佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 45

<<   作成日時 : 2016/01/02 00:00   >>

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ようやく物語は2003年まで辿り着くこととなった。
すなわち、九古鈍郎がサトリンに電話をかけた頃だ。
夫婦仲が上手くいってないことを悩んでいた鈍郎は、サトリンに出会ったことで、その悩みが解決するのだが、実のところ、それは正確な表現ではない。
結論から言えば、サトリンは何もしてない。彼女のしたことは、鈍郎の悩みを見抜いたことだけだ。
鈍郎は、テレパシー能力か何かで精神を良好になるよう操作されたのだと思っているが、そんなことは露ほどもしていない。
鈍郎は茶倉が優しくなったと感じているが、茶倉からすれば、変わったのは鈍郎の方である。
変わったのは、意識。
既に十分な客観条件の整ったもとでは、意識改革こそが最後の一押しとなる。
そして同時に、この夫婦円満は戦慄のプロローグでもあった。
茶倉にとっては10年、鈍郎にとっては20年の時を経て、再び“超能力”が運命に食い込んできた。
それも今度は、より深く、がっちりと掴んで。

夫の様子がおかしいと気付いたとき、真っ先に浮かんだのは浮気だった。
結婚してから数年、近所との付き合いも増えてきて、鈍郎の新しい人間関係で、茶倉の把握してない部分も少なくない。家庭教師をしている鈍郎は、近隣の主婦たちと親しく、そのことは以前から少なからず気になっていた。
自分を謙遜なく客観視したとき、容姿とプロポーションについては上々だと思うが、性格が悪く、セックスも拒んでいる女である。個人として高いスペックを獲得したものの、妻として、男に対する女として、決して優れているとは思ってない。
もしも優しい性格の床上手な主婦に誘われたら―――そう思うと、顔も知らない相手を八つ裂きにしたくなる。
(殺す殺す殺す殺す殺す)(殺してやる)
しかしそれは杞憂どころか、鈍郎に対して失礼な話というものだった。彼とて聖人君主ではないが、さりとて一線を踏み外すような真似はしない男だ。古いとか恐いとか言われようと、生涯ひとりの女を愛し続けるのが当たり前だと考えている男なのだ。
とはいえ、そのことを茶倉は知らない。
(尾行してやる)
そう考えたとき、何故か無性に楽しくなってきた。
もしも茶倉が子供の頃に、友達と遊んだ経験を持っていたら、ノスタルジックな気分になったかもしれない。
子供の好奇心や冒険心は、大人の嫉妬心や不安感と比べて、絶対値の大小はわからない。
ミヒャエル・エンデの言うところの“幸せな子供時代”を過ごしたことのない25歳は、身も心も少女のようになって夫の後を付けた。何だか父親の後をイタズラで付けているような気分だった。
(私は鈍郎に父性を求めてるのかしらん?)



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「2003年というと完練が財布泥棒をした年か」
賢吾「どんな年や」
コング「暴力皇帝は帰ったか?」
賢吾「帰った」
火剣「意識改革は大事だ。一念の変革が全てを変えると言っても過言ではない」
コング「戦慄のプロローグ?」
賢吾「何か心配やな」
火剣「茶倉も浮気を心配するタイプか」
コング「若い主婦はなぜ眩しく映るのだろうか」
賢吾「隣の芝は青く見えるんや」
コング「隣の奥さんは美味しく見える」
火剣「床上手か」
コング「浮気に関しては最初に二人で話し合うべきだ。浮気は絶対にしないと強く強く約束する夫婦やカップルは意外に少ない」
賢吾「茶倉の新しい一面を見たな。尾行するようなおなごには見えんかったが」
コング「でも楽しくなってきたというのが茶倉らしさ。悲壮感漂うのは良くないが」
火剣「父性か」
コング「鈍郎は脱税してるのか?」
賢吾「アホか」
火剣「一人の女を生涯愛し続ける。でもこれは女から見たら当然そうでないと困るだろう」
コング「僕も常に一筋だ」
賢吾「好きな子は?」
コング「かごめ、ジャスミン、ヨーコ、亜衣麻衣アイあい佐倉巡査!」
賢吾「どこが一筋やね」
火剣「25歳。ルックスは上々。でも体を許さないというのはな」
コング「浮気した相手の女は八つ裂きかあ」
賢吾「それが女性の心理よ」
コング「八つ裂きとはむごい。董卓じゃないんだから」
賢吾「比喩や。実際にはやらんと思う」
コング「茶倉を秘湯に入れて意地悪するという話か?」
賢吾「そう、媚薬入りを黙ってどうぞどうぞってアホ! そんなことするか」
火剣「やはり夫婦はよく話し合い、信頼関係が大事だな」
コング「尾行は無駄ではない。心が躍るということ自体が良いのです!」
賢吾「なるほりろ」
火剣獣三郎
2016/01/02 17:57
>火剣さん
本当に冷えた夫婦関係だったら、意識改革も出来ない。この成果は、これまでの努力と忍耐の褒美と言えるでしょう。
しかし全てが丸く収まったわけではなく・・・?

佐久間「2003年というと、暴力皇帝のDVを受けていた頃だな。ああ、今もか。」
山田「捏造も甚だしい。」
八武「あの頃は、もうじき50歳かと感慨深かったものだが、過ぎてみれば意外と普通だった。」
神邪「そんなものですか。」
八武「個人差はある。」
維澄「まだ佐久間に出会っていなかった暗黒時代。」
佐久間「暗黒とか言い出したよ。むしろ私が暗黒だろ。」
山田「男は生涯ひとりの女を愛し続ける。そうでありたい。」
八武「実際それは難しい。」
山田「簡単だ。」
神邪「マサキも、惚れた女に一途でありたいと言ってましたね。」
佐久間「それがモテる秘訣。」
八武「私も妻一筋。」
維澄「それが新年の抱負?」
八武「今年の抱負は、“無理をしない”。」
山田「駄目だこいつ・・・早く何とかしないと・・・」
佐久間「死根也やコングは余裕さでモテるタイプだ。そして全員の共通項がバイオレンスだ。」
神邪「やはりバイオレンスは不可欠ですか。」
山田「不可欠ではない。」
佐久間「今年も早速、山田に群がる雌を1匹八つ裂きにしたところだ。」
山田「それは冗談なんだよな?」
佐久間「茶倉の気持ちに今ほど共感したことはない。」
八武「山田くん、決して浮気するなよ。」
山田「説得力も事実も無え!」
アッキー
2016/01/02 22:10

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