佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 20

<<   作成日時 : 2015/12/07 00:00   >>

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咲村茶倉が生まれたのは、1978年の12月28日。
2歳の頃には物心ついていた茶倉は、きりっとした冬の景色を大人になってからも覚えている。
その年の春の、父親と母親の会話も、映像だけは覚えている。
「・・・・・・。」
あのとき自分は、どんな目をしていただろうか。
あのときから自分は、今のような人間になっていったのではないか。
(ああ)(子供を作ることは)(無駄なことで)(家庭を持つことは)(なんて無駄なんだろう)(無駄)(無駄)
それっきり姿を見せなくなった父親の無責任さと、それから身も心も磨り減っていく母親の姿は、幼い茶倉をニヒリストにするには十分だった。
「・・・・・・。」
効率よく生きていかねばならないと思った。
出来るだけ無駄を省いて生きていかなければならないと、恐怖と共に思った。
外で遊んだりするのは無駄。
仲の良い友達を作るのは無駄。
おしゃれやファッションなど無駄。
そんなものは生活の助けになどならない。
遊んでる暇があれば、母の手伝いをする。
子供の友情は生活費の足しにはならない。
着飾ることは家計を圧迫するだけの浪費でしかない。
ケチ臭いとか、可哀想だとか、言われたくない。どうしてそんな侮蔑を受けなければならないのだろう?
同情するよりカネを出せ。
無駄だ、本当に無駄だ。一文の得にもならないような、同情とか、思いやりとか、おたたかさとか、涙とか、猫なで声とか、応援だの励ましだの、笑顔にスピーチ、そんなものは無駄で無駄で仕方ない。
そんなことを普通に考えていた。
うらぶれて、やさぐれていた。
母親の重労働や、受けている性的な嘲りの数々を、世に訴えてやろうと思ったが、無駄なのでやめた。
そんなことよりも、早く自分が立派な人間になって、母親を助けようと思っていた。
茶倉はニヒリストであっても無責任ではない。自堕落に生きるくらいなら死を選ぶ。死んだように生きるのは無駄だ。
そうした苛烈とも言えるほどの精神で、何年も過ごしてきた。
小学校へは通っていなかったが、自分なりに学問を志し、わからないからといって投げ出さなかった。食らいついた。
幸いというべきか、心だけでなく体の方も発育が早く、年齢を偽って8歳のときに中学生になった。
第二次性徴が早かったとはいえ、流石に中学生の中では身体的に劣位だったのは否めない。学力も中程度より下だった。
とはいえ、戸籍を改竄したことに後悔も罪悪感も無かった。そんな感情は無駄だからだ。
堅く秘密を守ったのも、恥ずかしいからではなく、あれこれ言われるのが煩わしいからだった。たとえ善意でも。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「ニヒリストか」
コング「ニヒリスト? 女を裸にして手足縛って、にひひのひって迫ることか?」
ゴリーレッド「それはコング」
火剣「苛烈な青春だな。想像以上だ」
ゴリーレッド「生い立ちはどうしても人格形成に影響する」
火剣「でも茶倉は精神的に強いと見た」
コング「家政婦は見た」
ゴリーレッド「2歳で物心つく。大人がよくやるのは、子どもだから意味わからないだろうと大人の会話をしてしまうことだ」
火剣「子どもは全部わかってるぜ」
コング「僕も無駄のない生活を送ろう」
火剣「同情するなら金をくれ」
ゴリーレッド「表面だけ見て、かわいそうというのは失礼に当たる場合がある」
火剣「幸福の形は人それぞれだ」
コング「女の子がファッションにこだわるのは無駄ではない。セクシーファッションは多くの男たちに夢と希望と活力と感動と歓喜を与える」
火剣「茶倉が聞いたら怒りそうな考え方だ」
コング「そんなことはない」
ゴリーレッド「その人の生き方を尊重することは凄く大事だと思う。人を型にはめようとするのは犯罪だ」
火剣「鈍郎も普通じゃないから惹かれ合うものがあったのか」
コング「出会いシーンも興味あるが、その前に茶倉のことだ。きっとヒロピンシーンが青春時代にあっただろう」
火剣「推理か」
ゴリーレッド「やらしい推理だ」
コング「そう、僕はやらしい」
火剣「でも8歳といったら小2で中学は驚きだ」
コング「逆テーガン状態か?」
ゴリーレッド「茶倉は人間だ」
火剣「そうだ、志望動機もわかるかもしれねえ」
コング「寝る時は毛布にくるまるのか?」
ゴリーレッド「・・・それが普通だ」
コング「にひひのひ。ニヒリスト・コング」
ゴリーレッド「だからそういう意味じゃない」

火剣獣三郎
2015/12/07 22:11
>火剣さん
過酷な生い立ちが、茶倉をニヒリストへ成長させました。そして年齢を偽っていたのも、この頃から。
鈍郎との出会いは、もう少し後になります。

山田「佐久間の少女時代と似ているものを感じる。」
佐久間「まあ、母子家庭だしな。」
八武「母子家庭と聞くと支援したくなる。」
維澄「立派なことなんだけど、八武が言うと・・」
神邪「何だか父親不在が多いような。」
八武「男は家庭に縛られたくない生き物なのさ。」
山田「それも一概には言えない。」
佐久間「茶倉の言うのも、あくまで自分のこと。一般論は否定しない。」
神邪「自分がファッションに拘るのは無駄でも、他の人のファッションまでケチつけないってことですね。」
維澄「それこそ無駄だと、茶倉なら考えるね。」
八武「しかし茶倉には、可愛い服を着せたい。」
佐久間「それこそ茶倉は怒るぞ。」
神邪「後に迷彩服やワンピースを着ますから。」
八武「それもそうか。・・・おや、ワンピースはファッションだ。大人になって意識が変わったのか。」
山田「ますます鈍郎との出会いが興味深い。今まで茶倉の内心は、殆ど語られていないが、どういう流れなのか気になる。」
八武「いつ初潮が来たのかも。」
山田「よし、茶倉に代わって俺が死根也を殴る。」
八武「待ちたまえ、君は暴力を振るいたいだけではないのかね!?」
山田「そうかもしれない。これが腹パンだ!」
八武「ごえっ!」
佐久間「んー、ヒロピンシーン・・・?」
維澄「違うと思う。」
神邪「自衛隊への志望動機も気になりますね。」
維澄「うん。」
アッキー
2015/12/07 22:44

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