佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 44

<<   作成日時 : 2016/01/01 00:00   >>

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あくまで九古鈍郎の主観ではあるが、振り返って考えてみると1999年―――7月に茶倉の母が亡くなった頃から、夫婦の不和は始まっていた。
ぎくしゃくしていた。
考えていること、思っていることを伝えようとして、上手く言えない。
それは客観的に見れば、コミュニケーションを取ろうとする副産物であり、相手との関係を進めようとしている証なのだが、しかしあくまで客観であり、主観的にはディス・コミュニケーションの劣等感を刺激するのみだった。
しかし決して無為な努力でないのも確かだった。
結果オーライ、終わり良ければ全て良しと、よく言われるが、経過なくして結果なし、でもある。
経過を疎かにする者に、良き結果など訪れるはずもないし、だいたい最初からスマートな努力など出来るはずもない。
“努力も才能のうち”という言葉があるが、半分は正しく、半分は間違っている。
頑張っても報われない人に対して、慰めや励ましとして言うのであれば、およそ正しい。
しかし、努力を放棄する言い訳に使うのは、明らかに間違っている。おそらく、“スマートな努力”だけが“努力”なのだと思っているのだろう。
スマートな努力が美しいのは事実だが、それだけが努力だと思っている人は、他人の努力を低く見積もる物言いにも長けている。「今時の若者は努力を知らない」などと、恥ずかしげもなく口にする連中が、さて自身どれほどの努力をしているのか、大いに疑ってみる必要はありそうだ。
そうした意識の人間は、老若男女どの層にもいるようで、愚にもつかない若者論の再生産と供給に、一役買ってくれているのである。
最初からスマートな努力が出来るのは一握りで、鈍郎の兄・鋭郎が、その一握りだった。名前の通りシャープな兄に比べて、弟は鈍かった。ぎくしゃくして、そわそわして、咽に言葉が引っかかる。苛々する。
だが、乗り越えた後になって理解できた。それこそ努力していた証拠だったのだと。
途中で放棄しなかったのは、兄に対する尊敬の念のおかげであり―――そして同時に、あのシャープな兄も内心では苛々していたのかもしれないと思った。
しかし兄も自分も、それを無闇に態度に出すことはしなかった。まして人にぶつけるなど、決してしなかった。
他人に八つ当たりすることを、自分に許してしまったら、自分は壊れる。自分でなくなる。フラットな精神状態のときこそ、その恐怖は強かった。
そしてそれは、茶倉も同じだったのだ。
結果が出るまでに数年かかったが、しかし良き結末に辿り着けたのは、互いに辛抱強かったからに他ならない。
どちらかが一度でも、ふてくされた幼稚臭い態度を取っていれば、破局していたに違いないのだ。
コミュニケーションは、双方の協力あってこそ。たとえ一方が、どれほど誠意を尽くして接しても、成立しないことだってある。いや、成立しないことの方が多いだろう。
ファシズムをコミュニケーションと勘違いし、そこに染まらない者をコミュ障と呼んで疎外する者は多いし、ディス・コミュニケーションの中にも、“ひとりファシズム”が意外と多い。
そんな中で、出会えただけでも奇跡かもしれない。
まして結婚までするなどとは―――




つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「不和? なぜに」
火剣「ぎくしゃくするのは嫌だろうな」
コング「結果とプロレスは切り離せない」
ゴリーレッド「プロセスだ」
火剣「努力も才能のうちか。よく使われる言葉だ」
コング「『その努力は買う』も。若い主婦が夫の留守にマッサージ師を呼んでベッドにうつ伏せになり指圧。しかし後ろ手に縛られ『何をしてるんですか!』『本当はココもマッサージして欲しかったんだろ?』『やめてください』とまあ、シチュエーションが工夫されていてこういう作品は努力を買う」
ゴリーレッド「説明が長過ぎるというか的外れも甚だしい」
火剣「『今時の若者』は一生言わないと決めているセリフだ」
コング「非常識な年配は星の数いる」
ゴリーレッド「年齢は関係ない。コングも若者ではないし」
コング「僕ほど良識豊かな人間がいたら見せてほしい」
火剣「八当たりは良くねえ」
コング「山田太郎は毎日八当たりしてる」
ゴリーレッド「ドクターに当たるのを八当たりとは言わない」
火剣「自分の気分を害した人間以外に不愉快な思いをさせるのは最悪だ」
コング「コミュニケーションか。確かに双方の協力あってこそプレイも成立する」
ゴリーレッド「シャラップ」
コング「磔にされているほうもリアクションがかわいく色っぽくないと興奮度が下がる」
ゴリーレッド「幸せな男だ」
コング「ハッピーニューイヤー!」
ゴリーレッド「うるさい」

火剣獣三郎
2016/01/01 13:28
>火剣さん
あけましておめでとうございます。新年から不和な話を掲載していますが、これも乗り越えるまでのプロセス。物語は2003年、第一話へ辿り着きます。

佐久間「私と山田もぎくしゃくしていたな。」
山田「あの頃に戻りたい。」
佐久間「何故に。」
八武「いやわかる。ぎこちない関係もオツなもの。」
維澄「私は円滑な関係の方が好きだな。」
神邪「友人関係は円滑な方がいいですね。」
佐久間「性感マッサージも。」
山田「おい。」
八武「世代による差異は存在するが、一括りに出来ないのも確か。相互に共有できる部分を意識しよう。」
佐久間「肉欲とかな。」
山田「共有できない。」
佐久間「山田の暴力は、むしろ私に振るわれている。今日も食事中に殴られた。」
山田「食事中に下品なことをするからだ。」
佐久間「ああ、大量のミミズを撒き散らして『ミミズ千匹』とかやったアレか。」
神邪「正月から何やってるんですか佐久間さん。まさに狂月。」
山田「食べ物で遊ぶ奴には、鉄建制裁。それが俺のポリシー。」
佐久間「後で調理しただろ。」
山田「遊んだことが問題だ。」
八武「そうだ、しおりんと秘め始めをしなくては。」
維澄「ミガロスとは?」
八武「年末から半日ぶっ通しで。私は一眠りしたら、この通りスッキリだが、ミガロスはまだ寝ている。」
維澄「寝ているんじゃなくて気絶しっぱなしなのでは・・・?」
佐久間「幸せな女だ。」
山田「皮肉に聞こえるのは気のせいか?」
アッキー
2016/01/01 22:47

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