佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「NEKTAR」 追憶V

<<   作成日時 : 2016/05/31 00:00   >>

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ダンツォルティ・アビリュステロス。
我らは、この名を決して忘れることはない。
邪神の名を冠する最悪の裏切り者ノットー・リ・アースの名と共に。

1940年はアルカディアにとって災厄の年となった。4月14日より、アルカディアは地獄の渦に巻き込まれた。
何千何万というエスパーが起こした暴動。空間を閉じて作っていたはずの金庫からは“神酒”が盗まれていた。
元々がアルカディアで確かな訓練を受けていたBC級エスパーたちだ。“神酒”によって力を手にすれば、恐るべき軍団となる。そしてそれを背後で操っていたのが“デビルズ”ノットー。超A級の神化系能力者。
『ははははは、どうだい諸君。素晴らしいパラダイスだと思わないか? 何千何万というエスパーが、己の欲望に従って、殺し・犯し・貪り、悪を振り撒く。もっとだ。世界を更なる混沌へ・・・! 死んだ先ではない、ここが地獄だ!』
最高幹部2名と重幹部4名を相手にしても、ノットーは怯むことなく不敵に笑っている。
『死ね!』
シュシュが憎悪の眼力でサイコキネシスを放つ。目視できるほどに空間を歪める、S級のサイコキネシスだ。
それに続いて、フィー、夜果里、キアラ、サイ子も攻撃する。
しかしその全てがノットーには通じない。わずかにもダメージを与えることなく、掻き消された。
『駄目だね、ぜんぜん駄目だ。戦いに挑む覚悟は十分でも、勝利せんが為の覚悟が、渇望が足りてない。こればっかりは頭でいくら思っても身につくものではない。力が同じなら基本・・・悪意の強い方が勝つ。』
アルカディアの最高幹部として人々の為に尽力してきたノットーの、突如の裏切り。あらゆる悪行の拡大、拡散。
壊滅寸前にまで追い込まれたアルカディアには、世界大戦を止めることが出来なかった。

各地へ散った幹部のうち、当時18歳のフィー・カタストロは、赤子を抱えていた。
ノットーによって“神酒”を投与され、エスパーとなった男の子。その名はカーム・シュミット。
『副作用が出てる・・・。』
カタストロは邪神軍団との戦いを放棄し、“神酒”を投与された副作用に苦しむ人々の救助に専念した。
このときに重幹部の地位を捨てた。サイコキネシスで治療を繰り返し、どうにか何割かの命を救うことが出来た。
しかしカタストロにとっては、生涯消えることのない敗北の記憶として刻まれた。

邪神軍団は猶も世界中で暴れ続けていたが、各地の有力エスパー、そしてマルチプル・タロニスの参戦により息を吹き返し、アルカディアは形勢を逆転させた。1945年の冬に、極北の地でマルチはノットーを葬り去った。
しかし、そのときには既に、世界中で何百万何千万という死者が出ていた。その愚行の責任者たちは、未だに同じことを繰り返し続けている。ノットーひとりに振り回されている間に、アルカディアは本来の目的を見失っていた。
邪神が葬られても、撒かれた悪の種は消えることはない。今も多くの人民が戦争と貧困で死んでゆく。

アルカディアが元の状態に回復するには、その後10年を要した。
1955年にギガマイル・クレッセントが15歳で最高幹部になったとき、カーム・シュミットも同じく15歳。
乳児期に投与された“神酒”の影響で、髪も肌も雪のように白く、超能力を使うときは充血したように赤くなる。
ギガマイルが最高幹部になってから10年間で、アルカディアの改革は急速に進み、カーム・シュミットは17歳で砕組の分隊長となった。水玉模様の服を好む彼は、内面に比べて外見は派手だ。
カームは“神酒”に人生を狂わされた。無理やりエスパーにされたことで、生来のエスパーよりも暴走の頻度が極めて高く、フィー・カタストロでさえも手を焼くほどだった。
カタストロはカームに辛抱強く付き合ったが、カームの両親は当の昔に彼を見放していた。
カームは“神酒”を憎んだ。“神酒”によってもたらされた、自分の力を憎んだ。
この力ゆえに自分を見捨てた両親を憎んだ。憎みながら10代20代を過ごした。


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エスパー奇譚』長編小説 「千里」 NEKTAR 目録
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2016/05/31 00:01

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「エスパーの暴動?」
ゴリーレッド「普通の人でも暴動が起きたら大変なのに、エスパーが暴走を起こしたら止められない」
火剣「しかも何千何万」
コング「略奪の限りを尽くす暴兵。犯し貪り犯し貪り」
ゴリーレッド「延髄斬りの時間か?」
コング「そんな時間はない」
火剣「神酒は盗まれたのか」
コング「実力伯仲なら悪意の差で勝敗が決まるか。あとは渇望だ。僕は常に渇望している」
火剣「なぜノットーは裏切ったんだ」
ゴリーレッド「ギガマイルが間に合った。15歳か」
コング「15歳といえばかごめやヨーコの年」
火剣「千里の小学生時代を思えば15歳で最高幹部も大丈夫」
コング「人間の恨み怨み憎しみは怖い」
ゴリーレッド「神酒で人生を狂わされた者が多そうだ」
コング「媚薬でよがり狂わされるならプラス面もあるが」
ゴリーレッド「延髄斬り!」
コング「なぜえええ!」
火剣「10代20代で人格が形勢されていく。だからこの時期に憎悪が心に充満していたというのは危ない」
コング「危ないほうがモテる」
ゴリーレッド「その危ないではない」


火剣獣三郎
2016/05/31 00:48
>火剣さん
遡ること32年前にも、“神酒”を巡る大規模な戦いがありました。
もしも千里がいなければ、今のアルカディアは無かったでしょう。

八武「超能力を持ったら悪用したくなる。」
山田「そんな人間ばかりではない。七瀬を見習え。」
八武「私が目指すのは西尾。」
佐久間「どの西尾だ?」
神邪「生粋のエスパーにも悪人はいますが、量産エスパーは能力者としての使命感に欠けているから、欲望に負けてしまうのでしょうか。」
維澄「知らずに飲まされた場合は、特にそうなるかもしれないね。人生を狂わされた分、狂った行動に出たくなる。」
佐久間「ノットー造反の理由は、実は『サトリン』で語られていたりする。」
山田「しかしあれが全てではあるまい。直接の理由は“神酒”が関わっているのか。」
八武「ノットーも“神酒”を飲んだのかねぃ。」
佐久間「そういうわけではないんだ。飲んでも意味が無いからな。」
八武「自分で飲むより、飲ませる方が興奮するか・・。」
山田「おい、何の話になってる?」
維澄「カームが心配だね。まさか裏切り者がカームではないと思いたいけれど。」
佐久間「願望で理屈を歪めるか?」
維澄「まあ、こう言ってる時点で疑っていることになるね。」
八武「カームを信じよう。」
神邪「僕も憎悪が充満していた10代を過ごした結果、こうなりました。」
山田「それでも信じる。むしろカームは“神酒”を憎んでいるんだから、“神酒”に溺れるアンティローグとは真逆じゃないか。」
アッキー
2016/05/31 01:11

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