佐久間闇子と奇妙な世界

アクセスカウンタ

zoom RSS 「NEKTAR」 十、ニューカード

<<   作成日時 : 2016/05/23 00:00   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 1 / コメント 2

クレアの状態は相変わらずである。
胃は食べ物を受け付けない状態になっているので点滴で命を繋ぎ、肌は罅割れて血が滲んでいた。
目には隈が痣のようにかかっていて、鼻は奥まで炎症を起こし、口内炎が10箇所以上もあった。咽も荒れている。
「あ゛あ゛、レ゛ック゛ス゛・・・。」
鼻声になっていたので、スプレーを使ってから続きを話す。
「ちょっと手を出して。」
「ああ。」
レックスが手を差し出すと、クレアの痩せ細った指が掴んだ。
それがとても冷たかったので、レックスはゾッとした。
「ああ・・・レックスの手は温かいな。」
「お前の手が冷たすぎるんだよ。」
「そうね。」
状態が酷いだけでなく、気力が弱まっている。
(何とかしねえと・・・。)
「何とかしてくれるの?」
クレアの目に妖気が宿る。
「あ、ああ。」
「そこに知り合いから取り寄せた化粧水があるのだが、1人では塗れなくてね。」
「バッカ、そんなことくらい、いくらでも頼んでくれよ!」
レックスは即座に容器の蓋を開けた。白くドロッとした液体が鼻をつく。
「・・・・・・。」
レックスは白い液体を手に塗りこめて、クレアの方を向いた。
クレアは服を脱いでいる途中だった。
「っておい!」
「だから1人では塗れないと言ったろ。」
「わかったよ。」
恥ずかしがってる場合ではない。クレアの健康を少しでも回復させることが先決だ。
レックスは白い液体を、クレアの肌に塗りこめていった。
「・・・・・・。」
白く滑らかだった肌は、罅割れて血が出ていたり、炎症を起こして爛れていたりしている。
レックスは悲しくなって、目をしばたかせた。
「全身まんべんなく、胸の先にも茂みにもな。」
「わかってる。」
柔らかく温かい感触が手に伝わってくる。
言われる前に、尖った部分にも襞にも塗りこめた。
「これでいいか。」
「ありがと。」
クレアは服を着始めた。
恥ずかしい時間が終わって、レックスは一息ついた。
手にはまだ感触が残っている。
(これじゃ生殺し・・・って何を考えてる!?)
レックスは心の中で首を振った。
「あと水くれ。」
「おう。」
クレアに水をやってから、レックスは部屋を出て行った。

それと入れ替わりにサムが部屋へ入ってきた。
「クレアさん、例の物が届きましたよ。」
「やっと来たか。私が倒れる間には間に合ったな。」
「ところで何ですか、この凄い匂いは。レックスも具合が悪そうにしてましたが。」
「ああ、レックスなら心配ない。元気すぎるだけだ。」
「はあ。」
サムは首をかしげた。
「それよりも早くよこせ。」
「あ、はい。」
サムは懐から黒いプレートを取り出した。大きさはテレフォンカードくらいだ。
「よし、これでいい。」
クレアは黒いプレートを手にして、ニヤッと笑った。
「ところでこの匂いは・・」
「ああ。レックスに頼んで、全身に媚薬を塗りこめてもらった。」
「媚薬ですか?」
「そう、数え切れない種類の生薬を精密なバランスで配合しぃ、特殊な処理を施してぇ、保存すること20年! これが・・・フィルター・オブ・サタンだ!」
「何ですかそのラップは。」
ラップの流行が盛んになるのは数年先の話だが、黒人のサムは既に知っている。
「予知で未来から拾ってきた音楽を改造した。」
「そうですか。しかしPhilter of Satan(魔王の媚薬)とは随分と大層な名前ですね。」
「快楽を貪り尽くして枯れた人間用の薬だ。媚薬効果だけでなく、精神を安定させ、内臓を正常に動かし、消炎効果や美肌効果・・・様々な形で心身ともに活性化させる。」
「麻薬じゃないですか。」
「そうとも、殆ど同じものさ。本来は200倍に希釈して使うが、原液で使った。」
「何てことを・・・。もしかしてレックスに塗らせましたね?」
「そうよ。肌からも吸収されるから、今頃レックスのやつ―――」

レックスは自室で下を脱いでいた。
「ああ・・・ハァ・・・ハァ・・・」
(どうしたんだ、体がやけに熱い・・・。特に右手が自分のものじゃねえみたいに・・・。あんなことをしたから収まりがつかねえ。)
既に自分の意思を離れた右手は、怒張した熱い棒へ一直線へ向かった。
ぐっと握ったときに、電撃が走ったような快感、精が吐き出された。
「くあ・・・・」
(よすぎる・・・。)
クレアの全身に白い液体を塗りこめた後、レックスは手をよく洗った。
しかし元々200倍に希釈して使う媚薬である。最もよく触れた右手から、薬がじわじわ広がっていた。
大量の精を吐き出しても、まだびくびくと振動しながら膨れあがっている。
(く・・・!)
レックスは欲望のまま右手で握り、先端の口から噴射した。
「ああ、くう、ああっ・・・!」
右手はまたも自分の意思を離れ、ますます熱く擦る。そこへ意識が引き寄せられる。まるで溶岩の奔流だ。
白いのが出尽くした後は、透明な液体が溢れてきた。
(うっ・・!)
何十回目かの振動を開始した瞬間に、心臓がドクンと鳴り、レックスは気を失った。


- - - - - -


翌日の朝、レックスは異常なほどの体調の良さで覚醒し、掃除と着替えを済ませてからクレアの部屋に向かった。
そこに以上に血色の良いクレアが、後光を浴びて涙を流しながら立っていた。
「おはようレックス! 私はこの通り、ガサガサだった肌もスベスベになり、元気に勝利に向かって邁進中だ。」
「うるせえよ。よくも変な薬を・・・明らかにおかしな薬だろあれ! というか何で泣いてんだ。」
「レックス・・・止まらないよ、なみだ。」
「つまり副作用だな、わかった。」
レックスは溜息をついた。
「さてと、副作用で倒れる前に決着つけるぞ。」
クレアは涙を拭いて座った。
「私の予知が正しければ、4分後に私の呼んだ連中が部屋に入ってくるはず。皿に残ったソースを嘗め回すように、戦力を結集して敵を撃つ。イッツ、ニュー、カード!」
「何か妙なテンションだな。薬のせいか?」
「そうよ。P・O・Sのおかげで私の脳は常にゴキゲンだし。体は異様に火照って汗その他でべしょべしょだし。アリョーシャから届いたプレートのおかげで、千里眼のビンビンだし。」
言いながらクレアは左手をひょこひょこ動かした。
中指で頭を触ったり、胸の大きな膨らみに四指を這わせたり、親指で目尻をあげてみせたりした。
「このプレートはアリョーシャの念を込めた特別製でね。」
訊かれてもいないのに喋り出す。
「“月帝”アリョーシャ・・・彼の率いる月組第二隊は全員が月齢能力者だ。知ってるだろう、月齢能力者は最大の力を発揮できる時期が存在する。ルナは満月、リュウは新月、私は三日月・・。アリョーシャは月齢能力者の力を最大時まで高めることが出来る、唯一のエスパーなのさ。」
「そうかよ。」
そうしているうちに4分が経ち、部屋にぞろぞろと人が入ってきた。
その中にはレックスの見知ったるエスパーも何人かいる。

ジョナル率いる「白組」の5名。
ノワール率いる「黒組」の3名。
ベーン率いる「風組」の6名。
圭地率いる「土組」の5名。
そして「火組」の3名。

クレアは22名の参上に、口の端を少し持ち上げて笑みを浮かべた。
「さてと・・・。」
立ち上がったクレアは話し始めた。
「員数外・・・半端者諸君。」
いきなり挑発的な物言いだが、誰も言葉を発さない。
「悔しいよなァ。いつも砕組の連中に幅を利かされて、威張り散らされて、つらく苦しい思いをしてきて・・・。」

X・Q・ジョナル。
イウィー・ディークィル。
ネゴティ。
武藤花。
トゥール・クレスト。

「私ら月組系列も、砕組傘下の属性系列も、肩身の狭い思いをしてきたよなァ・・・。」

ノワール。
ゼロバン。
ヨル。

「今回だって、戦いの主役は砕組だ。そりゃ、主役ってことは死人が多く出るってことだ。しかしなァ、生き残った奴らは更に増長するよ。」

ベーン・ウェイザー。
カルゼッタ・ブンレイ。
アチャータ。
アジェスタ。
アシュ。
アクウ。

「今回の戦いは相当でかい。勝利したら、功労者は、砕組は・・・ますます大きな顔をするよ。肩で風を切って、気持ちよく歩くんだ。」

内村圭地。
六楽深津。
グレイ・マッド。
サンディ。
ウェルト。

「そりゃあそうだろうさ、大きな試練を成し遂げた者が、大きな仕事をやり遂げた者が、大きな口を利くなんて当たり前だろう。そうでない奴なんて、砕組ではフィー・カタストロくらいのものだ。」

