佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「NEKTAR」 十二、空からの火

<<   作成日時 : 2016/05/27 00:00   >>

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オハイオ州は交通網の発達した地域であり、製造業が盛んである。しかし今はそれも殆どが停止状態にあった。
七罪巫女のうち“強欲”のグリンディーヌは方々から食料や衣服、宝石などを集めて我が物としていた。
「ワッタシは“強欲”のグリンディ〜ヌ!」
既に駆けつけた火組の3人を相手に、グリンディーヌは威勢よく名乗っていた。
「お前らのエネルギーをよこせえ〜!」
何も考えずにフライング・ボディ・アタック。
サカルもソドムもジェスレイも、呆れながらよける。
「ふばっほん!」
グリンディーヌは地面に突っ込んだ。
その隙を突いて3人は念力の炎を浴びせかける。
「うわっちゃちゃちゃ!?」
グリンディーヌはたまらずテレポートで逃れた。
「逃がすかあっ!」
ソドムの炎攻撃がグリンディーヌを包む。
彼はB1級の発火能力者だ。その威力は炎というよりは爆弾に近い。
実際、彼の発火能力は硫黄を媒介としている。硫黄が無ければ発火できないが、硫黄の塊を爆弾として扱える。
「僕のこの金髪に誓って、お前は消し炭にしてやるよ!」
30代半ばで、まっきんきんの頭のソドム。3人の中で主砲となっている。
「ぬうん!」
だが、グリンディーヌもB1級だ。サイコキネシスで炎を振り払い、火傷は吸い取ったエネルギーで回復する。
これが1対1の戦いであれば、ほぼ間違いなくグリンディーヌの勝ちだ。硫黄が尽きるのを待てばいい。
しかし火組は3人が出張ってきている。
(くっそう〜、残り2人もB2級の発火能力者かよ〜!)
技量の差もあるが、単純に力負けしているのだ。
「にゃろめ〜!」
「焦ってるネ!」
ジェスレイが包帯を取り出して、相手に巻きつけた。それに発火。
「ぎゃおっ!?」
グリンディーヌは即座にテレポートするが、体に巻きついている包帯ごとだ。
「あぎゃぎゃ!」
「勝てますネ。」
かつて自らの能力で全身を大火傷したジェスレイは、今でも全身に包帯を巻いており、予備もある。
「油断するな。」
「油断じゃないでショウ。」
「行くっすよ。」
30代の2人に対して、20代のサカル。モエ・サカルとダジャレみたいな名前だが、その実力は確かだ。
素朴で堅実な彼がいるだけで、安定感が全く違う。
「「「地を駆け抜けろ、ファイヤーウイング!」」」
3人の連携技は、炎の翼が地面をドロドロに溶かしながら突き進む。
グリンディーヌに直撃!
「やったす!」
サカルは思わずガッツポーズで叫んだ。
「やりましたネ。」
「練習した甲斐があったもんだ。」
「おれ、嬉しいっすよ。」
サカルは目に涙が浮かんできた。
「うおのれらあ、このワッタシが、そう簡単にくたばるかあ〜!」
大火傷がみるみる回復していく。
「ちっ、しぶとい奴だ。しかし僕の金髪が勝利を確信している。」
「勝てマスね。」
「そうっすよ。もう一度やりまっしょ。」
「いや、今ので硫黄を使い果たした。」
「「え?」」
「ちょっとポンポン使いすぎたな。」
「・・・やばいのでショウか。」
「・・・やばいっす。」
青ざめる2人に対して、グリンディーヌはニヤリと笑った。
「そーかあ、お前たち、もうさっきみたいな攻撃は出来ないのか〜!」
負わせた大火傷も半分以上が回復している。
「た、たたみかけるヨ、サカル!」
「はっ、はい!」
2人の炎攻撃がグリンディーヌへ向かうが、B2級とB1級だ。サイコキネシスで防がれる。
「うふあは、炎は風で散るものよ〜。」
グリンディーヌは強烈な追い風を吹かせた。
「うふあは、エネルギーをよこせえ〜!」
周囲からエネルギーを吸い取り始めた。彼女のエネルギードレインは、七罪巫女の中で最も強力である。
「くそっ、まずいゾ!」
「やばいっす! やばいっす!」
2人の炎の威力が弱まってきた。グリンディーヌにエネルギーを吸い取られているのだ。
「くっ・・・!」
(何とかして時間を稼がないと!)
ソドムは金髪をガシガシと掻いて駆け出した。
「ま〜て〜!」
グリンディーヌが追ってくる。
(恐い!)
ソドムは泣きそうになりながらも、壊れたホームセンターへ滑り込んだ。
(ここなら多分あれがあるはず。)
「エネルギーをよこせえ〜!」
(マジ恐い!)
物資が散乱し、他のB級エスパーも暴れ回っているホームセンターで、ソドムは必死に探し回った。
(無い無い無い無い!)
しかし即座に思考を切り替える。
(無いと思って探すから見つからないんだ! 有る有る有る有る!)
そして彼の目玉がギラリと光った。
「あった・・・。」
ごく短時間の苦労だったが、ソドムの目には涙が滲んでいた。
「そこかあ〜!」
グリンディーヌがバットやノコギリを蹴散らして追ってくる。
だが、ソドムはもう恐がらない。
「焼き払ってやる!」
彼が手にしていたのは、エボナイトのパイプ。
「知ってるかグリンディーヌ。エボナイトってのは生ゴムに大量の硫黄を加えて作るんだ!」
店内の空間を炎が食らい尽くした。
ソドムは目を付けておいた脱出口から外へ逃げ出し、ジェスレイ、サカルと合流した。
「これでグリンディーヌも・・・。」
そう思って店の方へ目をやると、炎が不自然に渦巻いていた。
「!?」
「うふあは、てめえらのあ浅知恵でワッタシに勝てるわけねえだろ〜!」
「馬鹿ナ・・・」
「あいつ・・・」
グリンディーヌは間違いなく炎をコントロールしていた。
「ワッタシは“強欲”のグリンディ〜ヌ! 七罪巫女の中で最も多くの固有能力を持つ! こいつがワッタシの切り札、パイロキネシスだあ〜!」
ソドムたちと同じく念力発火能力。
しかもソドムは硫黄が種切れ。ジェスレイはB2級だ。
「うふあはァ、ワッタシの勝ちい!」
しかしグリンディーヌの予想を裏切り、3人は冷静だった。
「何だ・・・驚かせやがって。僕の金髪も拍子抜けだ。」
「炎すら操れるマデの精密なサイコキネシスかと思ってマシたが・・・。」
「な、何よお前ら〜! 不利だろ! どうk考えても不利だろ! お前らと同じ能力で、しかもB1級! 硫黄の媒介も必要ない〜!」
グリンディーヌは地団太踏んだ。
「だからっすよ。」
サカルが一歩前へ出た。
「おれぁね、パイロキネシスじゃないんすよ。」
サカルは言いながら炎を放った。
その威力はソドムをも上回っている。
「ぐぎゃああっ!?」
グリンディーヌは咄嗟に炎をぶつけて相殺したが、ダメージは避けられない。
「何でよ、パイロキネシストでなくて炎が出せるか〜!」
「おれの能力ぁ、コピー能力。ただし、パイロキネシス専門のね。今までは味方の能力をコピーしてたんす。」
「何イい〜!?」
「僕の金髪にかけて形勢逆転だな。」
「そうですネ。」
ソドムとジェスレイも前に出てきた。
「くそくそくっそー、ちきしょー!」
グリンディーヌは逃げ出した。
それを見て3人は感心した。もちろんグリンディーヌに対してではない。
「クレアさんって凄いな。僕の金髪よりも。」
「この展開まで読んでいたんデスね。」
「テレパシーや予知で作戦を読まれないようにするには、息つく暇も与えないか、いい気にさせておくか。そう言ってたっす。」
逃げていくグリンディーヌめがけて空から硫黄の塊が大量に落ちてきた。
鳥のように見えるのは、アルカディアの無人飛行機。積んであった硫黄をバラ撒いたのだ。
「それでは僕の金髪を見せびらかしながら、この戦いを終えるとしましょうか。」
硫黄の塊は火の塊となり、グリンディーヌの体は炎に包まれた。
「ぐぎゃららら!?」
硫黄の塊は、後から後から降り注ぐ。
グリンディーヌは、たちまち消し炭となった。
「これぞ戦術的有利・・・。アンティローグはクレアさんに時間を与えすぎた。」
「飛行機を飛ばしテも、今までなら撃墜される可能性が高かったですかラネ。」
「とにかくおれらの大勝利っす!」
3人は手を叩き合って喜んだ。

「・・・ん?」
「どうした、サカル。」
「またひとつ降ってきたっす・・・?」
「あれは硫黄じゃないぞ。」
「人だ!」
それは炎に包まれた人間だった。
その人物は苦も無く着地を決め、3人に向かった。
「・・・!」
「・・・!」
「やべ・・・」
おそらく40歳前後の男。
年齢や性別を知るための大きな手がかりである顔は、三角形のマークが入った仮面で隠されていた。
△のマークは“トーラ”・・・“火”を意味する。
「やあやあ、火組の。ソドム、ジェスレイ、サカル。」
「え?」
「ソノ声・・・?」
「へ?」
男は仮面を外した。
そこにあったのは、火組の副隊長デュース・ディーバーと同じ顔だった。
「お初にお目にかかる、火組諸君! オレの名はベイン。“虚栄”のベイン・ディーバー! お前らの敬愛する火組副隊長・・・“獄炎魔帝”デュース・ディーバーの、双子の弟だ!」
ベインは憎悪をを込めた目で叫んだ。


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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「強欲のグリンディーヌ。衣服を奪ったということは、街にスッポンポンの美女・美少女が溢れている可能性がある」
ゴリーレッド「危険性」
コング「可能性でいいのだあ」
ゴリーレッド「フライングボディアタック!」
コング「があああ!」
火剣「燃え盛る?」
コング「萌え盛る」
火剣「勝てますネというのは、余裕ではく自己暗示の一種か?」
コング「あるあるあると思って探せばある。人生もそうだ。妥協は禁物。美女はいる」
ゴリーレッド「予知を働かせないためか。スタンドプレーではなく指揮を執っているクレアの指示通りが必勝の秘訣」
火剣「バショクは孔明の指示を無視して自分が現場で作戦を立て、指揮を執り、大敗した」
ゴリーレッド「孔明のように自在に指揮を執ってみたかったという気持ちが敗因だ」
コング「泣いてハービスを犯す」
ゴリーレッド「虚栄のベイン。デュースの双子の弟?」
火剣「また強そうなのが出て来た」
コング「僕はずっとグリーンディーヌを応援していた。気の毒過ぎる」
火剣「駆け引きの応酬だった」
コング「これでもしベインが勝ったら、勝ったり負けたりの一進一退の攻防が続くことになる」
火剣「飛行機隊がいたように、この3人だけに任せることはないだろう」
コング「にゃろめ〜」
ゴリーレッド「でこっぱち!」
コング「だあああ! 今のは暴力でしかない」


火剣獣三郎
2016/05/27 16:45
>火剣さん
ソドムだけでなく、ジェスレイも自己暗示ですね。クレアを信頼しているから暗示が効きます。
見事にグリンディーヌは撃破しましたが、ベイン登場。ピンチ!

八武「なるほど、衣服を奪ったということは、そういう!」
山田「店から奪ったんだろ。」
八武「君にはロマンというものが無いのかね?」
佐久間「ロマンかどうか知らんが、人からも奪っている。」
八武「ほら見ろコングが正しい。」
山田「人として間違ってる。」
維澄「作戦自体は上手くいったけれど、元々戦力差がある。ついにベインが出てきたね。」
神邪「ベインが出てくることも織り込み済みでしょうか?」
山田「うーむ。そうだといいんだが、相手も予知能力者だしな。」
維澄「クレアとしては、信頼を裏切りたくないところ。」
山田「デュースを向かわせるんだ!」
佐久間「妥当な人選だな。」
八武「グリンディーヌは救いたかった。女の子に容赦ない物語。」
佐久間「そう、黒い棒で容赦なく熱いものを迸らせる。」
山田「殴るぞ。」
維澄「フェイエーニクス。」
佐久間「実は元ネタではない。」
神邪「手足として動く者が、必ずいなくてはならないですね。」
佐久間「頭だけでは何も出来ないからな。」
アッキー
2016/05/27 20:33

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