佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 【とある】 第一位・御坂美琴 (]) 【パラレル】

<<   作成日時 : 2016/04/30 00:27   >>

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◆ ◆ ◆



砂利の敷き詰められた場所で、ゴーグルを着けた少女は、全身に汗を滲ませながら走っていた。
あらかじめ実験場には地雷を仕掛けており、相手を誘導して爆破することを繰り返している。
相手は、あらゆる物理攻撃を“反射”できるわけでもなく、電子を曖昧なまま固定することも出来ない。
“異物”によって爆発を阻害するなり防ぐなりすることも出来ない、正真正銘、生身の人間だ。

「流石に酸素奪われると結構つらいわねー。体内の水分を電気分解するのも手間だしさ。」

ざくざくと砂利を踏みながら、同じ顔をした相手は、傷ひとつ無く歩いてくる。
大気を震わすほどの大爆発でも、服にさえダメージを受けていない。
電磁気力は、核力の次に強い。核力の到達距離が極めて短いことを考慮すれば、この世で最強の力だ。
その力で張ったバリアは、なまじ不完全な“電子の壁”よりも、強力な防御壁となっていた。

「他に手が無いなら、さくっと殺してあげるけど?」



◆ ◆ ◆



一方 「・・・・・・」

一方 「幻想なンかじゃねェよ、上条」

一方 「これが現実だ。」

遠距離から、ベクトル操作で物体を飛ばし続ける。
たったそれだけのことで、上条は手も足も出ない。

あらゆる異能を打ち消す“幻想殺し”も、
空を飛んでいる相手には当たらない。

上条 「・・・う」

ボロクズのようになった上条は、
穴だらけになった橋の中央で大の字になっていた。

一方 「・・・オマエの“幻想殺し”は、異能相手に絶対的な効力を持っている。」

一方 「まともにぶつかれば、俺の“反射”を無視して、肉弾戦で勝てる。」

一方 「だが、結果はコレだ! この、オマエと俺の関係が、俺と“超電磁砲”の関係なンだよ!」

一方 「俺のベクトル操作は、物理的な力に対しては絶対的な防御力を持っている!」

一方 「力学だろォが熱だろォが電磁気だろォが、あらゆるベクトルを操れる!」

一方 「それでも“超電磁砲”には傷ひとつ付けられねェ・・・・・・」

一方 「ありふれた能力で! ナニをやってるかも理解できて! それでもだ!」

上条 「・・・・・・それだ。」

一方 「・・・あァ?」

上条 「お前が御坂美琴に勝てないのは、相手もお前の能力を熟知しているからだよな?」

上条 「“一方通行”が何をやってるかわかってるから、ありふれた能力で対策が打てるんだよな?」

上条 「だけど、それはお前が学園都市でも七人しかいないレベル5だからじゃないのか?」

上条 「いくら御坂でも、把握できている能力者は限られているはずだ。」

上条 「まして、学園都市でも最弱の無能力者のことなんか、いちいち把握してると思うか!?」

一方 「 」

上条 「お前と俺が協力すれば、倒せるかもしれないんだ!」

一方 「・・・それでも、勝率は絶望的だぜ。」

上条 「だけどゼロじゃない。」

上条 「今までゼロだったのが、ゼロじゃなくなったんだから、倍率は無限大だ。」

上条 「限りなく絶望に近い運命は、絶望なんかじゃない。」

上条 「もう何ひとつ失うことなく、みんなで笑って帰りたい。」

上条 「それが俺の夢なんだ。」

一方 「・・・ハッ、数学をイチからやり直せェ。」

一方 「だが、最っ高に面白ェよ、オマエ。」ククク

一方 「俺と一緒に、地獄の底までついてきてくれるかァ?」

上条 「ああ。そしてお前を、地獄の底から連れ出してやる。」

上条 「もう誰も死なせない。」


- - - - - -


実験開始時刻は、既に過ぎていた。
一方通行は上条の右手に触れないように抱きかかえ、
空を飛んで実験場へ向かった。

上条 「確かここで・・・ッ!」

果たして、間に合った。

一方 「助けに来たぞ、10000号!」

10000号 「何故あなたたちが、ここに・・・・・・うッ・・・」

生きていた。
追い詰められて瀕死状態だが、
確かに生きている。

御坂 「ちょろっとー、前より人数増えてない?」

御坂 「アンタが不用意に一般人に接触するから・・・」

上条 「離れろよ」

御坂 「・・・何か言った?」

一方 「今すぐ10000号から離れろっつてンだよ!」

上条、一方 「聞こえねェのか三下ァ!!」

御坂 「へー、随分と威勢がいいじゃない。」

御坂 「確認しとくけど、この実験を止めに来たってことでいいのよね?」

上条 「ああ」

上条 「お前をブチのめしてな。」

御坂 「 」

御坂 「・・・ぶっ、くくっ、あーーはっはっはっはっ!」

御坂 「まーだ絶滅してなかったんだ、アンタみたいな人種。」

御坂 「今どき珍しいわよ、そんな無鉄砲な・・」

上条 「グチャグチャ言ってねえで離れろっつってんだろ!」

御坂 「はいはい、言われなくても離れるわよ。」

御坂 「ちゃんとキャッチしなさいよ?」

上条 「!」

電磁気力で放り投げられた10000号は、
すんでのところで地面に叩きつけられるところだった。

上条 「っ・・・ぶねぇ。」

御坂 「よく出来ましたー」パチパチ

一方 「テメェ・・・」


10000号 「何・・・を、やっているのですか・・・と、ミサカは問いかけます・・・。」

10000号 「ミサカは必要な機材と薬品さえあれば、ボタンひとつで自動生産できるんです。」

10000号 「作り物の体に、借り物の心。」

10000号 「そんなモノの為に、あなたたちは――」

上条 「関係ねえ。」

上条 「お前は、ここにいるだろうが。」

上条 「それだけで十分だ。」

上条 「俺は世界にひとりしかいないお前を助ける為に、ここに立ってるんだよ。」


御坂 「ちょろっとー、お涙頂戴の茶番劇いつまで続ける気?」

御坂 「アンタたちが、そこのモルモットの代わりを務めてくれるってんなら・・」

上条 「ずっと、こんなことを繰り返してきたのか?」

御坂 「そうよ。もしかして、不本意に実験に付き合わされてるとか思ってる?」

その可能性も、実は考えていた。
ここに来たとき、不覚にも彼女を
“可愛い”と思ってしまったせいだろうか。

学園都市第一位という化物が、
こんな可愛らしい少女だったなんて、
思いもしなかった。

御坂 「このタイミングで来たってことは、夕方の9999号でも見た?」

御坂 「アレ、なかなかの出来栄えだったでしょ?」

しかし、その中身は紛れもなく怪物。
見た目だけで、人は測れない。

上条 「二度とこんなことが出来ないように、ぶっ飛ばす。」

御坂 「・・・」クス

上条 「おオオオオオおッ!」

突進する上条だが、御坂は空に舞いあがって
そこから電気の槍を飛ばしてきた。
“幻想殺し”は、それらを薙ぎ払う。

御坂 「何ソレ、私の能力を打ち消してんの?」

一方 (・・・!)

一方 (ちょっと待て、今なンでよけた? 上条の能力を知らないはず・・)

上条 「鈴科!」

一方 「・・・おゥ!」

嫌な予感がよぎっていたが、
一方通行はベクトル操作で上条を空に飛ばす。

しかし御坂は、それを迎え撃つことなく回避。

そして鉄道のレールを剥がして、剥がして、
空の上条めがけて電磁気力で飛ばした。


御坂 「アンタの右手は、“能力”は消せても、“質量”は消せない。」


一方 「ちィイイイ!!」

咄嗟に上条を庇って、一方通行が盾になる。
大量のレールは“反射”の前に、あえなく跳ね返っていく。

だが、その瞬間に御坂は例のガンマナイフで
一方通行の体を内側から焼く。

一方 「ッガアアアアア!!」

上条 「鈴科ッ!」

すぐさまベクトル操作でダメージを回復させるが、
完全に元には戻らない。

一方 「テメェ・・・・・・どォして、上条の能力を知ってやがる!?」

一方 「バンクにもコイツの能力は載ってねェはずだ!」

御坂 「“幻想殺し”。」

上条 「!」

御坂 「あらゆる異能を打ち消す、その能力で」

御坂 「アンタは街の不良たちと渡り合い、人助けをしてきた。」

御坂 「“そんな目立つようなこと”私が知らないとでも思った?」

上条 「・・・くそっ!」

目論見が外れた。
相手が“幻想殺し”を知らないと踏んだからこそ、
初撃の油断に賭けたのだ。

しかし御坂には、油断も慢心も無い。
それもそのはず、単純なパワーだけなら今の一方通行にも劣っているのだ。
自分よりもパワーの大きい相手に、油断などするはずもない。

