佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 決闘倶楽部PX   第五話 宿命の対決 (前編)

<<   作成日時 : 2015/10/01 00:00   >>

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◆ ◆ ◆



あいつだけは許せない

今度こそ決着をつけてやる



◆ ◆ ◆



「おめでとう、東仙の諸君。お前たちは地上へ戻れることが確定した。」

少女の形をした恐怖が、整った顔を嗜虐で歪ませて拍手する。
誰も何も言えず、ただ黙っていた。

「しかしリスティー、自分で自分の運命も決められないのは無念だろう。ここで稲守に勝てば、お前は吸収しないまま、過ごさせてやってもいい。」

「そ、そんな・・・無々くんを差し置いて、わたしだけなんて出来ないよ!」

その言葉に、竜堂眸は面食らったような顔をして、しばし沈黙した後に笑い出した。

「ククッ、アハハハハ! 笑かしてくれるなァ! お前、もう稲守に勝った気でいるわけ・・・?」

「は、はうう!」

リスティーは気圧されて、慌ててデュエルディスクを展開した。

「はう、稲守さん、よろしく、お願いします!」

「わかったよ〜。」

いつの間にか戻ってきた稲守蛍は、プレッシャーを感じさせない態度で、デュエルディスクを展開した。
しかしそれは、本人もプレッシャーに潰されないという意味でもある。
小動物のような可愛らしい外見と雰囲気だが、窮鼠どころの話ではない。

リスティー・N・ダークは、この直後、嫌というほど思い知る。
現・東仙のチームリーダー、稲守蛍の実力を。



- - - - - -



リスティー:LP8000、手札0
場:アテナ(攻4100)、アリア(攻3100)、ソナタ(攻2700)、ソナタ(攻2700)、ソナタ(攻2700)
場:

稲守蛍:LP7400、手札5
場:
場:




「は、はうう!? 何で600しかダメージを受けてないの!?」

「ふふ、わたしの能力は、『それぞれのターンででわたしが2回目以降に受けるダメージをすべて無効にする』。」

レベル3能力“未熟な絶対防御”(プロテクション)。
1回目のダメージを防げない、ゆえに未熟。
しかし2回目以降のダメージを無効化する、ゆえに絶対防御。

そして、たとえ能力が無くても、稲守蛍がリスティーごときに負けることはない。

「わたしのターン! ドロー! 《阿修羅》を召喚して、《オネスト》を発動だよ〜!」

短いボブカットを揺らして、稲守は必殺の一撃を放つ。

「ふええええ!?」

稲守の戦術は、朝比奈の模倣を基礎にしている。
そのひとつが、複数回攻撃を可能とするモンスターの投入だ。
《隼の騎士》を装備カードで強化するのが制圧の基本だが、成長した稲守は新たに攻撃性も組み込んだ。
防御を基本としている以上、朝比奈ほどの弩級な攻撃力は持っていないが、リスティーを倒すには十分だった。



リスティー:LP0



「はうううう! 強すぎるよぉ!!」

「ごめんね・・・。」

お気楽極楽な稲守だが、決して人の痛みを感じないわけではない。
むしろ、人の痛みを感じ取れるからこそ、明るく振舞いたいと思っている。
持ち前の天然さだけでは、レベル3の能力を得るには至らなかっただろう。

人は、うっかり人を傷つけてしまうことは避けられない。
だけど、注意して生きていれば、二度目からは同じことを避けられる。避けたい。
半ば無意識であるが、稲守の心には、そんな思いが根付いている。

