佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 43

<<   作成日時 : 2015/12/31 00:00   >>

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夫婦の物語は続く。
志織が死んでから、茶倉の中で少しずつ疑問が大きくなってきていた。
(あれは、あのときの“イヴィル”は、何だったんだ・・・?)
もはや子供ではない。あれが単なる発狂でないことは理解している。
決して“咲村志織”ではない、別の“何か”。
それとも、この思考そのものが、自分が病んでしまっている証なのだろうか?
現実を正しく認識するほど、人は心を病むという。それは現実が惨たらしいということではあるが、心が病んでいれば現実を正しく捉えられているという意味にはならない。逆のケースも多いだろう。
自分が妄想の世界にいないと、誰が証明できるのだ。そもそも鈍郎と出会えたことからして、出来すぎている。
あるいは、吉岡一曹は?
全て自分の作り出した、架空の人物・・・?
(ああ)(疲れてるな)
あまりにも自分の理想的な夫と友人を持ったせいだろうか。
それとも案外、自分と通じるタイプの人間は多いのだろうか。
少数派といっても、どれほど少数派なのか。言葉のイメージをネガティブな方向に増幅させてはいないか。
くだらないゴミどもの声が大きいせいで、そんな連中が多数派だと思い込んでいないだろうか。
現実がどうであれ、そのくらいポジティブに考えている方がいいのかもしれない。心を病むなど、まっぴらだ。
それは吉岡一曹の受け売りだが、自分の思いとズレていない。
精神病者への差別は忌むべきものだが、それを撤廃しようとして「精神病は個性だ」と唱えることも、差別と同じだけ忌むべきものだ。よりタチが悪いかもしれない。
父親が精神病院に入院している吉岡一曹の言うことだからこそ、生々しい迫力があった。
そして穏やかで理知的な彼女の言うことだからこそ、説得力があった。
“心を病むのは、死ぬことと同じだ”。
それくらいの危機感を持っていなければ、その程度の危機感も持っていなければ、とても真剣とは言えない。
心を病むことを楽観視するのは、それだけ人の心を平気で傷つけているということでしかない。
大概自分も病的な方だと思っている茶倉だが、吉岡一曹から話を聞いて、自分は疑いようもなく健常者なのだと知った。
正気と狂気の境目など定かではないと、したり顔で言う人々の、どの程度が“正しく認識し”ているのだろうか?
境目を越えることは容易いのだ。手を突っ込む程度であれば。
しかし、手を突っ込むのと身を浸すのとでは、大きく異なる。
まして、常にそこにいる者とでは、獣と魚ほどに質的な違いがある。
水に潜れるからといって、魚の気持ちを理解できたと思うのは、それこそ潜った距離よりも浅はかなことなのだ。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「年越しそばも食ったし、あとは女を食って姫おさめだあ!」
火剣「そればかりは相手がいないとできねえ」
コング「道端に歩いている美女をさらい、犯して姫おさめ」
ゴリーレッド「コングに正月は来なかったか」
コング「待ちたまえ、冗談だ」
火剣「イヴィルの目的は何だったんだ?」
コング「全て妄想か。今生きている現実は全て物語。そうかもしれない」
ゴリーレッド「少数派と多数派か。声が大きいと大多数がそう思っていると誤解することはあるかもしれない」
コング「僕も少数派かと誤解していたが、ヒロピンファンは全国に1000万人いるからな」
ゴリーレッド「いない」
火剣「障害者本人が個性と言うならまた別の意味がある。負けまいとしているのかもしれねえ。でもいわゆる健常者が個性と言ってしまうと、励まされる人間もいるかもしれねえが、『なーんもわかってない』と思われるかもしれない」
ゴリーレッド「最近は公文では『障がい者』と表記している。しかし平仮名にしたから解決するものではない」
火剣「うつ病も認知症も不治の病じゃない。治っている実例がある以上、治す、治るということが大事な気がする」
コング「変態は病気ではない。人生で自分が変態で得することのほうが多い」
ゴリーレッド「常にそこにいるか。強烈な言葉だ。理解者と当人では天地の差か」
火剣獣三郎
2015/12/31 12:40
>火剣さん
志織の死によって、イヴィルの件も謎のまま・・・この不気味な喪失感は、狂気の入口かもしれません。
しかしそれでも健常者には違いない茶倉。思考の面では狂気じみているところもありますが、至って健康です。

佐久間「2015年も後わずか。」
八武「年越しレイプの時間だ。」
山田「お前は何を言ってるんだ。今すぐ死ぬか?」
八武「クククいいだろう、やってみるがいい。私は魔術師! 何度でも蘇ってやる!」
神邪「ドクターは本当に蘇りそうですね。」
山田「試してみるか。」
八武「NO!」
佐久間「まあ、死根也やコングを見ればわかる通り、変態は病気ではない。冗談で病気と呼ぶことはあるが、病気なら正確には、弱まるんだ。」
八武「いつでもビンビン、八武死根也です。」
維澄「病気とは正反対だね。デビルビースト現象みたい。」
八武「誰だっ、誰だっ、誰だ〜♪」
山田「そりゃガッチャマンだ。デビルマンじゃない。」
佐久間「精神病者は凶暴というイメージがあるが、それは一部だけで、むしろ健常者と比べれば犯罪者の数は少ない。」
山田「一部の凶暴な連中が目立っているせいで、全体のイメージが曲解されているのか。」
アッキー「大人しいというと良い意味になりますから、やる気が出ない、だるいと言いましょうかね。」
佐久間「病気だからな。」
神邪「風邪を引けば安静にするのが当たり前なのに、障碍で働けないと怠け者と言われる。個性という言い方は、病人じゃないから配慮しなくていいと聞こえます。」
山田「そこが障碍者本人が言うのと、健常者が言うのとの差か。」
佐久間「障碍者の中でも、環境で差があるがね。」
アッキー
2015/12/31 18:50

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