佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「NEKTAR」 二十、仮面

<<   作成日時 : 2016/06/11 00:00   >>

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時間を巻き戻してオハイオ州。
火組の3人・・・ソドム、ジェスレイ、サカルは、アンティローグ第三位“虚栄”のベインと対峙していた。
「ベイン・ディーバー・・・?」
「デュース副隊長ノ弟・・・?」
「・・・マジ?」
“炎帝”デュースと同じ顔で、ベインは憎悪を3人に向けていた。
「お前らさあ、こう思ったことはないか? 手に入らないものは壊れてしまえって・・・。」
「?」
「・・・?」
「へ?」
「クヒッ、わからねえよな。」
ベインは仮面を被り直した。
赤い三角形のマーク、火を示す“トーラ”の図形。
「始めよう。」
声色が変わる。
と同時に彼の周囲に数十個もの火球が現れた。
「“火角弾”。」
火球は全方位へ発射され、周囲を薙ぎ払った。
「ぐぎいい・・・!」
「サカル!」
「しっカり!」
「ほほう・・・右わき腹に命中。他は全てかわしきったか。」
「この野郎!」
ソドムは残る火種を全て使って炎を放った。
しかし指一本で防がれる。
「力の差がありすぎるなあ、所詮はB級エスパーか。」
ソドムはB1級、ジェスレイはB2級。サカルの発火コピー能力に頼るしかない。
だが、何故か炎が出なかった。ベインを模倣しているはずなのに。
「くそっ、おれっち、どうかしちまったのか・・・?」
コピー能力は繊細だ。サカルは暗澹たる思いに沈む。
「サカル、無理をするな。」
ソドムがサカルの体を支え、その間にジェスレイが炎を放つ。
「“トライデント・サラマンドラ”!」
しかし火蜥蜴は容易くバリアに弾かれた。
「・・・理解できないな。そもそもB級ごときが戦場に出てきて何をするつもりなのだ。」
そう言ってベインは再び仮面を外した。
「クヒッ、駄目だな才能の無ェ奴らは。オレの力を100とすれば、お前ら合わせて5も無い。圧倒的。絶望的。理不尽。愉悦。」
ベインは笑いながらも、眼光の憎悪を絶やさない。

「真に才能ある人間ってのは、どんな腐った環境でも1位になれる奴さ。泥沼から這い上がって、いい暮らしが出来る奴さ。オレは幼い頃から、超絶・卓越・秀英・慧眼・鬼才・理知・賢者・豪胆・勇敢・精悍・神童ォ! そのオレが選ばれねえなんて有り得ないんだよ、40過ぎまでうだつのあがらねえ貧乏人生なんておかしいんだよっ! それに引き換え、お前らはロクな才能も無いくせに、アルカディアに拾われたってだけで人並みの暮らしかよ、ああコラ! そして今はヒーロー気取りでアンティローグ討伐かよ、ああ!? 間違ってんだよ何もかも・・・。アルカディアが真に人民の幸せってやつを願うんなら、才能ある奴から集めるのがスジってもんだろが! なのに、あいつら、オレでなくクソ兄を選びやがった・・。全っ然っ、見る目ナシ。オレの方が全てにおいて優れてたんだぜ、全てでだ。デュースが1ヶ月かかってやることを、オレは一日で出来た。オレの方が頭も切れたし、腕っ節も強かった。それに対してクソ兄はグズでトロくて頭も悪くて・・・オレはいつも、あいつの尻拭いだ。ふざけんなってんだ、オレはあのゴミ溜めみたいな環境で文句なしの1位だった。圧倒的にナンバーワンだった。選ばれるならオレだろ? アルカディアという最高のエスパー組織に選ばれるのは、クソ兄でなくオレでなければならなかったんだ! オレにも炎の才能が、クソ兄を遥かに凌駕する才能があったんだ。炎帝だから何だか知らんがクソ兄は所詮B級止まり。オレはこうしてA1級だ。これが才能の差ってやつだよ。アルカディアも馬鹿なことをしたもんさ。オレという大器を、みすみす逃したわけだからな。節穴揃いの馬鹿どもに、オレの実力を思い知らせてやる!」

