佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 10

<<   作成日時 : 2015/11/26 00:00   >>

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茶倉は無事に試験に合格し、その後も鈍郎は、塾で働き続けた。
例の左翼グループには、大学を卒業してからも在籍していた。大きな失望も味わったが、小林をはじめとして、良くしてくれる人たちもいて、なかなか訣別しようとまでは思い切れなかったのだ。
重苦しさと充実感を同時に抱えたまま、鈍郎は活動を続けることになる。精神的な支えとしては、三角先輩の存在が大きかった。

左翼グループの人間関係は、曖昧というか境界的なもので、様々な種類の人間と関わった。
チェルノブイリ原発事故の跡地に潜り込んで写真を撮ってきたという男性や、沖縄で琉球民族解放を目指して活動している女性とも知り合った。その2人のことは尊敬していた。
反面、軽蔑に値する人もいた。女性解放を唱えながら、何かと「男でしょ?」と鈍郎に文句を垂れる女性や、他の女性メンバーの彼氏で、何かとオタクを下に見る発言をする男性など。
しかし、鈍郎が軽蔑する連中が人気あったり、沖縄の女性活動家が「民族主義がキツすぎ」と評されたり、写真家の男性が意見を蔑ろにされることが多かったりした。

そんな状況で、1995年の8月を迎えた。
戦後50年。暑さよりも、妙に胸がざわついていたことを覚えている。
得体の知れない不安感や寂しさを紛らわすように、鈍郎は威勢よく街頭演説を行った。
当時23歳。戦争を知らない世代が、自分の倍も生きていたりするのだと思うと、奇妙な焦燥感に襲われた。
反応の乏しさや、仲間たちの元気の無さが、それを苛立ちに変えていた。自販機で買ったコーヒーを、その苛立ちと共に飲み込んだ。
ジイジイと蝉が鳴いていて、ふと左手に妙な痺れが走った。
疲れていた。
家に帰って倒れるように眠り、8月15日は終わった。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「男でしょ? これは禁句だ」
コング「男女平等を掲げながら性差別。矛盾帝王は多い」
火剣「男でしょも女のくせにも死語だ」
コング「女の腐ったのってどんなんだ?」
ゴリーレッド「女々しいも死語にしたいが」
コング「♪女々しくて、女々しくて、つらいよーおー!」
火剣「初音ミクは今年初めてミュージックステーションに生出演し熱唱した。オタクだとか境界線なんか必要ないと思うが」
コング「ボカロではなくもはや歌手だな」
ゴリーレッド「柔軟性が大事だと思う」
火剣「好きな人がけなされて嫌いな人間が高評価だと腹立つのが人情。これは仕方ないことだ」
ゴリーレッド「三国志や竜馬がゆく、あるいは革命家の本を読んで感化され、この国を変えねばと革命の大志を抱く人は意外に多いと思う」
火剣「しかし反応の乏しさや、どんなに力説しても1ミリも変わらない世の中に嫌気がさし、急速に志が冷めていく」
コング「ロマンは一日にしてならず。僕は諦めない。美女及び美少女が気軽に水着で買い物へ行ける安全な街づくりを」
ゴリーレッド「それ革命なのか?」
コング「もちろん美女及び美少女のみ」
火剣「究極の差別だった」
ゴリーレッド「1995年は未曾有の大災害に無差別テロといろいろあった年だ」
火剣「手のしびれ?」
コング「手指は男の命」
ゴリーレッド「黙れ」

火剣獣三郎
2015/11/26 13:00
>火剣さん
偽物がチヤホヤされていると、本物は組織から離れていってしまう。すると本物を評価していた人も組織に魅力を感じなくなっていく。これで衰退しない方がおかしいですね。
自分の力不足を恥じていることもあり、組織に残り続けている鈍郎ですが、志が壊れかかっています。

佐久間「性差別発言を考えるとき、男から女に対するものだけを批判してる奴らが、嫌いでね。」
維澄「それって結局、男を見下しているだけだからね。」
佐久間「そうだな。それと、男から見下された鬱憤を、言い返せそうもない男にぶつけることで溜飲を下げてるという場合。」
神邪「佐久間さんは、それは絶対しないですよね。」
佐久間「ああ。鬱憤を晴らすなら、見下してきた奴を全殺しが基本だ。たまに死ぬ寸前で許してあげるが。」
神邪「なんて優しい・・・聖母か!」
佐久間「山田も私のセクハラに暴力で応える。これこそ男女平等。」
維澄「平等かはともかく対等ではあるね。恋人や夫婦なら許されることは多いと思う。」
山田「同居人です。」
八武「自覚したまえ。」
佐久間「オタク批判も、自覚なきオタクの騒ぎ声。」
神邪「やっぱり自覚は大事ですね。」
維澄「自分たちが何の為に革命を志しているのか。その自覚を持ち、信念がある人は、簡単に革命を投げ捨てない。だけど、仲間であるはずの人々と齟齬があると、しんどいね。」
八武「そこで変態として覚醒するのがオススメ。」
山田「待て。」
アッキー
2015/11/26 22:21

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