佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「サトリン」 番外編 電脳の守護天使 1

<<   作成日時 : 2016/04/22 00:00   >>

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義妹と出会ったのは、小学生のときでした。

第一次世界大戦より前に生まれた父親は、昔気質の頑固者で、良く言えば筋が通っている、悪く言えば融通の利かない人間でした。若い頃は、何かと他人と対立し、諍いが絶えなかったと聞いています。
そんな父親が結婚したのは、朝鮮戦争が終わった後のことで、それから何年も経った1959年に、ようやく生まれたのが僕です。父親は喜びましたが、母親は喜びませんでした。母親は疲れていたのです。
母親との思い出は、幼い頃の数年間しかありません。決して自分を曲げない父親の姿は、子供心に憧れる部分もありましたが、それで苦労するのは母親でした。他人が何を言おうと気にしない父親と違って、母親は人の噂が嫌でも耳に響く、気の弱い人で、彼女が楽しそうに笑っていた顔を、僕は見たことがありません。

母親が神経衰弱で亡くなったのは、僕が小学二年生のときでした。
気落ちした僕は、反撃できない獲物として格好だったのでしょう、学校で暴力を振るわれることが多くありました。
そんな僕に対して、還暦も近かった父親は、格闘技を習わせました。最初は嫌で嫌で仕方ありませんでしたが、しかし父親も妻を亡くした悲しみに耐えていたのです。僕は母親の死について心の整理をつけられないまま、父親への尊敬から格闘技を練習し続けました。
父親は本当は、僕に格闘技を習わせたくなかったそうです。スポーツや格闘技をやっている人は、体の弱い人や身体障害者に対して、無神経で差別的な人が多いと言っていました。それは僕の実感としても合っています。
だから僕は、格闘技をやっていながら弱者に配慮のある人は、それだけで素晴らしいのだと思います。そういう人間になりたいと思い、格闘技を熱心に練習しました。狂ったように熱中しました。

父親からはケンカの極意も学びました。ケンカをするときは、自分か相手が死ぬ覚悟を決めろと。それが出来ないのなら、我慢しろと教えられました。ケンカの極意とは、決して争いを推奨するものではなく、争いとは軽々しく行うべきではない、死ぬか殺すかの覚悟を持って行うべきものだという、心構えなのです。
よく諍いを起こす父親の態度には疑問を感じながらも、この教訓は素直に受け取りました。僕は四年生のとき、暴力を振るってきたガキ大将の指に噛み付くことが出来ました。殴られても、殴られても、口を離すものかと思いました。気が付けば僕は病院にいて、何日も意識不明だったと聞きました。相手は指を1本失いました。
この体験が、良かったのか悪かったのかは、今でも判断できません。良かったと言うには、あまりにも自分の命を粗末にし過ぎましたし、手足に麻痺が残りました。しかし、悪かったと言うには気分が爽快すぎました。

格闘技を習い、ケンカの心構えを教えられ、僕は父親に感謝していました。手足の麻痺も軽い方で、たまに少し痺れる程度でした。暴力を振るってくる相手の、骨を折れる程度には、体を動かせました。
しかし父親は、そんな僕を心配していたようです。ある日、新しい母親だと紹介された女性は、還暦を迎えた父親よりも30以上も若く、小学校にあがったばかりの娘を連れていました。
新しい家族が出来てから、僕の中で何か、落ち着いた感情が生まれました。




つづく

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「僕。これは誰だ?」
コング「知っている人物か?」
火剣「電脳の守護天使」
コング「ビデオガール?」
ゴリーレッド「関係ない」
火剣「格闘技の猛者やスポーツ万能選手の陥りやすい弱点か」
ゴリーレッド「心技体三拍子揃って鍛え上げれば、人を見下したり、差別や無神経などないはず。闘技者として三流と言わざるを得ない」
コング「僕も格闘技を習得しているが、僕は美女の困り果てる姿を見たいがためだ」
ゴリーレッド「ガクン!となるようなことを言うな。まじめな話をすると思ったら」
火剣「激村も格闘技を暴力に使っているな」
ゴリーレッド「待ちなさい」
火剣「喧嘩の極意か。これはまさにそうだ。ゴロツキはすぐに喧嘩を売ったり買ったりする。こっちの根性を見せるしかない。『俺は喧嘩はしない。殺し合いしかしない。どっちかが死ぬまでやるんだ。それを承諾しろ。俺は自分が死ぬか、貴様を殺すまで絶対に止まらない』」
コング「ドウドウ」
ゴリーレッド「還暦で30以上若いということは20代」
コング「若い。和解。和姦OK」
ゴリーレッド「パワーボム!」
コング「があああ!」
火剣「いくら若くても手を出したら殺されるだろう」
コング「小1の娘の連れ子か」
ゴリーレッド「家族ができたら落ち着いた?」
コング「落ち着かない感情になるならわかるが」
ゴリーレッド「そんなヨコシマな男子ではないということ」
火剣獣三郎
2016/04/22 21:08
>火剣さん
今回の語り部は果たして・・・?
これまでに登場した人物ですが、過去を描くのは初めてです。

佐久間「運動できる奴は、出来ない奴を見下すことが多いな。」
山田「許しがたいことだ。俺自身、運動が出来るだけに、胸糞悪い。」
八武「反動なのかねぃ。」
維澄「そうかもしれない。勉強が不得手なことで憂き目を見てきた人々が、大人になってから、運動が不得手な者への迫害に一役買っている。」
八武「私も不得手だったのを鍛えたパターンだが、ふむ、ほぼ同じ世代でもあるね。」
山田「俺も共感できるところが多い。」
佐久間「山田はキレると恐いからな。」
山田「お前の方が恐いよ。」
佐久間「まあ、お互い運動能力には恵まれたな。勉強が出来ることで、やっかみを受けることはあったが、神邪よりはマシな学校生活だった。ゴミどもを殴れるだけの腕力があるというのは、幸せなことだよ。」
山田「まったくだな。」
維澄「ケンカの極意は私も教わったね。人間関係でも、キレるときは関係を断絶する覚悟でやれと言われた。」
八武「みんな殺伐としてるねぃ。」
山田「それだけ殺伐とした環境で生きてきたからな。」
佐久間「死根也も同じだろう?」
八武「落ち着くところは違う。若い継母と小学生の義妹が出来たら、私もう大興奮。」
維澄「15歳の頃の八武なら、落ち着く方だと思うけどね。」
アッキー
2016/04/22 23:26

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