お気楽であっても、無神経ではない。
そんなところが、人を惹きつけてやまないのだ。



「納得したか? そろそろ吸収させてもらうぞ。」

少女の形をした恐怖から、闇が溢れ出した。
彼女の左手が、ぐにゃりと色を変え、毒々しい6本の赤い触手になった。

「はうっ!? 何それ!?」

怯えるリスティーは逃げようとするが、触手は少女から離れて飛翔し、リスティーに絡みつく。

「リスティーちゃん!」
「やめろ!」

「黙って見てろ。」

思わず声を発した無々と敦を、少女は冷たい目で睨む。

「はぐ・・・・んぐ・・・・・・ちゅ・・・・・」

触手はヘドロのような状態になり、リスティーを完全に取り込んでしまった。
そして少女の右手が合図をすると、ひゅんっと音を立てて彼女へ向かい、べちゃっとひっついた。

ぐにゃぐにゃと全身が蠢き、再び人間の形を構築する。
ここに見城薫がいれば、ツッコミを入れていたに違いない。


「ククッ、アハハハハ! 景色に色が戻ってきた!」


黒いシャツに、短いジーパン。豊かな胸を魅せながらも、スラリと伸びた脚を強調してやまない。
長く艶やかな髪は変わらずだが、身長が伸びた分だけバランスが良くなっている。
リスティーを吸収したからには、20代後半のはずであるが、無々は自分と同じくらいの年齢に思えた。
先程よりは成長しているが、あどけなさの抜け切れていない容貌は、16,7歳くらいに感じる。

「さて、次は無々。お前が吸収される番だ。」

「くっ・・・」

無々は思わず逃げようとするが、竜堂眸は後ろに回りこんで、無々を羽交い絞めにする。
そして、そのまま肉体の中に取り込んでいく。

「んぐ・・・・あ・・・・・うああああ!!」

無々の叫びが響き渡り、再び竜堂眸は変異する。
伸びきった体と手足は、誰もが羨むような抜群のスタイルであり、容貌も子供っぽさが抜けている。
何故か服装も、白いブラウスと、黒のスリットスカートに変わっている。

「ようやく触覚が戻ってきたなァ・・・久々の、大地の感触だ。」

「ムー君・・・ムー君・・・こんなのって・・・・・・」

凄惨な光景に、比呂子が膝を折る。
それを見て竜堂眸は、何かを思いついたような顔になった。

「それもそうだな。」

「・・・え?」

「ギャラリーも期待の眼差しを向けていることだし、5戦目も行おう。お前が東仙の5人目にデュエルで勝てば、1人、開放してやる。」

「ひ、1人だけ・・・。そんな・・・!」

「私は残酷な選択が好きでね。誰の影響だろうな、まったく。」

実年齢の半分に見える、若々しく美しい女は、実年齢の倍も生きてるかと思うほどの毒々しさを纏っていた。
そこに剥き出しで存在するだけの圧倒的な力は、真紅の双眸を三日月に歪め、禍々しく嗤う。

「さァ、5人目の紹介だ。」

転送の魔法陣が、5人目のデュエリストを召喚する。
甘いマスクの青年が、照れくさそうな笑みを浮かべて現れた。

そのとき、ある人物が驚愕を表情に湛え、大声で叫んだ。



「き、貴様は代々木祐二!!??」



「あ、パラコンじゃないか。」

東仙高校の5人目は、今年入学した代々木祐二だった。



◆ ◆ ◆



やあ、読者(美少女)のみんな。
シリアス展開が続いていたせいで、僕の出番が無いと嘆いていた君たちに、朗報だ。
これからは、この僕が大活躍し、吸収された2人を助け出す。

その為に、まずは・・・。

「どうやら、僕の出番のようだね。」

僕は懐からカードを取り出し、竜堂眸に提示した。


原作キャラの誇り (装備カード)
このカードを装備したプレイヤーは、どんなゲームにも立ち向かわなければならない。



「いいだろう。お前が安藤比呂子の代わりに代々木祐二とデュエルを行い、デュエルで勝利すれば、1人を開放してやる。それでいいな。」

な、何だこの人、すっごい話がわかる!
僕が説明するまでもなく、結論を的確に述べてきた! すげえ!
おかげで、反論された場合に用意していた、めんどくさい論理展開をしないで済んだ!


かくかくしかじか (魔法カード)
話を短縮し、ストーリーを高速回転させる。



「「デュエル!」」


パラコン:LP4000
代々木:LP4000



代々木祐二。こいつだけには負けるわけにはいかない。何故なら、こいつは女の子にモテるからだ。
爽やかでイケメンで、スポーツも出来て、成績優秀。それだけでも万死に値するというのに。
そう、僕は全国一千万の、女子と縁が無い男子の思いを背負っているのだ。
負けたくない。負けるわけにはいかない。あのときの屈辱を晴らすのは、今しかない!


