佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 「サトリン」 番外編 折れた十字架 3

<<   作成日時 : 2016/04/09 00:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

「え、死ねば?」

何が何だかわからないままに、オレは七美に連れられて、マンションの一室へ来ていた。
そこで30過ぎの精悍な男が、第二の戦士“ガーディアン”と名乗る。
自分たちは第一の戦士“サトリン”の下に集い、人助けをしている組織だという。
そこにオレをスカウトした・・・そういう趣旨だった。正直わけがわからない。
いや、慈善団体なのは理解できた。だけどどうしてオレなんだ。
人殺しのオレが人助けなんて、そんな資格は無い。オレは死んで当然なんだ。
まくし立てたオレに対して、七美は腕を掴みながら言ったのだ。
「そんなに死にたいなら、死んだらいいんじゃないかしら? 死んで欲しくないなんて、わたしは言わないわ?」
強い力で、オレの腕を掴んでいる。まるで、逃げるのは許さないとばかりに。
これでは、言う通りに死ぬことなんて出来そうにない。
いや違う。彼女のせいにするな。彼女は「死ね」なんて言ってない。死にたいのはオレだ。
「いい考えがあるわ。サトリン様に命を捧げなさい。逃げるなんて許さない。サトリン様の為に死んで?」
「サトリン様の為に・・・。」
慈善団体などではなく、怪しげな新興宗教なのだろうか。
ああ、それでも構うまい。オレは頷いていた。
「いいわよ、あなた大事なことわかってる。罪を償いたいなら、生きて苦しむのよ。今すぐ死ぬなんて、そんな楽な道は選ばせてあげない。いいわね?」
「あ、ああ・・・はい・・・。」
「命は捨てるものではなく、使うもの。そのときが来るまで、あなたに死ぬ権利は無いわ?」
「わ・・・わかった・・・。」
「死ぬなら、サトリン様の為に戦って死んで?」

その日からオレは、別人として生きることになった。
今までの名前も捨てて、五留吾永須の名を付けられた。

死んで楽になろうだなんて、オレは甘ったれていた。
人を殺したというのに、自分だけ楽になろうだなんて。
いつか、オレが殺した人の家族や友人が、復讐しにやって来る。
そのことに怯えながら過ごすのが、最低条件だ。
人に尽くす生き方をしよう。死にたくないと思えるような生き方をしよう。
死にたいと思っているままで死ぬのは、ただ楽したいだけだ。
生きたいと思うからこそ、復讐される恐怖が大きくなる。まずは、そこからだ。
自暴自棄な人生などに、生きる価値も死ぬ価値も無いのだから。

だけど、ひとつだけワガママを言わせてもらう。
オレが死ぬときは、サトリン様の為ではなく、七美の為に死にたい。




つづく

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
「サトリン」 第二部目録 (2)
■■■■■ ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2016/04/20 06:11

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「五留吾永須だったか」
コング「死ぬなら命を捧げよと」
ゴリーレッド「単なる慈善事業でも、もちろんカルトでもない。確実に成功させる人助け」
コング「確実に性交?」
火剣「第二の戦士ガーディアン」
コング「第一がサトリンでその第二。性感な男?」
ゴリーレッド「精悍な男だ」
火剣「マッドマックスのような戦いしかない世界に突入するのか」
コング「『マッドマックス1』美しきヒロインがビキニでうつ伏せに寝て日光浴。その近くで荒くれ暴走族がバイクに乗って参上。これだけでハラハラドキドキできる見事な演出」
ゴリーレッド「何の話をしている?」
火剣「五留吾永須は七美に惚れたか」
コング「見知らぬサトリンに命は懸けられないが、目の前の美女・七村七美24歳には人生を捧げられるだろう。正しいです!」
火剣「23歳では?」
コング「最近年齢を言うのが流行っている」
ゴリーレッド「流行ってない」
火剣「死にたくないから恐怖を感じるか。しかしそもそもなぜ殺した。どういう人間を殺したんだ?」
コング「女か?」
ゴリーレッド「喋らなくていい」
火剣獣三郎
2016/04/09 15:00
>火剣さん
本編より14年前、永須が戦士になるシーンです。灰色の人生に訪れた、七美という存在。惚れるのも当然でしょうか。
このときの殺人が、後に波紋を呼ぶことになります。

八武「何を置いても目の前の美女。それでこそ男だ。」
山田「人生を捧げる相手は、思想ではなく人ってことだな。」
佐久間「栞は思想に人生を捧げているが。」
維澄「まあそうかな。でも思想はゆっくりと育むべきで、目の前の人を見ることは大事。」
神邪「カルトは思想を早く育てようとするわけですか。」
佐久間「そうだな。上手く行かない人生で、一発逆転を狙いたいって心理が、焦りを生む。」
山田「上手く行かない人生か。」
佐久間「逆転を狙いたいのも、逸る心理も、人間として自然に湧き出るものだ。サトリンに質問したら、『自分たちがカルトでない自信は無い』という答えが返ってくるだろう。」
八武「ふむ、それ自体が逆説的に、カルトではない気がするねぃ。」
維澄「カルトの特徴に、自分たちがカルトであることを否定し、自分たちと違う考え方をしつこくカルト呼ばわりすることがある。マルクスの言う『宗教は麻薬だ』という言葉の本質は、そういうことだと思うよ。」
神邪「宗教を批判したのではなく、宗教が排外的になることを批判したわけですね。」
維澄「マルクスが何を思って言ったかは、正直どうでもいい。今の私の見地から捉え直したら、そうなる。」
八武「ところで七美の年齢は?」
山田「7月7日以降なら24歳。この話はいつだ?」
佐久間「夏だ。夏が来れば思い出す♪」
八武「ルパン三世の季節がやって来た♪」
山田「はるかな尾瀬じゃないのか?」
アッキー
2016/04/09 22:53

コメントする help

ニックネーム
本 文
「サトリン」 番外編 折れた十字架 3 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる