佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 7

<<   作成日時 : 2016/03/19 00:00   >>

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“絶滅遺伝子”を克服し、人類の未来を救うといっても、どこまでを救う対象にするかで話は変わってくるし、やることも違う。究極的な話、人類という種を残すのであれば、浄化された血を持つ無原罪の人間のみで構成されたエデンや、ウイルスによって進化した人間が支配するパラダイスを作ればいい。大勢の生命と幸福を踏み躙ってでもな。
私も強大な超能力者としての優越意識や、一方的に理解されない少数者としての孤独感はある。多数者を犠牲にすることに対して、理性の他に抵抗感を持っていない。人類の未来を第一に考えるなら猶更、世界中に各種ウイルスを散布して、クライシスを演出するさ。千里眼によるシミュレートでは、地球の人口は5億まで減るという結果が出たが、そのとき私は歓喜の表情を浮かべていた。

レックス:あんまり人聞きの悪い話すんじゃねえよ。シュミ悪いぞ。
千里:別に脅しでも自虐でもないさ。私の本性は知ってるだろう?
レックス:まあな。
千里:私の性質は、“マザー”や、“デビルズ・ノットー”、そして“イヴィル”に通じるものなんだ。
カタストロ:人格ではなく、性質がね。
X!:性質っすか? ・・・確かに千里隊長は、“ノットーの後継者”みたいなこと言われてたって聞いてますけど。
カタストロ:私は“イヴィル”の出現は必然だと思っている。
千里:・・・・・・
カタストロ:人為的にフェイズUへ移行しなければ、“α”がミニサイズの“イヴィル”になっていたのではないか?
α:・・・・・・
千里:順を追って話そう。

サトリンシリーズの素体である入流聡子が生まれたのは、1963年1月1日のことだ。聡子を知らない者にとっては意外かもしれないが、彼女自身はP・KやESPを有していなかった。“願いの力”とは、自身に何らかの超能力を目覚めさせるようなものではないからな。そういう意味では“自然の力”に近いとも言える。
とはいえ自然の理を捻じ曲げるという点では“意志の力”と同質であるし、実際、彼女は文明人であり、科学の子だった。サイコキネシスやテレパシーこそ使えないが、生半可なエスパーなどよりよほど希少な、天才という人種だ。思考速度、解析能力、斬新な発想、解への飛躍、どれも立派に“超”能力と言っていい。数学の難問を解いたり、文学で歴史を変えたりするような者は、自分とは別種の生き物だと思えたことはないか? それと同じことで、何もSFじみた力を振るえるだけが進化ではないし、まして優秀の証でもないのだよ。
あくまで人類の大半が持っている能力の延長ではあるが、一足飛びの性能は周囲との間に溝を引く。いわゆる超能力者の境遇と、同じようなものだ。入流聡子は紛れもなく天才だったが、天才ゆえに一般社会では壊されてしまう。しかし現代科学という分野においては、いかなる天才といえど単独で才能を発揮することは難しく、望みうる成果を出すことは更に難しい。どれほど巨大な歯車といえども、それだけで動けるはずもなく、動けても空回りするばかりで疲労する。まして人間ならば猶更だ。空回りする苦痛は、集った諸君は経験していることだろう。
優秀な脳に必要なのは、思い通りに動いてくれる手足であり、“一足飛びの天才”の手足は、中間を埋める秀才が務めるべきなのだ。アルカディアは入流聡子に研究施設と、3人の助手を与えた。その助手たちも、プログラマーの世界で優れた才能を持っている者たちだった。1人は道を切り開く発想力を、1人は欠陥を見つけ出し修正する能力を、1人は極めて高い処理能力を持っていた。それらが組み合わさったときの相乗効果は凄まじい。
サトリンシリーズの第一号にして、残る7体の産みの親である“α−サトリン”は、4人の精鋭チームによって作られたのだ。その時点で“α”は、他の“サトリン”を生み出す能力も無ければ、超能力を課すことも出来なかったし、自らも超能力を持ち合わせていなかった。単なる、というには高性能すぎるが、ATに過ぎなかったのだよ。
“サトリン”を生み出す能力“電脳母星”(イルマタル)は、入流聡子の精神と融合したことで生じたものであり、そこから電脳計画はフェイズUへ移行した。

α:そのとき私の中には「入流聡子」の全てがありました。人を助けたいという願いも、世界に対する憎しみも。
千里:人間の複雑さに比べれば、サトリンもイヴィルも単純な性格をしているだろう? それは人間の断片だからさ。
アインストール:だからこそ救われてきたかしら。
ガーディアン:はい、シンプル・イズ・ベストです。
千里:ま、単純な方が強いってのは、ひとつの真理だな。サトリンは真っ直ぐで、イヴィルは真っ直ぐに歪んでいる。

インターネットの発達した現代の方が、集積の効果は理解しやすい。昔の単純な協業でさえ、ピラミッドや万里の長城などの巨大建造物を生み出すことが出来るのだ。世界規模で繋がったネットワークの中で集積された情報が、途方も無く膨大であることは想像つくだろう? それまでの歴史とは比べ物にならない。前時代なら出会うこともなかった人々が出会い、埋もれていた才覚が閉塞から抜け出し、プラスの渦が駆け巡る!
だが、集積されるのは良いものばかりではない。インターネット自体に善悪は無く、良いものを増幅するだけでなく、悪意も増幅する。本音とも呼べない未熟な心の動きが無責任に吐き出され、“どこかの誰か”の心に消えない傷を残す。膿んだ傷は悪意となって心を蝕み、やがて歪みをもたらす。
その果てに生まれたのが“イヴィル・サトリン”―――入流聡子の憎悪にして、狂気だ。




つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「壮大な話から何だか普通の人間にも関係ある身近な話になった気がする」
コング「入流聡子の3人の女子は美脚美ボディという話か?」
ゴリーレッド「誰もそんな話はしていない。助手だ、プログラマーだバカ」
火剣「人類を救うという言葉は簡単じゃねえ。どこまで救うかという問題は大きい。悪党まで救うとなると仏の慈悲で、普通の人間には厳しい」
コング「少数派の孤独か。それは僕の使命だ。無数のモンスターに触手で全身をくまなく愛撫されたい。そんな願望、友達には言えないからな。でもそういう女子は凄く素敵で君は変態ではないと教えてやりたい。素敵女子だと」
火剣「ほう・・・れんそう」
ゴリーレッド「千里はマザー、ノットー、イヴィルに性質が近いか」
コング「人格は基本善良?」
火剣「斬新な発想力、道を切り開く力、文学で世界を変える力。歴史を紐解けば超・能力者はいたな。ユゴー、トルストイ、ガンジー、ベートーベン、ダヴィンチ。天才を通り越した偉人だ」
ゴリーレッド「本来、火剣にもコングの生命の中にもユゴーやガンジーほどの力が秘められている。しかし自分とは別格と思うとその力は出ない」
火剣「理論はわかる。要するにその覚悟というか、あれほどの偉人になる人生を求めていないということだ」
コング「そうだな。世界から尊敬を集めてしまったらレイプ動画も見にくい」
ゴリーレッド「ネットが普及したことにより可能性が広がったが、善悪両方のものを運ぶ」
火剣「ネットいじめ、リベンジポルノ、詐欺、ハッキング」
コング「女子の皆さん、盗撮には細心の注意を」
ゴリーレッド「サトリンは無敵なイメージがあったが、千里が出てくると下のほうに位置しているようにも見える」
コング「千里を人でなしみたいに言うな」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」
ゴリーレッド「いつ言った」

火剣獣三郎
2016/03/19 10:48
>火剣さん
マクロからミクロへ。宇宙と人間が同じ法則で通じているように、壮大な話も身近と通じています。千里の話も過去から現在へ近付いてきました。

佐久間「どこまで救うか。あるいは、革命を志している連中は、どこまで救う気があるのか。」
神邪「いじめ被害者まで救うつもりはなさそうな人が大半ですね。」
維澄「少数派に付き纏う問題だよ。味方のはずの人々から置き去りにされると、孤独になる。」
神邪「それはもう味方ではないですね。」
山田「そうかもしれない。向いてる方向は同じでも、同じ場所にいない。」
八武「孤独は私が癒してあげよう。ただし美女・美少女に限る。」
佐久間「そう謙遜するな。美女・美少女がレイプされるのが好きな者も、癒されている。」
山田「悪党まで救うべきかどうか。確かに問題だ。」
佐久間「しかし考えてみよう。家庭環境の悪い不良を救うことは賞賛されて、その被害を受けた者が悪党になったら救わないのか?」
山田「うーむむ。」
佐久間「不良を救うのはいいだろう。しかし何故、その被害を受けた者を救おうとしないのかな?」
維澄「やるせないよね。大勢が死んで嬉しいという感覚も、わからないではないよ。」
八武「そういえば前に、しおりんと佐久間を足して2で割ったのが千里の性質だとか言ってたねぃ。」
神邪「なるほど。」
山田「俺も暗い気分になることはある。そういうとき、歴史を振り返ることにしている。人類の過ちを反省するよりも、人類の中に偉大な者たちがいることに感動したい。」
佐久間「ちなみにサトリンはNo.5で、千里はNo.4。」
維澄「やはり千里は格上なんだね。」
アッキー
2016/03/19 18:16

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