佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 9

<<   作成日時 : 2015/11/25 00:00   >>

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咲村茶倉は、教えやすい生徒だった。
それはあくまで九古鈍郎にとっては、という意味であるが、教えているのが彼ひとりなので、誰に憚ることなく正しい表現だろう。
口数こそ少ないが、説明したことに対して、わかったならば理解の意を示し、わからないなら質問を繰り返した。
他の生徒によくあるような、苛立ちや知ったかぶり、ふてくされた態度などが、彼女には皆無だった。
決して成績が良いわけではないのだが、数学だけは異常に良く出来た。反面、英語と理科が酷かったので、全体としての成績は真ん中より下ではあったのだが・・・。
実質的な指導内容は、半分は高校を卒業する為のもので、苦手教科でも単位を取れるようにするのが目的だった。
問題があるとすれば、学力ではないだろう。
鈍郎は、茶倉が自衛隊を志望していると聞いたとき、左翼的な感覚とは別の意味で危惧を抱いた。
それは単純に、彼女があまりにも華奢であったことだ。
もちろん自衛隊には会計や通信など事務的な部隊もあるのだが、それでも体力勝負と無縁でいられるとは、とても思えなかった。
いや、そういう意味で言うならば、そもそも社会の荒波に揉まれたら転覆してしまいそうな儚さがあった。
何年も後になってから知ることになるが、咲村茶倉は何と、4つも年齢を誤魔化していたのだった。
そこには並々ならぬ経緯があるのだが、それを聞いて鈍郎は、自分はロリコンではないかと悩んだという。結婚したのは彼女が18歳、鈍郎が25歳のときなので、別にロリコンではないのだが、何となく落ち着かない気分だった。
しかしそれは、もう少し先のことだ。
この当時、1992年の冬は、教師と生徒である以上の関係は無かった。
ただ、一度だけ茶倉が、授業と関係ない質問をしたことがある。
「父親のいない子供って、どう思いますか?」
「え、ええっ・・・?」
彼女が母親と二人暮らしで、母親が病気で入院しているというのは聞いていたが、そんな質問をされるとは思っていなかった。
後から考えれば、もっと適切な対応が出来たと思うが、そのときは、しどろもどろでぐだぐだな会話で終わってしまった。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「華奢な子好き」
ゴリーレッド「最初の特訓がきついかもしれない。もちろん見た目華奢だから体力がないとは限らないが」
火剣「特集で見たことあるが、ボート漕ぎに疲れ果て、泣いている女子に怒虎乱みたいのが『もうしまいか!』って気合入れてたぞ」
コング「始めから音楽隊や会計に行ければいいが」
ゴリーレッド「警察も最初は誰でも交番勤務からだからな」
火剣「25歳と18歳は普通の年の差だ」
コング「ロリではない」
ゴリーレッド「でも先生と生徒という関係は意識するだろう」
コング「♪はーるのーほほえみのー中でー君がー」
ゴリーレッド「歌わなくていい」
火剣「父親のいない子? まずなぜそれを聞くのかを聞かないと答えようがない」
コング「僕は父親どころか家族がいない」
火剣「物心ついた時は傭兵だったのか」
コング「シティーハンターの生い立ちに似ている」
ゴリーレッド「茶倉の動機が知りたい」
火剣「90年代はどうたったか。災害時救出の役目がそろそろ一般庶民に認知され始めた頃か」
ゴリーレッド「警察官や消防士も行くのに困難な山奥にも行く」
火剣「日本の自衛隊が海賊対策に乗り出して、現在は海賊事案がゼロになった」
ゴリーレッド「そういうなか、先輩が後輩をしごきいじめる事件が明るみに出て、凄いと思っていたのに失望したり」
火剣「人格を訓練された人間ならいじめなどするはずがないからな」
コング「警察も教師も自衛官も両面あるのです」
火剣「全体で見ちゃいけないか」
コング「茶倉の全身は見たいが」
ゴリーレッド「シャラップ」
コング「気の毒な瑠璃子」
火剣「絆は深そうだ。入り込む余地はないか」
コング「僕のところにおいで、おーいで。♪ランララランランラン・・・」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」





火剣獣三郎
2015/11/25 17:29
>火剣さん
塾の仕事をしていても、結局は体力勝負だと思うことが度々あります。
90年代といえば、「どいつもこいつも」の連載が98年からでしたが、ノンフィクションとしては最近読んだ「自衛隊員が泣いている」が印象的ですね。第十五話を書くにあたって、少なからず参考にしています。

佐久間「年齢差ではなく、元教え子と結婚したことの方が、落ち着かない原因か。」
山田「なるほどな。」
八武「華奢だが強い、萌えポイントでーす!」
佐久間「Mr.ブルーとかな。」
八武「女子の話!」
維澄「自衛隊にしろ軍隊にしろ、良くも悪くも体育会系。自衛隊批判をする人でも、スポーツ界の体質には無頓着な場合も多い。」
神邪「学校の体育で嫌な目に遭ってきましたが、それと同じことなんですよね。」
維澄「そうよ。」
神邪「なのに自衛隊だけ批判されるんですかね・・。別に自衛隊が好きなわけではないんですが。」
佐久間「だから栞と出会うまで、左翼へのイメージは悪かった。」
維澄「私が鈍郎とすれば、佐久間が茶倉か。」
山田「佐久間と維澄さんの絆に、俺の入り込む余地はないな。」
佐久間「待てや。」
八武「そうだ、ナウシカも華奢で強い女の子。これだよ!」
山田「なるほど、ナウシカのイメージもある。」
佐久間「ちなみに茶倉の父親は実は・・」
神邪「鈍郎さんなんですか?」
山田「真顔で何を言ってるんだ。」
神邪「意外性を狙ってみました。」
山田「何重もの意味で無理がある。」
アッキー
2015/11/25 22:19

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