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zoom RSS 【とある】 第一位・御坂美琴 (Z) 【パラレル】

<<   作成日時 : 2016/04/30 00:18   >>

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◆ ◆ ◆



『女の子の為に必死に頑張っちゃってカッコイイー! 惚れちゃいそうだぜ一方通行!』



◆ ◆ ◆



他に誰もいない教室。

小萌 「ESPカードの必須条件ですが〜〜〜」

小萌 「再制定されたのは一九九二年の―――」

上条 「ふああ・・・」

上条 「ゆうべはまた不幸だった。」

上条 「ノミ駆除に夜中までかかっちまうし」

上条 「インデックスのやつ〜〜」

小萌 「上条ちゃん! ちゃんと聞いてるんですかー?」

小萌 「上条ちゃんの為だけの特別補修なんですからねー。」

上条 「ちゃんと聞いてるけどさ、これって力と関係あるんですかー?」

上条 「教科書を暗記しても、スプーンひとつ曲げられないし。」

小萌 「うっ」

小萌 「でもでもっ、力が無いからといって諦めてしまっては、伸びるものも伸びないのです!」

小萌 「努力すれば必ず成功するとは言いませんけどォ、努力しない人には成功は訪れません!」

小萌 「学園都市の第一位、常盤台中学の御坂美琴さんなんて、元はレベル1だったんですよ。」

小萌 「それを頑張って頑張って、レベル5までのぼりつめたんです!」

上条 「第一位ねぇ。そんな雲の上のお方のことを言われましても。」

小萌 「上条ちゃん!」

ふてくされたような言い方をしているが、上条も努力の大切さは知っている。
一方通行がレベル5の能力に目覚めるまで、そして目覚めてから力を使いこなすまで、
どれほどの努力を積み重ねてきたかは、その片鱗を知るだけでも尊敬に値する。

今の上条がテンション低いのは、努力うんぬんの話ではなく、
その一方通行と、ここ数日めっきり会ってないせいであった。
電話をかけても通じないし、メールを送っても返事が来ない。

きっと研究や実験で忙しいんだろと思うと、
レベル0の自分との違いを思い知らされているようで、やるせない。
嫉妬や僻みではなく、この学園都市というシステムの中で、立ち位置の違いにやきもきさせられる。

上条 (いっぺん木原さんに連絡してみっかなー。)


- - - - - -


放課後、上条は木原数多の在籍している研究所へ向かっていた。
しかし乗ろうとしたバスが目の前で発進、次を待っている間にバイクと激突、
チンピラとぶつかって因縁をつけられること十数回。
バイクは低速走行だったし、チンピラからは走って逃げられたが、
こうも重なると愚痴のひとつも言いたくなる。上条は青空に向かって叫んだ。

上条 「不幸だーーーーー!」

空を見れば、飛行船が飛んでいくのが見える。
この学園都市では、飛行船がニュースを届けているのだが、考えてみれば贅沢なものだ。

《―――それにより、筋ジストロフィー関連の市場は、今後も成長が期待されます。続きまして、週間天気予報》

外ではコスト面で実現できていない、身の回りの便利なアレコレを思うと、
あらためて学園都市の技術に、敬意と感謝を感じてやまない。

上条 「・・・・・・」


『俺ァ、あの飛行船って嫌いなンだよなァ。』


上条 (思えばあの日、鈴科の様子は少しおかしかった。)

あのときは、ただの“感想”としか思ってなかった、今まで忘れていたような言葉が、
今になって不安の葉を茂らせ始めていた。

何日も会ってないから生じる不安なのだろうが、上条は自分が
取り返しのつかない出遅れを仕出かしてしまったのではないかと、嫌な胸騒ぎがしていたのだ。


もう二度と一方通行に会えないような、嫌な予感が―――


上条 「―――なんて思ってたときが上条さんにもありましたよ。」

一方 「なァに独り言つぶやいてンだ上条ォ?」

上条 「いやー、ここんとこ会ってなかったもんだから、ちょっと心配しちゃってまして。」

一方 「あァ、そういやそォだな。木原くンと研究に熱中してたンだ。連絡なくて悪りィ。」

上条 「鈴科に会えなくて、上条さん寂しかったんですよ。」

一方 「・・・オマエがモテる理由がよくわかるわァ。」

上条 「へ? なんのことでせうか。」

一方 「無自覚かよ・・・。藍花や土御門が怒るのも無理ねェなァ。」ハァ

上条 「いや、ホントにモテないんですってば。俺なんかにモテる要素ないですって。」

一方 「命がけで助けられて、惚れねェ方が珍しいと思うがなァ。」

上条 「はっはっは、ご冗談を。命がけで助けた程度で、惚れられるわけがありませんよ。」

一方 「・・・・・・」

こういうとき、上条当麻という人間は、他人からの好意に鈍いのではなく、
他人からの好意を信じられないのだということを痛感する。

上条 「インデックスや姫神からの好意に、気付いてないわけじゃない。」

上条 「他にも、俺に好意を持ってくれている人はいる。」

上条 「だけどそれは、人間として自然なレベルのものであって、男女のそれには達してないと思うんだ。」

一方 「・・・ひねくれてやがンなァ。俺も人のことは言えねェが。」

故郷で上条は、たとえ命がけで人を助けたとしても、
“自作自演野郎”などと罵倒されてきた。

そんな彼にとって、命がけで頑張りさえすれば、
人として当たり前の好意が返ってくる学園都市は、
“人の為”と“自分の為”が相反しない、良い場所なのだろう。

故郷じゃ親以外からは得られなかった、人として当たり前の好意。
それで満足してるから、それ以上を求める気持ちが弱い。
人として当たり前の好意を、過剰なまでに喜ぶのは、美徳であるが悲しいことでもある。