ベインのスピーチは終わった。
“虚栄”のベイン。火組の3人は、その呼び名の意味するところを理解した。
「話は終わりだ、死ね。」
ベインは再び仮面を被った。
またしても火角弾。しかもサイコキネシスの誘導つき。
数十の火球が3人を襲った。

だが、それが3人に当たることはなかった。
「・・・間に合った。」
火球は全て吸収された。
ベイン・ディーバーと同じ顔、双子の兄“炎帝”デュース。息せき切っての登場だ。
「間に合った? 勘違いするなよ。間に合わせてやったんだ。オレが本気を出せば、こんな雑魚3匹は0.1秒で消し炭よ。」
「わたしの部下を雑魚と呼ばないでほしいな。」
「雑魚を雑魚と言って何が悪い。」
「・・・変わらないな。」
デュースは哀れみを込めて言った。
「何?」
「人を馬鹿にして、自分は天才だと驕る。昔からそうだったよな。」
「驕る? 実力の無い奴だったら、そういうことかもな。しかしオレくらいの天才となると、自信の顕れというんだ、自信の顕れとな。」
「30年会わない間に、取り返しの付かないところまで悪化したか。」
「けっ、アルカディアに拾われたからって上から目線でほざいてんじゃねーよ。人はオレを傲慢だの虚栄だの言うが、傲慢結構。虚栄結構。それを現実の力に変えるのが、超能力だろうが。ああ〜ん?」
「平行線だな。再会を祝すことはしない。さっさと引導を渡してやる。」
デュースは瞬間的にベインを業火で包み込んだ。
「今更そんな攻撃が通用すると思ってるのか?」
ベインは服すら焼けてない。
「瞬間的にフルパワーを出せるとかいうのが売りらしいが、所詮はB級だな。“B級の頂点”ごときは、決してA級には勝てない。これが才能の差ってやつだ。」
「・・・下がってろ、ソドム、ジェスレイ、サカル。本部へ戻っててくれ。」
「何だ、お前もそいつらを雑魚扱いしてるわけか。ははは傑作だ。」
「勘違いするな。わたしだけで十分なのに、余計な死者が出たらかなわん。サカル君が怪我してることにも気付いてないのか?」
「ほほう、逆に挑発ときたか。だが苦しい、苦しいぞー。グズでノロマなカス兄が、このオレに傷ひとつでも付けられるとでも?」
ベインが得意になってる間に3人は退散し、2人だけが残って向かい合った。
「オレは天才。驚異。超人。選民。そんじょそこらの連中とは格が違う。何ひとつオレに勝るものの無いカス兄が30年アルカディアにいたとしても、オレを止めることは出来ない・・・火角・・・」
120発の火球が集約する。
「・・・大咆!」
炎が叫び声をあげてるかのような大音響が轟き、1キロ先まで焼き尽くした。
「はははははー、跡形もなく消し飛んだ!」
しかし煙が晴れてみれば、デュースは無傷だった。
服には多少の焦げ目が付いているが、至って元気。
「なに?」
「だから、勘違いするなと言っただろう。わたしが“B級の頂点”と呼ばれてるのは伊達じゃない、その所以がこれ・・・・・・“溜め”が利くという特殊能力。1分間使わずに溜めておいた力を10秒で使えば、6倍の出力になる。それに加えて、お前も知ってる、瞬間的にフルパワーが出せる能力。そうでなければ“B級の頂点”などと言われないし、ましてや“獄炎魔帝”の称号を手にすることなど出来なかったさ。」
「・・・クソ兄ごときが、やってくれるじゃねえか。」
ベインの雰囲気が変わった。
「流石はアルカディアだ。カスみたいな人間でもB級の頂点まで育て上げることが出来る。文句なく世界一の超能力組織だよ。それだけにオレという才能を見逃したのは最悪の失敗だったが・・・まあいい。今は少しだけ謙虚になるとするよ。この仮面を外してな。」
「!?」
ベインが仮面を外すと、明らかに力が変わったのが伝わってきた。
「クソ兄、てめーでも多分、ペックには勝てる。レストとも相打ちクラスだろう。だがな・・・クヒヒヒヒ、三位以上は別格だと言っておこう。オレとアイド、そしてクリエ。アンティローグのトップスリーは他とは格が違う。だから力を抑える為のアイテムを支給されてるんだが・・・。」
「それがその仮面か。」
「物分りが良くなったな。こいつを着けてないと、どうにも力が強すぎて・・・。何せオレの能力はパイロキネシスに偏っている。他の能力はA2級くらいしかないが、パイロキネシスならA1級トップクラス。クヒッ、もしかするとクリエよりも強かったりしてな。戦ったことがないだけで、実質オレがアンティローグのナンバーワンかもよ?」
「・・・そうかもな。」
「クヒヒッ、その同意、当然!」
ベインは仮面を持つ手に力を入れた。
「この仮面はオレの力を50パーセントまでダウンさせる。更に言えば、先程の攻撃は3分の1の力しか使っていなかった・・。クソ兄でなくアルカディアに敬意を表して、100パーセントの力で相手してやる! かああああっ!!」
凄まじい火力を複合した念力場がベインを包み込み、周囲の物体を消し飛ばした。
「かあ―――――――!!」
それはまさに炎の衣。デュースはこのクラスの炎は過去、キアラ隊長のものしか見たことはない。
「これからが本当の戦いだ! いや、戦いになるかな、クヒヒヒヒッ!」
「・・・・・・。」
デュースは気を散らさないようにしつつも、一瞬だけ目を伏せた。


