佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「NEKTAR」 七、パラメッタ

<<   作成日時 : 2016/05/19 00:00   >>

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パラメッタは不幸な少女だった。

生まれてすぐに両親に捨てられたことなど、その先の人生を考えれば取るに足らないことである。
彼女が幼年時代を過ごした孤児院は口やかましい院長が支配していたが、それすらも入口でしかなかった。
近所の金持ちの息子たちに体をいじられることが頻繁にあった。
それでも孤児院へ帰れば、同い年の少年と6つ年上の少年が、心の支えになってくれた。
しかし1962年、その2人のうち年上の方が18歳になり、院長が軍のリクルーターに売った。
それから間もなくしてパラメッタは里親に引き取られた。

院長が口やかましいだけの人間だったら、どんなに良かったか。
軍のリクルーターに、育てた孤児を売り飛ばす強つく婆は、12歳のパラメッタをも売ったのだ。
その里親が、パラメッタを召使いにしたとか、虐待したとかいうのなら、まだ救いがあったとさえ思えるほどだ。
里親なんかではない。最初から親子の情など無い。彼らはパラメッタを性の道具として買っていったのだ。
前も後ろも上も、のべつまくなしに何人もに犯され、体のあらゆる部分で奉仕させられ、堕胎も幾度も経験した。

院長はパラメッタを売った金で、上等な絹のドレスを買ったが、半年で飽きて売ってしまった。
その頃のパラメッタは得体の知れない薬の実験台にされていた。その多くが媚薬とされるものだった。
手っ取り早く麻薬が使われることもあった。パラメッタは強烈な快楽漬けとなり、悶え狂った。

何千種類と投与された薬の中に、よほど奇怪なものでも混じっていたのだろう。彼女の悶え狂う姿は人間のものとは思えないほどに奇妙で、硝酸のプールに放り込まれた蛇でもこんな動きはしないだろうと思われるものであった。
おそらく世界中の、どんな曲芸師でも不可能だと思われるほどに、ぐにゃぐにゃに体が変形していた。
高熱が出ても、性病で死ぬほど痒くなっても、決して医者に診せられることはなかった。
代わりに変な薬を注射されて、頭痛やら眩暈やら吐き気やら、ありとあらゆる苦痛で不快な症状を経験した。
体で痛くない箇所は存在せず、“痛い”という言葉の意味さえわからなくなっていた。
パラメッタの意識は次第に単純化され、強烈な意思に統一されていった。

(生きたい)

理由も何も無く、ただ生存のみを求める欲求。余計なものを一切排除した、根源的な思い。
それが彼女を生かし続けたとしか思えない。
まるで最初から彼女の生存は決定されていたかのように、何度も死の淵から這い上がった。


- - - - - -


1972年4月9日、21歳のパラメッタは、どういう経緯を辿ってか、アンティローグ神殿の前にいた。
「クリエ様あっ!!」
彼女の叫びがクリエ・ソゥルの耳に届いたかどうかはわからない。
しかしクリエは多くの人々の中から、彼女の手を取って神殿に連れていった。
群集と7人の巫女の目の前で、クリエは言った。
「あなたの“真心”を示しなさい。」
それを聞いてパラメッタは、素早く床に這い蹲り、クリエの足を丁寧に舐め始めた。
大事なものを扱うように、両手を足に添えて、指の間まで丹念に嘗め尽くした。

神殿の奥で、7人の巫女に囲まれて、パラメッタはクリエの物を咥えて唾を垂らし、出し入れを繰り返した。
棒の先から出る透明な液も白い液も、残らず飲み干した。後ろの穴まで舐めた。
パラメッタにとっては、この程度のことは朝飯前だった。少女時代に比べれば何でもないことだった。
クリエは懐から小瓶を取り出して、その中の液体をパラメッタに飲ませた。
「これより我らアンティローグは、パラメッタを巫女の一員とする。」
クリエは宣言して去っていった。

すると今まで黙っていた巫女たちが、パラメッタを取り囲んで口々に罵り始めた。
「ちょっとお、調子こいてんじゃないわよお。」
「あんたみたいな下品な人、アタシ知らない〜。」
「食事は必要ないね〜。白いジュース飲んでればバッチリでしょ?」
「何であんたみたいなぽっと出が、いきなり神殿入りなわけえ?」
「恥知らず。あつかましい。」
「あんた、むかつくわ。」
「ど−でもいーでしょ。ほっときなさいよ、そんな奴。」
罵声を浴びせられながらも、パラメッタの表情は変わらなかった。
そのことが更に彼女らの気に障った。
「何とか言いなさいよお〜!」
「こいつ、生意気じゃない?」
「生意気!」
「生意気!」
「いじめちゃおうか。」
「いじめちゃおうよ。」

“怠惰”のイナトス以外の6人は、パラメッタに暴力を振るい始めた。
殴るわ蹴るわ、平手打ちするわ、唾を吐きかけるわ・・・。
しかし何をされてもパラメッタは反撃しなかったし、声もあげなかった。
「つまんな〜い。」
「そうね〜。」
「人形みた〜い。」
攻撃はエスカレートした。サイコキネシスで体をねじりあげたり爪を剥がしたり、内臓を痛めつけたりした。
「あっはっは、こんなに体曲がってるよお!」
性根の曲がった“強欲”のグリンディーヌが面白そうに叫ぶ。
「ほら、痛いでしょ。痛いって言えよコラ。」
しかしパラメッタは悲鳴ひとつあげない。表情に顕れている苦しみも、巫女たちを楽しませるほどではなかった。
「ちい〜、ガマン強いというか、カワイくないわねえ。」
「ああムカつく。もういいわ。」
「そうね。また殴りたくなったら殴ればいいし。」
「サンドバッグと同じ同じ。」

そこへ“十戒”の1人、“強奪”のノーティ・バーグラーが現れた。
少年である彼は、どの巫女よりも年下だ。
「何やってるのー?」
ノーティは悪戯っぽい笑顔でパラメッタに近付き、無造作に左の乳房を毟り取った。
「――――――!!」
内臓が露出し、鮮血が溢れ飛んだ。
「ひぎあああああっ!!?」
それはパラメッタが神殿内で初めて発した声だった。
「みんなもやるんならこれくらいやらなきゃ。死んだら死んだで構わないデショ?」
ノーティは無邪気な笑顔で言ってのけた。


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エスパー奇譚』長編小説 「千里」 NEKTAR 目録
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2016/05/19 00:01

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コメント(4件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「・・・むごいい」
火剣「コングが紳士に見える」
ゴリーレッド「何て悲劇だろうか」
コング「悲運なパラメッタ。バケラッタ、バケラッタ!」
ゴリーレッド「うるさい」
火剣「召使いや虐待よりも残酷とは。12歳で」
コング「後ろから前から? いわゆるメチャクチャにされたってヤツか」
火剣「さらに実験台とは人間はどこまで残忍になれるんだ」
コング「媚薬?」
ゴリーレッド「いちいち反応しなくてもいい」
コング「快楽漬けて悶え狂うだけならいいが、痛いと痒いは地獄だ。何と無慈悲な。せめて快楽漬けだけならば」
火剣「でも悶え方が異常でもはや気持ちいいという状態ではない」
コング「21歳で巫女の一員に。こんな生い立ちを知るとアンティローグを一方的に悪とは呼べない」
火剣「でもほかの巫女たちはなぜ虐待する」
ゴリーレッド「許せることではない」
コング「強奪のノーティ・バーグラは何を考えているのか。死んでいいわけないし。美女にはもっと思いやりや優しさを持とう」
ゴリーレッド「無理な注文のようだ」
火剣獣三郎
2016/05/19 17:34
>火剣さん
パラメッタが幼年時代を過ごした孤児院は、レックスが過ごしていた場所でもあると、お気付きでしょうか。第十二話あとがきにて、実は登場していたりします。
http://3966-4001.at.webry.info/201302/article_29.html

佐久間「長い伏線だった。」
山田「こんな非道を許してはならない。レックス、お前の救いを待っている女性がいる!」
佐久間「悲劇で終わらせてはならないと言いたいのか?」
八武「興味深いケースだ。生き延びたのは執念か。」
神邪「どことなく共感を覚えますね。いじめられ続けた挙句に、カンサーに入ってからも、気に入らないと言われて迫害されました。」
維澄「死ねば地獄、生きれば更なる地獄。こんな子供時代を過ごしたら、価値観はどうなってしまうのかな。」
神邪「もはやレックスさんの知ってる彼女ではないでしょうね・・。」
山田「それでも救いがあってほしい。」
佐久間「どうかな?」
山田「不吉な茶々を入れるな。」
佐久間「君たち善人は、すぐに救いと言い出すが、迫害された者にとっての救いが何なのか、わかってて言ってるのかなァ?」
山田「ぐ・・」
神邪「アンティローグは一方的な悪ではなく、救われない人々が一発逆転を求めて集まっているのかもしれないですね。」
維澄「宗教に救いを求める心理に、それはあるよ。普通に生きていたら報われない。」
佐久間「ちなみにパラメッタは美女というほどではない。」
八武「可愛ければいいのだよ! それに“神酒”の力で容貌くらい整えられるだろう?」
佐久間「よく知ってるな。クリエの正体はお前だったか。」
神邪「あ、似てますね顔。」
八武「いやいやいや。」
アッキー
2016/05/19 22:31
火剣「そう言えば・・・あの子は、どうしてるかな。レックスの生い立ちも普通じゃなかった」
コング「普通の生い立ちなんてない。僕も小学校に入学していない」
ゴリーレッド「コングを見ると人格形成には学校に通うことが大事だと思えてくる」
コング「どういう意味かな?」
火剣「初恋の相手は一生忘れられないものだ。特にそのあと会えなくなった場合はなおさらだ」
コング「クレアは魔女で山田太郎はリアル獣か」
ゴリーレッド「リア充だ。本人は否定しているが」
コング「充実してないとは同棲相手に失礼」
ゴリーレッド「同棲ではなく同居」
火剣「怖いな。レックスとパラメッタの再会が」
ゴリーレッド「パラメッタを救えるか」
コング「アンティローグを一方的に悪と決めつけるのか」
火剣「すでに大勢を殺している」
コング「透視する前の万里子のほうが危ない気もするが。人体実験推奨。ぐふふふ。僕も美女の人体実験なら見てみたい。もちろん殺しちゃダメだけど、その手前の慌てふためく姿が」
ゴリーレッド「フライングするな。その話は次で」
火剣獣三郎
2016/05/20 17:00
>火剣さん
あの孤児院で育った子供たちの中で、レックスは幸運にもクレアに拾われましたが、悲惨な人生を送る者が多いです。
レックスとパラメッタ、果たして再会なるでしょうか?

佐久間「クレアが会わせないかも。」
山田「今のパラメッタには会わせられないか。」
佐久間「いや、単純に恋敵には会わせたくない。」
山田「それはお前の感覚だ。」
佐久間「つまりクレアも同じ。」
山田「違うと思う。」
神邪「人それぞれですね。学校に通わせてもらって感謝する人もいれば、僕のように学校で歪む場合もあります。」
維澄「どの道この社会では歪まざるを得ない。学校に通っていなくても、同じような結果になったさ。」
神邪「そうですかね?」
八武「歪んだ者同士、仲良くしよう。」
山田「パラメッタには救われて欲しい。」
佐久間「リア獣は言うことが違うな。」
山田「漢字が違うな。」
佐久間「ほぼ獣だろ?」
山田「どういう意味だ。」
八武「しかし万里子の方が乗り気だったのだねぃ。ノットーはむしろストッパー役。」
維澄「演技なのか、転換したのか。」
アッキー
2016/05/20 21:04

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