佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 12

<<   作成日時 : 2016/03/24 00:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

ミコンは古代超人類の混血児で、オーバーナイン・テレポーテーションで1万2千年の時を超えて1952年へ跳んできたんだ。同じく1万2千年前から跳んできたコンシは、肉体を失ってアレクセイ・フョードロヴィチとして生まれ変わり、今は私の副隊長だ。今となっては、ミコンの思い出を語り合える、ほぼ唯一の相手だよ。
当時9歳だったアリョーシャは、同胞の存在を知ることさえなく、12歳だった私は大人の悪意の前に無力だった。千里眼の力も今と比べて遥か劣り、しかも不安定で未熟。史上最大の千里眼にも、自身の力をもてあましていた時期があったのさ。20代の頃はそんなことも忘れていて、30代の頃は恥ずかしくて記憶を墨で塗りたくなり、今となっては微笑ましいかな? 万里子おばあさまの歳になって、彼女の気持ちがわかると共に、微笑ましいというのは不謹慎でもあるだろうよ。ミコンを守れず、逆に守られてしまった未熟者。嫌になるね。今でも思うことはあるさ、もっと私が早くに気付いて対応していれば、防げた悲劇だとね。ミコンの死によって、私の力が安定したのは皮肉としか言いようがない。私の神化系能力は死者のESPをコピーする能力で、ミコンは自分の力を安定させる能力を持っていた。私は助けられてばかりだ。今も昔もな。
1952年当時、私には変えたい未来が5つあった。いや、当時の心境としては、変えてやるぞという意志よりも、諦めに近いものだったよ。そのうちの1つ、万里子おばあさまの死を経て、そのESPを吸収することで、他の4つも、よりよく見えるように・・・この場合は、より“悪く”見えるようになったと言う方がいいか。ミコンのESPを吸収していなければ、発狂していたかもしれん。恒常的に危うい精神状態の、ひねた子供であったわけだし・・・それは今もだが。
変えたい未来は、残り4つ。ひとつは七村光子のこと。ひとつは吉岡同人のこと。ひとつは家族のこと。ひとつは、自分のこと。光子は将来、年上で一見包容力のありそうに見える、悪い男に引っかかってしまい、生まれたばかりの娘を苦界に棄てることになる。同人は将来、精神を患って拷問まがいの治療を受けるのが見えた。家族は、母・八重子の死から始まって崩壊し、そして私は惨めに死ぬ未来が待っていた。実際こうして他人事のように語っているあたり、あの少女は死んでしまったのだと思っているよ。死者は何も出来やしない。友人の悪しき未来を打ち砕くことも、家族を守ることも出来ない。
再会したときの光子と同人は、すっかり人が変わっていて、光子には「どうしてもっと早く助けてくれなかったの」と恨み言を吐かれ、同人は拷問で廃人寸前になっていて私のこともわからないようだった。・・・光子の言う通りだ、どうして私はもっと早く手を打てなかったのか? せっかく生き延びたというのに、アルカディアの最高幹部としての責務を、友人たちより優先したのだ。あの輝かしい日々は、永遠に壊れてしまった。心の中の冷たい虚空で、壊れたまま漂っている。もはや他人の人生を眺めているようだ。

海月:ちい姉ちゃん・・・。
千里:そう悲しい顔をするな、みつき。全ては過去のことだ。

しかしそれは私にとってという意味であって、七村七美、吉岡人見、お前たちには私を責める権利がある。私は大勢のアルカディア市民を優先し、少数を切り捨ててきた悪しき為政者だ。

レックス:それは違う!
千里:黙ってろレックス。お前も通った道のはずだ。
レックス:っ・・・!
アインストール:頭では理解できているわ。でも感情が止められないのは何故かしら? 何故わたしが、わたしが
アプリケイション:七美さん・・。
アインストール:何故わたしが、こんな運命を背負わなくてはならないのかしら!?
ガーディアン:・・・・・・
トランジスター:七村先輩・・・。
インビンス:・・・・・・
アインストール:・・・・・・なんて、8年前にも叫んだのよ。今となっては赤面ものかしら?
千里:行き場の無い怒りを、それを受け止めてくれる相手に吐き出すのは、重要な儀式だ。
レックス:・・・・・・
千里:かつて私が吐き出す側だった。だから今は、受け止める役目だ。
人見:悪い人ね。
千里:私は菩薩じゃない。計画なしに思いを受け止めることなど出来やしない。レックスにも見透かされたものだ。
レックス:・・・すまない。
千里:何が?
レックス:昔のことじゃない。自分のことを棚にあげて、他の人がお前を責めるのを止めようとした。
人見:構わないわよ。だってそれって愛の成せる業ですもの。
アインストール:レックスさんも素直になれない人なのかしら?
千里:そうなんだ。ツンツンしてるばかりで、なかなかデレてくれなくて困る。ホントは私が好きなくせに。
レックス:うるせえ・・・。・・・
シュン:・・・お気持ち、お察しします。(おれとしちゃあ痛いほどわかるぜ・・・)
人見:ま、出来るだけ明るく行きましょうってことよ。無理に明るくしなくていいけど、義理で湿っぽくしなくていいわ。
イワン:ん、同感。
人見:それに千里さん、あなた・・お父さんの未来を変えてくれたんじゃないの?
千里:・・・・・・万分の一に満たない程度はな。
レックス:完全に廃人になるのは免れたってことか。
千里:共産圏を支援して、結果的に地球規模で福祉を向上させたのさ・・・。
レックス:何で浮かない顔なんだ? アリョーシャやイワンがソビエトに酷い目に遭わされたからか?
千里:そうだ。ここでも私は命の取捨選択をしている。
イワン:あんたの気にすることじゃない。あれはソビエトの暴走さ・・・。
千里:それを予知できない私じゃなかったんだよ。
イワン:どっちみち遅かれ早かれだ。あんたのおかげで救われた命があることも忘れてもらっちゃ困る。
千里:・・・・・・

確かに私は未来を変えた。悪しき未来を部分的には打ち砕いた。殺されそうになった家族を守ることは出来たし、こうして生き恥を晒し続けている。少女が少女のまま死ぬのは美しいが、生きて足掻くのが私の流儀なのでな、当時も今も、この先も。
同人が拷問まがいの治療を受けることを、幾許かでも軽減できたのと同様、光子の運命も少しだけ変えることが出来たんだ。結果は同じことだったが・・・。
それについては、ある男のことを語らずにはおけない。九古鈍郎の父、九古貞主のことをな。



つづく

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「サトリン」 第二部目録 (2)
■■■■■ ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2016/04/02 00:59

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
ゴリーレッド「普通の人が見ないものを散々見てきた千里。普通の目じゃないのは当然のことだ」
火剣「1万2千年とはまた、気が遠くなる歳月年月」
コング「しかも昔の記憶がある?」
火剣「変えたい未来か。これは千里眼ならではの悩み。普通の人間には見えないわけだから」
コング「予知能力者と七瀬の恋は感動ものだった。未来を覗いても夕日しか見えない。自分の最期を見た時の予知能力者の心境はどんなだ」
ゴリーレッド「並の予知能力者には未来を変える力はない。千里は未来を変える力もある千里眼」
コング「みじめに死ぬ運命だったのか」
火剣「最高幹部としての責務を果たしたというのは責められない。プロも同じだ。本人が病気や怪我じゃ仕方ないが、家族が死んでも舞台に立つのが役者だ」
コング「おお、人見、いつの間に下を脱いだんだ。彼シャツ姿もよく似合う」
ゴリーレッド「黙れ不謹慎男」
コング「明るく行こうと人見は言ってるぞ」
火剣「忘れたい過去というものはあるな。人に傷つけられた体験は語れるが、人を傷つけた体験は語れないから、余計に忘れたい。その時は気づかなかったが後々に人を傷つけた自分が加害者になっていたことを思い出し、後悔する場合もある」
コング「主文、死刑死刑死刑死刑死刑!(エコー)」
ゴリーレッド「だからふざける場面ではない」
火剣「レックスはギガマイルを愛している」
コング「みんな知ってるが本人はツンツンか。まあ、ベッドの上でアレであそこをツンツンすることはいいことだが」
ゴリーレッド「ツームストンドライバー!」
コング「NO!」
火剣「九古鈍郎の父、九古貞主?」
ゴリーレッド「また新たな歴史が」
コング「ちなみに僕は菩薩の心を持った紳士。何でも相談に来なさい。美女・美少女の愚痴なら6時間でも聞いてあげる」
ゴリーレッド「限定か」


火剣獣三郎
2016/03/24 11:22
>火剣さん
変えたい過去を思い返すとき、未来の自分にとっては今が“過去”なのだと認識することにしています。未来を知ることは出来なくても、未来の自分が後悔しないように気をつけることで、千里に近付きたいものです。

佐久間「未来予知は、ギリシャ神話では災厄の1つとして数えられていた。知った未来を変えられないとき、そこには絶望しかないからだ。」
山田「自分の力、他者の力も借りて、それでも少ししか変えられない。なまじ知ってるからこその苦悩と、無力感。これは普通の人にはわからない。」
維澄「普通とは、なんて幸せなんだろうね。」
八武「だが普通でない幸せもある。」
神邪「千里眼でなければ、レックスさんを救うことは出来ませんでしたからね。」
佐久間「そう、千里眼だからこそ、レックスとの今のラブラブ夫婦生活がある。」
山田「結婚してない。」
佐久間「戸籍ではな。」
山田「レックスは千里を庇う側になってるな。」
八武「反省したのだよ。真に後悔したならば、償う機会を逃さないものさ。」
神邪「それが心のバロメーターですね。」
佐久間「心の中は態度でわかる。自分が楽になる為の謝罪より、相手を尊重した発言や態度の方が価値がある。」
維澄「千里は窘めてるけど、嬉しかっただろうね。」
佐久間「山田もレックス程にデレてくれればなァ。」
山田「俺はツンデレではない。」
佐久間「おまんこツンツンしてくれればなァ。」
山田「お前は何を言ってるんだ。」
佐久間「おまんこにナニを入れるんだ。」
山田「フェイスクラッシャー!」
佐久間「がっ・・」
神邪「暴力的なデレですね。」
山田「デレてない。それより鈍郎の父親が、ここで絡んでくるのか?」
八武「ふむ。」
アッキー
2016/03/24 16:59

コメントする help

ニックネーム
本 文
「サトリン」 第十六話 十戦士集結! 12 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる