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zoom RSS 【とある】 第一位・御坂美琴 (Y) 【パラレル】

<<   作成日時 : 2016/04/30 00:15   >>

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◆ ◆ ◆



“0次元の極点”

それは“原子崩し”の新たなる可能性である。


物質は細かくなるほど、量子的な振る舞いが支配的になり、
電子ほどに小さなものは、粒子でありながら波動であるという、奇怪な様相を呈してくる。

しかし従来の観測方法では、粒子か波動、どちらか一方の状態しか捉えることは出来ず、
理論的な式で与えられている、中間の状態は観測できない。これを不確定性原理という。

ただし粒子は、無秩序に動くわけではなく、波動関数の“瞬間”として振舞っている。
そして“原子崩し”は、電子を粒子と波動の中間的な状態で維持することが出来る。

関数の瞬間を捉える“過程”―――それは“微分”していることに他ならない。

わかりやすく言えば、N次元の断面はN−1次元ということであり、
“原子崩し”は微分によって、次元を減らすことが可能だということなのだ。



◆ ◆ ◆



一方 「くかか・・・・・・かきこけ・・・・・・」

麦野 「おいおい、いたぶる前にイカレちまったら面白くねーぞ?」

一方 「いーやァ? 今のはすごーく面白ェことを思いついちゃったって笑いだぜェ?」

一方 「もう一度、お得意の“原子崩し”とやらを撃ってみろよ。受けて立ってやるぜ。」

麦野 (あァ?)

麦野 (面白え・・・何か策があるなら、それごと潰してやるよ!)

歯を剥いて笑った麦野は、粒機波形高速砲を真正面からぶつける。
この距離なら、かわすことも出来ない。

一方 「はッ」

しかし一方通行は、光線を掻き分けるようにして麦野へ突進。
それだけで“反射”が、十分な凶器となる。

麦野 「がっ」

血を吐いて、麦野は倒れた。

一方 「・・・・・・解析完了だ、クソッタレ。」

上条当麻の“幻想殺し”は、それが異能の力であるならば、種別関係なしに打ち消す。

ならば自分は、“一方通行”は?
そこに“向き”があるならば、問答無用で操れるのが、
学園都市第三位“一方通行”ではなかったか。

たとえ“異物”が、未知のベクトルが混ざっていたとしても、
それを含めて解析してしまえばいい。

一方 「無様なローアングルのサービスをさらしてくれてアリガトウ! そこでしばらくオネンネしてやがれ。」

ここへ来た目的は、この施設を破壊することだ。
一方通行はメインコンピューターのある部屋に辿り着き、
手当たり次第に破壊した。

一方 「とりあえずこンなもンだな。」

一方 (巻き込まれちゃ敵わねェ、さっさとトンズラして・・・)

一方 「 」

一方 (いねェ!? まさか、そんなすぐに動けるはずが―――)

その途端、一方通行は全身がメキメキと音を立てて軋むのを感じた。
苦痛に悶える声が自分から発せられていることを、遅れて認識した。

一方 「くきっ・・・かっ・・・・・・」

麦野 「おいおい、のんびり寝てんじゃないわよ。」

麦野 「今からテメェにやられた分」

麦野 「兆倍にして返してやるんだから」

麦野 「よォ!!!」

もはや麦野に油断は無い。粒機波形高速砲は使わない。
直接打撃だけで、一方通行を仕留めにかかる。

“未元晶体”を解析したことで、被ダメージは少なくなっているものの、
依然として“反射”は貫通されている。

一方 (クソッタレ・・・俺としたことが、甘すぎンだろォ・・・)

一方 (だが、目的は果たした。後は逃げるだけだァ)シュタッ

麦野 「逃げんなゴルァ! 第三位の名が泣くぞォッ!」

一方 (勝手に泣かしとけェそンなもン!)

しかし、逃げる一方通行の前に、麦野の顔があった。

一方 「 」

再び強い痛みが一方通行を襲う。

麦野 「トドメも刺さずにトンズラたあ、舐めくさってんじゃねえぞガキ。」

麦野 「これがレベル5だ、“原子崩し”だ。」

麦野 「なァ、あーくせられぇたーぁ?」

一方 「っ・・・かはっ・・・」

よく勘違いされているが、“原子崩し”は“ビームを撃つ能力”ではない。
電子を粒子と波動の中間状態で維持したまま、強制的に操る能力だ。

言うに及ばず、人体にも電子は偏在している。
麦野は自身の肉体の電子を“固定”することで、絶対的な壁を作り出しているのである。
“反射”したはずのダメージが入ってないのは、電子の壁に阻まれているからなのだ。

それを応用することで、麦野は超人的なフィジカルを発揮している。
こことは違う世界の話だが、浜面仕上との死闘において発揮していた身体能力は、人間の筋力では不可能。
体内電子を固定することで、人ひとりを投げ捨てたり、高いところから跳び下りても無傷でいられたのだ。

その死闘で、浜面仕上が「確かに殺した」と確信していたのに、麦野沈利は生きていたのも、それが理由である。
確かに生身の人間なら、あれだけ銃弾を撃ち込まれたら生きているはずもない。浜面の手ごたえは正しい。
だが、“原子崩し”で固定された電子が、銃弾による被ダメージを軽減していたのだ。

高い破壊力を持つ粒機波形高速砲の陰に隠れているが、
この地味ながら攻防一体のフィジカルこそが、麦野沈利の真骨頂。
だからこそ一方通行は、粒機波形高速砲を撃たせて反撃したのだが、
そこでトドメを刺さなかったのは、あまりにも手痛いミステイクだった。

一方 (クソ、脱出ルートはァ・・・)

連日の疲労と、これまでのダメージが酷い。もはや勝利は諦めるしかない。
“電子の壁”は、一方通行の“反射”のように常時展開できるわけではないが、
一度痛い目を見た麦野は、二度と隙を作らないだろう。

考えることは、逃げること。ここから脱出して、逃げ帰ることだ。
しかし、それすらも実際おぼつかない。
あの“感知できないテレポート”・・・それを為している“0次元の極点”からは、逃げられない。

高次元ではなく、0次元を機軸にしていることで、重量や距離に制限が無いばかりか、
ベクトル解析で感知することすら出来ない。


何故なら、0次元には“向き”が存在しないからだ。


存在しないものを感知することは出来ない。
テレポートしてくる麦野の位置は、この世の誰にもわからない。


麦野 「オラッ! もっと私を楽しませろ! 現代アート風味の愉快なオブジェになりたくねえならなァッ!!」

一方 「っく・・・う・・・・・・」

なおも麦野の打撃や蹴りが、一方通行にダメージを蓄積させていく。
なまじ“反射”がはたらいているせいで、
気絶も死も許されない。苦痛の無間地獄。

一方 (こンな程度、屁でもねェ・・・・・・“妹達”の味わってきた苦しみに比べりゃァ、万分の一でもねェンだよ!)

助けたいのは誰なのか。
誰を助けたかったのか。
自分の中にある熱い思いを奮い立たせて、一方通行は走る。
決して諦めない。逃げて逃げて逃げ続ける。

麦野 「オラァッ!!」

一方 「ぐかっ・・・・・・」

だが、無慈悲な女の攻撃は、一方通行の意気を挫くが如くに物理攻撃を放ってくる。

どうして打撃が光線よりも“反射”の突破率が高いのか、その理由は、
麦野が打撃の一瞬だけ、“0次元の極点”を使っているからだ。

0次元では“向き”が存在せず、“反射”がはたらかない。
その一瞬で元の3次元に戻すことで、“反射”を突破している。
シビアなタイミングではあるが、それが出来るのが麦野沈利という女だ。

件のカーテナは次元を“切断”しているので、およそ微分しか出来ないが、
“原子崩し”は波動と粒子のミッシングリングなので、双方通行。
微分が出来れば積分も出来る。
テレポートも、麦野沈利という存在を整式の関数に見立てて、
微分と積分の演算を行うことで実現する。

一方 (やっぱ考えるほど反則だわコレ・・・)

メチャクチャな話ではあるが、そもそも“原子崩し”の特性を鑑みれば、おかしくない話でもある。
波動や粒子には、それ自体に“向き”が存在するが、中間状態では“向き”が存在しない。
粒機波形高速砲のように、“強制的に動かすこと”で、はじめて“向き”が発生する。
ゆえに光線は“反射”できるが、“電子の壁”は突破できないし、0次元攻撃は防げない。

一方 (つくづく俺の攻略法ばっか考えやがンなァ、木ィ原くゥゥゥン!)

救いは、“0次元の極点”が完全でないこと。
だからこそ部分的には“反射”できているし、
自分が宇宙の果てに飛ばされることもない。

そもそも“0次元の極点”を完璧に行使できるなら、
わざわざ“未元晶体”などに頼る必要は無い。
“未元晶体”を解析したことで、被ダメージを半分以下に出来ているということは、
それだけ“0次元の極点”が未完成であることに他ならないのだ。

恐ろしい能力だが、完璧ではない。
それに麦野とて、無尽蔵に体力や精神力があるわけではない。
勝つことは出来なくとも、逃げることは不可能ではないはずだ。

一方 (・・・)

一方 (あったァ・・・)

それは、諦めずに逃げ続けた者だけが見つけられる道。
フレンダが仕掛けた罠が、そのまま残っていた。

一方 「くたばれよ」

ベクトル操作で、爆弾に信号を送る。
そこは崩れれば何十メートルという高所。

麦野 「あッ」

この期に及んでも、なお一方通行が麦野に対して優位な部分があった。
それは、飛べるということ。

自身にかかる重力を半分だけ“反射”すれば、空中に浮いていられる。
そこから向きを操作すれば、空中を自在に飛行できるのだ。

そして麦野は、飛べない。
厳密には飛べなくもないのだが、この一瞬では無理な話だ。
いくら0次元テレポートをしようとも、無い足場に着地は出来ない。

一方 「アバヨ、メルトダウナー。」


- - - - - -


少し休息を取った後、一方通行はSプロセッサの方に来ていた。
麦野が追ってきている心配はあるが、
休息の間にベクトル操作で骨や内臓を修復した。
応急処置に過ぎないが、しないよりはマシというものだ。

脳内の電気信号を操作して心を落ち着け、
買い置きのブラックコーヒーを飲んで頭を冴えさせる。
だいぶ能力を行使したことで、嫌な眠気がキツいが、
今夜中に全て叩き潰しておきたい。

こうしている間にも、次の実験が行われるまでのタイムリミットは迫っているのだ。

一方 「さーて、もォひと踏ん張りだなァ。」

だが、一方通行は知らなかった。
Sプロセッサには、麦野が配置していた二人がいることを。

一方通行の演算パターンを植えつけられ、
それを元に“木原神拳”を行使できる、恐るべき姉妹の存在を。

このときの一方通行は、知る由も無かった。



この夜、一方通行はSプロセッサ社で、絹旗・黒夜と交戦し、

その脳漿を地面に散らされた。


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