ジェスレイ・ザードン。
ソドム・ゴラモン。
模式逆。

「こうやって、端にいる者は半端者扱いのまま・・・。そういう悪循環みたいなものが、あるわけだ。」
クレアは22名全てを見つめて静かな口調で話していった。
「私の召集に応じてくれたということは、戦う意志の有無を問う必要はあるまい。なァ諸君、まだ“十戒”は8人も残ってるし、“七罪”は7人とも残っている。諸君らで、このうちのいずれか、何人かを葬れば・・・面白い、鼻を明かせる・・・そう思わないか?」
ニヤリと笑うクレア。
「・・・とまあ、こうやって焚き付けておいて何だが、やはり自分たちの命を最優先に考えてもらいたい。水組が召集に応じなかったのは、それが確実に生き残る道だから・・・。決して恥ではない。戦うということは死ぬかもしれないということだ。それを踏まえて、諸君らに今一度問う。・・・戦うか?」
その言葉に対して、誰も何も言わなかった。
がやがやと話し合ったり、互いの目を見合ったりすることもなく、クレアを見据えていた。
「・・・わかった。」
クレアは少し目を閉じてから、ゆっくりと開いた。
「火組はオハイオ州のグリンディーヌへ。風組はカンザス州のジェラシィへ。土組はノースカロライナ州のホーティネへ。白組と黒組は私に付いて来い。」
クレアは8人を連れて移動する。
「ククク、アンティローグの連中は私に時間を与えすぎた。何のことはない。トップの10人と巫女連中を消してしまえば、残るは烏合の衆・・・。そんなことは最初からわかっていたのだ。今までは不確定要素の多さや妨害念波のせいで出来なかったが、これからはピンポイントでカードを投入可能。一両日中にでも壊滅してくれるわ!」


テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(1件)

タイトル (本文) ブログ名/日時
エスパー奇譚』長編小説 「千里」 NEKTAR 目録
□□□□□□□□□□ ...続きを見る
佐久間闇子と奇妙な世界
2016/05/23 00:01

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「フィルター・オブ・サタン。POS欲っしい!」
ゴリーレッド「悪用するからダメだ」
火剣「魔王の媚薬?」
コング「千里眼もビンビンって表現が卑猥だ。薬のせいか」
火剣「レックスも役得」
ゴリーレッド「本人はそうは思ってなさそうだ」
コング「もっとそのシーンを詳細にながーく見たかった。胸の先や茂みに塗り込まれた時のクレアの表情。敏感に反応してしまう姿は重要だ」
ゴリーレッド「官能小説ではない」
コング「でも実はもっと興奮度が高いシチュエーションはレックスではなくサムに塗らせることだ」
ゴリーレッド「そういう物語ではない」
コング「『え、いいんですか?』『嫌ならレックスに頼む』『お待ちください! やります、塗ります!』」
火剣「恋人ではないよく知ってる女に全身に塗ってと頼まれるのは、よほどタイプじゃない限りラッキーだ」
コング「レックスは自分の幸運を自覚していない」
ゴリーレッド「だから信頼されている」
火剣「砕組はそんなに幅をきかせているのか?」
コング「ハービスとラプソディアはどうなった?」
ゴリーレッド「一日両日中に壊滅?」
火剣「クレアが言うんだ」
コング(頑張れ15人)
火剣獣三郎
2016/05/23 16:28
>火剣さん
クレアの用意した対策のひとつが、この媚薬、もとい回復薬です。これからも次々と策が出てくる予定となっています。

八武「なんて素敵な媚薬なんだ!」
佐久間「しかし製造に20年かかる。」
山田「ということはクレアが作ったわけではないのか。」
佐久間「万里子が棗に作らせた。真由の肉体にも流れている。」
八武「だから真由は、あんなにエッチなんだ。」
佐久間「そう。」
神邪「千里眼が敏感だと、かえって苦痛な気もしますが。」
佐久間「それを苦にしないほど元気になってるのさ。」
維澄「レックスはよく耐えたよね。」
八武「私なら犯している。」
佐久間「そう、クレアは誘っていたというのに。」
山田「戦いの最中でそれはない。」
八武「むしろレックスとサムの2人に塗らせる。“嬲”だよ!」
山田「さて殴ろうか。」
八武「待て。」
神邪「残り15人ですか。先は長そうですが?」
佐久間「まあ、物語的には中盤へ差しかかったところだ。」
アッキー
2016/05/23 20:02

コメントする help

ニックネーム
本 文
「NEKTAR」 十、ニューカード 佐久間闇子と奇妙な世界/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる