一杯だった。
立夏は中学の3年間で綺麗になり、明るくなり、友達も増えてクラスの人気者になっていた。
もともと勉強もスポーツも得意で、人から好かれる要素は十分だったのだ。
そんな彼女を見て、小学校時代の暗くて冴えない少女を思い出す者はいないだろう。

都から見れば、立夏は隙が多く感じた。
男女分け隔てなく接する彼女は、男子からも女子からも人気があり、都は少なからず嫉妬の炎を燃やしていた。
もともと都は、さほど勉強が得意なわけではない。スポーツも並み程度で、あまり好きでもない。
立夏は自分を磨いて過去を払拭していくのに、自分は停滞している。
いったい自分は、誰に嫉妬しているのだろう。周囲の男か、それとも立夏自身にか?

胸のうちが黒く染まりきる前に、情熱の赤い炎が行動したのは、都にとって幸運なことだった。
立夏が両性具有であることは知っていたが、それはむしろ自分にとって有利な材料だと思った。
そのことを受け入れ、むしろ愛でる自分は、稀有な存在ではないかと考えた。
そうやって有利不利を考えてしまうあたりが、自分の汚いところだと承知していたゆえに、グズグズしていた。

『よろしくお願いします。』

かつてない真剣な表情で、都は言った。

『よ、よろしく・・・。』

かつてない可愛らしい表情で、立夏は恥ずかしさで俯いた。



◆ ◆ ◆



そして現在。


「まったく、リッカのココは悪い子だな。」
「あっ・・・くぅ・・・・やめて、ミヤコ・・・・で、出る・・・・」

後ろから抱かれながら、立夏は都に、自分の“男”を掴まれていた。
自分の“女”を貫かれながら、“男”を扱かれる。恥ずかしいのに、気持ちいい。

「出しちゃえよ。ボクの手に、いっぱい白いのドピュドピュすればいい。」
「い・・・やぁ・・・・・・」
「リッカのココも管理してあげるから、浮気は許さないよ。ボクは嫉妬深いんだ。」

言いながら都は、激しく扱いていく。
自分ので慣れているから、力加減は絶妙だ。そのまま立夏を男のエクスタシーに導いていく。

「あっ、あんっ、い、いくっ・・・・・あふああああんん!!!」

折り良く女のエクスタシーも同時にスパークし、立夏は蕩けるような表情で涙を流した。



- - - - - -



「先生からメール? 何だろう。」
「どしたのミヤコ。」

ブラウスを着る立夏の前で、半裸の都が、電源を入れた携帯のメールを読んでいた。
その表情は、みるみる険しくなり、彼は急いで服を着た。

「急ごう、リッカ。緊急事態だ。」




テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
ガッツ(がんばれ!)

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
決闘倶楽部   目録
◆ ◆ ◆ ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2015/08/02 00:03

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「ムーのひたむきさは周囲を触発していたか。ムー本人は気づいてないだろう」
火剣「学校は一歩間違えば残酷な地獄になる危険な場所なんだな」
ゴリーレッド「一瞬の隙も見せられない、1秒も油断できない。憩いの場、楽しい所のはずなのに」
コング「♪ゆきーだるまーってまんまるいー」
ゴリーレッド「はい?」
コング「すごいですねえ!」
火剣「普通でないことを意識させるか。俺も10代の時は『自分はおかしいのか?』と悩んだな」
ゴリーレッド「普通じゃないほうが有利な職業はたくさんある。しかしそう思うまでには時間がかかる」
コング「みんな違ってみんないい」
火剣「今も病気、異常という言葉にナーバスになっている思春期の少年少女がいるだろう」
コング「ここは僕の出番。『君は何もおかしくない。病気でも異常でもない。むしろ、そんなことを言う輩のほうがよっぽど異常だ』というメッセージを送るのが小説の役目でアールの女」
火剣「学校は勉強とスポーツの両方ができるとたちまち人気者だが、そうでないと厳しい世界だ」
ゴリーレッド「道徳の授業が生きればいいが」
コング「国家に役立つエリートではなく、庶民に希望を送るエロートを増やそう」
ゴリーレッド「緊急事態?」

火剣獣三郎
2015/08/02 13:20
>火剣さん
少なくとも中学時代までに良い思い出はありませんでした。金子みすずの“みんな違ってみんないい”というのは、あるべき理想であって、現実は違う。大同小異の多数派がいて、そこに収まらない少数派の中で、“人ぞれぞれ”違うのだと感じます。
私のキャラが受け入れられるようになったのは高校時代からで、ようやく“学校生活”が始まったのだと思いました。

佐久間「アッキーの通っていた高校は、あちこちから変人が集まっていたからな。」
山田「佐久間の通っていた高校も、変人の巣窟だった。」
八武「みんな違えば恐くない。恐いのは、“みんな”が同じで、自分だけ違うこと。」
佐久間「恐くはなかったが、そのことで攻撃されるのが嫌だった。」
維澄「迫害することまで含めて、“みんな同じ人間”だからね。」
神邪「油断せず、常に警戒する生活は、神経が参ってしまいます。楽しくなくてもいいですが、せめてピリピリしないで通えていたらと思いますね。」
山田「無々のような人間が側にいるだけで、苛立ちが収まる。そういった小さな積み重ねが、大きな温かさを育んだのか。」
神邪「僕もマサキの癒しになりたかった。」
山田「むしろ神邪が癒しを必要としているのでは。」
神邪「いえ、より外れた僕の存在から、マサキが迫害されることはなかったですが、マサキだって集団に馴染めないタイプで、孤独を感じていたに違いないですから。」
佐久間「神邪がいなかったら、マサキが孤立していた可能性は大いにあるな。」
アッキー
2015/08/02 16:51

コメントする help

ニックネーム
本 文
決闘倶楽部   インターローグ 比良の都 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる