佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 11

<<   作成日時 : 2016/03/23 00:00   >>

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自分が“選ばれし者”だと思ったことはあるか?

入流聡子の残したプログラムが誰に課せられるのか、あらかじめ決まっていたのか否か。ある意味ではYES、ある意味ではNOと言おう。宇宙の誕生が、生命の発生が、人類の歴史が、自分の存在が、どこまで必然か偶然かを論じるようなものだ。正解はあるが、それは前提によって変化する種類の正解だ。予知能力者は、自分の力量の範囲で未来を変える力を持っている。未来を変えた者にとっては、あらかじめ決まっていた現在ではないが、その未来に手を加えてない者からすれば、あらかじめ決まっていたことになるだろう。これから話すことを聞いて、自分は電脳戦士として“選ばれた”のか、偶然“そうなった”のかを、それぞれが判断してもらいたい。
どこから話すべきなのかと言えば、私の祖母・三日月万里子(みかづき・まりこ)が生まれた頃からだろう。六道さんの姉的存在だった彼女は、鬼灯一族の頭首・鬼灯棗(ほおずき・なつめ)と協力して、“光兎計画”を成功させた。そうして生まれたのが“成功作”黒月繭里(くろつき・まゆり)、今の黒月真由だ。鬼灯一族は薬や毒に詳しく、人体改造を得意としていて、その技術と万里子おばあさまの千里眼を合わせて、計画は成功を見た。“完成”までには更に半世紀を要することになるが、“成功”だけでも十分な成果だった。黒月繭里はA級エスパーとして成長し、アルカディア第一期のメンバーとなった。

真由:はーはは、懐かしい話だわ。
X!:俺らの大先輩っすか!?
真由:といっても、正規メンバーとして活動していた期間は短いのよ。今でもアルカディアに戻ったつもりはない。
カタストロ:私の説得にも応じてくれませんね。
真由:処女だから。
カタストロ:は・・・・
真由:なんつて♪
トランジスター:黒月って処女じゃないんだ?
真由:はーはは、人前で大胆なこと言うわね十島ァ?
トランジスター:あ・・・あう///
真由:・・・あたしはノットーの女だったのよ。超能力の使い方もセックスも、嫌というほど仕込まれたわ。

ノットーは、A級のP・KとESPに加えて、相手の超能力をコピーして自らに加算する能力を持っていたのよ。それを反転させて使うことで、相手の超能力を相殺するの。途轍もなく難しい技術なんだけど、ノットーにとっては息をするように容易いことだった。あたしは彼の前では無力な少女だったし、三日月万里子の千里眼も相殺されて、ノットーの動きに気付けなかった。それとも、気付きたくなかったのかもね? 彼女も“女”だもの。
鬼灯一族と三日月万里子は、あたしを“理想的な女”として製作した。いつまでも少女のままの外見で、男受けのする美貌とプロポーション、そして感度良好で淫らな肉体。そういうデザインに加えて、ノットーに調教され続けてきたものだから、男なしではいられない体になってしまったわ。旧日本軍の特殊部隊に所属していたとき、あたしはリーダーであると同時に性欲処理係だった。毎日のように、男たちに精を注がれてきたわ。
だけどね、あたしはノットーを恨んでないのよ。道具として扱われ、人殺しまでさせられて、仲間を殺されて、それでも憎しみが湧いてこない。たとえ血塗られた道といえども、あたしに生き方を教えてくれたのは、紛れもなくノットーなの。あの人類最悪の男に、どうしようもなく惹かれてしまった。女として、自分の選択を言い訳することはない。
だけど十島、謝っておくことはあるわ。

トランジスター:え? どういうこと?
真由:十島のお父さん、育生は・・・あたしの愛人の1人だった。
トランジスター:そ、そうなんだ? でも、どうして謝るの? そういえば何か、前にも謝ってたけど・・・
真由:あたしの体液には催淫効果があるようにデザインされてるの。育生が浮気するようになったのは、そのせい。
トランジスター:・・・お父さんが浮気しなければ、家族は壊れなかった?
真由:家族が壊れたことも、十島が虐待されていることも、知ったのは最近のことだったわ。
トランジスター:だから守ってくれたの?
真由:十島を守ったのは九古さんよ。あたしは何も出来なかった。踏み込めなかった。
ファイバー:はっ、あんたは十分よくやってくれたわ。曾孫を守ってくれて感謝してる。
ジャスミン:そうです、イヴィル・テンタクルを倒してくれたのは、黒月さんですよね?
真由:・・・正体がバレないように、ギリギリまで力を隠していた。ごめんね。
ジャスミン:そんな、助けてもらってお礼を言うのは私の方です。
舜平:そうだぜ。ありがとう。
真由:三日月千里の能力を知っていれば、もっと早く出てきたかもしれない。
千里:だから知らせなかったのさ。むざむざイヴィルにデータをくれてやることもあるまい。
真由:頼りにしてるってこと?
千里:無論だ。ここに集まってもらった者は、直接・間接あれど皆、戦力として動いてもらうつもりでいる。

その為にも、話すべきことを話しておこう。私にとって最愛の家族で、理解者だった祖母・万里子が死んだ、1952年の8月。空を切り裂いて“ミコン”が現れた頃からな・・・。
私にとって万里子おばあさまの死は、人として大切なものを多く失い、人でなしの心を大きく得たものだった。まがりなりにも私が人のままでいられたのは、2人の友人、七村光子(ななむら・みつこ)と吉岡同人(よしおか・どうじん)のおかげであり、義弟ミコンの存在だ。家族にさえ恐れられた私と、気兼ねなく付き合ってくれる貴重な相手だったよ。どれほどの時間が経とうと色褪せない永遠とは、ああいうものを言うのだろう。
しかしそれは、現実は刻々と色褪せていくという残酷な意味合いも含んでいる。ミコンと過ごした夏は短く、変えることが出来た未来は、望みうる万分の一にも満たない。私は予知能力者の少女“三日月千里”から、アルカディアの最高幹部“ギガマイル・クレッセント”となり、人としての自分を置き去りにした。誰ひとり救うことは出来ず、全てが台無しになってから千里眼の出番を作ってやったというわけなのさ・・・。



つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「凄いヒストリーを聞いた」
ゴリーレッド「選ばれし者か。自分には重大な使命があるという熱い思いで自分は選ばれた人間だと感じるのは、人生の急坂を駆け上がる力になる。しかし自分は凡人で有名人が選ばれし者で『我々しがない庶民とはちゃうよ』という老人になってはいけない」
火剣「二十歳の老人か」
コング「青年よ大志を抱け」
火剣「三日月万里子。懐かしい名前だ」
コング「万里子のヒロピンは今も語り継がれている」
火剣「繭里か」
コング「瑠璃子は処女か?」
ゴリーレッド「そこへ行かなくていい」
コング「男受けのする美貌とプロポーション。感度良好で淫らな肉体。最高にイイ女ではないか。理想的だ。特殊部隊になりたい」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「NO!」
火剣「血塗られた道か」
コング「我が夫となる者はもっと素晴らしい快楽を味わうことだろう」
ゴリーレッド「アックスボンバー!」
コング「ゴオオオ!」
火剣「ノットーは人類最悪の男か」
ゴリーレッド「瑠璃子は秘密を知ってもそんなに驚かない」
火剣「千里がギガマイル・クレッセントになる。きっかけの始まりは万里子とのとわの別れ?」
コング「永遠も感度良好で淫らな肉体」
ゴリーレッド「遺言状には日付を忘れずに」
コング「待て」
火剣「千里にも心の友はいたんだな」
ゴリーレッド「選ばれし者。必然か、偶然かは本人の判断」
コング「特殊部隊の時の話をぜひ短編に切り取り、編集を。脚本・演出・特別出演、八武院長。監督・佐久間ん・・・待て!」
ゴリーレッド「砂利道でパイルドライバー!」
コング「がっ・・・」
火剣「真由と千里。豪華だな」
火剣獣三郎
2016/03/23 16:35
>火剣さん
前半は大まかな概要でしたが、ここからより個人的な話に突っ込んでいくことになります。「千里」や「ムーン・シューター」ともリンクしてきました。

佐久間「魔と磨の理。魔は自らを磨く砥石でもあり、自らを磨くときは魔が忍び寄る。リングに上がらないで野次だけ飛ばす生き方は、魔は来ないが、磨かれることもない。」
山田「今日は真面目か?」
佐久間「いつも真面目だ。選ばれし者になりたいという思いも、献身的な使命感は魔を磨に変える。しかし、不遇な人生を歩んできて、一発逆転を狙う気持ちは、やがて魔に侵食される。」
神邪「それが僕ですね。」
佐久間「しかしそこから更に分岐して、魔に踊らされるだけの人生と、魔性を飼い馴らす人生がある。」
維澄「電脳戦士と邪戦士の違いは、どこなのかな。」
八武「邪戦士の中でも、魔性を飼い馴らした者は強そうだねぃ。」
佐久間「ちなみに瑠璃子は・・」
山田「言わなくていい。」
八武「特殊部隊か。もう少し早く生まれていれば・・・いや、そうだ、今から撮影すればいいのではないか! 真由は当時から変わらぬ美貌なのだし。」
佐久間「交渉次第かな。」
山田「何を言ってる。」
神邪「ノットーさんはモテますね。」
佐久間「そうなんだ。ゲティスト、死根也、神邪を含めた4名の中で、最もモテる。」
神邪「献身的な使命感を持っていたからでしょうか。」
佐久間「それもあるが、わざわざ特別になりたいと思わなくても、普通から外れた特殊だからな。」
維澄「“優れている”ではなく“外れている”孤独感。千里は使命感も強いけれど、孤独感も強いと言ってたね。」
佐久間「魔と磨の理は貫徹されている。選ばれし者は孤独感も強い。」
アッキー
2016/03/23 22:38

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