佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 【とある】 第一位・御坂美琴 (U) 【パラレル】

<<   作成日時 : 2016/04/30 00:03   >>

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◆ ◆ ◆



「現在時刻は二○時四十八分です。」

「第8251次実験開始まで、あと十一分四十秒ですので」

「指定のポイントへの移動をお願いします。」


- - - - - -


「ちょろーっと、もう壊れちゃったの?」

同じ顔をした少女が、無傷で嘆息する。
加減して撃ったつもりのレールガンは、ゴーグルの少女の右足を吹き飛ばしていた。

しかし当然ながら、この程度で軍用クローンが戦闘不能になるはずもない。
至近距離から弾丸を相手の綺麗な顔に―――

―――しかし吹っ飛ばされたのは、撃った方の頬肉だった。

「・・・!?」

「アンタにも問題よ。“超電磁砲”は果たして、何をやってるでしょうか?」

「反・・・射・・・?」

「残念。それも間違ってないけど、私の力の本質とは違うのよねー。」

へらへらと笑いながら、彼女は帽子の唾を回す。
ボーイッシュな格好だが、胸に3つのハートマークがオシャレだ。

「お姉さまの・・・能力は、ミサカたちクローンと・・・同じはず・・・磁力で弾丸を操ったのでしょうか・・・と、ミサカは推測を・・・述べてみます。」

「同じ・・・?」

怪訝な顔をして、彼女は嘆息する。

「“同じ”なわけないじゃない。」

理解の遅い子供に、「仕方ないわね」と優しく教えてあげるように、彼女は笑みを浮かべた。
系統こそ同じでも、質的な飛躍を遂げた暴虐が、歪んだ唇と共に襲ってきた。


「正解は、“電磁気力”操作でした♪ 不正解者には苦しみの罰を♪」



◆ ◆ ◆



一方 「・・・・・・なンなんだよ、コレ。」


- - - - - -


【“妹達”を利用した、レベル6への進化法】

学園都市には七名のレベル5が存在するが、“樹形図の設計者”の予測演算の結果、
まだ見ぬレベル6へ辿り着ける者は、一名のみと判明した。

この被験者に通常通りのカリキュラムを施した場合、
レベル6に到達するには二五○年もの歳月を要する。

我々はこの二五○年法を保留とし、実践による能力の成長促進を検討した。

予測演算の結果、一二八種類の戦場を用意し、“超電磁砲”を一二八回殺害することで
レベル6に進化すると判明した。

そこで過去に凍結された“妹達”を流用することにした。

武装した“妹達”を大量投入することでスペック差を埋めることとし、
二万体の“妹達”との戦闘シナリオをもって、レベル6への進化を達成する。


- - - - - -


一方 「クソッタレ・・・悪フザケにも程があンぞ・・・!」

嫌な汗が止まらない。
彼女は、ナナは、検体番号8251番。
そして第8251次実験は、今夜二一時。

場所は―――


- - - - - -


一方 「・・・・・・」

一方 「・・・オイオイ」

一方 「コレは一体、ナニをやってるンですかーぁーぁーぁーぁー?」


駆けつけた一方通行が見たものは、右足がちぎれ、脳髄が露出したまま、空中で痙攣する少女の姿だった。


一方 「 」

吐き気と、
悲しみと、
怒りと、
混乱と、

一方 「 」

感情の濁流が言葉にならない。
一方通行の頭は真っ白になり―――


8251号 「み・・・みしゃかは・・・・・・あくせられーた、のことが・・・・・すk」

??? 「なんか言った?」


―――次の瞬間、真っ黒に塗り潰された。


一方 「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」


??? 「ん、アンタ・・・」

一方 「だあああああああああああああ!!!」

難しいことは考えない。
渾身の一撃で吹っ飛ばす。後先考えるのは、まず殴ってからだ。

・・・だが、それも当たればの話。

一方 (!?)

一方 (??)

一方 (つ・・・き? 何で月なンか見てンだ・・・?)

一方 (俺が仰向けになってるからか・・・)

一方 (・・・じゃあ何で俺は地ベタに寝転がってンだ?)


??? 「ちょろーっと、いきなり何なのよアンタ。」


一方 (ぶっ飛ばされたってのか? 俺が?)

一方 (ありえねえッ)

一方 (俺の攻撃をあしらえる能力者なンて、上条以外には・・・)

暗がりの中で、目が冴えてきた。
やがて頭も回転が戻り、さっきの声を分析することが出来た。
それは8251号と同じ、彼女の声。
だけど彼女は、脳髄を砕かれて、そこに散らばっている。

??? 「あー、そっかそっか。私のクローン二万人だけじゃ足りないから、アンタも投入されたってこと?」

陽気な声と一緒に、背筋が凍りつくような悪寒が到来する。
生きた恐怖がやって来る。反射的に体が起きる。

??? 「いい加減この作業にも飽き飽きしてたのよね。アンタなら少しは楽しませてくれそうじゃない。」

??? 「ねえ、“一方通行”。」

一方 「ヤメロ・・・ヤメロッ!」

一方 「その顔で、その声で・・・俺の前に現れるんじゃねェ!!」

??? 「どうしたの? ちょっと落ち着いたら?」

あくまで相手の声は、気さくなものだった。
状況との乖離が精神を揺らす。

一方 「何で・・・・・・」

一方 「何でこんな計画に加担した?」

??? 「え、どうしたの急に。」

一方 「答えろよ! それだけの力があって、無理やりやらされてるはずはねェだろ!」

一方 「自分の・・・妹、分身みてェな存在を、虫でも殺すみてェに、引きちぎっ・・・うっ・・・」

??? 「何言ってんのよアンタ。」

??? 「あの子たちは単なる実験動物。」

??? 「単価にして一八万円の、肉の塊よ。」

一方 「テメェ!!」

許せない。そんな言い方は許せない。

??? 「何でアンタがそんなに怒るのよ。もしかして私のクローンと仲良くなったりしたわけ?」

??? 「面白そうだし、後で実験以外の記憶も確認しとこっかな。」

一方 「こんなイカれた計画に協力する理由は何だ!? 恨みがあるわけでもねェだろ!?」

??? 「理由?」

??? 「そんなの決まってるじゃない。」


??? 「私は自分より強いヤツが存在するのが許せないの。」


??? 「レベル5だとか、学園都市で一位だとか、そんな程度じゃ“最強”ですらない。」

??? 「知ってると思うけど、この世界には“魔術師”って人種がいて・・」

一方 「何だよ、それ・・・」

??? 「?」

一方 「ジブンヨリツヨイヤツガイルノガユルセナイ? そんな・・・」

一方 「そんなことで・・・」


一方 「そんなことでオマエはナナを殺したのかよォーーーーーーーーーー!!!!!」


空気を圧縮した小型のプラズマが、弾丸の如く放たれる。
これを受ければ人間など、ひとたまりもない。

・・・だが、もはや相手は人間ではないのかもしれない。

??? 「ちょろっとー、人聞きの悪いこと言わないでよ。殺人って・・・。」

??? 「例えば癌を完治する治療薬の開発の為に、モルモット二万匹のデータが必要だとしたら?」

??? 「仕方ない、って思うでしょ。」

??? 「そのモルモットが、人の形をしているだけの話よ。」

一方 「 」

??? 「?」

??? 「何固まってんのよ。」

??? 「・・・ああ、もしかして、今のがアンタの必殺技ってやつ?」

??? 「なーんて、冗談よ。あんなショボイ必殺技なんて・・・あれ? もしかしてマジ?」

??? 「アハハ、ごめんごめん。仮にも同じレベル5なんだからさ、ここまで力の差があるなんて・・・」

??? 「・・・あれ、戦意喪失?」

??? 「ま、いっかあ・・・やられっぱなしって性に合わないし、ちょっくら反撃させてもらうわよ。」

一方 「・・・ぐああああ!!??」

まばゆい光が見えたと思った次の瞬間、
一方通行の全身に強烈な痛みが生じた。

間違いなく、彼女が放った攻撃だった。

