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zoom RSS 決闘倶楽部   第二十七話 そしてあの日のあのときへ (後編)

<<   作成日時 : 2015/09/05 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



風森無々:LP1、手札1(モリンフェン)
場:
場:

リスティー:LP8247682628726715423200382372721038329828198178172868000
場:ダークネス・ファントム−原初欲求の邪霊(攻∞)
場:



ダークネス・ファントム−原初欲求の邪霊 レベル33 闇属性・アンデット族
攻撃力∞ 守備力∞
このカードは通常召喚できない。デュエル開始時、このカードが手札に存在するとき、自分の他の全てのカードをデッキに戻したときのみ特殊召喚できる。
このカードは相手のカードの効果を受けず、生贄・コストにならない。
このカードがフィールド上に存在する限り、互いに他のカード効果を使用できず、無効になる。
また、自分のドローフェイズをスキップする。
1ターンに1度、任意のタイミングで、フィールド上に存在するモンスターの数×4000ライフポイントを回復することが出来る。
このカードが戦闘でモンスターを破壊した場合、相手のライフポイントを半分にする。
自分のエンドフェイズに、相手の全てのカードをデッキに戻す。




「・・・・・・。」

最初は、ちょっとした違和感だった。

ダークネス・ファントムは無敵の耐性と、無限大の攻守を持っている。
そもそも僕を相手にするなら、耐性すら無くていい。
つまり。


わざわざライフを回復するなど、無意味なのだ。


(・・・え?)(え?)(え?)

僕の頭は混乱した。
いや、まさか。取るに足らない遊びだろう。
暇潰しにライフを回復しているだけ・・・。

・・・本当に?


「でも、覚えておいてね? 克服できない弱さは、必殺の武器にもなるってこと。」


ふと、カノン先生に言われたことを思い出した。

必殺の武器?



(あれ・・・・・・?)



克服できないと言えば、デュエリスト能力はカード効果に優先する。
これは1が2より小さいのと同じく、“克服できない”ことだ。

だったら、おかしなことがある。

紐里さんとのデュエルで、僕は・・・


・・・・・・
・・・・・・・・・

・・・・・・


・・・え?



まさか、そんなことがありえるのか?


・・・・・・
・・・・・・・・・

・・・試してみた。





風森無々:LP1、手札1(モリンフェン)
場:モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様
場:モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様

リスティー:LP8247682628726715423200382372721038329828198178172868000
場:ダークネス・ファントム−原初欲求の邪霊(攻∞)
場:




やっぱりだ。

折春さんが気絶していて、《オレイカルコスの結界》の効果が無くても、魔法・罠ゾーンに《モリンフェン》様を!


とっくに僕は、正解に辿り着いていたんだ。
デュエリスト能力はカード効果に優先する。
たとえ《オレイカルコスの結界》の影響下にあろうとも、デュエリスト能力で魔法・罠ゾーンにモンスターカードを置けるはずはなかったのだ。

魔法・罠ゾーンに《モリンフェン》様を御降臨あそばせしめることが出来たのは、《オレイカルコスの結界》によるものではなく、デュエリスト能力の効果だったのだ!

僕のデュエリスト能力は、《モリンフェン》様を“降臨させる”ことが出来る。
その場所は、必ずしも「モンスターカードゾーン」に限定されていない。


“唯一神”(モリンフェン) レベル1能力(所有者:風森無々)
デッキ・エクストラデッキのカードを全て《モリンフェン》様で構成することによって、自分のスタンバイフェイズに手札・デッキ・墓地・除外ゾーン・エクストラデッキから《モリンフェン》様を任意の数だけ降臨させることが出来る。この効果で降臨した《モリンフェン》様は生贄・コストにすることは出来ず、攻撃力はデュエルが開始してから経過したスタンバイフェイズの数×フィールド上の《モリンフェン》様の数×50ポイントアップする。また、守備表示モンスターを攻撃したとき、攻撃力が守備力を超えていれば、その数値分だけ戦闘ダメージを与える。



ある意味これは、《オレイカルコスの結界》のおかげとも言える。
魔法・罠ゾーンにモンスターカードを出せるという概念は、僕には無かったものだ。




 な ら ば




風森無々:LP1、手札1(モリンフェン)
場:モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様
場:モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様

リスティー:LP8247682628726715423200382372721038329828198178172868000
場:ダークネス・ファントム−原初欲求の邪霊(攻∞)、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様
場:モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様




「ふええええ!!? なぁにこれえ!!?」

リスティーちゃんが、ダークネスなんかじゃないリスティーちゃんが、驚いている。
でも恥じることはない。僕も驚きのあまり涙を流しているほどだから。


フィールド魔法ゾーンにも。

そして、相手フィールドにさえも。


そう。そう。そう!
スフィア・モードのように、相手フィールドにさえ御降臨なされることが出来るのだ、《モリンフェン》様は!!



 と な る と ど う な る ?



ここからは単純な計算だ。

現在のターンをXターン目とすると、現在フィールドの《モリンフェン》様は21体。
すなわち僕のフィールドに鎮座ましましておられる《モリンフェン》様の攻撃力は、1050X+1550ポイント。
それが11体おわせられ候。

そして、リスティーちゃんのフィールドで、翼を折り畳み守備表示で鎮座ましましおわせられる《モリンフェン》様は、そう、そうなのだ、守備力1300・・・そうなんだ!
僕のデュエリスト能力は、「守備力を強化することが出来ない」のだ!

そしてリスティーちゃんのライフポイントは、1ターンに8000ポイント回復するのと、初期ライフ8000、そして2ターン目と3ターン目に回復した24000、それから今この場にいる20体分の余剰80000ポイントを加えて。
8000X+112000ポイントとなる!!

さあ? この状況でバトルを行うと、どうなるのか?

攻撃力1050X+1550で守備力1300に貫通ダメージを与えた場合、差し引き1050X+250のダメージだ。
しかし《モリンフェン》様がフィールドからバーのように飛び立ってしまうことで、攻撃力は低下する。
すなわち、攻撃力は1000X+1550となる。

このようにして、与えるダメージは徐々に減少していくが、10体の《モリンフェン》様が飛び去られた後には、累計ダメージは何と8250X+2500にもなる!!

そう、8250X+2500から、8000X+112000を引けば、250X−105000となる。
これの値が0となる、420ターン目に、僕は勝てていたのだ。

そして、《オレイカルコスの結界》と違って、魔法・罠ゾーンへの攻撃も可能!



「こんな・・・・・・こんなことが・・・・・・・はううううううううう!!!」



リスティー:LP0



そうか、そうだったんですねモリンフェン様!
僕は、とっくの昔に答えに辿り着いていたんだ。
デュエルとは、相手モンスターを倒すことを目的とするものじゃない。
たとえ無敵のモンスターをコントロールしていたとしても、プレイヤー自身が無敵かどうかは別だ。

有限は無限に勝てない。それは数学の基本則だ。
そして、2が1より小さいのも、これまた基本。
8250X+2500から、8000X+112000を引けば、250X−105000となるのも道理だし、ここでXの値が十分大きければ、相手ライフを0にすることが出来るのも、また道理。

申し訳ありません、モリンフェン様!!
ここに辿り着くまで、数え切れないほどのターンを費やしたグズな僕を、どうか許してください!!
モリンフェン様に、数え切れないほどの苦痛を、強要してしまったことを、深く反省しています!!



   いいんだよ、むむ君



はあっ!!? モリンフェン様の御声が、僕の耳に届いておられる!!?
ほあああああああ!! うああああああ!! ふあああああんん!! モリンフェン様、モリンフェン様、モリンフェン様ぁああああああああ!!
モリンフェン様の美しい御声で僕の耳が蕩けそうだよおおお!!! ふあああああんん!! ああああああん! あふあああああんんん!! 耳がビンビンでハミハミハミング進化しちゃいますうううううううう!!!
スーハースーハークンカクンカ!! モリンフェン様の御声がイイ香りすぎてクンカクンカ飛んじゃいますう!!
これから僕はモリンフェン様を想ってスーパー賢者タイムに・・・・
はっ、よく考えると、これは モ リ ン フ ェ ン 様 を 穢 す 行 為 ! ! ?
嫌ああああああ!! ふあああああああんん!! そんなの嫌だあああああああああああ!!!


「無々くん、正気に戻って!!」

「・・・はっ!」


リスティーちゃんの全力ビンタ(往復)を受けて、僕は完全に正気に戻った。
ちっちゃくて柔らかい手でビンタされて、僕は幸せだった。モリンフェン様、ありがとうございます!



◆ ◆ ◆



「あ、そうだ、リスティーちゃん! 大丈夫なの!?」

ビンタで両頬を腫らした無々が、ハッとして尋ねた。

「はうう、真っ先にすることがリスティーの心配って、お人よしすぎるよ無々くんは・・・。」

リスティーは呆れた顔で、ふにゃらと力が抜けた。
彼女の持っていた、闇色のデュエルディスクは、消えていた。

「え? あ、そっか、闇に沈んだみんなは・・・」

「みゃはっ、それなら大丈夫だよ♪ 約束通り、無々くんが勝ったから、みんな元通り。この島で闇に沈んだデュエリストは、みんな戻ってこれたよ。」

何故かピンク色の帽子を被って、キャンディを大量に持っているカノンが、ひょこっと出てきた。

「カノン先生・・・。」

「デュエルの後で疲れたでしょ? 好きなの取っていいよ。みゅう、闇味キャンディおいしー♪」

「闇味?」

「それより、リスティーは、ダークネスだったんだね。もうみんなとは・・・」

ツッコミどころに反応する無々だったが、リスティーが本題を切り出した。
しかしカノンはキャンディをモゴモゴさせたまま、呑気な顔だ。

「みゅーるるる、そうそう、それ誤解だから。リスティーちゃんは、ダークネスじゃないよ?」

「ふぇ?」

「やっぱり、そうでしたか・・・。」

「みゃはは、流石に無々くんは気付いていたみたいだね。リスティー・エヌ・ダークは、確かにクリスティーヌ・ダーエのアナグラムだけど、クリスティーヌは花嫁であって、ファントム自身じゃない。」

「はう!? で、でも、記憶は、空腹感は、はう・・・」

「それ、今もある?」

「はう・・・? ・・・あれ、無い・・・・・? 何だか、記憶も薄れて・・・・・・」

「みゃはは、ダークネス・ファントムを宿したことで、彼の記憶を自分の記憶だと思い込んでしまったみたいだね。よくあることだよ。でも、ダークネス・ファントムはたった今、噛み砕かれたからもう安心だね。」

「え・・・?」
「ふぇ?」

「みゅふ、花嫁と結ばれないのも、原作通りかな。みゅー、ファントム味キャンディ、実に爽やか美味しィーい♪」

相変わらず可愛らしい笑顔のカノンだけに、無々とリスティーはブラックジョークか何かだと思った。

しかしカノンの次の言葉で、2人の表情は凍りついた。



「まあ、そもそもリスティー・N・ダークなんて人間は、存在しないんだけどね。」



今度は何も言えなかった。
無々もリスティーも、悪い冗談かと思って、無言でカノンを見つめた。

「そんなに見つめちゃいやん♪ 人生が変わりそうだよ。・・・みゃはっ、もちろん冗談なんかじゃないよ?」

どこからか取り出したメロンソーダに、ストローを差しながら、カノンは笑う。
ストローをポキッと折り曲げながら、カノンは小首を傾ける。

「あるところに、生まれつき体が弱くて入院生活を送っている、清楚で可憐で少女がいました。彼女は、友達とデュエルを楽しむことを夢見ていました・・・。その少女の見ている夢が、リスティーちゃんなんだよ。」




「誰が清楚で可憐な女の子だって? ふざけたこと抜かすなペド野郎。捏造も大概にしとけよ・・・。」



今しがたまで、そこには誰もいないはずだった。

10歳くらいの少女が、床まで伸びた黒髪と、白いキャミソールを着て、嗜虐的な笑みを見せていた。

ただそこに剥き出しで存在する圧倒的な力が、この物語に終焉をもたらすべく顕現した。







   第二十七話   了



   エピローグへ続く・・・

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「攻撃力・守備力ともに∞か。関ジャニ∞にしか対抗できない」
ゴリーレッド「かなり関係ない」
火剣「克服できない弱さは必殺の武器になる?」
コング「克服できないS心も必殺の武器になるぞ」
ゴリーレッド「ムーだからこそ、ということか」
コング「モリンフェン様を御降臨あそばせる、鎮座ましましておられる、11体おわせられ候・・・これで噛まないとはアナウンサーになれる」
火剣「すでに答えには辿り着いていたムー」
コング「貫通ダメージ?」
ゴリーレッド「シャラップ」
火剣「いいんだよ、無々くん」
コング「いいんです!」
火剣「川平慈英か」
ゴリーレッド「カノンは相変わらずだ」
コング「これでムーは比呂子からリスティーへ鞍替えか」
火剣「まさかそんなことは」
ゴリーレッド「白いキャミソールの10歳くらいの少女?」
コング「エロローグにつづくか」
ゴリーレッド「グローブで殴られたいと?」
コング「言ってません」

火剣獣三郎
2015/09/05 09:50
>火剣さん
ついに決着! 守備力を強化できず、かつて全体貫通攻撃に沈められたことがある無々ですが、その弱点を逆に必殺の武器に変えました!
これにて大団円、と思いきや・・・?

山田「勝った・・・! 明らかに頭おかしい決着なのに、納得させられる不思議。」
八武「おや、リスティーは全裸のはずでは!?」
佐久間「闇のゲーム効果で全裸になっていただけだから、服は元通りになっている。」
八武「その話は本当だったのか! 悪い冗談だと思ってた!」
山田「お前の存在が悪い冗談だ。」
維澄「しかし謎の少女・・・もしかして?」
佐久間「そう簡単にハッピーエンドにはさせない。」
神邪「ついに出てきましたか。」
八武「新キャラ? いや・・」
山田「確かに以前どこかで見たような。」
神邪「何気にセリフ噛まないのも凄いですね。度胸や入り込みといい、演劇部から誘われそうなくらいです。」
佐久間「少佐の台詞パロも噛まずに言ってたが、ちょっとした伏線だったりする。」
アッキー
2015/09/05 20:58
実に、実に見事な勝利でした!おめでとう、無々君!おめでとう、初勝利!
この無敵攻防と無敵テキストがあれば回復テキストが必要ない!(ついでに言うと相手のライフ半減テキストも必要ない?)しかし、それこそが伏線で、状況によっては必要な場合が出てくるという逆転の発想!この結論にたどり着けたのはまさに諦めなかったからに他ならない!普通に考えればどうやっても勝てない状況。状況が単純なだけに勝てないことを覆せる余地が存在しないと思っていたら、こんなところに突破口が!まさに諦めなければ道が開けるというやつですね。ドローストップが救済策になっていると信じていましたが、モンスターの効果も封じられ、ダイレクトアタックも出来ない状況。しかし、デュエリスト能力はそれに先んじることが出来る。
私なんか、このままずっと引き分けを続けて空腹寸前まで行ってリスティーさんがダウンして無々君が勝利する番外戦術勝利かと思っていました。丁度、リシドVS城之内のように、デュエリスト双方が倒れるような状況も考えられる訳ですし。しかし、違った。これは激しく反省しなければなるまい。
とにかく無々君が勝った!無々君が救った!これで皆は救われた!しかし、420ターン以上も闇のゲームの苦痛を受け、それに耐え切った無々君の頑張りに超拍手を送りたい!


さて、10歳の少女?ひょっとしてカノンさんが磔になっている時にちょこっと出てた人?
千花白龍
2015/09/05 22:48
>千花白龍さん

これまで作中1回も単独勝利の無かった無々ですが、最も負けられないファイナルデュエルで、ついに初勝利です!
無々だからこそ勝てた、無々だからこそ辿り着けた、この結末。
シンプルゆえの絶望感と、それを打ち破ったときの爽快感!

計算すると出てくる値が8250Xなので、いつかは必ず追いつかれる8000Xにするべく逆算し、回復効果を設定しました。
ドローさせて回復量を調整しても良かったのですが、いたずらに局面が複雑になるので、やめておきました。
無敵効果は、とにかく他の攻略法を潰す為に付けましたね。
十代が《ミラクル・フリッパー》を持っていることは知られているので、それに対抗するべく進化したのかもしれない?

とにかく今回、「デュエリスト能力はカード効果に優先する」というルールを、活用させてもらいました。
加えて、闇のゲーム効果によって、空腹などの生理現象で決着しないようにしていました。(その場合だとダークネスの力を得ているリスティーが先に倒れることはなさそうですしw)
メンタルの方は限度があるので、ある意味MP切れで負けそうになるところでしたが、そこを踏みとどまりました。
420ターンどころか、ライフを数えれば宇宙の年齢も真っ青な程の時間が経過しているという・・・! デュエルが終われば現実の時間へ戻ってくるわけですが。

大団円と思いきや、不穏すぎるカノンと、そして現れた少女。
そうです、あのときに出てきた彼女です。
アッキー
2015/09/05 23:45

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