佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 71

<<   作成日時 : 2016/01/30 00:00   >>

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空の旅は、同性愛の話から、美術や音楽、演劇、またはセクシャル・マイノリティーの問題や人権について、そして弾圧の歴史や、それにまつわる耽美なエピソードの数々など、様々な方面を駆け巡った。
「・・・つまり、プラトンの言うところの愛、プラトニック・ラブとは、必ずしも肉体的な交合を必要とせず、むしろ精神的な充足を最高とする。プラトンは少年愛の人であったが、これは女同士でも、男と女でも同じことだ。欲望の解消というだけなら、春画という分化もある。ポルノ、官能作品の進化を見るに、欲望の行き着くところは、創作物こそイデアに再接近し、これまた1つの精神的充足でもある。我々は、性行為を教科書の定型文のように捉えることを是としない。愛の形は自由であり、また、自由でなければならない―――」

ひとしきり議論を済ませた頃には、航空機は目的地まで辿り着いていた。
滑走路の近くにあるヘリポートに寄せ、着地してすぐに、伯爵たちは飛び去ってしまった。短い間だったが、この出会いを忘れることはないだろう。
蔵目はイヴィルの体を抱きかかえると、航空機から一転、迎えの方へ向き直った。
スラリとした体躯の、若くはないがキリッとした美人が、黒い髪をなびかせて立っていた。
「おかえり。そして、ご苦労だった。」
その佇まいには隙が無く、鈍郎は思わずドキッとなった。
(茶倉が年を取れば、あんな感じかな?)
その様子を鋭く察した蔵目が、威嚇するような顔つきになる。
「鈍郎さん? あらかじめ言っておくが、フィーは俺が狙ってる女だからな?」
「いや、大丈夫。私は茶倉を愛しているからね。」
「あんっ・・」
鈍郎の言葉に、茶倉がビクッと可愛らしい反応をする。
そういえば“魔道絵筆”(ペンタブレット)の設定を解除していなかった。鈍郎が茶倉の名を呼んで、愛してると囁けば、性感が高まるようにしてあるのだ。
ただでさえ愛する夫から言われて嬉しいのに、性感も高まれば物凄く気持ちいい。
「初めまして、九古鈍郎さん、咲村茶倉さん。私はアルカディアのナンバー10、フィー・カタストロと申します。」
設定を解除しようか悩んでいる間に、フィー・カタストロが目の前まで歩いてきていた。
間近で見ると、いっそう迫力を感じる。背丈は茶倉と同じくらいの低さで、体つきも引き締まっているとはいえ華奢なのに、蔵目たち3人を合わせた以上のオーラを感じる。
「クラメーション、そいつを預かろう。」
そう言ってカタストロは、意識を失ったままのイヴィルを、蔵目から取って肩に担いだ。
「あっれ、ひょっとしてフィーちゃん、妬いてくれてんの? いや〜、照れるなあ。でも大丈夫だって。俺が50歳未満の女には興味ねーの知ってるだろ?」
そこへ結花が半ば呆れたような顔で言う。
「ふ・・・相変わらず守備範囲が極端ね・・・。」
「でも考えてみろよ。人類の寿命が延びるほど、俺のストライクゾーンは広がるんだぜ?」
「広ければいいと考えてる時点で、あなたの底が知れるわね・・・。」
とてつもない超能力戦の後では、こんな会話も、むしろ平凡で穏やかに感じる。
(どうりで火頭さんや入流さんでなく、蔵目さんが抱きかかえていたわけだ。)
航空機での会話では、彼は同性愛寄りのバイだと思っていたが、違った。小児性愛者にとってはハイティーンが老人に見えるように、蔵目にとっては成熟した女性であっても赤子を抱いているようなものだったのだろう。
意識を失い、くたあんと体を預けている様は、一般的には色っぽいものであるが、それだけにレズビアンの結花に預けるわけにはいかなかったということだ。
小松にしても、何やら複雑な事情がありそうで、“母親”の体を抱きかかえるのは気が重い。
そういうわけで、蔵目が運んでいたのだ。
(しかし、“アルカディア”?)
新出単語に、鈍郎は引っかかるものを感じた。
“理想郷”という意味であるが、そのままの意味ではないだろう。
(組織名には、何らかの“思い”が込められているはずだが・・・)
その先へ思考が行けない。
横を見れば茶倉は、周囲の観察に努めていた。足りない情報で思索するよりは、その方が有益そうだった。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「愛の形は自由か。大事な発想だ」
火剣「ますます創作に燃えるぜ。官能サスペンスで疑似体験も可能だ」
コング「擬似どころではない。官能小説で危うくイキそうになった女子もいるんだぞ。妄想力を刺激すれば堕ちるかも」
火剣「なるほど」
ゴリーレッド「なるほどじゃない」
コング「大物女優登場」
火剣「フィー・カタストロ。オーラが違う」
コング「イヴィルをそいつと。イヴィルは大丈夫なのか。女の子にはあまり酷いことはよそうね」
火剣「フェミニンコング」
ゴリーレッド「素早く情報収集は自衛官を感じる」
コング「茶倉にもともと備わったシャープさだろう。性格も肉体もシャープ」
火剣「真正ロリは高校生がもう大人で対象外か」
コング「中学生にもかごめのような美少女がいるからまだわかるが、小学生は理解できない」
ゴリーレッド「無理に理解はしなくていいと思う。リョナどころか、レイプ動画を見る人の気が知れないという人もいるから」
コング「ガチレイプと検索してもガチレイプは出て来ない」
ゴリーレッド「検索するな」
火剣「50歳未満か。ドエス魔人と逆だな」
コング「趣味趣向は本当に多種多様、百人一首だ」
ゴリーレッド「十人十色」
火剣「知るも知らぬも大阪のせき」
コング「フィーはイヴィルをどうするつもりだ?」
火剣獣三郎
2016/01/30 10:49
>火剣さん
現実が灰色の人間にしてみれば、創作の方がリアリティを感じることもあるはず。私もその1人です。
さて、アルカディアに到着の一行を待っていたのはカタストロ。物語がアルカディアシリーズと合流してきました。

八武「欲望を叶えることも、ひとつの精神的充足。うむ、素晴らしい理念だ。」
山田「そこだけが大事なわけではないが。」
佐久間「だが正しい。」
維澄「あるいは、精神的充足も欲望と見ることが出来る。両者を分けるのは、条件と主観だからね。」
神邪「カタストロさんが出てきましたか。80は過ぎてるはずですが、けっこう若く見えますね。正直、好みです。」
八武「うむ。私も守備範囲は広い方だ。」
山田「お前は広すぎる。」
佐久間「子供だけを対象にするのと、大人が好きで子供も好むのとでは違ってくる。前者のみをロリコン・ショタコンと呼ぶ。」
八武「ぬ〜べ〜に出てくる小学生なら守備範囲。かごめは当然。」
神邪「守備範囲に入ってくるときは、発育の良さで入ってきますね。そういう意味では真性のロリコンとはむしろ逆なのかもしれません。」
山田「ともかくアルカディアだ。読者はお馴染みだが、鈍郎と茶倉にとっては初めて来る場所なんだな。」
佐久間「これからイヴィルの秘密が解き明かされていく。」
八武「女の子の秘密が暴かれていく?」
山田「言い方を変えると、いかがわしいな。」
維澄「イヴィルは私が預かろう。」
佐久間「死根也だけでなく、お前にも預けられない。」
アッキー
2016/01/30 22:38

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