佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十五話 約束のクリスマス 72

<<   作成日時 : 2016/01/31 00:00   >>

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案内された部屋は広く、中央にプラネタリウムの機械に似た、黒い球体があった。
状況が状況だけに、鈍郎は「GANTZ」を思い出す。もしかして自分と茶倉は、あのときに死んだのではないかという妄想が頭をよぎる。
そもそも自分や妻が超能力を持っていることからして、おかしいのではないか?
噛み合っていたはずの歯車が、再びズレ始めていた。
「少なくとも、これは現実よ、あなた。」
様子を察してくれたのか、茶倉が言った。
無闇に「大丈夫」と言わないことが、かえって落ち着く。
室内には、見知った顔も、見知らぬ顔も。
「センセーっ!」
十島が涙目で駆け寄ってきた。
いつもの三つ編みをほどいて、服装も大胆なキャミソール。雰囲気の違いにギョッとした。
(いかんいかん、私には愛する妻がいるんだ。)
そう思いつつも、胸は高鳴る。いったい誰の入れ知恵だろうか。
「はーはは、十島は本当に彼のことが好きだねー。」
そう言って笑う少女を見て、鈍郎は今度は、声に出して驚いた。
「え? ・・・え?」
彼女は、茶倉と瓜二つなほどに、よく似ていた。
髪型こそ、茶倉は切り揃えてショート、その少女はロングだが、双子のように同じ顔だった。
もしも同じ髪型と服装だったら、見分けられるのは自分くらいだと、鈍郎は思った。
(まさか本当に「GANTZ」?)
死んだ人間、死にかけた人間の、複製を作り出す黒い球体“ガンツ”。
最後に読んだのが、サトリンに連れて行かれる前だったので、細かい部分は記憶が薄くなっているが、その部分は覚えている。
(これで球体から歌が聞こえてきたらガチだな・・・。)
鈍郎が手に汗している横では、茶倉が七村と吉岡に話しかけられていた。
「怪我は無いかしら?」
「体の方は何とか。」
「命が無事で良かったわ。」
「吉岡一曹も今しがた?」
「ええ。」
他には、五留吾永須、四方髪凜、その横に九古舜平、それから六道櫃に八谷和真、三角龍馬と江口白羽もいる。
「おい、いつまで人を待たせる気だよ?」
舜平は、だいぶ前から来ているのか、苛立った様子だ。
凜も、それを止めようとしない程度にはイラついている。
「まあまあ、そう怒るものではないわよ?」
すっかり若い口調が板についた櫃が、着物の袖を振りながら笑う。
彼女としては、曾孫を宥めているようなものだが、姿形が若返っているばかりか、凜に似ているせいで、舜平の方はドギマギして毒気を抜かれてしまう。しかも着物の下は素肌だ。
「ひ、ひいおばあちゃん、舜平を誘惑しないで?」
「はっ、誘惑? 悪くないわね。」
ちらりと流し目をする櫃に、舜平は更にドキッとしてしまう。
「駄目よ、舜平は私のだからね! あげない!」
凜は舜平を胸に抱いた。半袖の黒いシャツ越しに、豊かな胸の感触と体温、芳香が、舜平を刺激する。
「それより、鈍ちゃん来たわよ。」
「おじさん・・・。」
「・・・・・・。」
舜平と鈍郎は、互いに気まずそうな顔で見合った。
するとそこへ、永須が割って入った。
「ケンカはダメだべ。チョコレートでも食べなされや。」
「サンキュ。」
「いただきます。」
そういえば頭に糖分が回ってなかった。チョコレートひとかけらが、切実にありがたい。

「罪滅ぼしのつもり?」

どこか軽蔑したような口調で言ったのは、見知らぬ女性だった。
可愛らしい顔立ちだが、目つきは鋭い。やや年かさで、多少の皺がある。
「朋萌ちゃーん、きついこと言いっこなしよ。」
後ろから彼女の肩を掴んだのは、蔵目だった。
「クラメーション? あんた事情知ってたっけ?」
「いや、知らんけつめど。」
「事情って何ですか?」
やや険しい口調で鈍郎が尋ねる。仲間を侮辱するようなら、黙っている義理は無い。
「ああ、ごめんなさい。でも、事情を知っても同じ態度を取れるかどうか・・・私にではなく。」
「・・・?」
ともえと呼ばれた女は、鈍郎に対する敵意は感じ取れなかった。
気になるが、鈍郎は残りの面々にも目を向けていった。




つづく

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内 容 ニックネーム/日時
コング「♪あーたーらしーあさが来たっ、ぜつぼーのーあーさーだ!」
ゴリーレッド「田中星人をコピーしよう」
コング「待ちたまえ」
火剣「黒い球体。GANTZか」
コング「おっと瑠璃子、鈍郎に抱きつけ!」
ゴリーレッド「かき回すな」
コング「キャミソールか。普段結んでいる髪を下ろすとドキッとすることがあーるの女」
ゴリーレッド「何をはしゃいでいる」
コング「これほどの美女の競演にはしゃがないのはレディに失礼だ」
火剣「黒い球体の前にこれだけのメンバーがいるとは」
コング「GANTNなら誰か全裸にならないと。茶倉か瑠璃子か七美か凜、六道、人見、いろいろ迷うが、いちばん相応しいのは、江口白羽だあ! さあ、ぬーげぬーg」
ゴリーレッド「田中星人惨状!」
コング「やめろ!」
ゴリーレッド「ガンツガンツガンツ! ガンツガンツガンツ!」
コング「ぎゃあああ!」
火剣「着物の下は素肌。正しい着こなしだ」
ゴリーレッド「ところで朋萌?」
火剣「蔵目は知っているのか」
ゴリーレッド「いったい何が始まるというのか?」
火剣獣三郎
2016/01/31 12:54
>火剣さん
黒球の前に大勢の人が集められて、実にGANTZっぽい展開になってきました。球体の中には裸の人間が棲んでいるかもしれません。

八武「裸の美少女が棲んでいたらいいのにねぃ。」
山田「お前は何を言ってるんだ。」
八武「理解できないならエロスが足りない!」
佐久間「おまえたちの人権は無くなりました。という理屈なわけだす。」
維澄「そういう展開になるの!?」
佐久間「・・とか言って出てきたら受けるよな。」
山田「場が凍ると思う。」
八武「鈍郎を誘惑する瑠璃子。この為に普段は髪を結んでいたのか。」
佐久間「あながち間違ってもいない。」
神邪「茶倉さんは内心穏やかではないはず?」
維澄「無言なのは嫉妬の炎を抑えているのかな。」
八武「で、全裸は?」
佐久間「もう少し待て。この部屋には他にも人がいるんでな。そちらの紹介が先だ。」
神邪「ということは誰かが全裸になるのは確定事項なんですか?」
八武「ほほう。」
維澄「着物が肌蹴る、とか?」
山田「集められているのは電脳戦士だけではないとなると、何が行われるのか。」
アッキー
2016/01/31 23:44

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