「俺の先攻、ドロー!」


あ、僕が気合を入れている間に、代々木が勝手に先攻を取りやがった! なんて卑劣なんだ!
これから僕が、華麗に代々木を倒して、風森さんとダークさんの2人ともを助ける方法を、読者(美少女)に事細かに説明して、尊敬の眼差しで見つめられる予定だったのに!
まあいい。ネタバレ封じの仮面が発動していることにしておこう。


「来い、《戦士ダイ・グレファー》! そして《万華鏡−華麗なる分身−》を発動!」


パラコン:LP4000、手札5
場:
場:

代々木:LP4000、手札4
場:ダイ・グレファー(攻1700)、ダイ・グレファー(攻1700)、ダイ・グレファー(攻1700)
場:



早速お出ましか。万華鏡のカードは、特定のモンスターを分身させる。
ハーピィモンスターだけでなく、グレファーも分身させることが出来るのだ。

だが、代々木よ。この僕に以前と同じ戦術が通用すると思ったら、大間違いだ。
その思い上がった鼻っ柱を、へし折ってやる!

「先攻1ターン目は攻撃できない。リバース・カードを1枚セットして、ターンエンドだ。」

いつ見ても、嫌になるほどプレイングが様になっている。
だけど今日は、女子から黄色い声援があがることはない。ざまあ見ろ代々木!
チームメイトの稲守さんと霧原さんも、固唾を飲んで見守っているし、安藤さん、殺霧さん、一寸日さんに至っては、言わずもがなだ。先程の光景が頭に残っているのか、具合が悪そうに見える。
大丈夫だよ、すぐに僕が代々木をやっつけて、吸収された2人を取り戻してみせるからね!

「僕のターン、ドロー! 《ゴキボール》を召喚する!」

攻撃力1200、守備力1400と、レベル4としては標準的なステータスだ。
そして《ゴキボール》の真価は、それだけに留まらない。

「手札の魔法カードをコストに、《二重魔法》を発動! 代々木の墓地の万華鏡を発動する!」

「・・・? どういうことだ、パラコン?」

「ふっふっふ、わからないのかい、代々木。こういうことだっ!」



パラコン:LP4000、手札3
場:ガキボール(攻800)、ギキボール(攻1600)、グキボール(攻2000)、ゲキボール(攻200)、ゴキボール(攻1200)、
場:

代々木:LP4000、手札4
場:ダイ・グレファー(攻1700)、ダイ・グレファー(攻1700)、ダイ・グレファー(攻1700)
場:




「なっ・・・まさか、《ゴキボール》も万華鏡に対応するカードだったのか!」

「その通り! デュエリストの常識さ!」


繰り返しはギャグの基本 (罠カード)
読者は10ミリグラムほど動揺する。



グレファーが万華鏡に対応することを知った僕は、他にも万華鏡に対応するカードがないかどうかを調べた。
その結果、《ゴキボール》が対応していることを、突き止めたのだ!


「だ、だが、何で5体に増えてるんだ?」

「万華鏡の分身数が3体だと、誰か言ったかい? テキストを、よく読んでごらんよ。」



万華鏡−華麗なる分身− (魔法カード)
特定のモンスターを分身させる。




「いいかい代々木、《ゴキボール》の分身数は・・・5だ。」

「そうだったのか!」



「それと、《ゴキブリ乱舞》が墓地に置かれたので、カードを6枚ドローさせてもらうよ。」



「なっ、どういうことだ!?」

あっはっは、代々木の奴、さっきから驚きっぱなしだ!
これは気分いい!

「知らないのかい、《ゴキブリ乱舞》の隠し効果だよ。《ドラゴンを呼ぶ笛》と同じさ。


パラコン:手札3→9


よし、僕の手札にキーカードが揃った!

「まずは《グキボール》で《ダイ・グレファー》を攻撃!」


《戦士ダイ・グレファー》 (破壊)

代々木:LP4000→3700




「そして、残る4体の連携攻撃!」


「連携攻撃!? そうか、ハーピィのように!」

「そうさ。連携攻撃力は、攻撃力合計の半分・・・1900の攻撃力で叩っ切れ!」


《戦士ダイ・グレファー》 (破壊)

代々木:LP3700→3500



「カードを1枚伏せて、ターンエンド。手札枚数制限に従って、2枚のカードを墓地に置くよ。」



パラコン:LP4000、手札6
場:ガキボール(攻800)、ギキボール(攻1600)、グキボール(攻2000)、ゲキボール(攻200)、ゴキボール(攻1200)
場:伏せ×1

代々木:LP3500、手札4
場:ダイ・グレファー(攻1700)
場:




既に僕の手札には、最大最強のモンスターが鼓動を始めている。

代々木を倒し、吸収された2人を助け出して、尊敬を集める為の秘策は、着々と整いつつある!




