佐久間闇子と奇妙な世界

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<<   作成日時 : 2016/05/04 00:05   >>

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暗がりの中、少年が体を押さえつけられて、奇怪な液体を飲まされている。
『やだよ・・うぐっ・・・』
暴れたところで子供の力ではどうにもならない。まして赤子の私では見ているだけが精一杯。
『ううああ・・・』
少年は私の兄だ。
彼を押さえつけているのは私の父。
液体を口に流し込んでいるのは、私の祖母だ。
(やめて!)
(やめて!)
(お兄様に何を飲ませているの!?)


- - - - - -


「・・・はっ!」
跳ね起きると私は汗びっしょりだった。
「夢か・・・。」
当然だろう。今の私は赤子ではなく、32歳の大人だ。
祖母の万里子。
父の太一。
兄の宗馬。
もう今では皆、この世にいない。
今更こんな夢を見た理由はわかっている。さっさとシャワーを浴びて、服を着替えて、心を変えろ。
三日月千里からギガマイル・クレッセントへ変心するんだ。
しっかりしろ、まったく。今の段階でこんなことでは、先が思いやられるぞ。
だるくて重い体を起こして、一連の行動を済ませた後、私は会議室へ向かった。
定刻よりも少し早く席に着き、照明を入れて待つ。
間もなく3人が次々と入ってきた。
フードで全身を覆い、双眼と両手だけを出している人物は、最高幹部のシュシュ・オーディナーク。
シュシュは70歳を過ぎているが、昔と変わらないので、年齢を語る意義が薄くなってしまう。
それは私も同じことか。肉体的にも、精神的にも、32歳だというのが信じられない。子供のままだ。
痩身だが引き締まった体の女性は、重幹部のフィー・カタストロ。今年で50歳だが、精悍な顔立ちは、初めて会った頃と微塵の違いもない。多少は皺が増えたが、それが迫力を増している。
鋭い目つきで右目に眼帯をしている女性は、重幹部の京狐夜果里。50を過ぎても全く衰えを感じさせない。
私は夜果里に好意的に振舞っているが、どうも彼女は私の事が気に食わないらしい。そう照れるなよ。
「ようこそ3人とも。来るとわかっていても、来てくれると嬉しいよ。さっそく始めるとしよう。」
「重大な話と聞いてきたんだが、その割には人数が少なくないかね?」
さっそく夜果里が嫌味を言い出した。可愛いやつめ。
「重大かつ深刻だ。だから人数を限定した。私がアルカディアで最も信頼できるメンバーだけにね。」
「お世辞を言っても何も出ないよ。」
「世辞ではない。首領に筒抜けなのは仕方ないとしても、他の連中に知られたくない。」

<最高幹部>
角の壱 ジュエル(首領)
角の二 アモン
角の三 ミチルド
角の四 ギガマイル(私)
角の五 ハヌマン
角の六 シュシュ

<重幹部>
星の一 ライ(囚人)
星の二 サイ子
星の三 キアラ
星の四 夜果里
星の五 コムザイン
星の六 カタストロ
星の七 フィリップ(引退)

「ミチルドやハヌマンはおろか、アモンにまで知られたくないとは、どういう内容だ。」
シュシュが最高幹部の名を挙げ連ねて問い質してきた。もっともだ。
「キアラもサイ子もコムザインも、秘密をべらべらと喋るような者ではない。」
カタストロも重幹部の名を挙げ連ねて、非難の口ぶりだ。ああ、もっともだとも。だが・・・
「その疑問も非難も、私が次に口にする言葉で吹き飛ぶ。」
この言葉で3人とも真剣な顔で沈黙して、私の口元に注目した。照れるじゃないか。
私はゆっくりと息を吐き、意を決して忌まわしい単語を口にした。

“神酒”(ソーマ)

