佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 7

<<   作成日時 : 2015/11/23 00:00   >>

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左翼のアジトは、入口に鍵どころか扉そのものが無く、その気になれば誰でも入っていけそうだった。
それが開放的なのか無用心なのかは微妙なところだが、「自分たちは疚しいことはしていない」という主張のように感じられた。
実際問題として、その組織に“機密情報”などというものは存在せず、抱いていたイメージ通りだったのは、壁の汚さくらいのものだった。廊下には本棚があり、マンガも置いてあった。
もっとも、アジトでの思い出には、あまり良いものはない。キナ臭い秘密結社でないのは安心したが、下品さや無神経さには辟易させられた。阪口との出会いも不愉快な記憶だが、それよりも忘れがたいのは夏休みの一件だ。
戦時中に、日本軍が女を強姦したことについての話。証言する被害者を嘘つき呼ばわりし、そんな事実は無かったと、熱弁を振るう青年がいた。
鈍郎は唖然とした。そんな人間が左翼を名乗っていることが信じられなかった。
右翼が言うなら、まだわかる。それに賛同も同調もしないが、右翼の主張としては有り得ると思う。
しかし、場所は左翼のアジトだ。
鈍郎は眩暈がして、吐きそうになった。
被害者を嘘つき呼ばわりする根拠として、その青年が挙げたのは、証言の内容に矛盾が見られることだという。
(馬鹿かコイツ。)
鈍郎は、小学校時代いじめられた経験があるだけに、そう思った。
(思い出したくもない、発狂しそうなくらいの記憶を、正確に覚えてられるわけねーだろがボケ。)
被害の細部は覚えていても。
日時や場所、前後関係まで覚えていられるはずもない。
自分がそうだから、よくわかる。
そして周囲の人々は、鈍郎に対して、あの青年は熱心な活動家なのだとフォローを入れていた。
ますます眩暈がした。
(これが左翼か)(こんなものが左翼か)
殺し合いの方がマシだったかもしれない。
そんなことまで考える自分に、嫌気が差した。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「自分たちに疚しいことはないから開放的。大事でーす。心に疚しいことがなければ、若い主婦がベランダに全裸で出て洗濯物を干したって何の問題も」
ゴリーレッド「ある!」
火剣「コングがよくベランダを見上げているのはそれか」
ゴリーレッド「変態か」
コング「万が一の可能性に賭けてる」
ゴリーレッド「いないいない」
火剣「アジトか」
コング「アジトというと、どうしても潜入捜査官を思い浮かべてしまう」
ゴリーレッド「帰りなさい」
火剣「レイプか」
コング「まず大事なことは、レイプについてどう思っているかではないか」
ゴリーレッド「どう思っている?」
コング「レイプは絶対にやってはいけない悪魔の蛮行であり、殺人と同等の死刑に等しい重罪であると思えば、当然強姦事件に対して、それが戦時中であろうが、現在であろうが、先に来るものは犯人に対しての激しい怒りである」
ゴリーレッド「明日は雨か?」
火剣「八武医者もレイプが悪であることを認識した前提で実行している」
ゴリーレッド「するな!」
コング「正義の人を貶めるための捏造証言は鋭く見抜き、暴かなくてはいけないが、実際の事件だとしたら、まず被害者への思いやりが最重要。未遂でも精神的ショックは大きいから、一生のトラウマにならないようにダメージを最小限にするケアが必要」
ゴリーレッド「憑依か?」
コング「僕はレイプをしたことは一度もない」
火剣「それが普通だが」
ゴリーレッド「将軍の娘でも、輪姦よりも彼女がショックだったのは、男たちに復讐してくれると思った父親が輪姦事件を隠蔽したことだった」
コング「しかしあのレイプシーンは興奮した」
火剣「あ、普段のコングに戻った」


火剣獣三郎
2015/11/24 00:53
>火剣さん
このあたりは私の実体験を元にしていますが、開放的なアジトに好印象だった後だけに、加害者思考と無神経のダブルパンチで酷く失望したものでした。
許容できない人物と、それを許容する周囲に嫌気が差して、どんどん活動から遠ざかる私・・・。やはり“組織”には向かないです。

佐久間「あるいは、組織のトップに向いているか。」
維澄「組織の有り方が許容できなければ、トップになるか、抜けるか。・・・あるいは、我慢するか。」
佐久間「栞は抜けたわけだ。」
維澄「我慢を重ねた末にね。」
神邪「確かに殺し合いの方がマシですね。被害者を嘘つき呼ばわりするような奴を放置しておいて、何が革命なのか。」
山田「被害者に矛先を向ける心理が理解できないんだよな。俺は被害者の心配が真っ先に来る。」
佐久間「それが正常だ。被害者に矛先を向けるってのは、実際に自分が加害者だった経験があり、それを反省してない証。」
八武「そうだろうねぃ。性的な冤罪の被害者であれば、信じてもらえないという点で、嘘つき呼ばわりされている被害者の側であるわけだし。」
維澄「それが筋だね。もしも冤罪の被害者であっても、こっちで筋を通さず、他の被害者を嘘つき呼ばわりしているなら、れっきとした犯罪者だ。」
八武「私もハンザ医者。」
山田「コングより戻るのが早い!」
アッキー
2015/11/24 23:07

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