佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 60

<<   作成日時 : 2016/01/18 00:00   >>

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「ん、ん、んあっん〜、思うに才能というものは、“ある”か“無い”かじゃないんだな、これが。」
雷光を纏いながら、彼女は言う。
「グーはチョキに勝つけど、パーには負ける。そういうものなんだ・・・ぶつかり合うなら、だけど。るらららら。」
彼女の前では、スラリとした中年の男が、息を荒げて立っている。
男の後ろで、容姿は彼女と瓜二つの少女が涙を流している。
「もっと細かく言えば、AはBともCとも高め合うけど、BとCは損ない合うとか。DはEを高めるけど、EはDを潰してしまうとか。Fは他を潰すけど、単独で最大の力を発揮するとか。そうした様々な関係の集合体で、社会は動いている。る・ら・ら・ら〜、わかるかな。要は“組み合わせ”なのさ。絶対値だけで考えたら、現状、とても私では“ガーディアン”に敵わない。だけど実際には、君は血まみれで、私は呑気に演説ぶっている。ま、1分を過ぎたから戦えないんだけどさ。」
「1分・・・。」
「そ、1分。ワン・ミニッツ。性格には62秒。完全復活には程遠いけど、千里の道も一歩からだし歩けるし? せいぜい私に気をつけて過ごしなよ、ばいちゃ〜♪」
雷光が拡散すると共に、イヴィルの姿は消えた。
二葉は膝をつき、込み上げてくる恐怖を必死で呑み込もうとした。
「二葉くん! 二葉くん!」
「大丈夫です、姫様。大丈夫・・・。」
「いたいの、いたいの、とんでけ〜! いたいの、いたいの、とんでけ〜!」
「姫様・・・。」
本当に痛みが引いていくようだった。
少なくとも恐怖は和らいでいた。


- - - - - -


その少し後、七村、吉岡、そして茶倉のもとへ、映像のブレたサトリンが現れた。
「・・・を・・・・・て・・・・・イヴィル・・・・・に、気を、つけ、て・・・・・・・」
それっきり、通信は途絶えてしまった。
七村は狂乱にこそ陥らなかったものの、死人のように青くなった。
「悪夢が・・・96年の悪夢が・・・・再び・・・」
「しっかり!」
吉岡が七村の背をさする。
ただならぬ事態、それも自分の想像を絶するような事態が起こっていることを、茶倉は感じ取っていた。
(96年の悪夢か・・・。私にとっては・・・)
その4年前、1992年の悪夢。
(奴は・・・“イヴィル”は・・・いったい、いつから存在していた・・・?)
もしかすると自分は、選択を誤ったのかもしれない。そんな予感が唐突に浮かんだ。
1992年、七村と五留吾は既に電脳戦士になっていたという。ならば自分が母の狂乱について、有耶無耶にせず追求していたら、もしかすると1996年の“何か”は、食い止められたか、軽減できていたかもしれないではないか。
七村に何があったかは訊けてないし、吉岡も電脳戦士のことを知ったのは最近だという。
しかし、あの気丈な七村が子供のように怯えるほどの“何か”が起こったのは確かだった。
(今度は間違えない。このことを伝えなければ。)



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「絶頂は女にとって最高に美しい瞬間か。激しく同意」
ゴリーレッド「無関係の話をするなら帰りなさい」
コング「聞け! 八武院長のお言葉だ。我らの事業に参加せよ!」
火剣「グーチョキパーか」
コング「はい、グーチョキパン店です」
ゴリーレッド「組み合わせ?」
火剣「それより二葉は男だ、騎士だ。姫を守る男はいつでも体を盾にする」
コング「ミトのように」
ゴリーレッド「96年の悪夢か」
コング「七美の年齢からすると過去世の話か?」
火剣「1996年だろ」
コング「そうか」
ゴリーレッド「茶倉の悪夢は92年。早かったのか。でも96年の悪夢を避けられたかどうかは。相手はイヴィルだから」
火剣「イヴィルは何者か。これも本当のところはわかっていない」
コング「サトリンもわかっていない」
ゴリーレッド「七美や二葉のような普通の人間ではない者が恐怖に震えるのだから相当なもの」
コング「わからないと言えば、茶倉も七美も人見も瑠璃子も全てを見せていない」
ゴリーレッド「シャラップ」
コング「僕に全てを見せろ」
ゴリーレッド「酔っ払いは帰りなさい」
火剣「茶倉は七美にどう話すのか?」

火剣獣三郎
2016/01/18 16:47
>火剣さん
サトリンを除けば、電脳戦士の中で最強の実力を誇る二葉。鈍郎には執事と言われていましたが、どちらかというと騎士の方が近いですね。
茶倉は92年のことを、七美と人見に話さなければならない。そして第十一話で瑠璃子に、イヴィルに気をつけるよう忠告しに行ったのは、この場面からの繋がりです。

佐久間「ある意味イヴィルも絶頂。」
山田「ディアボロ?」
八武「美しい。」
山田「サトリンとイヴィルは互角と聞いてるが、精神的にはイヴィルが圧倒的に見える。」
佐久間「そこまで圧倒的なわけじゃないんだが。」
維澄「そうなの?」
佐久間「サトリンは守られるだけの姫君ではない。」
八武「敵兵に捕まってしまう姫君なのかね?」
山田「黙れ。」
神邪「レクラ、ミヒャエル、バルバロッサ。これらも何気に謎ですね。他の能力とは違うような。」
山田「まだまだ謎が多いな。96年に何があったのかも謎だ。」
八武「気丈な美女が恐がる姿って、激しく萌える!」
神邪「あの七美さんが『いやあ!』ですからね。滅多に聞けません。」
佐久間「その七美が絶対的信頼を寄せているあたり、サトリンの精神力も相当であるのはわかるだろう。」
山田「なるほどな。カリスマなのは間違いない。」
八武「そんなサトリンが弱々しく涙ぐむ姿に・・」
山田「そろそろラリアットの時間か?」
八武「NO!」
佐久間「脳?」
アッキー
2016/01/18 22:59

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