佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 6

<<   作成日時 : 2016/03/18 00:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

“絶滅遺伝子”の克服は、ジーン・ジョンソンによって発見される前から進んでいた。“マザーの呪い”は、“不純な血”あるいは“不浄の血”と呼称を変え、遥か昔から遺伝子的に最良の相手と交配することで薄められていった。科学的に遺伝子という理解が無くても、“自然の力”は最良の相手を導き出す。そうして浄化された“無原罪の人間”は、地球上に現在2百人ほど、それとは本人も知らずに存在している。
だが、そうした人間が十分に増えるまでに、“絶滅遺伝子”は世界中で発現してしまう可能性があった。文明が悪いわけではないが、文明の侵食は確実に“自然の力”を阻害し、最良の結びつきを狂わせる。事実それは“可能性がある”などという程度のものではなく、極めて現実性の高いものであり、既に影響は出始めている。
子供を作らない主義には私も共感する部分が大いにあるが、何故そのような主義に至れるのか考えたことはあるか? 人間が本能を抑えることは簡単ではない。繁殖本能以外の価値観が強くても、それだけで抑え込めることは普通ない。同性愛者でも、子供が欲しいという者は珍しくない。つまり繁殖本能の方が弱まっているのさ。
自然浄化は間に合わない。ならば克服を“変異”に求めようと、人類の編み出した策が“ウイルス進化”だ。ウイルスが細菌と異なるのは、遺伝情報を書き換えてしまえる点にある。それによって“絶滅遺伝子”の部分を書き換えてしまおうというわけだ。“マザーの呪い”が純粋に科学的なものである以上、それは有効に違いない。
しかし自然の流れでない方法は、大きな軋みを生む。ルナ=ウイルスは古代の陵墓で発見されたが、それと知らずに陵墓に入り込んで感染した者は、大半が死んでいる。流水と流風が生き延びたのは運が良かった。とても“幸運”と言えるようなものではなかったがね。
ルナ=ウイルスは、適合した者に超能力を発現させる。基本的には、肉体強化、空中浮遊、物質通過の3つだ。それらは月齢に左右され、満月のときに最も力が強くなる。同時に、人格も凶暴化する。

流水:欲望が増大するというのが正しい表現ね。原始的、本能的な欲求が膨れて、抑えられなくなるのよ。
R:繁殖本能の正常化といよりは、過剰な進化という気がします。クスミ=ウイルスもそうでした。
流水:適合不全で死ぬよりも、適合者に殺される確率の方が高いなんて、笑えない話だわ。
克之:・・・・・・
千里:他には、デビル=ウイルスなんてのもあるが、同じくだ。多くの適合者が殺人鬼と化している。
流水:・・・・
千里:たとえ、元の人格が善良でもな。
流水:なぐさめは要らないわ。
千里:それならいい。

ウイルスは細菌よりも変化が激しい。古墳に封じられていたオリジナル(LUNA・T)が流水と流風、そしてジーン・ジョンソンに感染し、変質したものが(LUNA・U)。それをジーンが改造したものを(LUNA・V)という。
それぞれの性質をまとめてみよう。

           感染力 肉体強化 空中浮遊 物質通過 月齢の影響   備考
LUNA・T     中     −      −      −      −     熱に弱い
LUNA・U−A        ○      ○      ○      ○     U−A´を操る
LUNA・U−A´  無     △      △      ×      △     (U−Aの感染者)
LUNA・U−B        ○      ○      ○      ○     LUNAに耐性を持たせる
LUNA・U−B´  無     △      ×      ×      ×     (U−Bの感染者)
LUNA・V−a   低     ○      ○      ○      ×     U−A´を操る
LUNA・V−b   低     ○      ○      ○      ×     自分以外も通過可
LUNA・V−c   低     ○      ○      ○      ×     自分以外も浮遊可
LUNA・V−d   低     ○      ○      ○      ×     分離テレポート
LUNA・V−e   低     ○      ○      ○      ×     人間以外を操る(感染してなくても)

クスミ=ウイルスの方は肉体強化に特化している。筋組織を変化させ、適合者は筋力に見合うだけの骨格強化や感覚強化などが生じ、疾患が治ることがある。疾患を抱えている者は適合しやすい傾向がある。
3種のウイルスを比較するならば、純粋なパワーではクスミ=ウイルス、再生能力も含めた肉体機能ならデビル=ウイルス、超能力も含めた戦闘能力ならルナ=ウイルス。もっとも、個体差は著しいが・・・。

レックス:人道的見地からすれば、ウイルスが引き起こす事態を防ぐべきだったな。予知能力者として。
千里:・・・どうせ私は人でなしだよ。
レックス:責めてるわけじゃねえよ。全てを手中に収めようとするのは抑圧者と同じだ。行いが善であれば猶更な。
千里:そうさ。たとえ悲劇であっても、他人の舞台で主役を横取りするような真似はしない主義でね。
レックス:だが、これは俺が言っておくべきだと思った。
流水:気を遣う必要は無いわ。あの事件が無かったらと考えることはあるけど、そんな単純な話じゃない。
R:あたしもそう思います。そもそも、千里さんが予知した未来を変えたら、元の未来は消えてなくなるんですか?
千里:流石に鋭いな。
流水:・・・元の世界で克之さんと結ばれてるのは、たぶん流風の方ね。何となくわかるわ。
克之:まさかパラレルワールドと言いたいのか?
流水:過去に転移した話を聞いたときから、その可能性を考えていたわ。克之さんも薄々は思ってたんでしょ?
克之:ああ・・・だが・・・
千里:更に複雑なのは、そこの馬鹿首領が幾つものパラレルワールドを束ねていることだ。ややこしい。
ジュエル:にへへ・・・照れるな。
千里:褒めてねえよ。

天然の免疫が亜種の病原にも抗体を持つように、ルナ=ウイルスの適格者は他のLUNAに耐性を持つ。そして抗体がウイルスを処理するまでの時間、そのLUNAが付与する超能力を加算することが出来る。
私は“電脳計画”のフェイズUとして、そのシステムを採用することにした。




つづく

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「サトリン」 第二部目録 (2)
■■■■■ ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2016/03/22 21:42

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「無原罪」
コング「地球上に200人。本人も知らないということは僕かもしれない」
ゴリーレッド「寝言はいい」
火剣「文明と自然か。これは難しいテーマだ」
コング「ゲゲゲの鬼太郎で妖怪がビルを壊して大自然に戻していたが」
火剣「結果、スーツを着ている者が裸のように恥ずかしい思いをし、大半は半裸」
コング「半裸は美女・美少女に限る」
ゴリーレッド「エルボー!」
コング「がっ・・・」
火剣「子どもか」
コング「僕も子どもがいないから今が卒業式シーズンとかは駅前で美少女が和服姿でいてわかる。常に女を見ることはニュース代わりになる」
ゴリーレッド「人間やめますか?」
コング「暴論だ」
ゴリーレッド「どっちが?」
火剣「いじるのは良くねえ。大きな軋みまでは科学者でも判断できないはずだ」
ゴリーレッド「地球だけの問題ではない。大宇宙の中の地球だから。勝手ないじりは危ない」
コング「いじっていいのは女の子のm」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」
火剣「満月の夜に人格が凶暴化する。科学的な証明はされていないというが、確かに満月には力がある気はする」
コング「毎日が満月」
火剣「八武医者も」
コング「原始的か。プロレスラーでもボディービルで鍛えた怪力よりも、山で育ったナチュラルパワーの怪力のほうが人に恐怖を与える」
火剣「それにしても千里は頭が良過ぎる。エスパーも簡単じゃないな。人間は超能力に憧れるが、千里の話を聞くとエスパーになりたいとは思わねえ」
コング「でも西尾の能力だけは欲しい」
ゴリーレッド「しつこい」
火剣獣三郎
2016/03/18 17:40
>火剣さん
このあたりは「マッドメン」の影響も受けています。文明人であることを恥じることはなくとも、文明的な価値観を絶対視することは恥ずべきことですね。
そして、自然と文明が敵対するのではなく、調和する道を模索するべきだとも学びました。

山田「たまにいるな、世界に愛されたような人物が。」
神邪「僕の逆ですか。」
佐久間「私は罪な子、現金な子。」
山田「逆ではないと思うが、罪の無い人間。他人の悪口を言わない。頭が良くなくても、無神経なことはせず、いつも幸せそう。」
八武「ふむ、エデンの住民か。」
佐久間「逆は千里だな。私や神邪もか。」
維澄「確かに千里は、いつも苦しそう。尊敬するけれど、千里のようになりたいとは思わない。それは想像を絶する苦しみだろうから。」
神邪「なるほど、苦しみも知らないで、気楽に『エスパーになりたい』なんて言ってはならないですね。」
八武「しかし透視は欲しいが。」
山田「おい。」
佐久間「ある作家は、『自分は手塚治虫でなくて良かった』と言っていた。手塚を尊敬するが、彼自身は相当つらい精神状態だっただろうと。」
八武「知性あることは、楽しいが楽ではないねぃ。」
山田「“楽しい”と“楽”は、同じ漢字でも意味が違うってやつか。」
八武「両立するには、自然への敬意ある理解が大事だ。これは人間関係でも同じことだがね。」
アッキー
2016/03/18 20:03

コメントする help

ニックネーム
本 文
「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 6 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる