佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「千里」 第?話 女神の左手 (前編)

<<   作成日時 : 2015/11/14 00:00   >>

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薄暗く静かな夜は、そこに人がいても独りぼっちに感じられる。
家人が眠りに就いた頃、千里は妙に胸騒ぎを覚えて目を覚ました。
体の調子は爽やかだが、どこか気分が落ち着かない。
「やあ、千里。何度でも初めまして。」
そこに立っていたのは、姿の見えない男だった。
悪意で真っ黒に塗り潰されていて、広げた両手だけが視界に映っていた。
まるで絵の具を吐き散らしたように、べっとりと滴る悪意が、まだ赤子の千里を怯えさせた。
千里の心は肉体を離れ、少女の姿になって男と対峙した。右手に剣を持ち、男を睨みつける。
「私はノットー・リ・アース。人呼んで、“デビルズ”ノットー。お見知りおきを。」
丁寧な態度が逆に恐ろしい。
千里は右目をギュッと細めて剣を振るった。
塗り潰された何かが切り裂かれ、同時に剣が黒く染まる。それは右手の形になり、千里の顔にへばりついた。
「んっ・・・・むぐっ・・・・・っ!」
「ご挨拶ですね。私も寝たフリをしていました。」
切り裂かれたはずの男が、何事も無かったかのように起き上がって喋り出していた。
「生まれて2年半しか経ってないとはいえ、この程度の拘束も振りほどけないとは少々ガッカリですね。」
へばりついた黒い絵の具は滑らかな肌を這いずり回りながら全身に行き届き、更には内部にまで入り込もうとしている。
「んーっ!?」
「悪意は死なない。悪意は心を蕩かし犯す。悪意は悪意は悪意は悪意は・・・・・・」
男の声がリフレインし、脳内に反響する。
(違う・・・違う・・・・こんなのっ、現実じゃない・・・!)
(こんなことは“起こらなかった”。)
(だったら)
(これは)
(   )
(  )
( )

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「は・・・・・・はぁ・・・・はあっ、はあっ、はあっ!!」
ぐちゃぐちゃになった頭に正気が戻り、それと共に意識も現実へ戻ってくる。
眠っていたわけでもないし、今は夜でもない。精神が過去と現在の境界を区別できなくなり、様々な情報が混ざり合った仮想現実に心が囚われていたのだ。
「・・・・・・馬鹿め。」
自分を殴りたい気分だ。かろうじて拳骨を開き、ポケットをまさぐる。
ハンカチで汗を拭うと、クレアは浮かない気分のまま業務に戻った。
すると背後から細く白い手が伸びてきて、クレアの唇を左側から触れてきた。
「何だね首領。」
噛みついてやろうかと思ったが、噛みついても無駄なので普通に喋った。
「お疲れちゃん。甘いコーヒーはいかが?」
「自分で淹れる。」
クレアは首領ジュエルの手を振り払って立ち上がり、台所へ歩いていった。
呑気そうな顔のジュエルは、いつも通りの白襦袢。下着もつけてない。生の胸が覗き見えるところで腕を組んだ。
「お仕事どう?」
「貴様が来るまでは順調だった。」
「ああん、意地悪。それじゃまるで私がクレアちゃんの邪魔してるみたいじゃないの。」
「邪魔だ。」
クレアは殺気すら籠もった目つきでジュエルを睨んだ。
しかしジュエルはたじろぐ様子もなく、ただしょんぼりした顔で指を咥えていた。
「で、何の用だ。」
「お仕事終わったら、私と遊ばない?」
片目を瞑りながら、ジュエルは人差し指を立てる。
クレアは怒る様子もなく、呟くように答えた。
「・・・頼む。」



いつも通りに景色は一変した。
人っ子一人いない、月も星も無い、無明の地球。
そこで千里とジュエルは互いに向かい合う。宙に浮かんで距離を取る。
「「いざ尋常に・・・!」」
千里の手足が伸びて、ブラウスが覆っていた腹部が晒される。程よい長さだったスカートは、ミニスカートと言って差し支えない状態になっている。
対するジュエルは薄笑いを浮かべ、麗しくも妖艶な少年の姿になった。白い肌襦袢のみを纏っていることは変わっていないが、雰囲気が別人だ。
「「たの死もうかっ!?」」
いきなり激突から始まる。前回のような様子見は無い。千里の“影装・月船”と“神剣・月下終焉”は、遥かに精度も威力も増している。
少年の細く華奢な肢体を、3200万度の剣が抉る。
だが少年は不気味な薄笑いを浮かべて左手で剣を掴み、輝く歯を見せながら、容易くへし折った。
第二第三の刃が少年を襲う。第四、第五、第六・・・壊されるごとに刃は増える。前後左右上下、斜めからも、どこからも。次元を潜り抜けて、予期せぬところからでも。あるいは最短距離を。
「はあっ、はあっ、はあっ・・・・」
攻め疲れて、千里は吐きそうなほど息が苦しかった。
一方の少年は、息ひとつ乱さず、汗の一滴も流さず、呆れた顔で目をこすっている。
「そんな短調な攻めで、この僕に勝てるとでも思っているのかい。この“ユート・ディスペア”にー?」
彼が言うほど短調ではない。常人には見えず、熟練のエスパーであっても複雑怪奇に見える攻撃だった。
そもそも、謹慎中の修行で“アルカ”に勝利したのは、今の攻撃によるものだったのだ。いや、そのときよりも精度も威力も格段に高まっている。
「まぐあいだって緩急つけるんだぜ。僕が前戯から教えてやろうか?」
「・・・!」
攻撃に備えて、千里は既に自分に出来うる最強の防御を取っている。“影装・月船”による次元防御に加えて、半径50メートルを“神剣・月下終焉”が高速で飛び交わせていた。
“月下終焉”の特性は、斬ったものの性質を模倣するというものだ。
すなわち・・・空間を、斬れば。
(半径50メートルの斬空結界だ!)
これに踏み込めば、1秒のうちに300万回は微塵にされてしまうだろう。
踏み込まなくても、瞬く間に粉々にされてしまうだろう。
それを証明するように、無人の星の表面が奇怪な形に削り取られていく。
「だから。」

一瞬で、わけもわからぬうちに。
「ぐっ・・・」
千里は首根っこをユートの左手に掴まれていた。
「隙だらけなんだって。僕から見れば隙間だらけなんだって。」
「んっ、んぐっ、くう!」
離れようとするが、物凄い力で振りほどけない。絶対的な握力で締め付けられているようだ。
サイコキネシスもテレポートも通用しない。どんな力でも振りほどけない。力の正体がわからない。
いや、本当はわかっているのだ。単純なことなのだ。
「まるで想像力が足りてない。現実世界のイメージに囚われすぎだ。これ以上ガッカリさせるようなら、死ね。」
ユートの右手に炎が集まり、不死鳥の形を成していく。
“白核”よりも、更に更に。
あれが前座に過ぎないことを突きつけて。
「世界を七たび焼き尽くせ、“μ−フェニックス”!」
炎が耐え切れないほど溢れ出し、どれだけ出ても満足できないとでも主張するかのように肥大し、ついには無人の星を包み込み呑み込んだ。
彼の言葉が大袈裟でないことは、星を駆け巡る太い火線の数々が示していた。
現実世界で使えば、地球は掛け値なく死の星になっていた。
「ああ。」
ユートは唇の端を持ち上げた。
そこへ千里の剣が飛んでくる。フェニックスを斬って、その性質を得た、不死鳥の剣。それも1本きりではない。
明らかに攻撃の精度が高まっている。少なくとも、ユートに頬を掻かせない程度には。

千里の意識は飛んでいた。
朦朧とした意識で千里は戦い続けていた。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「帰って来た! 千里が帰って来た!」
火剣「顔が見えない男?」
ゴリーレッド「何度でも初めまして。不気味だ」
コング「悪意か。悪意ゼロ%の僕には想像することしかできない」
ゴリーレッド「はい?」
火剣「デビルズ・ノットー。無敵のエスパーにはどうしても強敵があらわる」
コング「2歳半はいくら何でも若過ぎる」
ゴリーレッド「シャラップ」
火剣「頼む?」
コング「同意のもとのバトルか。白襦袢のジュエル。少年に変身するのはなぜ?」
ゴリーレッド「コングが望むようなシーンはない」
コング「やるなら賭けバトルにしようよ」
ゴリーレッド「次元を低くするな」
コング「前戯から教えると言ってるぞ」
火剣「ユート・ディスペア。千里が隙だらけ?」
ゴリーレッド「千里と戦っているのにたの死む余裕か」
コング「何はともあれ頑張れユート!」
ゴリーレッド「どうしてそうなるんだ?」
火剣「このバトルは仮想現実ではなく本当か」
火剣獣三郎
2015/11/14 12:37
>火剣さん
千里の話も久々ですね。ジュエルとの修行も仮想現実の一種ではありますが、夢に近かった冒頭とは違って、異世界にワープしたようなもの。より実感を伴っています。

佐久間「ジュエルが少年の姿になっているのは、ノットーの悪夢に魘された後だからだ。」
山田「ああ、そうか。ジュエルに実体は無くて、意識で外見が変わるんだっけ?」
佐久間「千里の意識に、ノットーの恐怖が染み付いている。少年の姿は、ユートの姿でありながら、ノットーの少年時代にも似ている。」
神邪「どことなく親近感が・・」
佐久間「まあ、邪神(デビルズ)だしな。死根也はエスパー奇譚でノットーと同じ魂を持つ。」
八武「でも3歳未満より30歳のクレアちゃん。当然でしょう。」
維澄「30歳には見えないけどね。」
佐久間「お前が言うか合法ロリ。」
維澄「背後から唇を触る、その手があった。」
佐久間「殴るぞ。」
維澄「八武がノットーなら私はジュエル。なのに胸に差があるのは何故?」
佐久間「それを言うなら山田とレックスも体格が違う。」
山田「どっちかというとサムかな。」
神邪「しかし、千里さんでも隙だらけなんですね。」
八武「好きだらけというメッセージかも。」
維澄「なるほど!」
佐久間「それは無い・・・とも言えないか。ジュエルだしな。」
アッキー
2015/11/14 22:27

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