佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 53

<<   作成日時 : 2016/01/10 00:00   >>

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体が動かなかった。
「何を・・・した・・・!?」
今までマシンガンを撃っていたはずが、いつの間にか撃つのを止めている。
少女の声が聞こえる。
「ちょっと体内の電子を操ったの〜。力ずくでは外せないからね。」
「くっ・・・!」
そこまで。
そんなことまで出来るのか。
悔しいよりも、恐い。
これがエスパーか。
すっかり再生した少女は、頭が損傷していたことが無かったように笑っていた。
「九古くん、君に言っておかなくちゃいけないことがある。」
「私に、何を?」
まだ鈍郎は冷静さを保っていたが、この状態で茶倉は酷く不安定になっていた。
その耳を休ませることもなく、衝撃の言葉が響いてくる。
「ごめんね、君はエスパーになっちゃったの〜。私が助けた、というか関わった人ね。6人に1人くらいの割合でね、エスパーになっちゃう人が出てきちゃうんだよ。」
「何・・・え・・・?」
夫がエスパー?
何それ。
「わ、私がエスパーに・・・。」
鈍郎も驚愕していた。
「うん。ほら、私って電子を操るエスパーじゃん? だから私の干渉を受けるうちに、最も影響を受けやすい脳がエスパー化しちゃったりするんじゃないのかなー?」
「なんて・・・こった・・・。」
鈍郎は頭を押さえた。
「だから、その超能力をコントロールする為にもさ、こっち来てよ。もちろん人助けもしてもらうけど。」
「そんな与太話を信じろと?」
茶倉は引かない。理由は説明できないが、どこかに嘘を感じる。
「本当のことだよ。その能力で、半年前にリコちゃんを助けたんだよ。」
「・・・・・・。」
ザワッと嫉妬が煮え滾った。
夫が超能力で、他の女を助けたと。
しかも鈍郎は。
「・・・わかったよ、サトリン。でも、コントロールが出来たら家に帰してくれよな。」
「あ、あなた! 行くつもりなの!?」
(嫌・・・嫌・・・嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ行かないで!)
「仕方ないさ。もしも私の超能力が茶倉を傷つけてしまうことになったら・・・。・・ははっ、しばらく会えないだろうから、クサいセリフも恥ずかしくないな。」
「・・嫌よ・・・嫌・・・!」
こんなときでも自分を思いやってくれているのが嬉しかった。
けれど離れたくない。耐えられない。
「行かないでよ、あなた! 愛してるのよ!」
「茶倉の口からそんなセリフが出てくるなんて初めてだね。感動的だ。」
「茶化さないで!」
わかっている。自分は駄々をこねているだけの子供だ。
鈍郎は大人で、優しく諭しているのだ。
この状況で、断る選択肢など存在していない。
最初から1つしかない選択肢を、さも自分の意思で選ばせたように持っていく偽善者!
情けない。
涙が出る。
しかし鈍郎は、優しく笑って茶倉の頬に触れた。
「萌えるねえ、その表情。・・・大丈夫、必ず戻ってくるから。」
「あなた・・・。」
戻ってきてよ。必ず戻ってきてよ。
私は、あなたがいないと駄目だから。
「・・・わかったわ。・・・来年のクリスマスまでには戻ってきなさいよ。」
「ありがとう。・・・さよならは言わないよ。」

鈍郎は笑顔を残して、いなくなった。





つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「これは紛れもなくサトリンか」
コング「電子を操る?」
ゴリーレッド「鈍郎はこの時にエスパーになった?」
コング「それより重要なことは、茶倉のような誇り高き強気のヒロインが、意識が正常のまま体だけ操られているという事実だ」
ゴリーレッド「何が言いたい?」
コング「正義のヒロインにとってこれほど悔しいことはない。鈍郎も思わず萌える」
ゴリーレッド「それで萌えたわけではない」
火剣「サトリンと接してエスパーになった者がいるのか」
コング「リコでジェラシー湧く茶倉。ぐひひひ」
ゴリーレッド「全然笑うところではない」
火剣「来年のクリスマスまで? そんなに長く離れ離れになることを鈍郎は平気なのか」
ゴリーレッド「鈍郎もコントロールされているのか」
コング「この気温の高さでは水着姿の女子が街を闊歩していても不思議ではない」
ゴリーレッド「何の話に飛んだ?」
火剣「サトリンは誰でも操れるかもしれねえ」
コング「茶倉を水着姿で街を歩かせないだけ悪質度は低い」
ゴリーレッド「そろそろラリアットの時間か」
コング「そんな時間はない」
火剣「茶倉の勘が当たっていたらサトリンの嘘ということになるが」
コング「こうしてリコと鈍郎は結ばれました。めでたし、めでたし」
ゴリーレッド「ラリアット!」
コング「があああ!」

火剣獣三郎
2016/01/10 13:15
>火剣さん
確かにサトリンのはずですが、茶倉にとっては別の懸念も生じていますね。瑠璃子は鈍郎を諦めていないですし、まだまだ波乱の火種は燻り続けています。

佐久間「エスパーになったのは電話した頃だが、この時点でも自覚が無い。」
神邪「制御できてないんでしたね。」
山田「茶倉の目から見れば、サトリンには色々と問題ありか。正義の味方には違いないと思うんだが。」
八武「それより重要なのは、茶倉が動きを封じられていることだ。う〜ん、惜しい。これがイヴィルなら、とても楽しいことが起こるのに!」
山田「怒るぞ。」
維澄「今までどれだけ茶倉がクールな女を演じてきたかわかる。」
八武「ふむ、もしやサトリンの能力で素直になっているのかも。」
神邪「どこまでが操りなのでしょうか?」
佐久間「体の動きを止めているところまで。心は操っていない。」
山田「そうなのか?」
佐久間「まァ、心と体は直結しているからな。これが最後だと思えば、素直な言葉も出てくるさ。」
八武「知的でクールな女の子が、素直になって甘えちゃう! これには鈍郎も萌えないわけにはいかないねぃ!」
神邪「そして燻るNTRの火種。」
佐久間「火種は1つとも限らないしな。」
山田「何だと・・・。」
アッキー
2016/01/10 21:39

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