佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 番外編 折れた十字架 11

<<   作成日時 : 2016/04/17 00:00   >>

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「もしも、私たちを侮辱するような罪であったなら、許していたかどうかわかりません。」
九古さんは、静かに語り出した。
「ですが、千里さんの言う通り、これは社会全体が背負うべき罪です。永須さんが慎ましい人生を送ってきたことは想像できますし、それ以前は貧しい生活を送っていたことも察しがつきます。」
「だけど、それで・・・そんなものは・・」
「ええ、理屈ですよ。被害者の感情は、それでは納得しない。しかし逆に言えば、被害者が納得すれば通る理屈でもある。・・・正直、今更なんですよ。舜平のことだって、もう8年も前になる。妻と結婚する前です。」
「・・・・・・。」
「私は科学人間ですが、ひとつだけ神に感謝することがあれば、年月で負の感情が薄まるタイプの人間として生まれたことですね。邪戦士になるのを免れたのは、能力でガードしたからというよりは多分・・」
「オレを、恨んでないのか?」
「舜平はどうだか知りませんが、私が知ってる永須さんは、ならず者に立ち向かう英雄なんですよ。なので正直、戸惑っています。さっきの問いは私の本心ですが、どこか他人事みたいな言い方をしてるのは、そういうことです。」
戸惑っている?
この冷静な態度は、失望から来る拒絶の意思ではなくて、戸惑って言葉が見つからない状態なのか?
「楽になれとは言いません。これからも苦しんでください。ですが、社会の矛盾軋轢を、あなたが背負っていることも忘れないでください。言う人が少ないから私が言います。社会が悪い。社会が悪い。加害者に言う権利は無いから、私が言います。貧困が悪い。貧困を撲滅しなくてはならない。だから私は、反戦平和を唱えるだけではなく、明確に左翼になり、貧困を憎み、共産主義者になった。・・・だから、今更なんですよ。」
「九古さん・・・。」
奇しくも、かつて七美から言われたことと似ていた。
ようやく理解できた。彼を恐れていたのは、オレの後ろめたさだった。
この男は最初から、真っ直ぐだ。どこか桐札さんと似ているのかもしれない。
それならオレは、今度こそ守らなくては・・・。
「舜平に会ってやってください。」
「・・・はい。」


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ゴリーレッド「侮辱は言うまでもなく許されないことだが、残念ながら現実の法廷でも、無罪や執行猶予や、それが無理なら死刑を免れるために、被害者を侮辱する被告人や弁護人がいる。遺族は心を引き裂かれるのだ」
火剣「裁判官やマスコミがどこまで人の心に敏感でいられるか」
ゴリーレッド「そんな記事を出してしまったら関係者はどう思うか。それを考えられるマスコミであってほしい。売れれば何でもいいというのは許せない」
コング「ドウドウ」
火剣「社会全体を背負うか。永須が能力の全てを使って社会悪と戦う。貧困を撲滅する。そういう道もある」
ゴリーレッド「被害者感情というのは加害者を生涯許さないというもの。極刑以外にないとよく口にする。弁護士は被害者が加害者を許した事例を美談として話したがるが、許さない被害者が責められているみたいで適切ではない」
コング「みんな人に厳しいな。僕は人を責められるほど善人ではないからあまり人のことは言わない」
火剣「ならず者に立ち向かう英雄か」
コング「ヒロインをドキドキさせるならず者こそ英雄だと思うが」
ゴリーレッド「確かに善人の発想ではない」
火剣「加害者に言う権利がないから代わりに叫ぶ。九古鈍郎も英雄」
ゴリーレッド「舜平と会うか」
コング「舜平も悪い子だと思うが」
火剣「さてどうなるか」
火剣獣三郎
2016/04/17 15:36
>火剣さん
迷い道にいる永須に、力強く語りかける鈍郎。革命家としては、これがあるべき姿ではありますが、決して罪が許されたわけではないですし、世の中が加害者に都合よく出来ているのも変わらないですね。

佐久間「まだまだ永須は覚悟が足りてないことがわかると思う。」
神邪「鈍郎さんは、失望してないわけじゃないってことですね?」
佐久間「その通り。失望とか、怒りや嘆きその他が無いことはない。社会への怒りが、それらを上回っただけに過ぎない。」
維澄「被害者への侮辱は、昔から行われているね。何を守りたいのか知らんが、戦争の被害者を嘘つき呼ばわりしてまで得る利益は、徹底的に潰したくなるよ。」
八武「ドウドウ。」
山田「やはり永須が、自らを殺人へ追い込んだ貧困を、生涯かけて撲滅していくしかないか。」
神邪「それだと加害者が立派になるコースです。」
山田「しかし、そう言ってしまうと身動きが取れない。」
佐久間「身動きが取れない? そんなものは被害者にとっての日常だ。日々これ不正解しかない選択肢を選ばされ続けてるってのに、たかがその程度のジレンマで泣き言吐いてどうする。」
八武「ドウドウ。加害者と同じく、加害者に与するシステムが問題なのかねぃ。」
神邪「加害者に与する者は加害者と見なします。」
山田「仕事とはいえ、侮辱は許されないのは確か。その時点で加害者ではあるな。」
佐久間「どっちの味方だ。」
山田「被害者の味方をしたいが、加害者を責めきれないのは加害者の味方になってしまうんだろうか?」
神邪「それは違いますけどね。」
佐久間「責めきれないから加害者側というのは、『見てるだけもいじめだ』という馬鹿げた考え方と同じ。」
山田「なるほど。」
神邪「加害者を責めきらないスタンスを、被害者に押し付けた時点で、加害者になります。その一線で違うんです。」
アッキー
2016/04/17 21:54

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