上条が求めているのは、恋人より家族なのかもしれない。
いつだったか、寮の管理人みたいな年上美人が好みだと言っていたが、
それも性的な意味よりは、家族愛を求めるようなニュアンスだったように思う。

恋人よりも家族が欲しいというのは、男子高校生の発想としては枯れているかもしれない。
しかし、だからこそインデックスとの同居生活が上手くいっている面も大きいのだ。

上条 「おお、そういやチョーカー着けたのか? 妙に似合ってんな、それ。」

一方 「あァ、これか。木原くンの研究成果だ。俺の演算を補助するデバイスでな。」

一方 「ほら、“幻想御手”ってあったろォ? あれの応用で、演算能力が飛躍的に向上してるンだ。」

一方 「流石に“多才能力”は使えねェが、その代わり副作用も無ェ。」

上条 「へぇ〜、木原さん色んなもの作るなー。俺にも作って欲しいですよ。」ヘナ

一方 「どォしたァ。」

上条 「いやー、今日も補修で小萌先生にしぼられちゃいましてねー。」ヘニャ

一方 「あァ・・・。オマエ、このままじゃ留年しそうなンだってなァ。」アワレミノメ

上条 「“記録術”の単位さえ取れれば、他は何とかなりそうなんですが・・・。」

上条 「・・・あれ?」

上条 「あーーー!? 宿題やってねーーー!」

一方 「・・・・・・手伝おうかァ?」

上条 「お願いします!」ドゲザ

一方 「ヤメロ、こンなことで土下座すンのはヤメロ」


- - - - - -


一方 「ふーン、これが宿題ってヤツかァ。」

上条 「えっ? 鈴科さんは、宿題というものを見たことがないんでせうか・・・?」

一方 「実験と開発ばっかりだったからなァ、それに一度読んだもンは忘れねェし。」

上条 「羨ましい・・・。上条さんは100回読んでも覚え切れませんよ」トホホ

一方 「安心しろォ、それが普通だァ。」

一方 「まァいいから見せろ。学園都市第三位の一方通行様が、じきじきに教えてやるからよォ。」

上条 「あざーす! えーと、まず古典なんだけど・・・」

学園都市は、外よりも三○年ほど進んだ科学力を持っている。
それゆえに教育も相応にハイレベルであり、
上条の通う高校は学園都市では底辺校であるが、
外の高校なら進学校レベルの授業が行われている。
当然ながら宿題も難しい。

一方 「そこはBだァ。あり、をり、はべり、いまそかりは、ラ変。」

上条 「おお、そうだった。さんきゅー。」

一方 「ンで、こっちはC。去ぬもナ変。」

上条 「あー、ホントだ。」

高校一年生の夏休みで、古文の変格活用が宿題に出る。
おそらく古文を習ってない人には、わけがわからないことだろう。

よく劣等生と言われる上条だが、
それも学園都市のハイペースな教育においての話。
一般的な高校生としては、標準以上の学力を持ち、機転も利く。

“落ちこぼれ”のスキルアウトであっても、
浜面のようなメカニックに精通した者がいるのだから、
いかに学園都市の基準が外と乖離しているかが、わかろうというものだ。

一方 「こンな課題いくつやっても、学力とは関係ねェと思うがなァ」クビカシゲ

上条 「・・・流石レベル5は言うことが違った。」

自分がモテないと言う上条も大概だが、
一方通行も自分がどれだけ異常なのか無自覚である。
宿題をやるかどうかは学力に関係ないというのだから、
異常という言葉では表現が追いつかない。


- - - - - -


上条 「あー、終わった終わりました! ありがとう鈴科! アクセラレータ様!」

一方 「オマエ大袈裟だなァ。」ハァ

カフェテラスで宿題に興じていると、
“アイテム”との死闘が夢か何かのように思えてくる。
実際、こうして上条と呑気な日常を過ごしていると、
あのときの鮮烈さが薄れて、意識から外されることが多い。

しかし、首につけているチョーカーが、あれが現実であることを物語っていた。


『首輪みたいでイヤラシイー! 色んなトコ勃っちまいそうだぜ一方通行!』

『死ね』


サイボーグくろにゃんと窒素神拳のコンボで、脳髄を損傷した一方通行は、
その動向を把握していた木原数多に助けられ、リアルゲコ太の治療を受けた。

損傷した脳機能は、“妹達”による代理演算で補っている。
上条に言ったことは嘘ではないが、今の一方通行は以前の半分程度の力しか発揮できず、
バッテリーも全力で使えば十五分が限界と言われている。

演算補助を受けてない状態では、まともに喋ることすら出来ず、
確かにその状態に比べれば、今は飛躍的に能力が向上している。


一方 「 」


ふと、雑踏の中に“彼女”の姿を見て、一方通行の顔は白くなった。
元から白い顔ではあるが、血の気が引いたように白くなっていた。


9999号 「おや、一方通行に上条当麻ではありませんか、とミサカは挨拶を交わします。」


忘れかけていた苦痛が戻ってくる。
恐怖と、悲痛が。

叫ばせる。


一方 「何で・・・オマエ一体なンでこンなとこでブラブラしてンだよッ!?」


上条 「・・・っ!?」キイイイイン

急に大声を出されて、上条は面食らった。

9999号 「ブラブラなんて、ミサカは女の子ですのでブラブラするものはついてませんよ」

9999号 「とミサカは覚えたての下ネタをクリ出しながら顔を赤らめてみせます。いやん」

言葉とは裏腹に、少女は無表情としか言いようが無い顔。
ゴーグルを着けている理由も、上条には謎だった。

一方 「ちょっとこっち来い。」

9999号 「え、もしかして今宵ミサカは大人の階段を上ってしまうのでしょうか、とミサカはドキドキ・・」

一方 「いいから、来い。」

その様子が、あまりにも有無を言わさずという感じだったので、
上条は取り付く島もなく、ぽつんと残された。

上条 (彼女って・・・確か、常盤台の“超電磁砲”、だよな・・・?)

上条 (ケンカって感じでもなかったし・・・複雑な事情があるのかな・・・?)

咽が渇いたので、上条は自販機へジュースを買いに行く。
二千円札を呑まれた、因縁の自販機。上条は緊張しながらコインを投入した。

すると何故か、大量のジュースが出てきた。
いちごおでん、きなこ練乳、カツサンドドリンク、ガラナ青汁、ウインナーソーセージ珈琲・・・
どれもこれも、名前だけで飲みたくない気持ちにさせてくれるラインナップである。

こんなとき、上条は自分たち学生が、学園都市のモルモットであることを痛感する。

一方通行がブラックコーヒーを好むのも、
他に変な飲み物が多すぎるせいではないかと、
ややアンニュイな気分で上条は想像を巡らせた。

上条 「はあ・・・不幸だ・・・。」

律儀な彼は、出てきた飲み物たちを持ち帰ろうとしていた。

幸いにも家には、痛みかけのパンすら喜んで食べる、
味覚の破綻したシスターがいる。

異邦人である彼女だが、こと飲み物に関しては、
誰よりも学園都市に適応しているのかもしれない。

上条 「うおおっ!?」

ジュースを運んでいる途中で、上条は足を滑らせた。
そこは、ある能力者が摩擦係数を操作した場所であり、
その効力が残っていたのである。

あらゆる異能を打ち消す“幻想殺し”だが、その力は右手のみ。
残念ながら、足には宿っていないのだ。

上条 「俺が何したってんだよ〜〜」ナミダメ

しかし彼には、褒美が待っていた。
顔をあげると、そこには美少女の縞パンがあったのだ。

10000号 「必要ならば、手を貸しますが、とミサカは提案します。」

上条 「///」

不幸にも、純情な上条は反射的に後ずさってしまい、
彼が縞パンを視界に移せていた時間は、わずか2秒だった。
つくづく不幸な男である。

上条 「あー、鈴科・・・一方通行はどうしたんだ?」

10000号 「一方通行ですか? 彼とは面識がありませんが、とミサカは質問の意図を把握しかねます。」

上条 「?」

上条 「・・・ま、とにかく助かるぜ。」

ジュースを拾ってもらった上条は、お礼を言った。
だが、このとき上条は、彼女の縞パンを見ることが出来なかった。
異なる世界では、再び縞パンを見る機会に恵まれるのだが、この世界の上条は違った。
つくづく不幸な男である。

上条 「ただいま、インデックスー。」

インデックス 「おかえりなんだよ、とうま。・・・とうま、その横の短髪は誰?」ニラミ

上条 「ああ、聞いて驚くなよ。学園都市第一位、御坂美琴さんだ。」

10000号 「違います、とミサカは上条当麻の認識を訂正します。」

10000号 「御坂美琴はミサカのお姉さまです、とミサカは正しい認識を与えます。」

上条 「そうなのか。あ、それでさっきは鈴科を知らないって言ってたのか。」

10000号 「知らないわけではありません。面識が無いだけです、とミサカは正確な表現を使います。」

上条 「そっか、有名人だもんな鈴科。しかしすげーそっくりだな。たぶん並んでっと見分けつかねーぞ?」

10000号 「遺伝子レベルで同質ですから、とミサカは答えます。」

上条 「遺伝子・・・ああ、双子なのね。」

しかし遺伝子だけでなく、言葉遣いや態度も先程の姉とそっくりだった。
姉妹ともにゴーグルをかけているのも、共通のファッションなのだろうかと、上条は思った。


だが、このとき上条は知らぬ間に、学園都市の闇へ足を踏み入れていたのだ。


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