佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 68

<<   作成日時 : 2016/01/26 00:00   >>

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おどけた青年クラメーションが、やおら真顔で“何か”を展開した。
重力ではない、さりとて普通の念でもない、空間そのものを歪める力。
「影装“月船”(えいそう・つきふね)展開完了!」
「待ちくたびれたわ・・・。街の人なんか気にせず、何もかも燃やし尽くしてしまえばイイのに・・・その方が、ずっと気持ちイイのに・・・はあ・・・考えただけでイっちゃいそう・・・!」
「物騒なことは言わないでくださいユイファさん、冗談でも! わたしたちは仮にも、正義の執行者なんですよ? それとクラメーション、時間かかり過ぎなのはユイファさんの言う通りです。」
「わーりぃ、わーりぃ、水割りィ。“ε”の電子力場を解析すんのに手間取ってたんだ。」
ふざけた調子であるものの、言ってることが本当なのは、イヴィルの表情からも察せられた。
「る・ら・ら・ら〜、これヤバいやつかなあ。」
「そんなにヤバい能力なのか、イヴィル?」
「ん・ん・んあっん〜、街の人を巻き込まないって考えてる以上、ナンバー13が直接戦うことはないかもだけど、あとの2人がね・・・。こんなにアッサリ場の有利を奪われるとは、計算違い。自分の弱さにヘドが出そうだよ。」
「ふーん? しかし3対2なら数的にも有利だと思うが。」
すると赤髪のユイファがクスクスと笑って、気合を放った。
「3対2ィ・・・? 3対200の間違いじゃないの・・・?」
彼女の肉体が燃え盛ったかと思えば、それは百以上もの火の粉となって散乱し、それぞれが人の形を作ってユイファそっくりになった。
「いくら数を増やそうが、俺の能力の前には0か1でしかない。加えて“魔道絵筆”(ペンタブレット)で熱を防ぎ、イヴィルが攻撃。それで勝つ。」
「ん・ん・んあっん〜、そんじゃまあプランクのプランでレッツゴー! 右手一本“雷撃雷化”(トゥールアクセル)!」

だが、その瞬間だった。
イヴィルの放った雷撃は、イヴィル自身を直撃。
それだけでなく、体に何やら文字のようなものが書き込まれ、イヴィルは苦しげに咳き込んだ。
「あぐっ・・かふっ・・・」
「“魔道絵筆”。直接ダメージを書き込んだ。」
その声が合図となり、200近い炎人形が一斉に火を放つ。

「「「「ウルカヌス!!!」」」」

集約された炎は、すぐにでも周囲への行き場を失い、空高くへ逃れようと巻き上がる。
紅蓮の炎は空を燃やし、赤く染め、雲を突き抜けて、一部は成層圏まで達した。
そして大音響が、しばらく支配していた。
「ちょ、やりすぎ! ユイファさん! 殺しちゃったら駄目なんですよ!?」
「何をズレたこと言ってるの・・・? この程度で死ぬような狂気なら、とっくに私が呑み込んでいるわ? あ・・・あ・・・・絶頂しすぎて・・・あ・・・またイく・・・・・」
「しゃあねえドMだな。しかしまあ、俺もユイファに賛成だ。あの化物が、そうそうくたばるはずもねえ。そうだよな?」
クラメーションが問いかけた相手は、彼の空間干渉で守った、鈍郎と茶倉だった。
「死んでいたら、それでいいですけどね。」
「そうね。死ぬべきよ。」
「いやいやいやいや、死なせるワケにはいかねえワケが―――」
言葉を途中で切って、クラメーションはハッとして爆心地へ目を向けた。
そこに、電磁バリアで守られたイヴィルが、笑みの消えた顔で浮かんでいた。
「流石はナンバー14、大した攻撃力だ。一発がナパーム弾三発分に相当する火力・・・それを200発近く。マジで死ぬかと思った。・・・しかし、それよりも、どういうわけで私の支配から逃れた? まさか本当にナンバー13の言葉に感化されたわけでもあるまい。」
いつもとは違う、イヴィルの口調。これが素なのか、テンションが落ちてるだけなのかは判断つかない。
「俺の・・・いや、私の能力を忘れたか? “偶石握殺”(サークルファイア)は味方に対する敵意や攻撃意思を相殺させる能力だ。勝手に人格いじくり回すような行為を、まさか攻撃でないとは言わないよな?」
「それでも50パーセント以上は・・・今でも30パーセントくらいはイヴィルさんの支配下にあるわ。そうでなければ、ああまで狂ったセリフはスラスラ出てこない。」
「すまなかった、蔵目さん。芝居とはいえ、馬鹿にしたような口を利いて。」
「いいってことよ。俺の方こそ、演技がバレそうな探りを入れて悪かった。」
「ん・ん・んあっん〜、そういうわけか・・・。自分のカリスマ性の低さに、心底ヘドが出そうだよ。」
やや元の調子に戻りつつあるイヴィルは、憮然とした顔で溜息を吐いた。



つづく

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「複雑怪奇」
コング「ユイファが一番、危でアブ」
ゴリーレッド「正義の執行者?」
コング「本人が言うんだから間違いない」
ゴリーレッド「本人が言うことほどあてにできないものはない」
火剣「場の有利とはやはり高度なバトル」
コング「これヤバイかなあ? イヴィルの弱気は萌える」
ゴリーレッド「普通は萌えない」
コング「わーりーわーr」
ゴリーレッド「水割りと言ったら頭を割ろう」
コング「待ちたまえ」
火剣「プランクのプラン。やはり駄洒落合戦だ」
ゴリーレッド「200の炎人形か。もはや魔法」
コング「ユイファはSなのかMなのか。相手を攻撃するとイクってどんなタイミングなんだ?」
火剣「人を化物と言えるメンバーではないな誰しも」
ゴリーレッド「死なせるワケにはいかない理由とは?」
コング「イヴィルの口調はどうした。かなり怖い」
火剣「演技がバレそうな? 芝居とはいえ? どういう意味だこのやりとりは」
コング「カリスマ性の低さにヘドが出るも何か関係があるのか」
ゴリーレッド「めまぐるしい」
コング「絵筆と聞くと、どうしても全裸の美女の体に筆を走らせる場面を想像してしまうのは僕だけだろうか?」
ゴリーレッド「だけだ」
火剣「神邪と八武医者の意見もk」
ゴリーレッド「聞かなくていい。それより3人の目的は?」



火剣獣三郎
2016/01/26 12:11
>火剣さん
おどけた調子のクラメーションですが、何気に真面目に戦っています。鈍郎と茶倉がイヴィルに支配されたフリをしていることにも、ちゃんと気付いていました。
イヴィルを討伐しに来たような様相の3人ですが、死なせてはならないとも言っています。その理由は果たして・・・。

佐久間「相変わらずのドM、何しろ栞の分身だからな。」
八武「しおりんの分身なの?」
維澄「私にしてはマトモだけどね。」
神邪「え?・・・え?」
山田「凄い戦いだが、どこか変態的だ・・。」
佐久間「安心しろ、今夜のバトルはじきに終焉を迎える。」
山田「珍しく本当に安心できるセリフ。この流れでイヴィルが勝つわけでもないだろうし。」
神邪「逃げますか。」
八武「せっかくイヴィルたんが弱気なんだから、逃がしちゃ駄目!」
山田「たん言うな。ここで逃がさない方がいいのは確かだが。」
維澄「クラメーションとユイファも、それぞれ奇抜な性格をしているけれど、小松も何気に危ないのかな。」
神邪「女の子の体にお絵かきするのがエッチなのは確かですが。」
山田「お前は何を言ってるんだ。」
神邪「動揺していまして。」
八武「魔道絵筆。まだ謎が多い能力だが、エッチな使い方のアイデアが湧いてくる。」
佐久間「多分そのアイデアの多くは実現可能。」
山田「何・・・だと・・・?」
アッキー
2016/01/26 21:50

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