佐久間闇子と奇妙な世界

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<<   作成日時 : 2016/06/28 00:00   >>

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オレの残虐な性質ってのは、生まれつきのもんだったのかね。

弟のゴルドーも生まれつき色情狂だったが、2人揃って前世で何か悪いことでもしたのかもな。
あらゆる悲劇を試練で片付ける、神様ってやつは単純に出来ている。

幼い頃から、何かを壊すのが好きだった。
次第に、命を奪うという行為に悦びを覚えるのだと、経験的に理解した。

あるとき、コンクリートの上に土で囲いを作って、その中に大量のミミズを放り込んだ。
そこらの土から雑草を引き抜くと、ミミズの2,3匹はすぐに見つかるもんだ。
照りつける夏の日差しの下で、ミミズが苦しそうにのたくって、干からびて死んでいくのを、ゾクゾクして見てた。
自分でも楽しそうに笑っているのがわかるくらい、楽しかった。
体表から徐々に水分が失われ、体が少しずつ細くなっていくのは、いつまでもオレを飽きさせなかった。

ダンゴ虫で遊んだこともあったな。
小さいのでミミズより集めるのは苦労するが、瓶いっぱいに溜め込んだときの喜びは大きい。
溜め込んだ時点で既に死んでるのも多いが、オレはそこに水を入れてシェイクする。
バーテンダーにでもなった気分でシェイクするのさ。
濁った水の中を黒い虫が回っていくのは楽しい。

他には、植物の葉をブチブチと、無くなるまでちぎったこともあった。
蝶の羽を毟ったときは、麟粉で手が荒れて、くしゃみも出て、それからあまりやらなくなった。

ここまでなら子供の他愛無い悪戯程度で済んでいたが、オレは大きくなっても変わらなかった。
人間を殺したいと思うようになっていた。

命は尊いものだと言う人もいるが、オレには理解できない。
そこにあるのは価値だけだ。

命が尊いものなら、牛や豚を殺して食うのは、してはいけないことになる。
魚を獲るのも、花を摘むのも、罪深いことになる。

人間に限定しても駄目だ。
命は尊いと言う人も、戦争で人を殺す理由として、『あいつらは人間じゃない』とか『あいつらの命は尊くない』とか言い出すわけよ。

要するに、尊いとか尊くないとかは、人それぞれが勝手に決めているということだ。
尊いとか尊くないとか、尊さの中にもランクがあるとか、そういうことだったら、そもそもそれは「価値」だろう。

この人は大事だ、死んで欲しくない。
こいつは死んでもいい。こいつは死ぬべきだ。
それが普通だと思う。

オレの場合、周りに死んでいい人間が多すぎた。
生まれつきの性質も手伝って、このままでは誰かを殺してしまいそうだと思ったオレは、家を飛び出した。

ところが、どこへ行っても無価値に思える人間が多すぎた。
おそらく、狂ってるのはオレの方なのだろう。多くの人間を無価値に思える脳髄を、抉り出してしまいたくなった。

いつからオレは、こんな人間になった・・・。
生まれつきか?
それなら、どうしようもない・・・。

今ではアンティローグの第六位、“殺戮”のマーダ・アタル。
人殺しも何度も経験してる。

快感なんだ。
何人殺しても罪の意識を感じない。
命の価値も尊さも感じない。
肉を裂くときの苦痛に歪んだ表情、絶叫が、心地よすぎて病みつきになる。

もうマーティン・アタルは死んだ。
今のオレは違う生き物だ。
ろくな死に方はしないだろう。



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エスパー奇譚』長編小説 「千里」 NEKTAR 目録
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2016/06/28 00:00

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内 容 ニックネーム/日時
火剣「絶句するしかない」
ゴリーレッド「前世より今世だ。マーティン・アタルが言ったように命の重さに人も虫も基本的にない。虫の命よりも人の命のほうが重く尊いというのは人間界の法律。宇宙の法則はまた違う。人間界では虫を殺しても犯罪にならない。犬を殺したら犯罪になるが人間を殺したほうがもっと重刑になる。何が言いたいかというと、マーティン・アタルは面白がって生物を殺しまくった罪は命に刻まれていった。前世より今世の罪かもしれない」
火剣「『MOZU』でも虐待する父の首筋をアイスピックで刺殺した妹。それから殺害が快感に変わり無意味に生物を殺すようになった。このままでは罪もない人を殺してしまうと思った兄は急いで妹を殺し屋にした。せめて意味のある殺人を。それしか方法が見つからなかった」
ゴリーレッド「悲劇過ぎる。殺人狂は色情狂と同じ一種の生まれつきの病なのか?」
コング「殺人狂に追われるヒロインは興奮するシーンだ。やはり犯されるよりも殺されるほうが怖いのが人情」
ゴリーレッド「悩みがない人はいいな」
コング「前世でも今世でも善良だったからだ。ぐはぐはぐは」
火剣獣三郎
2016/06/28 11:00
>火剣さん
弟も壮絶ですが、兄もまた悲劇。やはり生まれつきではなく、行動が方向性を決定していき、そこに魔が目を付けた。意味を持たせたのは、後付けなんですね。

山田「前世ではなく今世の罪。マーティンも今が殺人鬼だから、過去を振り返ったときに虫殺しを強く思い出すんだな。」
佐久間「カラーバス効果というやつだ。」
維澄「体験が人の考え方を作っていく。強烈な体験なら猶更ね。」
八武「突き刺すときの感触が、何度も再生される。それが虐待から逃れたプラスと結びついて、やがて快感となる。」
山田「リアルな感触の再生か・・。」
八武「人間、良くも悪くも“慣れる”ものでね。どんな苦痛にも慣れるように、人格を変質させていくのだよ。」
神邪「苦痛だけでなく、矛盾や欺瞞に対してでも同じくですね。『命は尊い』と言いながら命を尊重しない大人たちを、子供の頃から見続けてきたから・・・。」
佐久間「こういう社会である以上、殺人狂は生まれつきの病と同じことだな。」
八武「殺人衝動を抑制する為に医者になったという人もいるねぃ。」
山田「お前の知り合いは危ない奴ばっかだな。」
佐久間「暴力皇帝とかな。」
八武「生まれつきの病であっても、折り合いをつけることは可能だと言いたいのだよ。マーティンも何か切っ掛けがあったはず。」
アッキー
2016/06/28 21:32

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