佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 第十六話 十戦士集結! エピローグ

<<   作成日時 : 2016/04/01 00:00   >>

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「・・・ひと段落ついたな。」
熱いシャワーを浴びながら、千里は大きく息を吐いた。長い黒髪が滝のように背中を伝っている。
肉体を少女のまま固定された彼女の肌は、しずくを受ければ玉と弾き、熱を浴びれば薔薇色に染まる。
たゆたう豊かな胸と、くびれた腰は、半世紀を経た今でも微塵も衰えず、妖艶さと融合して神秘的だ。
実年齢と肉体年齢が乖離していく程に、化物だという自覚が強くなっていく。・・・心は、とっくに。


- - - - - -


「コーヒーを淹れました、クレア様。きこしめしあそばされませ。」
「・・・意趣返しか、それは。」
バスローブを着た千里は、ムッとしてレックスを睨んだ。たゆたう胸まで怒りで尖っているようだ。
「滅相もございません、クレア様。わたくしめがクレア様に意趣返しなど、恐れ多うございます。」
馬鹿丁寧な日本語を教えた仕返しとばかりに、レックスは慇懃無礼な態度で千里をからかい続ける。
いつ着替えたのかタキシードで、わざとらしい仕草で“おもてなし”をしており、実に気障ったらしい。
「・・・いつもの調子で構わない。」
「いえ、わたくしの如き不肖者へ、いと麗しき和語を教えてくださったクレア様の深謀遠慮に、このレックス、いたく感服いたしました。今後からは丁寧な言葉遣いを心がけますゆえ。」
「・・・お前は慇懃無礼という言葉を知っているか?」
「存じております。」
「・・・お前は今の自分に疑問を持たないのか?」
「わたくしめが何か粗相を致しましたでしょうか。申し訳ありません。差し支えなければ改善点を、お聞かせ願えますでしょうか。」
「・・・丁寧な口調は、ともかく、それは行き過ぎだ。」
「あなや! わたくしの不徳と致すところであります。今後いっそうの精進を重ね、いっそう敬語に磨きをかけますゆえ、本日のところは、お許しください。」
「・・・・・・。・・・。」
千里はひと思案して、がくっと頭を下げた。
「あーもう、わかったよ! 私が悪かった! ごめんなさい!」
「おっしゃ! 俺もしかしてクレアを謝らせたの初めてじゃねえか?」
レックスは即座にタキシードを脱ぎ捨てて大喜び。
それを見ながら千里は、目を細める。
「初めてじゃないよ。」
「いや、クレアから謝ってきたことは何度もあったけどよ、クレアを謝らせたのは初めてだろ?」
「同じじゃないか。」
「違う、違うんだよ。これは男のプライドの問題なんだ。お、と、こ、の、プ、ラ、イ、ド。わかる?」
「あのなあ・・・。」
ますます目を細めて、千里はレックスを見据え、腕を組む。
いつものような、年上の女としての態度に戻ってしまった。
「・・・えーと、まあ何だ。」
ばつが悪くなってレックスは、咳払いして椅子に腰掛けた。
「ふざけた遊びはさておき。」
「ああ。」
真剣な表情に切り替えたレックスに、千里も組んでいた腕を解いて腰掛けた。
サイコキネシスで髪をポニーテールに結い、話を聞く態勢に移る。

「もしかして、この戦いはイヴィルが勝つのか?」

「・・・どうして、そう思う?」
膝で手を組んで、千里は訊き返した。
「だってさあ、お前の話、おかしなことだらけじゃねえか。」
「そんなに下手だった?」
「茶化すなよ。違和感だらけだって言いてえんだ。途中で数えるのが面倒なくらいにな。」
「んー、配慮して語ると、どうしても違和感が出るのかな。」
「他の奴らは誤魔化せても、俺は誤魔化せねえぜ。付き合いが長いからな。」
「んー。・・・。・・・はあ。」
言い逃れ出来ないと観念して、千里は嘆息した。
「つくづく千里眼への理解が深くなったものだな。可愛げの無い。」
「お互い様だっての。愛嬌のあるバカはクラメーションにでも任せとけ。」
「・・・ひとつ。」
「あん?」
「どんな質問でもひとつつだけ答えてやろう。エッチな質問でも構わないぞ。」
「ち、膨大な違和感の中からひとつつだけかよ・・・。・・・じゃあ、意図的に情報を制限した理由だ。」
「ハハハ、全てを話すというのは言葉の綾だよ。判断に必要な情報は全て話しただろう?」
「だったら、何で・・・例えば“イヴィル”と“ε−サトリン”を使い分けたりしてるんだよ。その手の妙な使い分けは、他にも色々あったよなあ? わざと誤解させるような!」
レックスは身を乗り出して千里に迫った。
間近で見ると、たゆたう胸の存在感は更に大きい。
「だから言ったはずだろう、私の本質はイヴィルに近いって。私を妄信するなら、どの道・・・いや、私はイヴィルの味方ではないよ。そこは信じてほしいな。」
せせら笑いながら千里は、しかしすぐに笑みを閉ざして邪気を浮かべた。
「ただしサトリンの味方でもない。私は公平な審判、あるいは平等なゲームマスターだ。どちらが勝つにしろ、その結果を受け入れる。勝敗が決したとき、“電脳計画”はフェイズVへ移行する。」
そう言って千里は、淹れてもらったコーヒーに口をつけた。

「新たなる夜明けだ、レックス。2005年からは忙しくなるぞ。」





   第十六話   了

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内 容 ニックネーム/日時
コング「オオオ! 千里のスッポンポン!」
ゴリーレッド「すっぽんに咬まれたいか?」
コング「待て」
火剣「なるほど本人は年齢と肉体が違い過ぎると化物の自覚が増すのか」
コング「バスローブの下は全裸」
火剣「慇懃無礼攻撃か」
ゴリーレッド「レックスがいるから千里の孤独も緩和される」
コング「和姦?」
火剣「自然に謝るのと謝らせるのは違うな」
コング「ぐひひのひ。死んでも謝りたくないヒロインに無理やり謝らせるのが好き。『謝りな。かわいくごめんなさいと言わないと美ボディにスイカを落とすよん』」
ゴリーレッド「変態丸出し」
火剣「イヴィルが勝つ? どうしてそう思ったんだ」
ゴリーレッド「違和感だらけ?」
火剣「配慮ってなんだ。それにわざと誤解させるような話し方だったのか。じゃあ誤解したかもしれねえ」
ゴリーレッド「イヴィルに近いがイヴィルの味方ではない」
火剣「サトリンの味方でもない」
コング「ヒロピンの味方だ」
ゴリーレッド「コングの希望はどうでもいい」
コング「エッチな質問もOKか。千里はどういう責められ方をされたら堕ちちゃう?」
火剣「そんな質問をするのは勇気があるな」
ゴリーレッド「意図的に情報を制限」
火剣「レックスは千里のことを知り尽くしているのか」
コング「真っ裸も見たことがあるしな。裏表とも。むひひひ」
ゴリーレッド「素手で殴り合った相手はレックスくらいか」
コング「2005年から忙しくなる? ブログが普及するからか」
ゴリーレッド「かなり関係ない」
火剣「電脳とは関係あるか」
コング「わかった、千里の弱点はその自慢の胸だ」
ゴリーレッド「何の話をしているんださっきから」
コング「そうだ、言い忘れたていたが瑠璃子からラブレターをもらった」
火剣「エイプリルフールか」
火剣獣三郎
2016/04/01 17:52
>火剣さん
「七瀬ふたたび」でも、時間遡行は肉体年齢と実年齢が乖離するというのがありましたが、それに違和感を覚えるのは誰よりも自身なのかもしれません。どちらかというとレックスは楽しんでますね。
叙述トリックめいた話し方をしていた千里ですが、付き合いの長いレックスは気付いていました。読み返し推奨です。

維澄「美しい。」
佐久間「叙述トリックが?」
八武「千里だよ!」
神邪「何歳になっても、イチャつけるのは良いものですね。」
八武「それこそ若さの秘訣。レックスも50過ぎだと感じさせない。」
山田「風格は50歳だが、若さは20代でも通るな。」
八武「千里という美女が身近にいれば、老けてなどいられない。」
神邪「納得です。」
山田「しかし違和感か・・。言われてみると使い分けしてたが、それはどういう意味なんだ?」
神邪「イヴィルさんと“ε−サトリン”は、イコールではないということですかね・・・?」
佐久間「・・・。」
維澄「答えないんだ?」
佐久間「私も山田に孤独を癒されている。たまには執事口調でもいいんだよ。」
山田「お前には千里と違って慇懃無礼攻撃が通用しそうにない。」
佐久間「ちなみに千里が答えるのはレックスの質問限定だ。」
八武「そんな殺生丸!?」
千里「レックスに責められたら堕ちてしまう。」
八武「答えてくれた! だけど希望を絶たれた!」
佐久間「私も山田に迫られたらどうなってしまうやら。」
山田「その希望も絶たれている。」
佐久間「エイプリルフールといえば、神邪の誕生日でもある。」
神邪「栂敷紗英とも同じ誕生日です。ドクターと維澄さんも、もうすぐですね。」
アッキー
2016/04/01 20:18

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