?????? レベル8
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つづく

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内 容 ニックネーム/日時
無々君もリスティーさんも敗れ、そして全ては竜堂眸へと吸収されていく。まるで魔人ブウのようなえげつなさですが、誰もツッコミを入れることが出来ない圧倒的な力の差がそこに存在する。
そんなシリアス一辺倒な展開をパラコンボーイがぶち壊してくれました。パラコンボーイはコミカルで誰と絡んでも笑いを取ってくれる。竜堂眸と絡んでも笑いをもぎ取れる強者。しかし、万華鏡がハーピィ以外も分身させることが出来るのにはびっくりしました。増殖で分裂出来るのはクリボーだけではないのと同じってことでしょうか。究極のチートドローカード、ゴキブリ乱舞も発動し(役所コンボを思い出しました。)そして、胎動するレベル8のゴキブリはまさかトラベラー?
この戦いはどういう結末を迎えるのか…。
千花白龍
2015/10/01 00:42
>千花白龍さん
2人を吸収して完全体! セルのようなブゥのような、そしてセリフはケストラーのようなアポカリプスのような。幼女形態では色盲だったりします、地味な裏設定。
ここまでシリアスに話が進んできましたが、いよいよシリアルな展開になってきました。何気に竜堂眸とも互角(?)に渡り合います。鷹野さんに対してもそうですが、相手が格上であっても媚びないのは、彼の成長具合を思わせます。
「プロジェクトGY」で、万華鏡の新たなる可能性が明かされましたが、更に発展させてみました。今度はパラコンのターン! 順調に手札を揃えて、今回の切札は謎のレベル8モンスター!(ゴキブリカードとは限りません)
そんなわけで後編に続きます!
アッキー
2015/10/01 01:51
火剣「リスティーVS稲守蛍」
ゴリーレッド「ほとんど秒殺?」
コング「うっかり人を傷つけるか。あるかもしれない」
ゴリーレッド「コングは無神経だからな」
コング「界隈学校で学び無神経ではなくなった」
火剣「本当に吸収してしまうとは。むごい」
コング「残酷な選択。誰の影響だ?」
火剣「触手の特徴はあの毒々しさだな」
コング「そう。清らかな裸体が毒々しい触手に汚されていく陵辱シーンは・・・あ、今回は違うか」
火剣「ん? パラコンが登場」
コング「バボーイ、モボーイ」
ゴリーレッド「代々木祐二・・・」
火剣「相変わらずパラコンはよくわからねえ独白だ」
ゴリーレッド「美少女たちの尊敬を集めるって、どこかズレてる響きを感じてしまうが」
コング「それは美少女たちの下着や水着をズラすという深い他意が」
ゴリーレッド「ないない」
コング「深い体位はある」
ゴリーレッド「スーパームーンで暮らすか」
コング「美女のいない☆には行かん」
ゴリーレッド「最後のレベル8って何だ?」
コング「それより比呂子はどうなる」


火剣獣三郎
2015/10/01 23:16
>火剣さん
ダークネスの力を失ったリスティーでは、蛍さんには勝てませんでした。幻魔デッキなら、互角の戦いまでには持っていけたかもしれませんが・・・。
再び吸収されてしまった無々とリスティーですが、そこへ颯爽登場パラコンボーイ! 彼はヒーローになれるでしょうか?

八武「うっかり美少女を攫ってしまうことはあるねぃ。」
山田「それ確信的だろ!」
佐久間「革新的だ。」
八武「触手! これぞロマンです!」
維澄「無敵の竜堂眸に対抗できるのは、ギャグ出身のパラコンしかないかも。」
八武「なるほどねぃ。」
神邪「上手く戦いを避けたものです。こういう人が強い。」
佐久間「危うきに近寄らずも、また強さだな。」
神邪「避けただけであって、逃げたわけではない。ここが重要ですね。」
山田「レベル8・・・何だろう。」
八武「ブルーDかな。」
山田「待て。」
アッキー
2015/10/01 23:49

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