御坂 「・・・・・・」

御坂 「・・・神様の奇跡だろうと打ち消す、“幻想殺し”、ね。」


御坂 「だからアンタは弱いのよ。」


御坂 「あらゆる異能に対して絶対的な優位性を誇り」

御坂 「どんな異能も右手を翳すだけで簡単に打ち消してきた。」

御坂 「そんなヤツが、能力戦のセオリーなんて知ってるはずもないわよね?」


鉄のレールを撃ち出す質量攻撃と、
それをカバーに入る一方通行へのガンマナイフ。

単純ながら、対処しようがない。

一方 「がッ・・・」

上条 「・・・っ」

御坂 「私が“妹達”と何回戦ってきたと思ってるのよ。」

御坂 「想定外の事態なんて、フツーに起きる。」

御坂 「だからこそ能力戦では、情報が大切。」

御坂 「戦うかもしれない相手のデータを調べておくなんて、基本中の基本。」

上条 「くっそおおおお!!」

なおも突進する上条。
今度は御坂もよけない。

御坂 「・・・もういいわアンタ、底は見えた。」

突き出される上条の拳を、御坂は掴み、
そのまま体勢を崩して、投げながら腹に一撃入れた。

上条 「ごはッ・・・」

御坂 「アンタ、なんでそんなボロボロなのよ。万全の状態なら、まだ勝負になったかもしれないのに。」

大の男を瞬殺できる体術を持つ風紀委員を、体術のみで制圧できる。
それが御坂美琴という女だ。

上条とて、二人相手なら勝てる程度の体術は心得ている。
しかしそれでは、黒子相手でも勝ち目が薄いレベルなのだ。

一方 「かみじょォオオ!!」

御坂 「アンタも、もういいわよ。」

電撃も、電磁波も使わない。
素手のみで。

一方 「がッ・・・?」

御坂 「“木原神拳”。もうアンタの“反射”は、私には通用しない。」


一方通行の体表を覆う反射膜は、厳密には三重構造になっている。
すなわち内側から、感知領域、反射領域、感知領域の順番だ。

自分にとって有害か無害かを感知する領域が必ず存在し、
“反射”が適応されるのは、反射領域に入ってからである。

このような構造にしておかなければ、有害無害関係なく“反射”してしまい、
発汗や発熱が上手く出来ず、皮膚呼吸もままならない。

バリアーではない、ベクトル反転による“反射”というのは、
このように複雑な構築をしなければならない代物なのだ。

“木原神拳”とは、外側の感知領域まで攻撃を達した瞬間に、
反射領域に食い込まないように拳を引き抜くことで、
感知領域に逆向きのベクトルを与える技術である。

人間的な感覚だと、内側へ向かっているか、外側へ向かっているかは、
すぐに区別がつくはずだ、と思うかもしれない。

しかしベクトル演算による“反射”は、
三次元の式において“−Eの行列を掛ける自動設定”であり、
元の行列式の向いている方向を判定するものではない。

“反射”といっても、バリアではない。
あくまで”向きを逆にしている”だけなので、
攻撃を跳ね返すイメージは的外れとしか言いようが無い。

感知領域から手を引き抜くのだから、
反射領域には食い込んでいないと思うのは、間違っている。
きちんと“マイナス方向の力”が反射領域に食い込んでいるのだ。

物理学的には全く意味不明だが、
数学的には何ひとつおかしなことはない。
そして能力演算は物理学ではなく数学の領域である。

物理学においても、向きが逆でも力の絶対的な性質は同じ。
スカラーが同じである以上は、何の問題もなく物理法則に則る。


これだけ聞けば、一方通行の“反射”は、
極めて脆弱な盾であるように聞こえるかもしれない。

しかし実際には、そのシビアなタイミングを狙える者は、
学園都市に十名も存在しないだろう。

御坂美琴は一方通行の演算パターンを学習し、
自分の体内にある電気を操ることで、
完璧なパフォーマンスを実現させているのである。


一方 (クソッタレ・・・・・・)

一方 (何か・・・無ェのか・・・)

一方 (何か・・・・・・)

一方 (このままじゃ、かみじょォまで・・・)

一方 (イヤだ)

一方 (とォまが死ぬなンて、イヤだ)

一方 (力が要る・・・・・・目の前のクソアマをブチ殺せる力―――)

一方 「くっ」

一方 (既存の理もルールも)

一方 「くか、くかきき」

一方 (全て凌駕するような力)

一方 (絶対的な力がッ!!)



一方 「くかきけこかかきくけききこかかきくここくけけけこきくかくきくこくくけくかきくこけくけくきくきこきかかか」



上条との戦い、そして実験場へ辿り着くまでの飛行で、
一方通行のバッテリーは消耗しており、
これまでの戦いで、ほぼ残量はゼロになっているはずだった。

しかし一方通行の背中からは、
全盛期すら遥かに凌駕するような、
とてつもない力の塊が噴き出していた。


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