だが不可解なのは、それが自分に通っていること。
恒常的に“反射”を展開しているはずの自分に、
電撃など通用するはずがない。それなのに。

??? 「ベクトル反射、ね。」

??? 「あらゆる物理攻撃を跳ね返し、“核を食らっても大丈夫”なんてキャッチコピーもある能力者。」

??? 「間違いなく、学園都市で最強の防御力を持っている。」


??? 「“だからこそ”アンタは弱いのよ。」


??? 「あらゆる敵を一撃で倒し、どんな攻撃も簡単に反射する。」

??? 「だからアンタは“よけられない”。どんな攻撃も“受けてしまう”。」

??? 「“反射”さえ突破してしまえば、アンタにダメージを与える方法なんて、いくらでもあるのよ。」

一方 「・・・っ、オマエの能力・・・・・・ただの“電撃使い”じゃねェな・・・・・・」

一方 「・・・・・・“電磁気力”か・・・?」

攻撃を食らったときに、それを解析して理解した。
この攻撃は、決して理解不能な代物ではない。
学園都市第三位の頭脳は、今の攻撃の正体を見抜いていた。

??? 「ピンポーン。正解者には安らかな気絶を。」

一方 「ぐあああああ!!」

だが、見抜いたところで対処できない。
せいぜいダメージを軽減できるだけだ。

彼女のやっていることは、簡単にして単純。
“束ねているだけ”だ。

??? 「抵抗しても苦しみが長引くだけよー。さっさとやられちゃいなさい。」

一方 「っあああああ!!」

あらゆる物理攻撃を反射するとはいっても、
可視光や重力まで反射しているわけではない。

可視光を反射すれば視界が真っ暗になり、
重力を反射し続ければ大気圏外へ吹っ飛んでしまう。

また、人体には0.15ボルトほどの電気が流れており、
その電気も反射の対象外に設定している。

一方通行の“反射”は体内にも及んでおり、
テレポートによる異物混入も防げるが、
もしも電気を完全に反射してしまえば、
生体電気も除外してしまい、死に至る。

??? 「しぶといわねー。まるでゴキブリみたい。」

??? 「そういえば、さっきの個体・・・8251号、だっけ?も、結構しぶとかったわね。」

微量の電圧で、電子線を周囲から一点めがけて打ち込めば、
ガンマナイフの要領でダメージを与えられる。
設定に含まれないほどの微量な電圧は、“反射”を突破してしまえるのだ。

??? 「最後に何て言ってたっけ・・・ああ、そうか」

??? 「アンタの名前、呼んでたんだ。」

それだけに留まらず、電磁気力を操れるということは、
電磁波を操れるということでもある。

言うに及ばず、可視光線は電磁波の一種であり、
同じくガンマナイフの要領で束ねることが出来る。

それがわかっているからこそ、
一方通行はベクトル“操作”で芯を外し続けているのだが、
いかんせん演算能力に差がある。

??? 「あ、そうだ。名前といえば、自己紹介もまだだったわね。」

??? 「アンタ相手に、わざわざ名乗る必要もないと思うけど、一応ね。」


??? 「御坂美琴よ。」


そのとき、月明かりに照らされて、彼女の顔がハッキリと見えた。
不敵な薄笑いを浮かべて、大きな瞳を見開いた彼女は、
ナナと同じ顔なのに、別人にしか見えなかった。

御坂 「もう立てないみたいだし、これで終わりね。」

一方 「 」

御坂 「これからもヨロシク。」

御坂 「レベル5同士、仲良くしましょ。」

ひらひらと手を振って、御坂は去っていった。
まるで友達と別れるときのような気安さで、
血なまぐさい実験場を後にした。

戦闘の爪跡に、動くことも出来ない一方通行が、
救いを求めるように手を伸ばしていた。

その先には、冷たくなった8251号の骸が、散らばっていた。


間に合わなかった。
今日でも、間に合わなかった。


間に合わなかったのだ。


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