3人の表情が殆ど同時に凍りついた。
私の顔も強張っているだろう。兄の名と同じ音なのが余計に忌まわしい液体だ。
「ソーマ・・・“神酒”って・・・ダンツォルティ・アビリュステロスか!?」
滅多に冷静さを失わないカタストロが、目を丸くして叫んだ。彼女が取り乱すのを直に見るのは初めてだ。
「冗談じゃ済まされねえんだぞ・・・?」
夜果里も震えながら、柄の悪い口調で詰め寄ってくる。冗談だと言えば殺されそうだが、もちろん冗談ではない。
「残念ながら本当だ。このメンバーだけを集めた意味もわかっただろう。」
シュシュ、夜果里、カタストロ、そして私の祖母・万里子は34年前、アルカディアで“神酒”の研究班だった。
32年前に元最高幹部ノットー・リ・アースが裏切ってからは研究が凍結されていたが、現物は残っている。
アルカディアが厳重に保管している分と、当時ノットーが盗み出した分。
ダンツォルティ・アビリュステロスは史上5番目の神化系能力者だ。私も3人も生きている彼に会ったことはない。
“神酒”とは彼の能力であると共に、彼自身でもある。

<神化系能力者>
1番目  ■■■■    ■■、■■、■■
2番目  カッサンドラ   言神
3番目  ジュエル     ■■、■■
4番目  アモン      ■■、■■
5番目  ダンツォルティ 神酒
6番目  ミチルド     ■■、■■
7番目  ノットー      ■■
8番目  姫子       恐神、痛神
9番目  千里(私)    月神
10番目 ヘルファイス  ■■
11番目 T2        眠神
12番目 ミル        死神
13番目 イクリプス    ■■


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エスパー奇譚』長編小説 「千里」 NEKTAR 目録
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佐久間闇子と奇妙な世界
2016/05/04 00:05

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「また巨大な物語が始まるか」
コング「Gの時のような匂いがする。奈留の裸は見たいが」
火剣「32歳の女子」
コング「50度のシャワーを浴びてギガマイルに変身するのか」
ゴリーレッド「だから50度は違う人」
コング「シャワーということは一糸まとわぬ姿」
火剣「シュシュ、カタストロ、夜果里。豪華メンバーだ」
コング「くるとわかっていてもは一言多い。ぐひひひ」
ゴリーレッド「夜果里は相変わらず千里が気に食わないか」
火剣「首領には筒抜け」
ゴリーレッド「神酒」
コング「ソープ?」
ゴリーレッド「ソーマだ。この3人が凍りつくというのはよっぽどだ」
コング「あ、T2の名前もある。50度のシャワーも平気な強さ」
火剣「平気ではない。熱がっていた」
コング「じゃあドライヤー拷問でアチチチとかわいいリアクションしてくれるかな」
ゴリーレッド「もちろんその日を命日にする覚悟はあるな」
コング「それは困る。僕にはまだやらなければならない使命が山積している」
火剣「兄と同じ名前。夢を見たのもその辺か?」
コング「70代50代30代か。でもあまり年齢の意味をなさない人々」
ゴリーレッド「危険な香りがする」
コング「ドキがむねむね」


火剣獣三郎
2016/05/04 16:57
>火剣さん
始まりました、「千里」第二十一話。独立しての連載です。
いきなり豪華メンバーの登場となりました。

八武「Gとは、千里が独りで慰める・・」
佐久間「違う、カップ数のことだ。」
山田「ゲシュペンストだよっ!」
神邪「憑依された奈留が好みです。」
八武「うむ。」
維澄「険悪なようでいながら、仲間意識を感じるよ。」
佐久間「ベタベタしない関係なんだ。私は山田とベタベタしたいが。」
山田「それを余計な一言という。」
佐久間「ベタベタ・・・いや、ベチョベチョ・・」
山田「黙れ佐久間。」
八武「T2のドライヤー拷問はいつ始まる?」
佐久間「猫の首に鈴か。」
神邪「この夢は実際には無かった出来事なんですか?」
佐久間「いや、過去の事実だ。」
山田「そうなのか。宗馬は大人になってからも健在だったから、毒薬ってわけでもなさそうだが。」
神邪「神酒ではないんですか?」
山田「それだと宗馬がエスパーになってない理由がわからない。」
八武「ふむ・・。」
佐久間「いちおう伏線だが、だいぶ後に回収される。」
アッキー
2016/05/04 19:04

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