佐久間闇子と奇妙な世界

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zoom RSS 「NEKTAR」 十六、差異

<<   作成日時 : 2016/06/04 00:00   >>

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アンティローグ第七位“姦淫”のルード・アタルと戦うは、ラプソディア分隊、ハービス分隊、ラドル分隊、ウロイ分隊の、合計32名。下弦も過ぎて痩せ細る月の、かすかな光だけが降り注ぐ宵闇の中、空気が流れていた。
光を放つ人工物は無残に破壊されており、廃墟で戦いは始まった。
ルードの男の逸物は恐ろしく巨大で、長さ1メートルにも達していた。先からは既に白い液体が出ている。
固有能力というよりは、サイコキネシスによる肉体変形の類だろう。
「ある意味、化物、だな・・・。」
ラドルは恐怖を感じていた。
サイコキネシスの出力が自分の40倍だからというのもあるが、それよりも、得体の知れない嫌悪感があるのだ。
それはルードそのものに対してだけではなく、自己の中に眠る鬼畜の心が感応するような悪寒だった。
「お、おで、犯す、お前ら。」
ルード1人に対して、こちらは32人。しかもディバウアやノーティのような厄介な能力は持っていない。
一抹の不安を抱えつつも、32人はルードに一斉攻撃を放った。
「ぐふ、ぐふ、ぐふ。」
ルードは笑っている。
「何?」
「効いてない、のか?」
ルードはテレポートで消えた。
「ちっ!?」

「ぐふふっ!」
現れたのは、ラプソディアの目の前。
逃げる間も無かった。
ルードの巨大な男根は、ラプソディアを股から脳天まで一気にぶち抜いた。
悪夢のような光景。
事切れて焦点を失った目のラプソディアは、脳天から精液を噴き出した。
「ラプソディアっ!?」
動揺したのは叫んだラドルだけではない。
仲間が残虐な殺され方をするのが、これほどまでに心に打撃を与えるとは知らなかった。
気合が入らない。
「ぐふ、まず1人。」
ルードは体を震わせて笑った。
(こいつ・・・!)
ラドルは身震いした。
(下劣でも、至って正気だ。シラフでこんなことやってんだ。)
思わず歯を食いしばると、膝が勝手に震えてしまう。
「ぐふ、ぐふ、ぐふふ。」
ルードはサイコキネシスで、死んだラプソディアの体を裂き、男根をそそり立たせて笑った。
「ちっ・・・。」
(クールになれ。仲間の死を悲しむのは後だ。今はこいつを斃す・・・!)
しかしルードのパワーはラドルの想像を超えていた。
「ぐふふ、おで、犯す・・」
ルードの姿が消えた。
今度は油断ではない。
隊員の1人がルードの男根に貫かれた。今度は男。
「お・・う?」
「ぐふふ。」
ルードが射精すると同時に、隊員の体が弾け飛んだ。
「にっ」
(逃げろっ・・・!)
ラドルも、ハービスも、ウロイも、恐怖に駆られて逃げ出した。
(ああ、ああ、考え違いをしていた。こいつ強い。単純に強い。)
ルードは奇怪だが、厄介な固有能力を持っているわけではない。だからこそ付け入る隙が無い。
動きを見切れないのも、防御や回避が出来ないのも、単純に力の差。戦えば全滅必至。逃げるしかない。
「ぐふ、ぐふ、ぐふ、ぐふ・・・」
闇の中にルードの下品な笑い声が響き渡り、それに混じって肉の潰れる音が聞こえてくる。
何人も何人も、男女構わず巨大な男根に貫かれて死んでいく。奇怪で醜悪な現実。

(殺される・・・逃げても全員殺される・・・!)
ハービスは逃げるのをやめた。
(戦わない。生き延びることだけを考える。)
「柔泡結界―――MAX!」
「ぐふふふう!」
念力を纏った巨大な男根が、いざ刺し貫かんと迫ってくる。
「くっ!」
結界は貫かれたが、直撃は避けた。
そこへウロイの攻撃が飛んでくる。ルードにとっては痛くも痒くもないが、気を散らすことには成功した。
その隙にハービスは結界を張りなおし、更にラドルも駆けつけた。
現時点で、残り5名。
第四分隊長“柔泡花”ハービス。その副官リック。
第十分隊長“ナイト・ヘッド”ウロイ。
第六分隊長“サイド・ワインダー”ラドル。その副官“剛腕”ゼルーク。
他の隊員たちは、全てルードに殺されていた。
戦っても敵わない。逃げても殺される。
ならば、少しでも時間を稼いで、1分1秒でも長く生き延びることだ。
しかし救援を当てにするというよりは、ルードをここに引きつけておくことで、他を有利にしようという悲壮な決意。
仲間が次々と現実味の無い死に方をしていった為に、「ここで自分も死ぬのだ」と強烈に思ってしまったのだ。
B1級で防御力の高いハービスを先頭に、5人はV字に並んだ。
ルードは下品な顔で男根をそそり立たせている。ラドルは何か妙な違和感を覚えた。
「ぐふ、ぐふ、ぐふ。」
「・・・いい加減、その妙な笑いをやめたらどうだ。」
「ぐふ?」
「そろそろ正体を現せよ。」
ルードが現れたときからラドルは何か引っかかっていた。
見かけの奇天烈さに惑わされて、今まで考えがまとまらなかったが、たった今わかった。

「・・・おやおや、どうしてわかりました?」
ルードは突然流暢な口調になり、声色も変わった。
「わたくしの演技力も、まだまだということでしょうか?」
紳士的な言葉遣いで全裸。巨大な男根をそそり立たせている。シュールな光景だ。
「それともラドルさん、あなたがわたくしと近い性質の持ち主だからわかったのですか?」
「なに?」
ラドルは顔から血の気が引いた。
戦いの始まる前に感じた悪寒の正体も、わかってしまった。
「性欲というのは生まれつきの性質なのかと考えたことはありませんか? わたくしは生まれつき並外れて性欲が強いのですが、あなたもそうではありませんか。見る女、聞く女すべてが、性の対象になっていたのでは?」
「・・・・・・。」
ラドルは吐き気がした。
自分の性欲を恥じたことはないが、強姦殺人鬼などと一緒くたにされるのは、たまらなく気分が悪かった。
違うとはわかっていても、気持ち悪さが体を離れない。気分が歪む。
「わたくしも幼い頃から周囲の全てが性の対象でした。人だけでなく動物も、虫も、果ては無生物までもね。大人たちはわたくしを罰しました。それは酷い目に遭いましたよ。牛と交わったときに、殺されそうになりましてね、そこをクリエ様に救っていただきました。あの人は、わたくしの神です。ラドルさん、あなたにもいませんか、そんな人が。」
「やめろ・・・!」
ラドルは思わず呟いた。
「あはは、これは滑稽だ。もしかして神聖視するあまり、手を出していらっしゃらないのですか?」
「それ以上言うな。てめえのモノ潰すぞ。」
「本当はメチャメチャに陵辱したいと考えているのに。それが出来ない。あはは、そんなところもわたくしにそっくりですねえぇ。」
ルードの笑い方は豹変前より上品だったが、かえっておぞましい。
「殺す!」
ラドルはサイコキネシスを放ったが、軽く防御されてしまった。
「あはは、お得意の“すり抜け”はどうしたのですか?」
ラドルは心を乱されていて、念力のコントロールが上手くいってない。
ただでさえ戦力には何倍もの開きがあるのに、冷静さを欠いていてはどうしようもない。
「っそ・・・!」
(駄目だ、クールになれ、クールに・・・)
「・・・なれるか!」
陣形を崩してラドルが踊りかかった。
すり抜けサイコキネシスではない、拳に念力を乗せただけの一撃。
「無駄ですよ。」
ルードは男根で受け止めて弾き返した。
「データよりも強くなってますね。実戦の中でパワーアップしましたか。四十を過ぎても成長があるというのは驚きです。ですが・・・わたくしには通用しません。10の力が20になったところで、400に勝てますか?」
「っそ!」
「そろそろ叩いてしまいましょうか。」
ルードの姿が消えた。
反射的に5人は飛び退くが、笑うルードがテレポートしてくる。
「あははー、ははー。」
鞭のようにしなる男根が、ハービス、ウロイ、リック、ゼルークを次々に吹き飛ばした。
「こんなものです。ハービスさんですら、わたくしの10分の1の出力しかない。ラドルさん、あなたを残したのは理由があります。」
「あ?」
「アンティローグへ来ませんか? ラドルさんなら、わたくしよりも上・・・3番手くらいにはなれると思いますよ。」
「誰が!」
「あはは、強くなれば望みが叶うのではないですか。強くなって、自分の欲しい女を手に入れたいのではないですか。」
「黙れ!」
「それに、ここだけの話・・・“神酒”というのは、服用した人間の性質を増幅する傾向があるのです。わたくしなど、このようにビンビン。なかなか精も尽きません。実はそろそろ“神酒”が尽きかけていましてね。今が最後のチャンスかもしれませんよ。」
「・・・・・・。」
ラドルは黙って顔を下に向けた。
「葛藤がありますか。ですが考えてみてください。我慢する必要がどこにあるというのです。アルカディアは衣食住は約束してくれても欲望までは叶えてくれない。その点アンティローグは欲望を大いに発揮できます。欲望こそ人間が人間である為の心なのです!」
ルードは勝ち誇った顔で自らの顎を上げる。
するとラドルは俯いたまま呟き始めた。
「確かに、欲望こそが、人間らしさだと思う。似てるな、オレとお前は。」
「そうでしょう。」
満足気なルードだったが、しかし彼はラドルの様子がおかしいことに気付いた。
「クックックック・・・・」
ラドルは笑っていた。
「似てるけどな、決定的に違うんだよ。何故ならオレは、女を無理やり犯したことはないから。」
「ですが、心の中ではそうしたいと思っているはずです。」
「バーカ、心の中で思うのと実際にヤるのたぁ大違いよ。汚らしい我欲に負けた程度の奴が、オレと同格のつもりか?」
「なっ・・」
「勘違いしてるようだから教えておく。オレが怒ってんのは、自分の欲望を見透かされたからじゃねえ。汚らしい負け犬と同格に見られた屈辱からだよっ!」
「ほほう、いいでしょう、そこまで言うのならいいでしょう、あの世へ送って差し上げます!」
目を剥いたルードの拳が、念力を纏ってラドルへ向かう。

(死)

ラドルの脳裏に浮かんだのは、純粋な死のイメージ。
しかしそのとき、ルードの拳は見えない何かに貫かれていた。
「ぎやあっ!?」


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エスパー奇譚』長編小説 「千里」 NEKTAR 目録
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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
コング「むごい。むご過ぎる」
火剣「まさかラプソディア・・・」
ゴリーレッド「これがラプソディアの戦死?」
コング「犯してから葬るならまだしも犯した瞬間に殺すなんてエンターティナーとしてどうなのか」
ゴリーレッド「コングも事切れたいか」
コング「待ちなさい。ここは重要なのであーるの女。むごさが際立ってしまって。ルードを応援していた僕の立場は?」
ゴリーレッド「普通は始めから応援しない」
火剣「1メートルでは裂けるどころか即死か」
コング「百戦錬磨の戦士たちを恐怖におののかせるとは」
ゴリーレッド「殺し方がむご過ぎるからだろう。こんなことを目の前で見せられたら」
火剣「ラドルの心を乱す。そしてぐふぐふという頭のおかしいふりは演技だった」
コング「ぐふふが頭おかしいとは心外だ」
ゴリーレッド「合ってる」
火剣「本当はメチャクチャに陵辱したい?」
ゴリーレッド「心の中と実行は別だ。欲望をコントロールできるか欲望に支配されるか」
コング「ラドルが犯したい相手とは?」
火剣「やはり神酒は危険過ぎる」
コング「性欲は生まれながらか」
火剣「ラプソディアのショックが消えない」
火剣獣三郎
2016/06/04 10:34
>火剣さん
ラプソディア・カッセル、享年39歳・・・早すぎる死となりました。
最初から決めていたこととはいえ、このシーンは私としても、つらい場面です。仇を取れるかラドル・・・?

八武「そんな、ラプソディアぁあああ!」
山田「むごい・・・。」
維澄「戦死するのは知っていたけれど、こんな死に方とは・・・。」
佐久間「それが戦争だ。主要人物であっても容赦なく死ぬ。」
神邪「おぞましさと滑稽さが混ざり合って、感情に困りますね。」
八武「私にあるのは悲しみだ・・・。」
佐久間「もっと美しく死ねると思っていたか?」
八武「ふぐう!」
山田「今回ばかりは佐久間は敵だ。」
佐久間「いつも敵だろう。」
維澄「ぐふふ笑いで私もコングを思い浮かべたけど。」
佐久間「モデルは別にいる。ヒントは十本刀。」
山田「あいつか。」
維澄「なるほどね・・。」
山田「心が乱れる。乱れないはずがない。」
佐久間「それでもクールにならねばならない。」
神邪「ラドルさんの想い人は、やはりカタストロさんですよね。」
維澄「モースと対決することになるかな。」
八武「うう、ラプソディアも多くの男に想われていただろうなあ。」
アッキー
2016/06/04 18:12

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