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エスパー奇譚』長編小説 「千里」 NEKTAR 目録
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
火剣「兄弟は存在した。同一人物ではなかった」
コング「手に入らないものは壊してしまえ? 恋人にできないなら犯してしまえって気持ちはわかる」
ゴリーレッド「わかるのか?」
火剣「そんな仮面があるのか。力が強過ぎてセーブするとは」
コング「100対5では勝ち目ないが敵の言葉を鵜呑みにしないのはさすがアルカディア」
火剣「激しい憎悪を感じる。才能や天才にこだわり過ぎているな」
ゴリーレッド「驕りは怖い。他人を見下した時点でもう天才ではないのだが」
コング「ベイン、アイド、クリエがナンバー3か」
火剣「骨肉の争いは見ていて辛いが」
コング「弟が姉を襲うパターンはスリリングだが。兄が妹は上から下だから嫌なんだ。弟が姉とか家来が姫とか下から上が萌える」
ゴリーレッド「タイガージェットシンをコピーしよう」
コング「待て」
火剣「デュース、果たして勝てるか」



火剣獣三郎
2016/06/11 12:39
>火剣さん
ティムがミスリードを仕掛けていましたが、デュースとベイン、同一人物ではなく双子の兄弟でした。
キャラも火力も強烈なベインと、“B級の頂点”デュース。血を分けた兄弟の死闘が始まります。

山田「これは見てて辛い。自分の人生こんなはずじゃなかったという悲痛な叫びにも聞こえる。」
八武「なるほどねぃ。しかし今からでもアルカディアに売り込みはどうだろう。」
神邪「ユイファさんの前例がありますからね・・・じゃなかった、この物語は1972年。」
維澄「ベインの前例を踏まえてユイファがあるのかも。」
佐久間「手っ取り早い売り込みは、実力を見せることだからなぁ。」
山田「しかし犯罪で実力を見せても駄目だ。刑務所で暮らしても箔は付かないんだ。」
維澄「ベインは下克上も狙ってるのかな。」
佐久間「それを狙ってたのはディバウアだな。ベインは序列トップを狙ってるわけではなく、序列は3位でも実力はトップと見られたいんだ。」
神邪「では、説得は無理ですか。」
山田「性格的に無理だな・・。デュースに勝ってもらうしかない。」
アッキー
2016/06/11 20:25

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