佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 58

<<   作成日時 : 2016/01/16 00:00   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 1 / トラックバック 1 / コメント 2

「サークルファイア? それが私の能力名ですか。」
鈍郎は紙に書かれた字を見て、ふんふんと頷いた。
“偶石握殺”と書いて“サークルファイア”と読む。こういうのは嫌いじゃない。
訓読みなるものの存在からしても、こうしたルビ打ちが出てくるのは必然と言えた。
(同士討ちさせる能力か・・・。)
自分の心の歪み様が、具現化されているようで嫌な気分だったが、しかし二葉の話によると、誘拐事件のときに十島を助けたのが、この能力だという。
「姫様から聞いた話ですが。」
「・・・・・・。」
「不安に思っているのなら、その能力を使いこなすことです。今は、そのことを第一に考えてください。」
「わかりました。具体的に、どうすればいいのですか?」
「それは僕よりも、“アインストール”や“トランジスター”の方が向いているのですが・・」
二葉が言葉を濁したのは、七村が鈍郎を殺しかけた件だろう。
それはもう済んだことだが、しかし彼女らの方が向いているとは、どういうことなのか?
「何故かは不明ですが、奇数番号の能力は制御し辛いのです。かといって姫様は何分も動けないので、なるだけ自力でやってもらうしかありません。」
「・・・もしかして、妻の銃撃で?」
「それは違います。大丈夫です。そもそも姫様は、本来なら“外”で動けるはずがないのを、無理に動いているのです。秋口には既に具合が悪くなっていました。」
(サトリンが姫君なら、この人は執事といったところか。)
執事マニアでもある鈍郎は、二葉の口調に萌えた。
「それでも動けるのは、“願い”の力なのでしょう。」
「願い・・・。」
すると、かしこまった顔の二葉の肩に、ぴょこんと帽子の少女が現れた。
「んんっん〜、何か照れるな照れちゃうな。」
相変わらずのボーイッシュな格好に、軽快で澄んだ声。
緑色の“E”の文字が、くるりと回って、17歳のままの少女の顔が眩しく光る。
それを見る二葉の顔は、娘を見るような慈しみに溢れていると同時に、どこか寂しげでもあった。
「姫様、大丈夫なのですか?」
「の・の・の・の〜、の〜プロブレム。それより二葉くん、いいこと言った! 九古くん、私たちの超能力はね、みんな“願いの力”なのだよ。」
「“願いの力”・・・。」
「超能力には、“自然の力”と、それを思うように扱おうとする“意志の力”があったんだ。私たち電脳戦士の持つ超能力は、そのどちらとも違う、第三の力。」
そのときのサトリンは、いつもの明るい調子ではなく、落ち着いた静かな様子だった。
「私たちの力は、内面と向き合うことで成長・変化する。願いの方向へ、超能力は進化する。」
「それが負の思いであっても?」
「そうだよ。それが君の力なのだから。」
挑戦的に目を鋭くする鈍郎に対して、サトリンは澄んだ瞳と神秘的な声で応じた。




つづく

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 1
なるほど(納得、参考になった、ヘー)

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「サトリン」 第二部目録 (2)
■■■■■ ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2016/01/27 00:23

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ゴリーレッド「内面と向き合うことで成長・変化するか」
火剣「願いの力。第三の力」
コング「瑠璃子を助けた能力。素晴らしい。明治時代のように、おめかけさんという手がある」
ゴリーレッド「今は平成だ」
火剣「自分の心の歪み様が具現化か。これは本人だから感じることだろう。他人はそんなこと思わない」
コング「鈍郎は紳士だ」
ゴリーレッド「サトリンは姫様、姫君か」
コング「ひめさまー!」
ゴリーレッド「うるさい」
コング「行ってしまわれた」
火剣「サトリンは本来、外には出られない。前にも聞いた謎の一つ」
コング「澄んだ瞳と神秘的な声は姫の条件だな」
ゴリーレッド「願いの力というのが凄く気になる。興味ある」
火剣「修練が必要なのだろう。おまじないとは違う」
コング「滅びの言葉」
火剣「二葉も紳士のようだ」
火剣獣三郎
2016/01/16 00:24
>火剣さん
重要なキーワードが出てきました。さらりと鈍郎の心の闇を肯定するサトリンは、姫君と呼ばれながら実質はクイーンかもしれません。

佐久間「女王様とお呼びなさい。」
山田「そのクイーンじゃないだろう。」
八武「We will We will〜♪ Rock you!」
維澄「そのクイーンでもない。」
神邪「妾、愛人ですか。その手もありますね。」
山田「鈍郎は受け入れないだろう。」
八武「もったいない。」
佐久間「だからこそ選ばれたという面もあるんだがな。」
維澄「心が腐って、はや10年・・」
八武「それでも姫様は、綺麗な心だと言ってくださる。」
神邪「外に出られないのは、生霊みたいなものだからですか?」
佐久間「今にわかる、今にな・・・。」
山田「月影先生かっ!」
アッキー
2016/01/16 08:13

コメントする help

ニックネーム
本 文
「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 58 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる