佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 57

<<   作成日時 : 2016/01/15 00:00   >>

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九古鈍郎が連れて来られたのは、サトリンが所有する島の1つだった。
後に邑甘富良実が匿われることになる、この島に、今いるのは男ふたり。
鈍郎の前には、自分より一回りほど年上であろう、スラッとした中年男性が立っていた。
(ウホッ、イイ男・・・!)
どちらかというと鈍郎は、年のいった男の方が好みである。若い男には出せそうもない、落ち着いた風格、貫禄。
性的な意味を差し引いて考えても、自分も将来そうなりたい、重厚な男になりたいと思う。
軽薄な男は嫌いだが、自分の中にも軽薄さが無いとは言えない。男と女を比べてどうこう言う気は無いのだが、もう少し具体的に、若い男と若い女なら比べてみようとも思う。
自虐的なものを差し引いても、あまり“若い男”に良い思い出が無い。もちろん三角や八谷など例外はいるのだが、相手の心情を無視した勝手な物言いや、勘違いした馴れ馴れしさなどは、圧倒的に若い男から発せられることが多い―――少なくとも鈍郎は、そう考えていた。
じじむさい子供だったのも、そうした軽薄さへの反発を含んでいたのだろう。早く老人になりたかったし、今でもアンチエイジングなどクソ食らえだと思っている。鈍郎の目指すのは、グッドエイジングだ。
ふと思うが、「自分はもう若くない」という物言いは、哀しみではなく、落ち着きの言葉ではないだろうか?
鈍郎は、重厚な人間性が得られるなら、引き換えに若さを失っても構わないと考えている。
「初めまして、第二の戦士“ガーディアン”こと、二葉蒼志(ふたば・そうし)です。」
二葉は名刺を出して鈍郎に渡した。
「あ、どうも。えーと、九古鈍郎です。第七の戦士“インビンス”でしたっけ。」
どこか他人事なのは、自分の力を自覚してないからであった。
自分の中に、回転する白と黒の石・・・イメージはあるが、それが何なのかは見当つかない。
「まだ自覚はありませんか?」
「そうですねえ・・・。」
鈍郎は気まずい顔で返事をした。
すると二葉は肩を竦めて困った顔。
「姫様にも困ったものです。自覚を持っていない戦士などを連れてきて・・・。」
その言い方に鈍郎は、一瞬ムッとしたが、すぐに誤解だとわかった。
二葉は頭を下げていた。
「申し訳ありません。」
「えっ・・・」
「自覚を持ってからスカウトするべきでした。“アインストール”と“トランジスター”を許してやってくれますか?」
「あ、それは、まあ・・・。今後あのようなことが無ければ、はい。」
「厳しく言って聞かせます。」
「あ、いや、なるべくお手柔らかに。」
正直なところ、彼女らを罰して欲しいという思いは無い。
それが優しさなのか甘さなのかはともかく、自分に気を遣わずに仲間内のルールに則って対処してもらいたい。
(いや、これから私も仲間になるのか。)
好奇心や期待感よりも、不安の方が強かった。
左翼グループでの件など、“仲間”に関する記憶に、あまり良いものはない。
相手の出方次第ではあるが、この組織では自分を引っ込めるようなことは、しないでおこうと決意した。




つづく

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内 容 ニックネーム/日時
ゴリーレッド「鈍郎はコングが嫌いだろう」
コング「なぜに?」
ゴリーレッド「軽薄な男が嫌い」
コング「僕は185キロだぞ」
ゴリーレッド「体重は関係ない」
火剣「少年時代、重量感のあるプロレスラーに憧れたな。デカクて筋骨逞しいヘビー級。だから呂布や張飛や関羽が好きだったのかもしれねえ」
コング「鉄牛も」
ゴリーレッド「礼儀正しい子どもを『子どもらしくない』と潰す大人がいる」
火剣「あるな」
コング「馴れ馴れしいに関しては男女差がある。年下の同性が馴れ馴れしいのは腹が立つが異性の場合は腹が立たない。僕なら19歳の女子が馴れ馴れしくてもOK」
火剣「美女及び美少女に限るか?」
コング「それは常識なので省いた」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」
火剣「回転する黒と白の石が見えていたのか」
ゴリーレッド「甘さではなく優しさだと思う」
コング「罰し方にもよる」
ゴリーレッド「バックドロップ!」
コング「があああ・・・まだ何も言ってない」
火剣「鈍郎は今度は引かない」
コング「二人の罰し方はピラニアプレイ。美しきヒロインが落ちたら終わりっていうシチュが大好きなのは私だけではあるまい」
ゴリーレッド「コングはタバスコの沼に落としてあげる」
コング「何のロマンもない」
火剣獣三郎
2016/01/15 16:35
>火剣さん
強さと風格を兼ね備えた人物は、見ている者に感動を与えてくれますね。鈍郎もギャグに走っていますが、真面目に感動しています。
その一方で、今度は失敗しまいと決心。それが瑠璃子にとっては違和感に映ったりもしていました。

佐久間「よく格闘技は野蛮だと言われるが、いかにも一般人の野蛮さを無視した物言いだ。私は紳士的な格闘家しか知らない。」
山田「コングも紳士か?」
八武「もちろん紳士だ。」
佐久間「どれだけ野蛮な格闘家でも、他人の痛みを知らない庶民よりは紳士的だと思わないか?」
維澄「それは極論だけど、礼儀正しさを煙たがる対応は同じくらいの暴力であるのは確かだね。」
神邪「僕も丁寧な口調を慇懃無礼だと言われたことがありました。人の顔色を窺って、気を遣って丁寧に話して、それで非難を受ける。」
八武「若い男は砕けた言葉遣いをするのが普通だという風潮があるからねぃ。」
神邪「ドクターなら丁寧な口調が様になっているんですけどね。」
八武「ありがとさん。」
山田「鈍郎も左翼グループで控えめに振舞って、仇で返された。似たようなものか。」
神邪「次はもっと上手くやろう。考えることは、それです。」
八武「ピラニアプレイは?」
佐久間「残念ながら、やらない。」
山田「残念ではない。」
アッキー
2016/01/15 22:26

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