佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 1

<<   作成日時 : 2015/11/17 00:00   >>

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11月の下旬、九古鈍郎は苛立ちを募らせていた。
「ああ畜生、くさくさするなあ!」
気分を変えなければと思うと、余計に感覚が固定される。
(ああもう、33歳にもなって、私は何を子供みたいに悪態をついてるんだ。・・・いや、年齢は関係ないか。)
ほんの些細なことで気分が揺れる。ぐらつく。
まるで精神疾患のようだと鈍郎は思い、それはあながち間違ってもいなかった。
この苛立ちが慢性的でない彼は、とても精神疾患とは言えないが、しかし彼の精神に病的な気質があるのは確かだった。その気質が、彼の超能力の発達を阻害していた。

仲間たちは順調に成長している。
七村七美は7月の戦いで無理をしたにもかかわらず、この4ヶ月で驚異的な回復力を見せており、どうやら無理したことが適度な“きっかけ”になったようだ。8年かけて1割も回復していなかったのが、この4ヶ月で現在2割弱にまでなっている。“人格消去”(マインドデリート)という物騒な能力も、本来の能力の一角に過ぎず、半分でも力を取り戻せば、7月に戦った邪戦士5名などは、相手にもならないという。
五留吾永須の“損傷引受”(ダメージシフト)は、引き受けるダメージの量や種類、箇所などを細かく調整できるようになってきており、引き受けたときの自分のダメージも、7分の1から10分の1に減った。
十島瑠璃子の成長も著しく、丸字と十字を空中に具現化させ、命中率と回避率を格段に上げていた。
それをどこかで見たことがある気がすると首をかしげていた四方髪凜は、“力場補整”(エナジーギミック)を応用して、短時間ながら飛行も可能になっていた。

自分より早くに電脳戦士になった面々はまだしも、今年になって覚醒した3人も、既に力を使いこなしている。
六道櫃などは、目覚めた瞬間から高い戦闘力を得ているし、この4ヶ月で最も成長していると言えるのは、三角龍馬と八谷和真だ。
かつて“サトリン”が使用していた回路の大半は、“イヴィル”に乗っ取られていたが、八谷の“電子防御”(マインドガード)が内側からウイルスを抹消して、次々と取り戻していった。今までは取り戻すだけでも難儀していたが、八谷の能力は覚醒時から殆ど完成しており、保護に特化した能力である為に、いとも簡単に奪還できるのだ。
そして取り戻した後も、今までは防ぎきれなかった侵入を、三角の“老化現象”(タイムオールド)を用いた防壁が、これからは高い確率で阻むことが出来る。どのようなウイルスも、それ自体の劣化には勝てない。自らのセキュリティを強化するのではなく、侵入の手口を劣化させることで、“ガーディアン”のプロテクトが対応できる。

(仲間の成長と活躍は素直に嬉しい。)
(けれど)(けれども)
悩みの本質は、むしろ超能力とは別のところにあった。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「♪シオリン、シオリン、シオシオリン! スッポンポンで潮干狩り」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「なぜえええ!」
ゴリーレッド「そんな女性はいない」
コング「じゃあ水着で潮干狩り」
火剣「喜ばれるな」
ゴリーレッド「九古鈍郎の悩みとは」
火剣「約束のクリスマス」
コング「33歳いちばんいい時」
火剣「年齢は関係ねえ」
ゴリーレッド「懐かしい面々」
コング「七村七美に十島瑠璃子に凜凜」
ゴリーレッド「男が見えない眼なのか」
火剣「それは六道櫃に喧嘩売ってる」
コング「櫃チャンはカッコ若い娘バージョン限定カッコ閉じ」
ゴリーレッド「コングは多くの人を知らず知らず傷つけるタイプだな」
コング「苛立ちかあ。僕にはないから気持ちがわからない」
火剣「苛立ちの原因は何だ。超能力以外?」
ゴリーレッド「仲間の成長と活躍に嫉妬するわけではなさそう」
コング「虐げられてきた神邪が生き生きしているのは嬉しい。世界に広げよう、界隈の輪!」
ゴリーレッド「それはそれで問題が」
火剣「自分よりはるかに変態を見た時人は『私、全然変じゃないんだあ』と希望を抱ける」
コング「大事でーす!」
ゴリーレッド「クリスマスの季節か」
コング「瑠璃子は鈍郎と甘い夜を過ごせるか」
火剣「風林火山か」
コング「ミニスカサンタの瑠璃子のクリボーに九古鈍郎の九二」
ゴリーレッド「そろそろ殺す」

火剣獣三郎
2015/11/17 09:57
>火剣さん
クリスマスには少し早いですが、出だしと同じく11月下旬に連載を始めることが出来ました。丁度いい頃合です。
のっけから苛立っている鈍郎ですが、その理由とは・・・?

佐久間「リクエストだ、栞。」
維澄「そんなリクエストには応えない。」
八武「そこを何とか。」
山田「やめい。」
佐久間「普通は水着が限界だが、革命家たるもの、その常識を突破しなくてはなるまい。」
維澄「それよりも九古鈍郎の悩み。もしかすると、あの頃の私と同じ悩みなのでは。」
八武「ほう。」
神邪「悩みの本質は能力とは別のところ。僕も同じです。」
佐久間「能力なら神邪は優れているからな。」
山田「人間関係か。」
佐久間「広く言えば。」
八武「瑠璃子に浮気しちゃいそう?」
神邪「可愛いとは思っていますからね。」
八武「誰だって思う、私だって思う。」
維澄「40歳は不惑の境地というけれど、私は辿り着ける気がしない。いつも苛立っている。」
佐久間「このメンバーの中で、不惑の境地を得ているのは、死根也くらいのものか。」
八武「己の欲望を誤魔化さず、しかし抑えるところは抑えるのが、不惑のコツだ。自分に正直でありつつも、言葉は選ぶ。実は基本的なことなのだよ。」
神邪「基本をマスターするには、少なくとも40年の歳月が必要ということですか。」
八武「悟っているわけではない。怒りを失ったわけでもない。そして欲望は溢れんばかりに天を突いている。というわけで、しおりん、ミニスカサンタに着替えようではないか。」
維澄「そんな穏やかな笑顔で・・。」
アッキー
2015/11/17 22:07
仲間達が成長する中で自分だけが変わっていないことが、置いて行かれているという焦りや苛立ちに繋がる。仲間の成長を素直に喜べない自分に更に苛立つ。何だか初っ端から悪循環のスパイラルに入りそうになっている鈍郎さん。人として当然心揺れる場面であり、それは仲間のために役に立ちたいという心があるからこその焦りなのかもしれません。もっと言えば仲間達と対等でいたいという気持ちがあるのかも。
しかし、成長がすぐに訪れる早熟、神童タイプもいれば大器晩成タイプもいる。六道さんなんかは能力の目覚めが遅かったからこそ強力な能力を得たとも言える大器晩成タイプと分類することも出来ます。
焦りは禁物…。でも、そう思うほどに焦ってしまう。この負の連鎖から脱出する方法は…。
千花白龍
2016/03/31 23:15
>千花白龍さん
ほとんど私の抱えている悪循環かもしれないですねー。色々と苦しんできた割に、あんまり成長してない。むしろ退化している。苦しむほどに退化している。そんな自分に嫌気が差します。
私の場合、「置いていかれている」感覚は以前より乏しくなっているのですが、言わば鈍郎は、まだ希薄になってない私の感覚かもしれません。対等でありたいというのは同じですね。
大器晩成は当たっていると思います。六道さんは晩成すぎましたが、鈍郎も30代。これからこれから・・・。ご期待下さい、と言いつつ簡単には幸せにしませんがねw
負の連鎖から脱出する方法は、今回の場合は頼れる先輩に相談することになります。先輩は複数いますが、こんなとき鈍郎が頼る相手となると・・・。
アッキー
2016/03/31 23:54

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